債務者の承諾~債権譲渡でも「無から有」が起こる~

債務者の承諾~債権譲渡でも「無から有」が起こる~

司法書士試験に出題される民法では、物権と債権について定めています。
違うものとして扱われるこの2つですが、時には違いのはっきりしないこともあり、接点を持つようにもなります。

債権譲渡で起こる「無から有」

AさんはBさんに対して500万円の貸金債権を持っており、Bさんはそれを全額返済しました。
しかしその後、AさんはBさんへの債権をCさんに譲渡し、その譲渡をBさんに通知したとします。
この場合、Bさんの弁済によってAさんの債権は消えたわけですから譲渡することは出来ず、通知をしたところでCさんは無権利者のまま、Bさんに支払請求をすることなど不可能です。

では、この譲渡をBさんが「承諾」したとします。
法律における承諾は「知っていることを表明する」という意味ですから、一般的な意味よりもずっと軽い行為です。
また、債務者による承諾は譲渡人、譲受人どちらに対してのものも有効とされています。

民法468条『指名債権の譲渡における債務者の抗弁』1項前段では「債務者が、異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することが出来ない。」と定められています。
「異議を留めない承諾」は漫然と承諾するということですが、普通、承諾というとすべてこれに当てはまります。
事例の場合、Bさんがした承諾が「異議を留めない承諾」であった場合、譲渡人Aさんには主張出来る弁済の事実を、譲受人Cさんには主張出来なくなり、BC間という何もなかった場所に500万円の債権債務が生まれることになるのです。

これは取引の安全を守るための決まりであり、Bさんの弁済を知らないCさんという善意の第三者は保護しなくてはならないという考えから成り立っています。
Bさんは確かに大損なのですが、ちゃんと確かめずに漫然と承諾したという帰責事由がある、ということです。
なお、468条に明記はされていませんが、善意の第三者の保護を目的としている以上、もしもCさんがBさんの弁済を知る悪意の第三者だったなら、BさんはCさんからの支払請求を拒否することが可能です。

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