司法書士の試験科目より 包括承継~権利義務をそのまま引き継ぐ~

司法書士の試験科目より 包括承継~権利義務をそのまま引き継ぐ~

司法書士試験の出題科目である民法では、利益衡量の原則に基づき、裁判上で利益を比べるための様々な事項について定めています。

それでは、新たな事例を見ていきましょう。
Aさんは時計を持っていますが、高価な物なので誰かに盗まれてしまうことを不安に思っていました。
海外へ長期の出張をすることになったAさんは、時計を家に置いておくことも海外に持ち出すのも心配であるため、友人Bさんに預かってもらうことにします。
Bさんはそれを了承し、Aさんは海外へ行ったのですが、しかしAさんが海外にいる間にBさんが死亡してしまいます。
唯一の相続人であるCさんは、その時計がBさんのものだと過失なく信じて占有を始めました。

この場合、時計の所有権はAさんとCさんのどちらにあるのでしょうか。

包括承継

この事例において、CさんはBさんの占有権を相続という形で承継しています。

民法896条『相続の一般的効力』では

「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」

としています。

一切の権利義務を承継することを「包括承継」といい、被相続人の権利義務を丸ごとそのまま受け継ぐということです。
ちなみに、その例外である「被相続人の一身に専属したもの」とは政府からの年金などで、たとえば親が死んだときに親がもらっていた年金を「親に対する年金」という形でその子どもが受給することは不可能、という意味です。

権利義務を丸ごと承継するのですから、事例においてCさんはBさんの「Aさんから時計を預かった」という財産上の地位をそのまま引き継ぎます。
「預かる」というのは「もらう」とは異なりますから、この場合、Cさんは「時計を返す」という義務まで承継していることになり、時計の返還義務を負っていると言えます。

包括承継においては、Bさんとその承継人Cさんは財産法上の同一人物とみなされます。

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