無権代理人の責任~悪人に課される重さ~

無権代理人の責任~悪人に課される重さ~

司法書士試験に出題される民法第1編の総則では、代理について定められています。
代理は本人・代理人・相手方による三面関係を生み出すシステムで、「代理権」「顕名」「代理人と相手方の間の法律行為」という3つが法律要件です。

無権代理人の責任

無権代理における、本人や相手方の権利について見てきましたが、そもそも代理権がないのに契約を結んだ無権代理人がいたから事態がややこしくなっているのです。
民法では表見代理の制度が設けられており、本人に責任をとらせることになっていますが、無権代理人に責任はないのでしょうか。

民法117条『無権代理人の責任』第1項では「他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することが出来ず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行または損害賠償の責任を負う。」と重い責任を定めています。
無権代理人と本人・相手方は基本的に、善人と悪人の関係であるため当然のことで、相手方が無権代理人に契約の履行を求めれば売買代金を払わなくてはいけませんし、請求された損害賠償には応じなくてはなりません。

しかし第2項では「前項の規定(無権代理人の責任追及)は、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によって知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない。」としており、相手方が無権代理人であると知っていた場合や、注意すれば無権代理人だと気づけた場合には、相手方は無権代理人に請求書を書くことが出来ません。

また無権代理人が行為能力を有しない、つまり未成年だったり精神障害を有していたりと制限行為能力者であるときには、民法の他の部分でも見られたように、例外として扱われます。
とはいえ大抵の場合で相手方は善意ですし、問題になるほど大きな契約ならば少なからず慎重にするため無過失となり、無権代理人が制限行為能力者である場合も少ないため、多くのケースで無権代理人は重い責任を課されることになります。

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