短期取得時効~ポイントは「占有の開始の時」~

短期取得時効~ポイントは「占有の開始の時」~

司法書士試験に出題される民法の総則では、時効について定めています。

新しく権利義務を獲得する時効を「取得時効」といいました。

短期取得時効

AさんはBさんから購入した土地を、Cさんへ転売して引き渡しました。
しかしその後、BさんはAさんとの売買について民法95条の錯誤無効を主張しだしたのです。
Bさんは同時にCさんへ土地の返還を求めましたが、Cさんはどうすればよいのでしょうか?

Aさんが無権利者になった以上Cさんの権利も無くなり、Cさんは「無権利者かつ土地の不法占拠者」という地位になってしまいます。
しかしその最後の手段としてあるのが時効取得で、この場合は民法162条『所有権の取得時効』第2項の「10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。」が適応されます。
前ページまでの事例と違うのは、占有開始時の善意無過失を満たせば10年で短期取得時効を主張できるということです。

上記の事例で、CさんはAさんから普通に土地を買っただけですから、直接関わっていないBさんとAさんの売買について調査する義務も必要もなく、2人に錯誤があったことについてのCさんの過失はありません。
Cさんの立証すべきことは「10年」および「無過失」だけで、所有の意思・善意・平穏・公然は186条第1項が推定してくれるため、わざわざ立証せずとも大丈夫です。
また、取引行為では前主であるAさんの占有が適法だと信じるのは「即時取得」の場合同様、民法188条の権利適法の推定が働くため「無過失」も推定されるのです。

なお、善意・無過失があくまで「占有の開始の時」に求められるのもポイントです。
Cさんが占有を開始したのはAさんから引渡しを受けた時点ですから、そのタイミングで善意無過失でありさえすれば、その後に悪意になったとしても短期取得時効の主張は妨げられません。
BさんがAさんを訴えればCさんも2人の錯誤を知るでしょうが、それは「占有中」のことなので関係無いのです。

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