過失~不注意という責任~

過失~不注意という責任~

司法書士試験の出題科目の1つ、民法の本質に「利益衡量」がありました。
裁判は2つの利益を量ってより大きい方を選ぶことになります。

Cさんは帰責事由・取引の安全という2点から主張出来ることになりますが、Aさんはどのような点から主張をすればよいのでしょうか。
A・B・Cさんの3人がお互いの事情を知っているくらいに親しい間柄であった場合は、Aさんが有利になることがあります。

たとえば、その時計がAさんにとって大切なものであるとCさんが知っている場合。
また、Bさんが借金に困っていたこともCさんが把握していた場合。
Bさんは前にも同じようにして、他人の物を勝手に誰かに売ったことがあり、その前科をCさんが知っている場合。
このような事実があるときには、Bさんが高価な時計を売ってくれることに対し、Cさんはどこかで違和感を抱くことが出来た可能性が高くなります。

しかし実際、CさんはBさんの悪事を想定可能だったにも関わらず、気づかずに売買をしてしまいます。
これはCさんの不注意にも責任があると、Aさんは主張出来るのです。

過失

不注意、つまりは「うっかり」「うかつに」というようにして一定の事実を認識出来なかったことを、法律上では「過失がある」といいます。
この場合はBさんに借金がある、Aさんにとって大切であるはずの時計が売りに出されている、Bさんとは信用ならない人物であるということから、時計の売買をCさんが不審に思えるはずだったのにそうしなかったことを、過失があると捉えることが出来ます。

上記のようなことをCさんが知っていたら、時計やBさんを疑うことは十分可能だったと言えるでしょう。
Aさんは「どうして時計を購入する前に、自分に確認の連絡を一度でもくれなかったのか」「Bさんの前科や借金があることを知りながら、なぜ軽率に取引に応じたのか」ということを言えるのです。
この事件は、CさんがもっとBさんの行動に疑問を抱いていれば起こらなかったのですから、AさんはCさんの過失を責めることが可能ということになります。

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