意外と知らない!司法書士、行政書士、弁護士、税理士の違い分かりますか?

意外と知らない!司法書士、行政書士、弁護士、税理士の違い分かりますか?

はじめに

いわゆる士業と呼ばれる職業の業務について、明確な違いがわからない方も多いのではないでしょうか。

「〇〇法律事務所」など士業を冠さない事務所名や、テレビドラマでさまざまな仕事をこなす弁護士役の姿などが、一般の方を混乱させているのかもしれません。

司法書士・行政書士・弁護士・税理士の業務には、厳密に言うと重なる業務もありますが、当然それぞれに独占業務があり、得意分野が異なります。

しかも、互いの領域を超えた業務を行うと罰則があります。本人の場合はもちろんですが、無資格のスタッフが行った場合も、罰則が適用されるのは事務所の責任者である有資格者です。

ここでは、特に業務の重なる部分が多い4つの士業、司法書士・行政書士・弁護士・税理士の違いについて解説していきましょう。

1. 司法書士の仕事とは?

法務省のホームページによると、司法書士の職務は下記の通りです。

・登記または供託に関する手続きの代理
・裁判所、検察庁または(地方)法務局に提出する書類の作成
・(地方)法務局長に対する登記または供託に関する審査請求(不服申立て)手続きの代理
・簡易訴訟代理等関係業務を行うこと(認定司法書士に限る)
・上記すべての業務に関する相談に応じること

司法書士の代表的な業務は、不動産の登記・登録業務です。抵当権の設定・抹消の手続きも行います。また、不動産の登記だけでなく、会社設立の際の登記手続きを本人に代わって行うことができます。

供託とは、債務者が支払う意思があるにもかかわらず、債権者の居場所がわからない、債権者が会ってくれない、債権者がどうしても債務を受け取ってくれないなどの場合に、返済すべき額を法務局に預かってもらうことを指します。供託によって、債務者は債権者に債務を弁済したことになります。

簡易訴訟の代理人として関係業務を行うのは、認定司法書士に限られた職務です。認定司法書士とは法務大臣が認定した司法書士を指すもので、認定司法書士になるには、司法書士法に規定される研修を受講・修了したのち、考査に合格する必要があります。140万円以下の簡易訴訟の代理人となり、付随するさまざまな関係業務を代行することができます。

2. 行政書士の仕事とは?

総務省のホームページによると、行政書士の職務は下記の通りです。

・官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類の作成
・官公署に提出する書類について、提出の手続きを代理すること
・契約その他に関する書類を代理人として作成すること
・行政書士が作成できる書類作成について相談に応じること
・不服申立て代理(特定行政書士に限る)

行政書士の主な業務は、官公署に提出する書類を作成し、提出することです。

官公署に提出する書類には、煩雑で難解なものも多くあります。そこで活躍するのが行政書士というわけです。また、本来は弁護士や司法書士の専門分野でも、書類作成だけであれば行政書士が行うこともできます(遺言書、相続手続き、内容証明、債務整理の書類など)。

依頼人の代理で、行政庁の処分に対する不服申立てができるのは、特定行政書士に限られた職務です。行政書士が特定行政書士になるためは、日本行政書士会連合会が実施する「特定行政書士法定研修」の課程を修了(所定の講義を受講し、考査において基準点に到達)する必要があります。

3. 弁護士の仕事とは?

弁護士法によると、弁護士の職務は下記の通りです。

・当事者その他関係人の依頼または官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする
・弁理士及び税理士の事務を行うことができる

弁護士は、あらゆる法律の専門家として相談、書類作成、代理交渉を行うことができます。代理人としての弁護士の発言は、本人のそれと同じ法的効力を持ちます。

4. 税理士の仕事とは?

国税庁のホームページによると、税理士の業務は下記の通りです。

・税務代理
・税務書類の作成
・税務相談

税理士は、あらゆる「税」の専門家です。税務相談から書類作成や代理申告、企業での税務処理まで、税務に関する業務を行います。

5. 違いはどこに?

ここまでの内容について「業として行う」のは「報酬を得る仕事として行う」ことを表しています。各士業には、報酬を得てよい仕事としての業務権限が定められているのです。ここからはその権限を比較しながら見ていきましょう。

(1)士業別の業務権限

下表は、相続・離婚・債務整理・その他民事に関する権限の有無を表したものです。

司法書士 行政書士 弁護士 税理士
相続 遺言書の作成
不動産の名義変更 × 専門でないが可能 ×
後見人の申し立て 書類作成のみ可 ×
遺産分割調停・裁判の代理人 書類作成のみ可 書類作成のみ可 ×
遺産分割協議の代理人 × × ×
遺産分割争いに関する法律相談 ×
相続に関する管理や処分等の手続き 書類作成のみ可
遺言書執行に関する手続き 書類作成のみ可 ×
相続税の申告 × × ×
離婚 離婚調停・裁判の代理人 × × ×
離婚協議の代理人 × × ×
離婚争いに関する法律相談 × × 財産分与の税金に関してのみ
離婚協議書の作成 ×
債務整理 140万円以下の法律相談・交渉・訴訟 △(認定司法書士のみ) × ×
140万円超えの法律相談・交渉・訴訟 × × ×
過払い金請求 140万円以下の法律相談・交渉・訴訟 △(認定司法書士のみ) × ×
140万円超えの法律相談・交渉・訴訟 × × ×
その他民事 140万円以下の法律相談・交渉・訴訟 △(認定司法書士のみ) × ×
140万円超えの法律相談・交渉・訴訟 × × ×

※認定司法書士は、簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件)等について、代理業務を行うことができます(簡裁訴訟代理等関係業務)。

(2)具体例からみる士業の権限

このように報酬を得てよい仕事が定められているということは、裏を返せば、権限がなくとも「報酬を得ない=無償で行うこと」は自由なのです。

参考までに、3つの例を挙げてみました。

例1 <債務整理の交渉>

行政書士は、債務整理の法律相談・交渉・訴訟に関して有償で行う権限はありません。

例えば、知人からの依頼で債務整理の内容証明を作成し、書類作成料を受け取ったとします。内容証明の作成は行政書士の権限なので、これは問題はありません。

債務整理の交渉・訴訟は認定司法書士と弁護士のみの権限ですが、行政書士が無償で「当事者(=依頼者)の友人」として債権者と交渉し、結果的に過払い金を勝ち取る、ということは違法ではない、つまり非弁行為にはあたりません。

行政書士として債務整理を行ったのではなく、あくまでも債務者の知人が無償で債権者と交渉して、過払い金を勝ち取っただけということになります。

※「非弁行為(弁護士法72条)」には「弁護士法違反として2年以下の懲役又は300万円以下の罰金(弁護士法77条)」が科されます。

例2 <140万円を超える民事訴訟>

認定司法書士は、140万円を超える調停や裁判に関わって報酬を得る権限はありません。

仮に、請け負った近隣トラブルの交渉・訴訟が予想外に上手く運び、140万円を超える賠償金が取れることになったとしましょう。この場合には「代理人」としての報酬を受け取らず、依頼者に「書類作成」と「相談」についての報酬のみを請求すれば非弁行為にはあたりません。

報酬を請求した業務以外は、法律に詳しい知人としてサービス(無償)で行ったならば問題はないのです。

例3 <遺言書執行に関する手続き>

税理士は「遺言書執行に関する手続き」を有償で行う権限はありません。

例えば、遺言書の作成から執行までに関わることがあるとしましょう。依頼者の相談に乗り、知恵を貸し、保証人・付き添い人となって遺言公正証書作成を手伝い、遺言執行の手続きまで行うことは可能です。税に詳しい知人としてならば、すべてに関与しても問題ありません。

税理士として請求できるのは「遺言書の作成」「相続税の申告」の報酬です。それ以外は無償で行えば非弁行為にあたりません。

6. サマリー

いかがでしたでしょうか。

司法書士・行政書士・弁護士・税理士の違いを、それぞれの業務権限から解説しました。

重なる業務がありながらも、士業ごとの棲み分けがなされるように、権限が定められていることがわかります。

司法書士・行政書士・弁護士・税理士が、法律の専門家として得意分野を持つ、頼れる存在であることは間違いありません。

7. まとめ

・司法書士・行政書士・弁護士・税理士は、それぞれの権限・得意分野が異なる
・司法書士の主な仕事は、不動産・会社の登記、供託の手続き
・行政書士の主な仕事は、官公署への提出書類作成、提出
・弁護士はあらゆる法律の専門家として、相談業務、書類作成、代理交渉
・税理士の主な仕事は、税務代理、税務書類の作成、税務相談
・報酬を得てよい仕事として、それぞれに業務権限が定められている

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