司法書士試験の合格率は3%~4%!難関資格である理由は?

司法書士試験の合格率は3%~4%!難関資格である理由は?

司法書士試験の合格率は、例年3%~4%程度です。この数字だけ見ても、司法書士試験が難易度が高い試験であることが分かります。ただ、難しい試験であることには違いないとしても、どんな点に難しさがあるのかを知って、それを克服するためにはどうすればよいのかを対策すれば、合格の可能性も見えてきます。

この記事では、司法書士試験の合格率と、司法書士試験が難関とされる理由について解説しています。司法書士試験の受験を検討している人は、以下の内容を是非参考にしてください。

1 司法書士試験の合格率

最初に司法書士試験の合格率のデータをご紹介します。例年、合格率は比較的安定していて、年度による差は大きくありません。今後も当面は似たような数字で推移すると思われます。

⑴ 平成31年度試験 司法書士試験の結果

2020年12月現在で結果が判明している最新の司法書士試験は、平成31年度(2019年度)のものです。こちらのデータをご紹介します。

出願者数は16,811人、受験者数は13,683人、合格者数は601人です。対出願者合格率は約3.5%対受験者合格率は約4.4%となります。

⑵ 司法書士試験の近年の傾向

近年の司法書士試験は、出願者数が若干減少する傾向にあります。まだ最終結果は判明していませんが、令和2年度(2020年度)も含めて、直近5年間のデータを表にまとめました。

出願者数が減少する一方で、合格者数も若干減少していて、合格率には大きな変動がないことが分かります。強いて言えば、わずかですが合格率は上昇傾向にあるといえます。

 

年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度 平成31年度 令和2年度
出願者数 20360 18831 17668 16811 14431
受験者数 16725 15440 14387 13683 11494
合格者数 660 629 621 601
対出願者合格率 3.2% 3.3% 3.5% 3.6%
対受験者合格率 3.9% 4.1% 4.3% 4.4%

⑶ 司法書士試験と他の法律系資格試験の合格率と比較

他の試験とも比較してみます。比較の対象とするのは、司法試験と行政書士試験です。

① 司法試験との比較

令和元年度(2019年度)の司法試験は、出願者数が4930人、受験者数が4466人、合格者数は1502人でした。対出願者合格率は約30.5%対受験者合格率は約33.6%となります。

数字だけを比較すると、司法書士試験よりも易しい試験のようにも思えます。ただ、司法試験の場合、法科大学院課程を修了するか予備試験に合格することが受験資格となっているので、単純な比較はできません。ちなみに、予備試験の対出願者合格率は、約3.3%です。

② 行政書士試験との比較

行政書士試験は、司法書士試験と同様に特別な受験資格が要求されない試験ですから、司法試験よりも難易度の比較がしやすいといえます。

令和元年度(2019年度)の場合、出願者数は52386人、受験者数は39821人、合格者数は4571人です。対出願者合格率は約8.7%対受験者合格率は約11.5%です。

この数字を見ると、行政書士試験も10人に1人程度しか合格できませんから、易しい試験というわけではありません。しかし、司法書士試験と比較すると、司法書士試験の合格率の低さ、難易度の高さが際立ちます。

2 司法書士試験の合格率はなぜ低いのか?

司法書士の合格率がかなり低いことは分かりました。しかし、合格率が低いということを知っただけでは、何の対策にもなりません。ここからは、なぜ司法書士試験の合格率はなぜ低いのか、司法書士試験の難易度の高さの理由について解説していきます。

⑴ 司法書士試験は、1発勝負の競争試験

競争試験というのは、合格者の人数がおおよそ決まっていて、その人数に達するまで成績上位者から順に合格させる試験のことです。

これに対して、例えは行政書士試験の場合は、法令等科目の得点が満点の50%以上、一般知識等科目の得点が満点の40%以上、全体の合計得点が満点の60%以上という合格基準が設定されています。試験の難易度による調整があり得るとされていますが、基本的には基準点を超えた人は全員合格することができます。

競争試験である司法書士試験の場合、実力的には合格してもおかしくない人でも、周りの人が自分よりも成績が良ければ合格することができないので、試験の難易度が高くなります。

また、資格試験の中には、年に2回実施されるものもありますが、司法書士試験は年に一度しか実施されません。税理士試験のような科目合格制も採用されていないので、不合格になれば、翌年は一から試験を受け直すことになります。毎年の試験が1発勝負であるという厳しさがあります。

ただし、筆記試験の合格者は、その年の口述試験に不合格の場合でも、翌年の口述試験の受験資格が与えられますから、口述試験に関しては2回チャンスがあることになります。

⑵ 司法書士試験は最終合格までに3回の足きりが行われる

司法書士試験は、筆記試験と口述試験に合格してはじめて最終合格となります。そして、口述試験を受験するまでには、3段階の足きりが行われます。筆記試験の午前の部の多肢択一式、午後の部の多肢択一式、午後の部の記述式の全てに基準点が設定され、それに達しない場合は、それだけで不合格になります。

例えば、多肢択一式で高得点が取れても、記述式が基準点に少しでも足りなければ不合格になるわけです。各試験で満遍なく得点を挙げる必要があることは、司法書士試験の難しさの一因になっています。

⑶ 司法書士試験は試験科目が多く、勉強する範囲が広い

司法書士試験は、科目数が極めて多い試験です。憲法、民法、商法(会社法その他の商法分野に関する法令含む)、刑法、不動産登記、商業(法人)登記、供託、民事訴訟、民事執行、民事保全、司法書士法の合計11科目にもなります。

もっとも、それぞれの科目で問題数や配点比率、難易度などが違うので、全ての科目を同じように力を入れて勉強しなればいけないわけではありません。メリハリをつけた勉強をすることで、効率化を図ることができます。それでも、勉強しなければならない範囲が広いことは、司法書士試験の難易度を高くしている理由の一つです。

⑷ 司法書士試験の合格までの必要な勉強時間の多さ

試験範囲が広く難易度も高い試験なので、司法書士試験に合格するまでには多くの勉強時間が必要になります。実際に必要になる勉強時間には個人差もありますし、時間が取りやすい大学生が短期集中で勉強するのと、社会人が仕事をしながらコツコツと勉強するのでも違いが生じますが、合計2,000時間~3,000時間程度と言われることが多いです。3000時間と想定すると、仮に1日3時間平均で勉強したとしても、2年半以上かかる計算なりますから、効率的な学習をしないと膨大な時間がかかってしまうことになります。

3 司法書士試験の実質的な合格率は、それほど低くない?

このように説明してくると、司法書士試験の合格率の低さと難易度の高さばかりが強調されてしまいますが、実は、見方を変えれば合格率はそれほど低くないともいえます。

なぜそのようにいえるのかというと、先ほどご説明したように、司法書士試験では3段階の足きりがあるからです。

足きりがあるということは、そこでライバルが減ることも意味しています。午前の部と午後の部の多肢択一式で合格点を取れるようになれば、その時点でライバルは2100人程度にまで減っています。記述式の得点を競う受験生こそが真のライバルであると考えれば、実質的な司法書士試験の合格率を30%と見込むこともできるのです。

この点については別の記事で詳しく解説していますので、そちらも合わせてお読みください。

4 低い合格率の司法書士試験を突破した後は?

実質的な合格率を30%と考えたとしても、それは多肢択一式を突破した人たちの中での競争率なので、易しい試験というわけではありません。そんな難しい試験に挑戦するだけの価値があるのか、資格を取得した後はどんな道が開けるのか、最後に解説します。

⑴ 司法書士の収入

収入は、誰しもが気になる点ではないかと思います。司法書士の収入には、かなりの幅があります。試験に合格した後は、最初は司法書士事務所に就職して実務経験を積みたいと考える人も多いと思いますが、この場合は、年収200万円台や300万円台からのスタートになります。一般のサラリーマンとそれほど大きくは違いません。勤務司法書士の収入は、勤続年数などによって上がっていきます。

これに対して、高額の報酬を得られる可能性があるのは、独立開業した場合です。少し古いデータですが、日本司法書士会連合会が発刊している司法書士白書2015年版に平成23年度の司法書士全国調査の結果が掲載されています。これによれば、男性会員の16.6%、女性会員の10.8%が所得金額1000万円以上で確定申告を行っています。開業して成功すれば、年収1000万円以上も夢ではありません。

試験合格=高収入ではありませんが、努力次第で高収入も望めるのが、司法書士という資格の魅力の一つです。

⑵ 司法書士の将来性

司法書士の将来性については、暗いという見方もあります。これは、人口減少などの要因で、司法書士の仕事の中心であった不動産登記業務が減少傾向にあるからです。また、IT社会になって、登記申請に関する情報をネット通じて得ることが可能になりました。これにより不動産取引の当事者が自ら登記申請をしやすくなって、司法書士への依頼が減少するともいわれています。

ただし、定形的な書類作成だけでは済まない複雑な事案に関しては、司法書士の専門的な知識・経験が必要とされます。また、単に登記申請を代行するだけでなく、依頼者の相談を受けることも司法書士の仕事です。仕事の増減はあるにしても、近々に司法書士の仕事が無くなってしまうことは考えにくく、将来性が暗いとは言い切れません。

また、司法書士の仕事は登記だけに留まりません。近年では高齢社会の到来に伴って、成年後見の分野で活動する司法書士が増えています。司法書士が活躍する分野は、今度も広がっていく可能性が十分にあります。

司法書士の資格を取ればそれだけで安泰とはいえませんが、自分なりの専門分野を開拓したり、行政書士などの資格を取得して仕事の幅を広げたりといったことで、将来性を高めていくことが可能です。

5 サマリー

司法書士試験の合格率について、その理由も含めて解説してきました。易しい試験ではありませんが、司法書士は専門性が高く社会的信頼性も高い仕事です。独立開業して高収入を得ることも可能な資格ですから、挑戦する価値は十分にあるといえるでしょう。

6 まとめ

・司法書士試験の合格率は3%~4%で、他資格と比較しても低い。

・司法書士試験の難しさには、試験制度や試験内容など様々な原因がある。

・低い合格率も考え方によっては、実質的には30%程度と考えることもできる。

・司法書士試験合格後は、独立開業して高収入を目指すことも可能、将来性もある。

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