合格率10%以下!?労働・人材・年金のスペシャリストになるための社労士試験とは?

合格率10%以下!?労働・人材・年金のスペシャリストになるための社労士試験とは?

はじめに

高齢化社会が進み、将来の年金に不安を抱えることの多い昨今、年金の専門家としてメディア等のゲストに呼ばれることの多い「社労士」という資格に興味を持ったことはありませんか?

そして、社労士というと、給料計算や社会保険や雇用保険の手続きや、退職の際の離職票作成等をしてくれる事務屋さんといったイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?

社労士の資格は、確かに縁の下の力持ち的な事務仕事も多いのですが、社労士の仕事は非常に幅広いのです。

しかも、資格試験の合格率が6%代という難関資格です。

そこで、この記事では、社労士試験について詳しく解説していきます。

1、そもそも社労士って?

社労士の仕事は、会社の人材に関する仕事全てに関わってきます。

入社から退職までの人材に関わる労働・社会保険諸法令に関する諸手続、労働問題、年金問題、労働関係の助成金、人事・労務コンサルタント等多岐にわたります。

これらの業務は、1号業務・2号業務・3号業務に分けられます。

以下の表にて詳しく解説します。

また、政府が推し進める「働き方改革」という制度が平成31年4月から始まります。
これは士業には珍しく、同じような業務ができる競業士業と一線を画する優先資格なのです。社労士業務には、法で定められた「独占業務」というものがあります。

その働き方改革によって生じる、さまざまな不具合の対策や、工夫について、社労士は力強い味方になってくれます。

 

例えば、働き方改革の法令は、罰則もある厳しいものばかりですが、それらに準ずるためには、就業規則の変更や36協定等の面倒な手続きが必要になってきます。

必要な手続きや会社としての課題について、幅広く相談でき、必要な手続きまで委細お任せできるのが、社労士なのです。

もちろん、コンサルだけなら、弁護士等他士業にも活躍の余地は残されていますが、手続きができないので、社労士に一手に任せてしまう中小企業が多いのです。

なぜなら、社労士の1号業務と2号業務は、社労士の独占業務として法で定められていますので、他士業は手を出せないからです。

しかし、資金力の強い企業については、法務に強い部署もあるし、働き方改革に関するコンサルは顧問弁護士や法務に強い人事部が、手続きに関しては、社労士法人に労働・社会諸法令に関する事務手続きを一手アウトソーシングしていますので、別々の依頼も多いようです。

 

また、最近増えてきたコンプライアンス問題やハラスメント問題に関する労働問題には、特定社労士が活躍します。

特定社労士とは、全国社労士連合会に登録した社労士だけが申し込める厚生労働省の司法研修(以下「特別研修」という)を修了した者だけが受験できる特定社労士試験に合格した社労士のことです。

特定社労士になると、一般の社労士業務に加えて個別労働紛争の訴外(裁判外)の代理人や裁判時の補佐人になることができ、業務の幅が広がります。

さらに、高齢化社会に向けて、将来の年金問題は、興味深い課題です。

相談だけなら、他士業でもできるのですが、手続き業務は社労士の独占業務ですから、社労士に相談した方が手続きまでお任せできるという他士業にない社労士だけの特権があるのです。

こういった意味においても、社労士は、将来性の高い資格なのです。

詳しくは下記URL「独学部」を見て下さいね。

 

【教えて!鬼頭先生⑤】社労士て何? その壱|資格スクエア大学・独学部 vol.114

 

 

2、難易度の高い社労士の合格率とは?

社労士は、ここ数年の合格率は6%台という、合格率の低い士業といえます。

そこで、社労士の合格率について解説します。

ここ10年の社労士試験合格率のグラフを見ると、山あり谷ありです。

しかし、本来は国家試験の資格試験なのですから、実は、合格率6~7%台を一定に推移すべき資格なのです。

それがどうして山あり谷ありの不安定な合格率となってしまったかというと、労働基準法や労働・社会諸法令の法改正が度々ある資格だからです。

合格率の推移の2つの谷は、平成25年の労働基準法の大改正の影響によるものです。

法改正があると、過去の試験データが全く機能しなくなります。

そのため、合格率を維持しようにも、予想外の結果となるのです。

実際に法改正があった年の社労士試験の合格率が低迷しましたので、翌年は合格率を回復しようと問題を簡単にしたら、昨年の基準で対策してきた受験生にとっては簡単すぎたのか、9%を超える合格率になってしまいました。

社労士試験センターは、合格率を元に戻そうと試行錯誤した結果、27年は合格率2.6%という司法試験予備試験も真っ青なくらいの合格率となってしまいました。

昔の旧司法試験なみの合格率です。

そこから徐々に合格率が回復して現代に至ります。

ここ数年の合格率は、6.5%前後を推移しています。つまり、法改正が見込まれる年度付近は特に気をつけた方がよいでしょう。

 

3、社労士の難易度が高い理由

(1)社労士試験は法改正が多い

先述したように、社労士の試験範囲の労働・社会諸法令には法改正が頻繁に行われます。

法改正が行われると、過去問対策ができなくなって、予想問題しか頼れない状況になるのです。

前例のない予想問題は、的中率が低くなります。

どんなに勉強しても運を天に任せるようなところも出てきます。

試験を作成している社労士試験センターも、一定の合格率推移のために問題作成に試行錯誤していますので、合格率が安定するまで、受験対策が霧に包まれてしまうわけです。

しかも、法改正が行われた分野も基準点があります。

1科目の足切りで不合格になってしまう人が大勢出てしまう事は救済処置が施されることで救われます。

また、あまりにも平均点が低く、救済処置も施せないような問題となった場合は、悪問として全員正解となる事もあります。

このようにして、出題者側も、一定の合格率を保とうと努力していますが、法改正が頻繁にあるので、その努力もむなしく、社労士の難易度を高める結果となっているのです。

ここ数年でやっと平成25年の労働基準法大改正の余波が落ち着いてきたところです。

ところが、新元号元年の社労士試験から働き方改革の法改正が続きます。

この働き方改革の法改正が、再び社労士の合格率を見だしてしまう可能性大です。

さらに、将来的に社労士試験には特定社労士の試験範囲(日本国憲法・民法等)も含まれる予定です。

そうなってからいきなり合格率が低下しないよう、今から徐々に試験の難易度を高めているという噂もあります。

今後、社労士試験の合格率は、今年の法改正を皮切りに、難易度が徐々に増していく可能性も高いといわれています。

 

(2)社労士試験には10科目全てに基準点がある

これを足切りにひっかかったと言います。
つまり、苦手科目が1つでもあったら、基準点にひっかかって不合格となってしまうというわけです。
社労士試験が難しいもう一つ理由は、選択式8科目、択一式10科目という何が出るかわからない一般常識をも含む全科目に基準点が設けられているからです。

他科目が満点だったとしても、1科目が基準点に満たなければ不合格だから「足切り」です。

科目数が多い上に、何が出るかわからない一般常識が労働法と社会保険法の2科目もある事も社労士の難易度を増しています。

 

(3)社労士試験は1日で行われる

社労士試験は、午前中80分、午後210分と10時から17時まで昼休みを挟んで、1日を通して行われます。

社労士試験の受験層は40代以上が6割を占めるほど、比較的年齢層が高いので、1日朝から晩まで集中力を維持してスピードも要する、全速力で駆け抜けるような試験を耐え抜く体力が必須となります。

人間の集中力は2時間が限度だと脳科学的に実証されているというのに、そこを3時間半まで持っていかなければならないのです。

しかも、長時間の択一試験は、選択式試験を終えた午後からです。

午前中の択一式で疲労感を残したままのチャレンジですから、一層難しくなります。

また、大学の大講義室のような固い椅子の受験会場ですから、年齢的に腰が痛くなったりする人もいます。

とくに試験時間の長い択一式試験は、問題数も多く、本当に息つく暇なく一気に解いていかないと間に合わないので、緊張感や焦りで、集中力の維持が一層難しくなり、問題だけでなく、集中力や体力不足で、普段の実力を発揮できない人も多いのです。

これが、社労士の合格率を低くしている大きな一因となっています。

 

4、社労士試験の合格基準とは?

社会保険労務士試験オフィシャルサイトのデータによると「第50回(平成30年度)社会保険労務士試験の合格基準」は、以下のようになっております。


しかし、基準点の救済処置があった年は、ラッキーな年だという例外的なことなので、選択式は各科目3点以上総得点25点以上。択一式は各科目4点以上総得点45点以上の獲得が必要です。このように、毎年、足切りの基準点は、選択式が各科目3点以上、択一式は各科目4点以上です。そして、前年度の合格基準に比べて試験の難易度に差が出た場合、救済処置が施され、基準点が下がります。

つまり、選択式も択一式も最低でも65%以上必要ということです。

しかし、これではギリギリで危ういので、70%以上獲得を目指す必要があります。

選択式は各科目4点を目指していれば、3点が混ざって70%となるでしょう。

 

つまり、選択式は各科目4点、総得点32点(80%)を目指しましょう。

択一式は、一般常識が労務管理その他労働法と社会保険法で各5点なので、基準点が4点となっていますが、各科目5点以上でギリギリ総合格点45点となります。

でも、一般常識は4点以上とることで満足し、すると、その他の科目は6点必要となります。

すると、択一式の総得点は50点(71%)を目指さなければなりません。

このように、獲得基準点、目標得点を決めて勉強しましょう。

★ワンポイントアドバイス

注目すべきは、労働保険徴収法です。

択一試験の場合のみ、雇用保険法と労働者災害補償法は、択一式なら各7点で、労働保険徴収法3点を含んで10点満点となっていますが、選択式に関しては出題されません。

そこで、労働保険・社会保険徴収法は、実務経験がある人には親しみがあるのですが、実務経験無しの人には細かく複雑な難問となります。

問題数が少ないのに時間をかけるのももったいないので、苦手な人は雇用保険法・労働者災害補償法を重点的に勉強するのもお勧めです。

 

5、難易度の高い社労士に合格するために必要な勉強時間は?

全科目満遍なく勉強するといっても、労働保険料徴収法と一般常識に時間をかけるのはもったいないです。

労働保険料徴収法は、サラッと流す程度でも良いでしょう。

でも実務に長けている人の場合は、せっかく精通しているのですから、労働保険料徴収法を確実に正解するというのも、基準点獲得の足切り防止に役立ちます。

また、一般常識は、厚生労働省が毎年出す「厚生労働白書」「厚生統計」「労働統計」を読破しておきましょう。

 

だいたい10月末に発表されるので、全文読むのは大変な場合は、報道版だけでも読破し、あとは、一般常識制覇の問題集を一通り解いておきましょう。

これらは、年が明けて3月くらいの最後の仕上げの時で十分でしょう。

その他の重点科目7科目については、1科目100時間程度で700~800時間が目安です。

法律初心者は1000時間以上必要な人もいます。

とはいえ、必要な勉強時間には個人差があります。

記憶力・集中力・年齢・健康等で大きく異なります。

そこで、自分の生活環境に合わせて、無理のない計画で勉強していきましょう。

 

受験勉強は日常的な勉強の積み重ねです。効率よく勉強するには、毎日の記憶力・集中力を万全にする必要があります。

そのためには、良質な睡眠と健康が欠かせません。夜更かしよりも、勉強の後しっかり寝て、朝復習という勉強法がお勧めです。

記憶の定着は、良質な睡眠中に行われます。ですから、勉強の後、良質な睡眠をとって、翌朝、定着した記憶の再確認をするのです。

良質な睡眠をとるには規則正しい食事も重要です。

良質な睡眠がしっかりとれていたなら、5時間半程度の睡眠時間でも身体の回復には十分なのです。

 

仕事と勉強の両立の受験勉強でも、十分な勉強時間確保のために、良質な睡眠で効率よく勉強しましょう。

1日3時間でも、毎日続ければ1ヶ月90時間、1年で1080時間勉強できます。

毎日続ける事、通勤時間等の隙間時間を活用する事、そして通信講座を利用すれば、塾や予備校への通学時間が短縮され、残業があっても時間を気にする必要がありませんので、質問サービスが充実した通信講座もお勧めです。

 

6、社労士と同程度の難易度の資格を紹介

社労士と関係性の高い行政書士と企業診断士のここ5年間の合格率の推移をグラフ化してみました。

社労士と企業診断士は、非常に似通っているようにも見えます。

社労士は、企業の人(人事・労務・社会保険等)に関するあらゆる事に関して携わります。

中小企業診断士は、人だけでなく、資産・資金・業務といった会社経営に関わる幅広い専門資格といえます。

人材については業務が重なる部分が多いのですが、社労士には1号・2号業務という独占業務がありますので、コンサル関係以外は社労士だけの独占業務となります。

それぞれの試験の意図することも、試験方法も異なっています。

社労士試験は1日で一気に行われるのに対し、中小企業診断士は、1次試験・2次試験・口述試験は別々の日程で行われます。

行政書士や社労士のように1日で行われる資格試験と同じ条件で行われたものとして比較するために、中小企業診断士はストレート合格の合格率で比較しました。

ちなみに、企業診断士の1次試験・2次試験の合格率は20%前後で、口述試験は2次試験合格者なら、100%合格です。

社労士には受験資格があり、学歴要件(高専・短大卒・4大卒等)を満たせない人は、実務経験が必要なのですが、実務経験もない人の場合は、受験資格のない行政書士試験に合格できれば、社労士の受験資格を満たします。

受験資格になる資格だから、社労士よりも合格率はかなり高くなります。

それに比べて、中小企業診断士と社労士を比較すると、法改正の後の社労士試験で合格率が低下した状態では、合格率が同程度になりますが、中小企業診断士の方が少し合格率が低いともいえます。

中小企業診断士の場合、社労士試験のように基準点の足切りはありませんし、基礎知識を問う1次試験の合格率は約20%、2次試験も約20%前後ですので、簡単なように思われがちですが、中小企業診断士の2次試験は思考力が試される論述試験ともいえるので、実は1次試験に比べて非常に難易度が高くなります。

しかし、このように合格率の数字だけで比較するのは、あまり意味がないかもしれません。合格率は目安として、出題傾向や試験問題対策にじっくり取り組めば、どの試験も順調に合格できるからです。

行政書士も社労士も中小企業診断士も、興味のある仕事内容の資格を取得するようにしましょう。

 

7、サマリー

いかがだったでしょうか?

社労士の仕事内容や社労士試験対策についてご理解いただけたでしょうか?

社労士の他士業にない独占業務というものがあり、比較的独立開業しやすい資格です。

給料計算や労働・社会保険諸法令に関する手続きや届け出、台帳作成等は会社に絶対必要な業務です。

しかし、その反面、中小企業の少人数の会社では、非常に煩雑で手間のかかる事務作業ですので、アウトソーシングする企業も多いのです。

今では、人件費削減のために、大企業もアウトソーシングで社労士法人に丸投げしている企業も多いほどです。

そのため、サラリーマン時代の人脈等がしっかりしていれば、定年退職後の第二の人生で活躍できる仕事ともいえます。

 

しかも、年金の専門家でもあります。

定年後の生活のために興味深い年金問題に詳しくなるために勉強する人もいます。

実際の独立開業には、営業力が必要で、そんなに簡単ではありませんが、現実の可能性が高そうに思える資格なのです。

実際に、サラリーマン時代・現役時代の人脈を糧に社労士として活躍する人も多いのです。

さて、そんな社労士資格を取得するための社労士試験は難関試験でもあります。

社労士は、法改正も多く、試験範囲も10科目と広く、さらにそれらの全科目に基準点という、一つでも苦手科目があれば、足切り不合格になってしまう大きな難関があるのです。

これは、試験科目が多いので非常に難易度を上げています。

この基準点を制覇するには、試験問題を各科目7割以上得点しなければなりません。

一般常識や保険料徴収法もありますので、幅広く満遍なく法律の理解をしていなければなりません。

似たような合格率の試験である、行政書士や中小企業診断士もありますが、合格率だけ見て、試験の難易度を測ってはいけません

国家資格の資格試験は、前向き思考、チャレンジ精神、集中力の持続、諦めない根性、スケジュール管理、健康的な生活のできる、一歩一歩前に進む人なら、必ず合格できるのです。

。国家資格の試験は、一定の正解を導き出せれば、得点できる試験問題だからです。

試験の出題傾向や、試験が問いかける求める学力も異なります。出題傾向を分析して、過去問を繰り返し、試験に即した勉強法を繰り返し訓練することが合格の鍵なのです。

合格率の数字で怖じ気づき、資格取得にチャレンジを諦める事は、可能性を否定することになり、人生において最も損なことかもしれません。

 

 

8、まとめ

  • 社労士資格は、企業の人材に関するあらゆる法律に関わる専門家である。
  • とくに労働問題と年金問題のスペシャリストとして、将来性の高い資格である。
  • 社労士の合格率は法改正がある度に乱れるが、法改正がなければ6~7%を推移している。
  • 社労士の合格者は年齢層が高く、40代以上の年齢が全体の6割を占める。
  • 仕事と勉強を両立して、資格取得を目指す人が全体の9割にも及ぶ。
  • 将来独立開業を目指したり、職場におけるスキルアップとする人、自分の労働問題・年金問題のために資格に興味を持つ人が目指す資格だ。
  • 社労士の難易度が高い理由は、法改正が多く、試験科目数が多く、試験時間が長くスピードが求められるので、知力・体力が必要な試験である。
  • 資格の合格率でチャレンジする資格を決めてはいけない。やりたい仕事に必要な資格は、合格率に関係なく、試験の出題傾向や出題の意図をしっかり把握して着実に勉強すれば、どんな資格も合格できるのだ。

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