社会保険労務士の仕事はどんな内容なの?他の士業との違いから解説!

社会保険労務士の仕事はどんな内容なの?他の士業との違いから解説!

はじめに

働き方改革が進む中で、労務管理は更に重視される時代になりました。そんな中で、より存在感を増しているのが社労士という資格です。ただ、社労士と聞いてもどのような仕事をする人であるかがピンとこないという方も多いのではないでしょうか?では、社労士とは一体どのような仕事をしているのでしょうか?ここでは、社労士という資格の保つ意味を紹介します。

1、法律を扱う他の仕事と比べての社労士って?

世の中には、士業と呼ばれる仕事があります。士業とは、独占業務が決まっていて、その道のプロフェッショナルであると同時に、専門的に業務を行うことができます。士業の代表例としては、弁護士、司法書士、行政書士、そして社労士などがあります。それぞれは、独立しあっていて踏み込めない領域が決まっています。これが独占業務なのです。

それぞれの士業で比較すると、社労士と弁護士との関係は、社労士は労働関係のスペシャリストでありますが、弁護士は法律全般に精通した者となります。イメージとしては、弁護士は広く知識を所有しているのに対し、社労士は動労関係という狭いところに深く知識があるというイメージです。よって、人によっては弁護士の資格を持ちながら、社労士の資格を取得するという方も多くいます。

司法書士は、法律に則った書類作成を担当します。主に法務省が管轄している司法書士法に従い、法務省や地方法務局などに対して、書類作成や申請を行っています。これに対して、社労士が担当できる項目は非常に少なく、お互い独立した存在であると言えます。

行政書士は、クライアントから依頼を受けて、行政の手続きを行う際に提出する書類を作成する業務を担当しています。例えば、飲食店を始めたい!であったり、建設業を開業する場合、農地に住宅を建てたいなどのケースにおいて、行政に申請しなければならないことが多数あります。素人ですとどのような法律があって、どのような申請を行わなければならないかがわかりにくいものですが、その手続を一手に担当するのが行政書士です。また、コンサルタント業務も行ったり、最近では予防法務も重要なお仕事になります。どちらかと言えば会計財務関係を担当するのですが、労務士とは重複する仕事はごく限られます。

2、社労士の仕事とは?

多くある士業の中で、社労士には大きく分けて3つの業務に分類されています。ここでは、各業務について詳しく解説します。

(1)1号業務

社労士は、一号業務として労働社会保険に関連する書類を作成したり、提出することができます。代表的なものとしては、健康保険や雇用保険に関する書類作成を行ったり、提出する業務を行います。健康保険や雇用保険は、企業に雇用された段階で加入義務があり、必ず加入しなければなりません。その際に、労働保険であれば保険関係設立届を作成して、労働基準監督署または公共職業安定所に提出します。ただ作成して提出するだけならまだしも、概算保険料申告書に従い、保険料を算出して納付しなければなりません。この計算を間違うと、誤納付となってしまいますので、誰でもできるものではなく、社労士が担当しなければなりません。

社会保険においては、支払った給与や賞与をベースとして保険料を算出して、保険者報酬月額算定基礎届等々を提出する義務があります。これも、計算して算出しなければなりませんし、定期的に作成することも重要です。これに関連する法令などをしっかり理解できている必要がありますが、その意味で社労士が持つスキルが重要なのです。その他、労災保険や厚生年金などの手続きも1号業務として担当することになります。

 

(2)2号業務

2号業務は、主に帳簿書類の作成を担当します。帳簿書類には、就業規則の書類、労働者名簿の書類、賃金台帳の書類が該当します。就業規則は、労働者が常時10名以上いる企業では作成の義務があり、作成したものは労働基準監督署に提出する義務があります。就業規則には、始業・就業時間や賃金、休日、懲戒などのルールを定めることになりますが、労働者にとっても条件が決定する重要なルールですので、知識があるものが担当する必要があるのです。もちろん、法律が変更になって更新する場合も、社労士が担当する必要があり、常に最新の法令情報などを入手する必要があります。労働者名簿は、労働者の氏名や採用した日と言った、企業が雇用している従業員の様々な情報が記録されている書類のことです。労働者名簿は、会社の規模などは考慮されず、従業員を雇用している場合に労働基準法第107条に従い作成、整備が求められています。個人情報も多分に含まれていることもあって、取扱いには十分注意しなければなりませんが、その点でも社労士が担当する必要があります。

賃金台帳とは、全ての労働者に対して作成する義務が生じていて、賃金が支払われるたびに作成しなければなりません。イメージとしては、どの程度働き、どのような計算で給与を算出したのかが具体的に記載されています。対象は、企業が雇用する者全てであり、パートや派遣で働く方にももれなく作成が必要です。労働基準監督者が抜き打ちでチェックした時に、この賃金帳簿に作成漏れがあると、懲罰の対象となる非常に重要な帳簿となっているので、社労士の責任の範疇でもれなく作成することが重要です。

 

(3)3号業務

3号業務では、主にコンサルティング業務を行います。他の業務はルーチンワークとして行っているわけですが、それ以外にもイレギュラーな様々な労務管理の問題などが発生することがあります。近年では、様々な働き方が生まれて、企業側にとってもどのように対応すればよいのか悩むこともあります。そこで、労働法律のプロフェッショナルである労務士がその知識をフルに活かして様々なコンサルティングを担当します。

他にも、社員向けの教育も重要な業務内容となります。会社では社員評価における様々な制度が用いられていますが、その制度自体を作成することも重要な職務ですし、作ったものを社員に向けて教育することも行います。これによって、社員がスキルアップすることができますし、どのような内容で雇用されて、働いているのかを再認識できます。他にも、中間管理職になると部下の労務管理も行わなければなりませんが、中間管理職として必要な労務管理についての教育なども担当するケースも想定されます。

絶対に行わなければならない業務ではありませんが、逆にそれもあって個人スキルによってこの3号業務が多く変化することになります。

 

3、社労士と特定社労士の仕事の違いは?

社労士には、実は上級職務があり特定社労士というものがあります。基本的には、社労士と同じ職務を担当するのですが、より権限が多く与えられており、労使間における労働関係の紛争があった場合に、裁判外紛争解決手続制度に従って代理業務に従事することが許可されています。イメージとしては、社労士に紛争の代理業務を担当できるという形になります。

労使間における紛争とは、不当解雇や賃金未払い、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメントなどが該当します。特に、最近ではハラスメントに関する紛争が多く見られる傾向があります。その都度裁判をするのはお互いに労力がかかるので、裁判外での俊敏な解決を目的として、2007年に新たにこの制度が作られました。法律業務的側面を前面に押し出すことができ、労働者サイドに立った実務を行うことができるのが特徴な資格です。制度が制定されて以降、労使間トラブルの未然防止をメインとして、リスクマネジメントの観点で、企業内で労務管理に専業従事している社労士に対して、取得を推進している傾向があります。概ね、社労士の3割程度の方が特定社労士の資格を取得しています。

 

4、社労士の働き方

社労士としては、主に事務所で働いたり企業内、独立の3つの働き方があります。

(1)事務所で働く

社労士を専門的に抱えている社労士事務所や社労士法人があり、そこに所属するという働き方があります。社労士の1号業務と2号業務は、どの企業でも対応しなければならない業務ですが、企業規模によっては資格所有させるよりも外部委託したほうが手っ取り早いと判断することもあります。そんな時に、事務所に依頼があり、それに対応することになります。1号業務と2号業務は、何も企業内から専任しなければならないわけではないので、このような事務所が多く存在しています。

また、社労士事務所ではなく、会計士や弁護士、税理士など士業を多く揃えた総合事務所で働くというケースもあります。この場合、クライアントに対して、複数の士業が対応することになり、より大きなビジネスとなる可能性が高いです。また、3号業務としてコンサルティングを行うことも想定されます。この場合、高いスキルを求められますが高い報酬を得るチャンスもあります。

 

(2)企業で働く

大きな企業となると、会社内で人事や総務部門で社労士を雇い入れるケースがあります。また、今雇用されている中で社労士の資格を新たに取得するというケースも想定されます。もし学生が社労士の資格を取得していて就職活動するとなると、有利に働くことが多々あります。

企業内で働く場合、内情がよく理解できているので1号業務と2号業務はそつなくこなすことができます。企業側にとっても、1号業務を依頼する場合に社外の事務所に依頼すると連絡などが手間となりますが、社員が担当すればルーチンワークとして組み込みやすいのも魅力的です。

3号業務としても、例えば年次の教育であったり、ある役職についた場合の労務管理教育なども担当できる強みがあります。その一方で、社労士の資格を持っていても年収という面では多少手当がつく程度であり、あまり魅力がないのが実情です。

 

(3)独立して働く

事務所に所属したり、企業内で働くケースの他に、独立して自分で事務所を立ち上げたり、フリーランスとして活躍する方法があります。この場合でも、事務所と同様に外部委託という形で様々な業務を担当することができます。また、報酬などは経費を差し引けば自分自身で得ることができ、年収という面でも高くなる傾向があります。

ただ、全く社労士の経験がないままで自分で事務所を立ち上げても、すぐにクライアントが付くかと言われれば疑問符が付きます。企業側からすれば、まだ実績がないところに頼んで大丈夫?と思うのは当たり前と言えます。よって、ある程度事務所に所属したり、企業内で社労士としての実績を積んだ上で独立するのが一般的です。実際に、事務所に所属しても、それが独立を前提とするケースが大半を占めている実情があります。

また、単に社労士事務所を立ち上げるのではなく、総合事務所とすることで取り幅広い業務を担うという手もあります。その場合、自分がプレイヤーではなく雇用者となる必要があります。それでも、事業成功すれば高い年収を得る可能性が高まります。

 

5、サマリー

いかがでしたでしょうか?社労士の仕事は主に3つあり、中には法律に関わる重要な仕事もあります。よって、社会的には絶対必要な資格であり、自分自身がその強みを活かして働くことで、より高い年収を得ることも可能です。

 

6、まとめ

  • 社労士は士業の中で弁護士とは一部業務が重複するが、司法書士や行政書士とは重複する要素は少ない
  • 1号業務では、主に労働社会保険に関連する書類の作成と提出を担当する
  • 2号業務では、主に帳簿書類の作成を担当する
  • 3号業務では、主にコンサルティングや教育などを担当する
  • 特定社労士は、労働関係の紛争があった場合に、裁判外紛争解決手続制度に従って代理業務に従事することが許可されている
  • 社労士として働く方法として、事務所に所属する、企業内で働く、独立する方法がある

 

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