難関資格の一つである、社会保険労務士試験。社労士試験は誰でも自由に受けられる試験という訳ではなく、受験資格が定められています。
本記事では、社労士試験の情報、社労士試験の受験資格・申し込み方法を徹底的に解説しているので、是非ご覧になって社労士試験に関してインプットしていってください!
目次
1、社会保険労務士(社労士)試験の難易度はどのくらい?
社労士試験の難易度は一般的に高いと言われています。過去20年の内に合格率が10%を超えたのが一度だけ。その他の年度での合格率は平均して7~8%という数値です。合格率から判断して分かることは「何か一つ資格でも取りたいな」と軽く思って取れるような資格ではないということです。
合格者は皆、社労士試験のために長期間に渡って勉強時間を割いて合格を勝ち取っている人です。
社労士試験の難易度の高さをもう少し深堀して分析してみたいと思います。
(1)他の難関資格との比較
まずは他の難関と言われている資格と比較して、社労士試験がどれくらい難しいのか見ていきましょう。
必要な勉強時間で比較するのが一番わかりやすいので、下図では必要な時間数が長い順に難関資格を並べています。
資格名 |
勉強時間(目安) |
合格率(2016年) |
難易度 |
司法書士 |
約3000時間 |
3.95% |
★★★★★ |
公認会計士 |
約3000時間 |
10.80% |
★★★★★ |
弁理士 |
約3000時間 |
7.00% |
★★★★★ |
税理士 |
約2000時間 |
15.20% |
★★★★ |
不動産鑑定士 |
約2000時間 |
14.50% |
★★★★ |
土地家屋調査士 |
約1500時間 |
8.92% |
★★★ |
社会保険労務士 |
約1000時間 |
4.40% |
★★★★ |
行政書士 |
約800時間 |
9.95% |
★★★★ |
社会保険労務士試験の合格を1年計画で勝ち取るためには3時間/日の勉強時間の確保が必要です。働きながら資格取得を目指す人がほとんどだと考えると3時間/日の勉強時間はぎりぎり確保できる範囲でしょうか。
ちなみに公認会計士の場合、5時間/日を確保したとしても、丸2年かかる計算になります。働きながら公認会計士・弁理士・司法書士の資格取得は非常に難しいと言えます。その意味で、働きながら取得する資格としては社会保険労務士試験は最高の資格です。
・1年計画で3時間/日の勉強時間確保が必須!
・社労士試験は働きながら資格取得に最適!
(2)試験制度としての難しさ
上図の中で司法書士試験と社会保険労務士試験の合格率が他の難関資格と比較して非常に低いことがおわかりになると思います。これは試験制度が関係しているのです。
資格名 |
科目別合格制度 |
科目数 |
司法書士 |
なし |
11科目 |
公認会計士 |
あり |
9科目 |
税理士 |
あり |
11科目 |
社会保険労務士 |
なし |
10科目 |
行政書士 |
あり |
8科目 |
社会保険労務士試験と司法書士試験は科目別合格制度がありません。社会保険労務士試験は全てで10科目ありますが、その全ての科目に合格基準点が設けられています。
税理士試験等の場合、各科目それぞれの合格基準点をクリアーすれば、各科目合格と見なされますが(1科目ずつ合格していけばいい)、他方、社会保険労務士試験の場合、10科目の内1科目でも合格基準点に達しなければ不合格と見なされてしまいます。(1科目ずつ取ることができない)。
1科目でも苦手な科目があれば、他の科目が得意であったとしても、足を引っ張ってしまい、合格を勝ち取ることが出来ません。大学受験のセンター試験に似ているところがあります。全ての分野を網羅して、知識を頭の中に蓄積しないといけません。
・社会保険労務士試験はすべての科目(10科目)を一回でパスしなければいけない。
2、社会保険労務士(社労士)試験の申し込み期間・試験日・合格発表日
(1)受験申し込み期間
4月中旬~5月末日
郵送での申込み:「簡易書留郵便」で、全国社会保険労務士会連合会 試験センターへ郵送。 |
試験センターの窓口での申込み:
(1)試験センターへ持参し窓口で受付。 |
(2)試験日
8月の第4又は第5日曜日
試験形式 |
筆記試験 |
試験時間 |
選択式試験 80分 |
(3)合格発表日
11月上旬
合格者の発表について |
・受験者には成績表が通知されます。
・合格者には合格証書を郵送されます。また受験番号が官報に公告されます。厚生労働省、試験センターおよび各都道府県社会保険労務士会にて合格者の受験番号の掲示を行います。さらに試験センターのホームページにて掲載されます。 ・合否・成績などの基準に関する内容に関しては一切対応できません。 ・不正な手段を用いての合格が発覚した場合、試験合格後であっても合格取り消しの措置が取られます。 |
(4)受験案内の請求
郵送による請求 |
■請求期間 公示後:4月中旬~5月下旬 ■請求方法 |
窓口による請求 |
■請求期間 公示後:5月31日まで配布されています。 ■請求方法 ① 試験センター ② 都道府県社会保険労務士会(各都道府県に設置) |
3、社会保険労務士(社労士)試験には受験資格がある!
社会保険労務士試験を受験するには受験資格が必要です。
受験資格は
・学歴
・実務経験
・厚生労働大臣が認めた国家試験合格
の3つに分けられます。
以下の①~⑬のいずれかひとつに該当すれば受験資格が与えられます。
(1)学歴
①学校教育法に含まれる大学・短期大学・高等専門学校(5年制)を卒業した者
必要な受験資格証明書:卒業証明書、卒業証書又は学位記の写し
②上記の大学(短期大学以外)で学士の学位を習得するのに必要な一般教養科目を勉強した者、また62単位以上習得した者
必要な受験資格証明書:4年制大学の成績証明書又はその写し
③旧高校学校令によって高等学校高等科、旧大学令によって大学予科又は旧専門学校令によって専門学校を卒業した者又は終了した者
④上記01又は03に挙げる学校等以外で、厚生労働大臣が認めた学校などを卒業又は所定の課程を修了した者
必要な受験資格証明書:卒業証明書或いは修了証明書又はその写し、卒業証書の写し
⑤修業年限が2年以上で、その上、課程の修了に必要な総授業時間数が1700時間(62単位)以上の専修学校の専門課程を修了した者
必要な受験資格証明書:以下いずれか一つが必要。
Ⅰ.「専門士」或いは「高度専門士」の称号が与えられていることを証明する書面又はその写し
Ⅱ.専修学校の専門課程の修業年数が2年以上で、その上、課程の修了に必要な総授業時間が1.700時間(62単位)以上であることを証明する書面又はその写し
(2)実務経験
⑥労働社会保険諸法令の規定に基づき設立された法人の役員。或いは従業者として同法令の実施事務に従事した期間が3年以上になる者
⑦労働組合の役員として労働組合の業務に従事した期間が3年以上になる者又は会社その他の法人の役員として労務を担当した期間が通算で3年以上になる者
⑧労働組合の職員又は法人等もしくは事業を営む個人の従業者として労働社会保険諸法令に関する事務に従事した期間が通算3年以上になる者
必要な受験資格証明書:勤務先の事業主、代表者又はこれに代わるべき者が事務従事期間を証明する書面
⑨国又は地方公共団体の公務員として行政事務に従事した期間及び特定独立行政法人、特定地方独立行政法人又は日本郵政公社の役員又は職員として行政事務に相当する事務に従事した期間が3年以上になる者
必要な受験資格証明書:任命権者が事務従事期間を証明するための書面
⑩社会保険労務士或いは社会保険労務士法人又は弁護士或いは弁護士法人の業務の補助の事務に従事した期間が3年以上になる者
必要な受験資格証明書:社会保険労務士或いは社会保険労務士法人又は弁護士或いは弁護士法人の事務従事期間を証明するための書面
(3)厚生労働大臣が認めた国家試験合格
⑪社会保険労務士試験以外の国家試験の中で厚生労働大臣が認めた国家試験に合格した者
⑫司法試験予備試験、旧法の規定による司法試験の第一次試験、旧司法試験の第一次試験又は高等試験予備試験に合格した者
必要な受験資格証明書:試験に合格したことを証明するための書面又はその写し
⑬行政書士として業務を担える資格を有する者
必要な受験資格証明書:行政書士となることを証明するための書面又はその写し
上記の13の条件の中から一つでも該当すれば受験資格を得ることができるため、受験資格自体を得ることは比較的簡単です。
(4)試験科目の免除制度について
社会保険労務士試験では、実務経験等によって試験科目の一部を免除することができます。免除のためには以下の条件に該当する方は受験申込みと共に申請を行うこと必要があります。
①国或いは地方公共団体の公務員として労働社会保険に関しての業務に従事した期間が合計で10年以上になる人
②労働大臣が指定する団体の役員或いは従業者として労働社会保険事務に従事した期間が合計で15年以上になる人。又は、社会保険労務士或いは社会保険労務士法人の補助者として労働社会保険法令事務に従事した期間が合計で15年以上になる人の中で、全国社会保険労務士会連合会が実施する免除指定講習を修了した人
③日本年金機構の役員又は従業者として社会保険の業務に従事した期間が合計で15年以上になる人
④全国健康保険協会の役員又は従業者として社会保険の業務に従事した期間が合計で15年以上になる人
何らかの社会保険の業務に従事した経験が一定期間ある人の場合科目の免除を受けることができます。社会保険労務士の科目数は10科目あり、かつ科目別合格制度がないため、経験があり科目免除を受けられる人にとっては非常に有利であると言えます。
4、申し込みの完全マニュアル ~この通りに申し込んでください~
ここからは社労士試験の申し込みに関して説明します。
提出書類に不備があると受け付けてもらえないので注意が必要です。
(1)受験申込方法
受験申込先は試験センターです。受験案内の請求とは違い、都道府県社会保険労務士会では申し込みできないため間違えないようにしてください。
申し込み方法は以下の2種類です。
・郵送:専門の封筒に入れて「簡易書留郵便」によって試験センターに郵送する。
・試験センター窓口:試験センターへ直接持参する。
①切手と封筒を購入する
送信用のために82円切手を、返信用封筒に貼るために140円切手を購入して下さい。
長形3号の封筒と返信用のために角形2号の封筒も購入して下さい。
ちなみに切手と封筒共にコンビニに売っています。
↓
②返信用封筒を入れた試験センターに郵送(試験センターに持参)
返信用封筒を入れて試験センターに郵送してください。
宛先は以下の通りです。
〒103-8347 受験案内請求 |
↓
③申込書が自宅に届いた後支払い
受験料は9000円です。コンビニなどで支払うことができます。
振込受領書は試験センターに提出する必要があるので、大切に保管してください。
↓
④証明写真や卒業証明書・受験資格の証明書類の準備
提出する必要がある写真や各書類を準備してください。
↓
⑤受験申込書に必要事項を記入
受験案内に必要事項記入の仕方が書いてあるので、それを参考に記入してください。
↓
⑥郵便局の有人窓口から郵送
有人の郵便局の窓口から提出してください。
注意点:受験案内等の配布は4月中旬です。締め切りが毎年5月31日なので、早めに対応することを心がけてください。
5、サマリー
社労士試験は社会人として仕事をしながら取得するためには最高の資格と言えます。
受験資格や申し込みの方法をしっかり読んで、社労士試験に臨んでください。
6、まとめ
- 1年間で合格を勝ち取るためには3時間/日の勉強時間が必要
- 働きながら取得する資格としては社労士試験は最高の資格
- 社労士試験の難しさは10科目全て1回でパスしなければいけない点
- 受験資格等に注意する必要がある
- 申し込み期間はあっという間にすぎるので注意が必要