社労士(社会保険労務士)試験に合格した新卒の就職先は?キャリアプランに基づく将来を見据えた就活方法を伝授!

社労士(社会保険労務士)試験に合格した新卒の就職先は?キャリアプランに基づく将来を見据えた就活方法を伝授!

アフターコロナの新しい時代を迎え、新卒生の就活もオンライン化するなど新しい局面を迎えています。しかしどんな時でも、在学中に頑張って取得した難関資格を持っていると、心強いものです。特に社会保険労務士(社労士)は、合格率が平均6%の難関国家資格。どうせなら、スキルをフルに活用できる職場に就職したいですね。

この記事では、社労士資格を持つ新卒生の就活について詳しくガイドしていきます!

1 社労士試験合格の新卒生のメリットとは?

社労士資格は、合格率が平均6%といわれる難関国家資格です。在学中にこのような難関資格に合格すると、新卒で就活する場合にどのくらい有利なのでしょうか。

(1)社労士試験合格は一般企業でプラス評価に

一般企業の採用面接では、社労士試験に合格した新卒生は大変高評価を受けます。企業には、社労士の専門知識である労働・社会保険などの手続きが無縁であるところはないからです。また難関資格であるため、合格を勝ち取るために努力したことが、人間性の評価にもプラスに働くといわれています。

(2)新卒採用に積極的な社労士法人も

一方、社労士事務所や社労士法人でも、求人数は少ないですが新卒採用をおこなって人材を育成しています。社労士業務はアウトソーシングされることも多いので、社労士法人に勤務すると、労務関係の事務に携わることが多いです。一方、社労士の「3号業務」と呼ばれるコンサルティングを専門とするメンバーとして育成される場合もあります。3号業務には、コンサルティングや労務相談のほか、執筆、講師業なども含まれます。

人材を育成して一人前にするには、時間もコストもかかります。入ってから「こんなはずじゃなかった」とならないように、自分のキャリアプランをしっかりと立ててから就活をしましょう。

(3)独立開業もできる

社労士試験に合格していれば、将来的には開業社労士として独立開業も可能です。しかし社労士として報酬を得るために必須である社労士名簿登録は、2年間の実務経験がなくてはおこなうことができません(もしくは事務指定講習を終了していること)。そもそも新卒だと、経験も人脈もないことを考えると、まずは勤務社労士としてどこかに就職することをおすすめします。

2 勤務社労士としての働き方

試験に合格して社労士登録をおこなう際、自分の働き方を①開業社労士、➁勤務社労士、③社労士法人の3つから選択して登録をおこないます。開業社労士とは独立開業する社労士を意味し、社労士法人は法人設立を意味します(1人での設立も可能です)。

新卒であれば、社労士登録はほとんど勤務社労士としておこなうことになるでしょう。

(1)勤務社労士の3つの働き方

勤務社労士には、3つの働き方が考えられます。なかでも社労士法人は、法改正により社労士事務所の法人化が許可されるようになってから誕生しました。数十人など大規模で事務所を営むので、大手企業の労務手続き・相談を一手に請け負うことができます。

下表には、勤務社労士の主な就職先をまとめました。

就職先 主な特徴と業務
一般企業の人事・総務部 1・2号業務(社労士の独占業務)
・健康保険、厚生年金等の加入・給付に関するわる手続き
・雇用・労働保険の加入・給付に関する手続き3号業務
・従業員の雇用、退職に関する相談及び指導
・賃金、労働時間、人事に関わる相談及び指導
社労士事務所 ・複数の社会保険労務士が働く。
・5名を超えていれば規模的に大きい方。
・事務所数は全国に無数にある。
・将来的な独立を前提に働いている人が多い。
・企業からアウトソーシングされた保険手続きや給与計算業務をメインにおこなう。
経営コンサルティング会社 ・社労士の3号業務である「相談・指導」(人事コンサルタント)をおこなう。
・社労士登録をしていなくてもおこなえる。
▼こちらの記事も合わせてご覧ください。
社労士(社会保険労務士)の独占業務と報酬について徹底解説!

(2)それぞれの就職先の特徴

社労士資格を活かせる就職先といえど、それぞれの職場で、今後携わるであろう業務が変わってきます。ですので、自らの描くキャリアプランと合致するか、良く見極めて就活する必要があります。

①一般企業の人事・総務部門で働く

在学中に社労士試験に合格していても、入社後即社労士として活動できる可能性は低いです。しかし将来的に資格が活かされるような部署に、配属される可能性は十分にあるでしょう。

②社労士事務所で働く

将来的に独立することを目指して働いている人が多い社労士事務所ですが、結局独立せずずっと勤務し続ける人もいます。

③経営コンサルティング会社で働く

経営コンサルティング会社には、社労士の他に中小企業診断士や税理士などの士業が在籍していることが多いです。経営コンサルティング中心の社労士として活躍するには、高い能力を身に付けなければなりません。

繰り返しますが、コンサルティングは3号業務なので社労士登録は必要ありませんが、コンサルタント会社の中には、登録社労士でないと採用しないところもあります。

3 勤務社労士の業務

勤務社労士の業務にもランクがあります。能力・経験によって担当する企業の部門、請け負う内容が違ってきます。

▼こちらの記事も合わせてご覧ください。
社労士の業務について

(1)一般レベルの社労士の場合

一般レベルの社労士は、実務経験5年未満などまだまだ能力的に未熟だといえるレベルです。

ポジション ・一般企業でいえば「平社員」。
・社労士事務所、社労士法人に勤務して業務をおこなう。
業務 ・顧問先の社会保険、労働保険の手続きなど
(入社時:社会、労働保険加入手続き、退職時:離職票発行など)
・簡単な労務相談など
顧客 ・人事・総務部の担当者
・中小・ベンチャー企業の社長など

能力的にもまだまだ未熟な社労士は、一般企業でいえば「平社員」のようなポジションになります。業務内容としては、複数の顧問先企業を担当し、顧問先の社会保険、労働保険の手続きや簡単な労務相談をおこないます。

アウトソーシング系の会社が委託を受けておこなう業務でもあります。

(2)幹部レベルの社労士の場合

幹部クラスの社労士は、より高度な業務を担当します。例えば、解雇や労働組合対応などセンシティブな労務相談にも携わるため、高い能力と豊かな経験が求められます。

このレベルに到達すると大手企業を担当し、会社の経営にも影響があるようなより高度な労務相談を請け負うようになります。

ポジション ・パートナー社員(企業の執行役員・取締役のような幹部クラス)。
・経験豊富で能力が高い。
業務 ・業務は相談のみ(事務手続きは部下に下ろす)。
顧客 ・責任者クラス(人事部長など)
・大手企業の労務担当者
・社長

このレベルは事務手続きのような業務はおこないません。労務・人事に関する相談、コンサルティングの他には、セミナーなどを依頼されておこなうこともあります。

4 実務経験って何?

経営コンサルタント会社などに採用される場合、社労士登録が要らないことがほとんどですが、中には登録をしていないと採用しない会社もあります。社労士登録しようとするとき、新卒にとって必ずネックになるのは「実務経験」です。

(1)実務経験がないと社労士登録はできない

社会保険労務士会名簿に登録するには、以下の内容を満たす必要があります。

①社労士試験に合格すること。
②通算して2年以上の実務経験があるか、事務指定講習を終了すること。

これらが社労士になる登録要件であり、それを満たすためにはどこかで2年以上働いて然るべき実務経験を積むか、事務指定講習を受講するかしかありません。

事務指定講習は一年に一回しか受けられないため、登録には最短でも7、8か月はかかるのです。

(2)事務指定講習とは?

2年以上の実務経験がない場合は、事務指定講習を終了します。登録までの最短コースは、新卒で取り合えず社労士事務所に就職して、その年に事務指定講習を終了し、8か月ほどで社労士登録を済ませる方法です。事務指定講習の申し込みは全国社会保険労務士会連合会からできます。

事務指定講習の概要については、以下の通りです。

受講資格者 社労士試験合格者等で、労働社会保険諸法令に関する厚生労働省令で
定める事務に従事した期間が2年に満たないもの。
講習内容 ①通信指導課程
(4月間)
教材で自己学習し、研究課題の報告による通信教育方式により
添削指導をおこなう。
➁面接指導課程
(4日間)
講習科目について講義形式により4日間(1科目3時間)おこなう。
講習科目 ①労働基準法及び労働安全衛生法
②労働者災害補償保険法
③雇用保険法
④労働保険の保険料の徴収等に関する法律
⑤健康保険法
⑥厚生年金保険法
⑦国民年金法
⑧年金裁定請求等の手続
受講料 77,000円(税込)
通信指導課程期間 令和2年2月1日(土)~5月31日(日)
面接指導課程の受講地・日程等 東京A・B、愛知、大阪、福岡

つまり、通信教育と4日間の面接指導からなる講習です。申し込みの期間は年に一度しか設けられてないため、この時期を逃さないようにしましょう。

(3)事務指定講習が要らない職種は?

繰り返しますが、経営コンサルタント会社に就職する場合は主に3号業務をおこなうので、社労士の独占業務に該当しないため、必ずしも社労士登録が必要とはなりません。しかし、あくまでも会社によるので、登録については就活時に確認が必要です。

知識を活かして、社労士試験の受験予備校講師としてや執筆・講演業で働く場合も、社労士登録は必要としません。

5 サマリー

せっかく社労士試験に合格したなら、そのスキルをフルに活用できる職場で働きたいですよね。また、就活に成功するためには、あなたが将来的にどんな社労士になりたいか具体的にキャリアプランを立てることも大事です。納得のいく就活ができるように、しっかりと準備して臨みましょう。

6 まとめ

・新卒の履歴書に社労士試験合格とあると、一般企業では大変高評価を受けることが多い。

・社労士法人に就職すると、アウトソーシングされた労務関係の事務に携わる場合と、「3号業務」のコンサルティングを専門とする場合がある。

・社労士事務所では、企業から委託された保険手続きや給与計算業務をメインにおこなう。

・実務経験5年未満など一般レベルの社労士は、事務手続き業務に携わることが多い。

・幹部クラス社労士はパートナー社員として、解雇や労働組合対応などのセンシティブな労務相談などにも携わる。

・社労士登録するには、2年以上の実務経験がない場合、事務指定講習を終了する必要がある。

・経営コンサルタント会社に就職する場合社労士登録は不要だが、中には登録がないと採用しない会社もある。

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