「年金アドバイザー」とは?年金のプロ・社会保険労務士(社労士)との接点は?各級のレベルや社労士試験との相乗効果についても解説!

「年金アドバイザー」とは?年金のプロ・社会保険労務士(社労士)との接点は?各級のレベルや社労士試験との相乗効果についても解説!

「年金アドバイザー」について耳にしたことはありますか?

年金のプロである社会保険労務士(社労士)を目指す者にとっては、かなり気になる資格ではないでしょうか。また「試験範囲は重複するの?」「ダブルライセンスで取得するとメリットがある?」など、この資格について様々な疑問も浮かぶことでしょう。

社労士になりたい者なら、誰もが気になる「年金アドバイザー」とはどのような資格でしょうか。この記事でしっかりと解説していきます!

1 年金アドバイザーとは?

年金アドバイザーとは、その名の通り「年金に関連する法令知識をもとに、年金の相談や指導をおこなう」スキルを持つ資格者です。年金アドバイザー試験は、銀行業務検定協会によって主催・実施されている民間資格です。2・3・4級までありますが、そのうち2級が最上級となっています。

銀行勤務者を受験者層の主軸に想定している資格試験ですが、それ以外の受験者も全体の約25%を占めています。

⑴ 年金アドバイザーになるには?

先述の通り、年金アドバイザーの受験者層のほとんどは金融機関勤務者が占めており、約75%になります。また受験資格は設けられておらず、誰でも受験することができます。

それでは、年金アドバイザー試験の受験者数や合格者数、合格率はどのようになっているのでしょうか。以下には、2019年1月現在の数値を紹介します。

 

受験者数 合格者数 合格率
2級(2018年3月実施) 1,638名 432名 26.37%
3級(2018年10月実施) 7,425名 2,644名 35.61%
4級(2018年3月実施) 1,540名 907名 60.07%

 

ご覧の通り、3級の受験者が最も多いことが分かります。3級だけが年2回、試験が実施される理由には、この受験者数の多さが起因しています。

⑵ 年金アドバイザー試験の実施日は?

4級と3級の試験実施日は、以下の通りです。社労士志望者が受験するとメリットがある級は、3級だといわれています。なお詳しく後述しますが、2級に関しては記述が含まれるなどの難易度の問題から、社労士資格を取得した後で挑戦すべき資格だといわれています。

 

3級 実施日付 2020年10月25日(日)、2021年3月7日(日)
実施時間 10:00~12:30(午前)
申込受付期間 2020年8月11日(火)09:00 〜2020年9月2日(水)23:30

2021年1月6日(水)09:00 〜2021年1月20日(水)23:30

受験料 4,400円(税込)

 

4級 実施日付 2021年3月7日(日)
実施時間 10:00~11:30(午前)
申込受付期間 2021年1月6日(水)09:00 〜1月20日(水)23:30
受験料 3,300円(税込)

経済法令研究会の資料を基に作表

⑶ 年金アドバイザー試験の出題内容とは?

年金アドバイザー4級は、自己啓発のために年金知識を付けたいならおすすめの資格です。受験者層の主軸である金融機関勤務者は、3級から受験することが多いのですが、4級合格は3級合格のための下地を作るうえで大きな意義があります。

 

3級 出題形式 五答択一式 30問(各2点)、事例付五答択一式 10事例20問(各2点)
科目構成 ①基本知識

  五答択一式 30問

②技能・応用

  事例付五答択一式 10事例20問

わが国の社会保険制度とその仕組み/年金制度とその仕組み/年金給付の種類と支給要件/企業年金・個人年金の仕組みと要点/裁定請求手続と年金受給者の手続き/その他

合格基準 満点の60%以上(試験委員会にて最終決定)
試験時間 150分 試験開始後60分間,終了前10分間は退席禁止

 

4級 出題形式 三答択一式 50問(各2点)
科目構成 ①年金の基礎 30問

②老齢給付 10問

③障害・遺族給付 6問

④セールス・その他 4問

合格基準 満点の60%以上(試験委員会にて最終決定)
試験時間 90分 試験開始後60分間,終了前10分間は退席禁止

経済法令研究会の資料を基に作表

2 年金アドバイザー試験と社労士試験には関連性がある

このような年金アドバイザー試験には、社労士試験と深い関連性があります。年金のプロである社労士は、年金アドバイザー試験にも合格することで、補完的な学習をすることができます。2つの試験には、共通点とともに相違点もあります。

⑴ 年金アドバイザー試験と社労士試験の共通点とは?

社労士試験の出題科目は10科目に数えられます。そのうち年金に関する出題があるのは「国民年金法」「厚生年金保険」です。

社労士試験の総得点は110点ですが、年金科目2科目はそのうちの30点分の配点があります。つまり、年金に関する出題率は、全体の27%を占めていることになるのです。

 

⑵ 年金アドバイザー試験と社労士試験の相違点とは?

年金アドバイザー試験と社労士試験は、出題科目において共通するものの、実は2つの試験で問われる内容には違いがあります。

年金アドバイザー試験では、年金の専門家らしく年金相談の「実務」に役立つ知識が出題されます。それに対し、社労士試験では、制度の沿革や法改正にともなう経過措置など、年金制度全体への「理解」が求められます。

 

社労士 年金アドバイザー
出題内容 年金制度全体に対する理解 年金相談の実務に役立つ知識
試験範囲 広い 狭い
内容の深さ 比較的浅い 比較的深い

 

上表の通り、両者の試験では問われる知識の種類が異なります。しかし、年金アドバイザー3級に出題される知識は、社労士試験の年金科目を理解するうえで、重要な下地となるのは確実です。

⑶ 社労士志望者に年金アドバイザー試験はおすすめ!

社労士試験の受験生には、「厚生年金保険法」「国民年金法」苦手科目とする人が多いものです。その理由には、度重なる改正によって年金制度が複雑さを増している実状があります。

特に年金制度には「経過措置」といって、法改正によって生じる待遇の違いから人々を保護するための措置が存在します。この経過措置が、年金を難関科目にするのに一役買っているのです。

このような理由からも、社労士試験・年金科目の克服のためには、年金アドバイザーの学習が有効です。

3 年金アドバイザー試験が社労士志望者におすすめな理由とは?

そもそも社労士試験は、平均合格率が約6%の難関国家試験です。

そのうえ10科目全てに合格基準点が設けられており、一つでも超えられない科目があれば合格できないといった厳しさを有しています。つまり、どれか「捨てる」科目を作ることができない試験なのです。これに鑑みれば、年金アドバイザーの学習を通して年金科目の確固たる下地を作れば、強力な社労士試験の突破口になるといえます。

 

⑴ 年金アドバイザー3級は社労士試験対策に最適

社労士志望者が年金アドバイザー試験を受けるなら、3級の合格を目指しましょう。

4級は内容的に簡単すぎますし、2級は難しすぎます。2級には記述試験が出題されるため対策が必要なうえ、出題内容が複雑化し具体的な年金額の計算まで出題されます。そのため、社労士試験の学習と同時におこなうのが難しくなります。

2級は社労士試験対策というよりも、合格後に更なるスキルアップのために受験しましょう。3級に合格すれば年金制度に関する基本知識や、年金相談で求められる実務能力も身に付けることができます。

社労士試験で年金科目が占める得点の割合は約30点ほどですが、年金アドバイザー3級合格相当の力があれば、そのうち15点ほどを得点する力が身につきます。

⑵ 実務的視点から学習できる

ご存知のように、社労士試験の年金科目対策では、条文を中心に学習することが多いです。

しかし社労士として独立開業したあかつきには、条文知識だけでは不十分で、年金相談に応じられるような実務能力が必要になります。年金アドバイザー資格は、この実務能力をつけてくれます。

⑶ 科目を得意科目にできる

年金科目が苦手な人が多い理由とは、次のようなものでしょう。

・覚えるべきボリュームが多い。

・覚える文言や数字、年号が多い。

・厚生年金と国民年金で重複する部分がある。

・経過措置を理解するのが大変。

 

社労士試験対策では「条文」を丸暗記することが多いですが、これを苦痛に感じる人が多いのでしょう。

条文と具体例が必ずしもマッチしないことも、苦手意識を生む原因となっているはずです。また、会社員であれば「労働基準法」を身近に感じますが、年金科目に関しては、まだ年金を受給する年齢に達していなければピンとこないでしょう。

年金アドバイザーの学習では、実際の具体例に触れることが出来るため、複雑な年金科目の理解が進むはずです。社労士試験対策との相乗効果で、年金2科目の強化を図ることができます。

4 年金アドバイザー3級に挑戦しよう!

繰り返しますが、年金アドバイザー3級への挑戦は、社労士志望者が年金科目の理解を深めるうえで非常に有効です。当該資格は、社労士志望者以外にも多くのメリットをもたらすので、詳しく紹介します。

⑴ 自分の付加価値を高めることができる

年金アドバイザーは銀行業務検定協会が主催することから分かる通り、金融業務と直結しています。

例えば銀行等では、窓口業務や渉外業務従事者には、年金アドバイザー資格の取得が必修とされているケースがあります。昇進・昇給の要件に定められていることも多いです。

また、一般企業の総務部にも、将来的に年金知識が求められることが予想されています。政府は労働力不足を克服するため、65歳以上のシニアの活用を推奨しています。シニア人材を活用するには、年金知識を十分に備えた人事制度の構築が不可欠になります。

 

【年金アドバイザー3級を取得するメリット】

金融機関従事者 老後2000万円問題など「年金プラスα」の備えの必要性を、お客様に対して説明できる。
一般企業の総務部従事者 定年後に継続雇用で働くシニアの従業員からの年金相談に応じることができる。

年金知識を備えたシニア労働者の人事制度の構築に役立てられる。

⑵ 年金アドバイザーとして独立開業できる?

金融機関や一般企業の総務部では、年金アドバイザーはこれほどまでに重宝されることが分かりました。ということは、年金アドバイザー合格後は、独立開業も夢ではないのでしょうか。

実際はそれほど甘くはありません。

なぜなら、100人いれば100パターンの年金があるくらい年金制度は複雑だからです。年金は、受給者の年齢も違えば納付額、納付年数も違います。そこに例外や特例といったイレギュラーなケースも加わるため、皆に同じ対応ができなくなっている複雑さがあるのです。

独立して顧客の年金相談に応じられるようになるには、年金アドバイザーのみならず社労士合格レベルの知識が必要だという話もあるくらいです。

⑶ 社労士は年金アドバイザー2級を取得すべき?

繰り返しますが、社労士志望者が年金知識をつけるために年金アドバイザーを受験するなら、3級が最適レベルです。

2級の試験は、社労士試験にはない記述式で成り立っています。年金アドバイザー2級のためにわざわざ記述式の対策をおこなうのは、負担が大きいと思われます。また2級になると、実際に支給される年金額の計算についても出題されます。このように難易度が高いため、2級は社労士試験合格後に挑戦した方が賢明でしょう。

5 サマリー

受験生泣かせの年金科目を克服するためには、年金アドバイザー試験対策が有効です。年金科目でどうしても得点が伸びない方は、検討してみると良いでしょう。

6 まとめ

・年金アドバイザーは年金に関連する法令知識を有し、年金相談指導をおこなう資格者である。

・年金アドバイザーの受験者層の主軸は金融機関勤務者で、約75%を占める。

社労士志望者3級に挑戦すると、年金に関する補完的な学習ができるメリットがある。

・2級は記述が含まれるなど難易度が高いので、社労士資格取得後に挑戦すべきである。

・年金アドバイザー試験では年金相談の「実務」が、社労士試験では年金制度全体への「理解」が出題される。

・社労士試験受験生に年金科目を苦手とする人が多い理由には、度重なる改正による年金制度の複雑化経過措置の存在などがある。

・社労士試験で年金科目が占める得点の割合は約30点だが、年金アドバイザー3級合格相当なら、15点ほどを得点できる。

 

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