高卒でも日本の労務問題を担う社労士に!高卒でも受験資格を取得する方法とは?

高卒でも日本の労務問題を担う社労士に!高卒でも受験資格を取得する方法とは?

社会保険労務士(社労士)の受験生においては、社会人がかなりの割合を占めています。その中には、高卒で社会人になった人もいるでしょう。実際、現役社労士には高卒の人もいますが、高卒でも社労士試験を受験することはできるのでしょうか。また、そもそも社労士試験には、受験資格が設けられているのでしょうか?

この記事では社労士試験の受験資格と、高卒の人が社労士試験を受験する場合の注意点についてまとめます。ぜひ参考にして下さい。

1 高卒で社労士試験は受験できる?

数ある法律系国家資格の中には、受験資格を必要としないものもあります。社労士試験の場合はどうでしょうか。

⑴ 社労士試験とは?

結論からいえば、社労士試験には受験資格が設けられています。その詳細については後述しますが、社労士試験の概要については以下の通りです。

試験科目 10科目
労働関係法令5法令
社会保険関係法令3法令
一般常識に関する2科目
出題形式 マークシート形式
(選択式試験と択一式試験)
試験日時 毎年8月下旬(年1回) 合格基準点 「総得点」「各科目点」が選択式試験と択一式試験において設けられている。

社労士試験の合格率は6%台と、難関です。受験生のほとんどを社会人が占めているのも特徴だといえます。

⑵ 社労士試験の受験資格とは?

先述の通り、社労士試験には受験資格が設けられています。各受験資格を証明するための証書を提出することも求められ、その内容は前回の受験票、成績通知書、実務経験証明書などです。下表は、社会保険労務士試験オフィシャルサイト「受験資格・事前確認」から抜粋した受験資格の概要です。

学歴 ・大学を卒業した人、または大学で62単位以上修得している人
・短期大学、専門学校を卒業した人
・修業年限が2年以上、かつ修了に必要な総授業時間数が1700時間以上の専修学校の専門課程を修了した人
・全国社会保険労務士会連合会の審査により、学校教育法に定められている短期大学を卒業したのと同等以上の学力が認められる人
実務経験 ・労働社会保険諸法令の規定に基づいて設立された法人の役員(非常勤以外)、または、従業者として労働社会保険諸法令の実施事務に通算3年以上従事した人
・国または地方公共団体の公務員として行政事務に通算3年以上従事した人、または特定独立法人、特定地方独立行政法人、日本郵政公社の役員か職員として通算3年以上行政事務相当の事務に従事した人
・社労士、社労士法人、弁護士、弁護士法人の業務補助に通算3年以上従事した人
・労働組合の役員として労働組合業務に3年以上専従した人、または会社や法人の役員を通算3年以上担当した人
・労働組合の職員、または事業を営む法人の従業者として労働社会保険諸法令に関する事務に通算3年以上従事した人
国家資格 ・社労士以外の厚生労働大臣が認める国家試験の合格者
・司法試験(一次試験)の合格者
・行政書士資格所有者 (税理士も可)

⑶ 各要件についての詳細

試験を受けるには上表の受験資格をクリアしなければなりませんが、もし学歴で該当しなくても「実務経験」か「国家資格」で該当すれば大丈夫です。

① 学歴

受験資格があるのは、基本的には4年生大学、短期大学、5年制の高等専門学校を卒業した人です(通信制大学、夜間の学部も対象)。専攻した学部学科は問いません。大学在学中または中退していても「学位取得に要する一般教養科目を履修している」「卒業必須単位62単位以上修得している」を満たしていれば受験資格があります。しかしこれは4年制大学の場合のみで、短大や高専は該当しません。

2019年に開設された「専門職大学」で前期課程を修了した人と、専門職短期大学を卒業した人も該当します。専門学校の場合は、平成7年以降の卒業生で卒業証書または称号授与書に「専門士」か「高度専門士」と記載があれば、受験資格を満たしています。詳しくは試験センターへ確認しましょう。

② 実務経験

実務経験に関しては、社労士に関係する業務における3年間の実務経験があれば該当します。しかし、どの範囲をもって実務経験と言えるのかは、なかなか判断が難しいものです。その場合は全国社会保険労務士会連合会に「実務経験証明書」と「送付状」をFAXすれば、受験資格の有無について回答してもらえます。

③ 国家資格

国家資格には「社会保険労務士試験以外の国家試験のうち厚生労働大臣が認めた国家試験に合格した者」が含まれますが、そこには79もの資格があてはまります。税理士、行政書士、司法試験(一次試験)も然りですが、いずれも簡単には合格できない難関国家資格です。

2 高卒からでも社労士試験に合格する方法とは?

高卒で社労士になることは、結論からいえば「可能」です。学歴で受験資格に該当しなくても、実務経験や国家資格で要件を満たせば良いからです。また学歴要件についても、今後要件を満たすことはできます。以下に詳しく解説していきます。

社労士は近年の働き方改革や、新型コロナウィルス感染拡大の助成金・補助金申請業務などで、社会的に需要が高まっている資格です。高卒自体は受験資格の学歴要件を満たしませんが、だからといって受験自体を諦める必要はありません。以下の方法で要件の不足を満たすことができますので、是非前向きに資格取得を考えて頂きたいものです。

⑴ 学歴要件を満たす

社労士試験の受験資格に足りる学歴を得るために、通信制の大学・短大に通うのも一つの方法です。通信制の短大の学費であれば、通常の学費に比べてかなり安く済みます。授業も開講されますが土日が多いので、社会人でも続けやすいのです。

⑵ 実務経験の要件を満たす

実務経験の内容には「公務員として3年以上従事」「社労士や弁護士の補助に3年以上従事」「事業を営む個人として労働社会保険諸法令に関する事務に3年以上従事」などがあります。要するに、社労士業務に関わったことがあるかがポイントです。基本的には労働・社会保険関連の事務手続き業務に従事していれば、受験要件を満たします。

一般企業にて、労災や雇用などの労働保険、社会保険関連業務に3年以上携わっていた人も対象です。しかしこれらの仕事に従事していても、単純作業などにだけ携わっていた場合は、対象外となりますので注意しましょう。実務経験で受験資格をクリアするなら、社労士事務所で3年間働きながら勉強するのがおすすめです。こうすれば働きながら勉強でき、受験資格と給料の両方を享受することができます。

通信制の短大・大学に通ったり、行政書士資格を取得したりするのが難しい場合は、是非検討してみてください。なお、実務経験は事業主の証明が必要になります。自分の経歴は実務経験となるのか判断できない場合は、全国社会保険労務士会連合会に必要事項を記入した「実務経験証明書」と「送付状」をファックスで送付すれば、受験資格の有無についての回答を得ることができます。

⑶ 国家資格の要件を満たす

厚生労働大臣が認めた国家試験合格で受験資格をクリアすることもできます。該当するのは弁理士試験や公認会計士試験、不動産鑑定士試験など様々あり、その数は79にものぼります。範囲が広く、気象予報士や情報処理技術者なども対象となっていますが、詳細は社会保険労務士オフィシャルサイトから確認できます。

法律系の国家資格では、司法試験第1次試験の合格者、行政書士の資格取得者も受験資格を満たします。そのうち合格をしやすいのは、受験資格が設けられていない行政書士です。また行政書士試験では社労士試験と同様、法律制度に関する知識が問われるため、法律についての理解を深めることができます。

行政書士の合格率は例年10%台と難関資格ではありますが、的確な試験対策をすれば十分合格できる資格です。社労士試験と違い、科目別の合格最低点がないのもポイントです。

3 どの方法を選べば良い?

これまで、高卒の人が社労士試験の受験資格を得るための3つの方法を紹介してきました。ここではそれぞれの方法のメリット、デメリットについて紹介します。

⑴ 短大や大学への入学のメリット・デメリット

メリット ・経営学や法学などを勉強すれば、社労士試験対策になる。
・(通信制の短大や大学の場合)学費が安く、通学の必要がほとんどないので、仕事をしながら勉強できる。
デメリット 高額な学費がかかる。

もし通信制短大に通う選択をすれば、学費は通学に比べてかなり安くなります(おおよそ2年間で50万円程度)。通信教育の短大には通学日もありますが、土日が中心になるため、社会人でも十分対応可能でしょう。それに加えてキャンパスライフも味わうことができます。

⑵ 実務経験を積むメリット・デメリット

メリット ・社労士の実務に従事しながら勉強もできる。
・短大や大学に行く時間的・金銭的余裕がない人も受験資格を取得できる。
デメリット ・受験資格として認められる実務に就けるか不安。
・現職が社労士業務と無縁の場合は、転職しなければいけない。

実務経験として認められる区分には、市役所・区役所勤務なども認められる可能性があります。会社で社会保険事務担当をしている場合も、連合会に照会を依頼してみた結果、受験資格を取得できることも多いです。つまり、社労士関連業務の実務経験を3年以上積めば、受験資格の要件を満たすことができます。この場合、社労士事務所か一般企業の人事労務部門に就職して実務経験を積むのが、確実な方法です。

⑶ 国家資格である「行政書士」を取得するメリット・デメリット

メリット ・社労士試験のように受験資格がなく、高卒でも受験できる。
・同じ法律系国家試験であるので用語などに慣れておける。
デメリット ・合格率は約10%台と、決して簡単な試験ではない。
・試験勉強には少なくとも約1年はかかってしまう。

受験資格となる国家資格には、税理士、司法試験(第1次試験合格)、行政書士などが該当しますが、どれも難関資格です。しかし、その中でもおすすめなのは行政書士です。行政書士とは、官公庁へ提出する書類の作成・申請代行、事実証明や契約書の作成などを請け負ったりする資格です。書類のプロという呼称も持ちます。

行政書士試験の勉強にも半年~1年を要し、合格率は約10%台と簡単ではありません。しかしこちらの方法も、通信講座などを上手に利用すれば、働きながら要件を満たすことができます。

4 サマリー

高卒の場合、そのままでは受験資格の要件を満たしませんが、然るべき方法を取れば確実に受験資格を備えることができます。自信を持って、自分に最も合った方法で目標に向かっていきましょう。

5 まとめ

・社労士試験の合格率は6%台と難関だが、受験生のほとんどは社会人である。

・その中には高卒で既に社会人となっている人も含まれている。

・学歴・実務経験・国家資格のいずれかの要件に該当しなければ受験資格を得られない。

・高卒は学歴要件を満たさないが、ならば「実務経験」か「国家資格」で該当すれば良い。

・国家資格には司法試験第1次試験合格者などがあるが、行政書士資格が合格しやすい。

・行政書士試験には、受験資格が設けられていない。

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