「国家資格」はやっぱり最強?!もっていれば、社労士試験の受験資格にもなるって本当?

「国家資格」はやっぱり最強?!もっていれば、社労士試験の受験資格にもなるって本当?

国家資格取得を目標とする人は、いつの時代にも多くいるもの。しかし、終身雇用制が崩壊し、コロナ禍により先が読めない時代を迎えた今、その人気は更に高まると見られています。社会保険労務士(社労士)も法律系国家資格の一つですが、働き方改革の施行により、ますます注目を集める資格となりました。

この記事では「国家資格」としての社労士について、また国家資格が社労士受験の要件を満たすケースについても、詳しくまとめていきます!

1 国家資格としての社労士

社労士は社会保険労務士法を根拠として独占業務を持つ、労務管理の専門家です。

⑴ 社労士とは?

社労士は、誕生してまだ30余年の歴史の浅い資格ですが、近年ますますその将来性を高めています。社会・労働保険関連の手続き代行などの独占業務を持ち、収入も安定しているといわれる社労士。なぜなら例えば、労務やコンサルティング業務で何社かと顧問契約を結ぶことで、毎月安定した高収入が得られるからです。

⑵ 社労士の受験者数は?

下表は、代表的な国家資格の令和元年度の受験者数をまとめたものです。社労士の平均合格率は約6%ですが、受験生自体は40,000人近くを数え、試験日当日に実際に社労士試験を受験しているのです。

 

資格名 受験者数 資格名 受験者数
社労士 38,428人 司法書士 13,683人
公認会計士(短答式) 10,563人 行政書士 39,821人
税理士 29,779人

⑶ 年収1000万円を超える社労士も?

「社労士は食えない」などという不名誉な噂がありますが、実際は年収1000万円を超える社労士も存在します。社労士の仕事は会社がある限り存在するため、社労士の需要がなくなることはありません。しかし、もし営業力や社労士の武器になるコンサルティング・スキルを全く持ち合わせていないと、「食えない」状態に陥ることも十分あり得るのです。これについては詳しく後述します。

 

2 社労士試験の受験資格としての国家資格

社労士になりたい人には、「国家資格」はもう一つの意味を持ちます。「国家試験合格」は、社労士試験の受験資格の一つだからです。

⑴ 社労士には受験資格がある

社労士試験には受験資格が設けられており、その要件とは「学歴」「実務経験」「国家試験合格」のいずれかを満たすことです。

⑵ 厚生労働大臣が認めた国家資格合格とは?

国家試験合格は、受験資格コード「06」「07」「10」に該当します。

 

コード 受験資格
06 厚生労働大臣が認めた国家試験に合格した者
07 司法試験予備試験、旧法の規程による司法試験の第一次試験、旧司法試験の第一次試験または高等試験予備試験の合格者
10 行政書士資格を有する者

 

「06」の国家試験には、国家公務員試験、税理士試験、司法書士試験、弁理士試験などが該当します。全部で79の試験が指定されていますが、いずれも厚生労働大臣が認める国家資格です。

詳しくは社会保険労務士オフィシャルサイト「社会保険労務士試験の受験資格 厚生労働大臣が認めた国家試験(受験資格コード06関係)」をご覧ください。

⑶ 高卒が社労士試験を受験するには?

また、最終学歴が高卒の人が社労士試験を受ける場合にも、国家資格は大きな意味を持ちます。高卒の人は「学歴」で受験資格を満たすことができないので、以下の方法で受験資格を得ることになるからです。

① 3年以上の「実務経験」を積む

② 所定の「国家資格」の取得を目指す

②については、公務員として関連実務に3年以上従事している場合、行政書士試験など厚生労働大臣が認める国家試験に合格している場合などが該当します。

 

3 国家資格の他に必要なものとは?

社労士資格のような国家資格を持てば、全てがうまく行くと思う人は多いでしょう。しかし、現実はそんなに甘くありません。

⑴ 営業力

社労士は国家資格だからとあぐらをかくことはできず、残念ながらアルバイトをしないと食べていけない社労士もいます。このような社労士に等しく欠けているものが、「営業力」「コンサル・スキル」「マーケティング・スキル」なのです。

社労士登録者すると、毎年10万円程の会費を所轄の社労士会に納めるというキャッシュアウトが生じます。廃業していく社労士の中には、この会費が払いきれないからという人もいるのです。

社労士を志す人には営業畑出身は少ないですが、独立開業するなら営業力は事務所の死活問題になります。実は、独立開業前にアルバイトなど何かしらの形で、営業の洗礼を受けるのもおすすめです。営業力がある人とは、話術や交渉力、プレゼン能力、顧客管理能力など、人を引き付けるための様々なスキルを身に着けているものです。これらを身に着けるためにも、営業経験がない人は事前に挑戦しておくことも大事です。

⑵ コンサル・スキル

コンサルティング業務は3号業務といい、社労士の独占業務ではありません。しかし、労務のプロである社労士にコンサルティングを希望する企業は年々増えています。 

社労士の独占業務である1・2号業務は、インターネットの普及による情報の民主化や、AIの台頭などによって、徐々に脅かされつつあります。専門知識を集積できるのはコンピューターでも代替できるからです。しかし、高い応用力が求められる労務コンサルタント業務は、AIで代替できるような代物ではありません。

⑶ マーケティング・スキル

ご存知のように、社労士には定年はありません。しかし、毎年数千人が社労士資格に合格していることを考えると、正に飽和状態で少ないパイを多くの同業者で奪い合っているといえます。この状況で皆と同じことをしていたら、当然埋もれてしまいます。ブルーオーシャンを開拓したり、自分を差別化するなど、戦略や戦術に長けたマーケティング・スキルを持たないと、競合との競争に勝つことはできないのです。

4 労務管理士と社労士は関係ない

最後に「労務管理士」資格について触れておきます。

労務管理士と社労士は、全く関係ありません。しかし、名前が似ていることから誤解してしまう人も多いようです。

⑴ 労務管理士 Labor Management Advisor (LMA)とは?

”労務管理士は、企業内部の労働関係当事者が労働基準法や労務管理に関する専門的知識を習得し、人事・労務分野における、より高度な専門的職務能力を高めることを目的に、法令遵守(Compliance)を前提として、労働者の採用から退職までの一連の就業管理を行うことができる能力者に与えられる職能民間資格[能力評価審査]です。

受験資格:20歳以上の者であれば性別・学歴・職業・経験は不問”

出典:日本人材育成協会 

 

上記の労務管理士についての説明文には、同資格は民間資格だとはっきり書いてあります。

⑵ 労務管理士は、社労士業務がおこなえるか

労務管理士が社労士業務をおこない報酬を得ると、社会保険労務士法違反で罰せられます。

労務管理士資格は、2時間程度の講習で得ることができます。一方社労士になるには、年1回実施される社労士試験に合格する必要があることに加え、同試験を受験には受験資格が設けられており、狭き門です。試験合格後にも実務経験や、都道府県社会保険労務士会への入会の必要性などが法律で厳格に定められています。

⑶ 労務管理士の資格取得は法律で義務付けられているか

労務管理士資格の取得には、講習を受ける義務はありません。しかし、最近労務管理士になるための講習の勧誘が巧妙化しており、高額な登録料を請求したり、合格後更に次の講習に勧誘したりします。このような手口に騙されないように、警告をホームページに掲載する社労士会もあるほどです。

労務管理士講習を謳った、違法な勧誘には十分気を付けて下さい。

5 サマリー

社労士は人気の国家資格ですが、試験に学歴などの受験制限があるので誰でも受けられません。最終学歴が高卒の場合もそれに該当し、学歴の要件を満たさないのですが、行政書士などの国家資格があれば、それをもって受験資格を得ることができます。社労士は独占業務を持つ国家資格ですが、独立開業するなら営業力も求められます。

6 まとめ

・社労士は誕生してまだ30余年の新しい資格だが、近年その将来性を高めている。

・社労士試験の受験者にとっては「国家資格」は受験資格の一つである。

・高卒は受験資格を満たさないが、所定の「国家資格」があれば受験できるようになる。

・国家資格を持てば全てがうまく行くわけではなく、独立開業するなら営業力、コンサル・スキル、マーケティング・スキルが必要。

・労務管理士は民間資格であり、社労士とは全く関係ない。

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