コンサルタント業務こそ社労士の醍醐味!社労士だからおこなえる労務コンサルについて解説

コンサルタント業務こそ社労士の醍醐味!社労士だからおこなえる労務コンサルについて解説

社会保険労務士(社労士)は、コンサルタントとしても活躍できることをご存知でしょうか。

社労士の業務には、労働社会保険諸法令に基づく申請関連業務、帳簿書類作成と共に、「相談・指導」が挙げられます。この相談・指導がいわゆる「コンサルタント業務」ですが、具体的にはどのようなことをおこなうのでしょうか。

この記事では、社労士だからできる労務コンサルタントについて、どんな業務なのか詳しくお教えします!

1 社労士がおこなうコンサルタント業務とは

社労士の就職先の中には経営コンサルタント会社が含まれています。確かに、社労士の中には官公署への手続き業務や帳簿書類作成ではなく、コンサルタント業務専門になる道を選ぶ人もいます。

(1)法律で認められた唯一の労務管理コンサルタント

社会保険労務士法によると、「事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること」(同法第2条第1項第3)、つまりコンサルタント業務が、社労士の仕事のひとつとして定められています。

社労士は、労務管理の専門コンサルタントであることを、法的に認めてられているのです。

会社を経営すると、従業員を雇用します。人を雇用すると、賃金、労働・社会保険、人事、福利厚生、年金など多くの義務や取り組むべき内容が発生してきます。事業者は、特に労働法や社会保険などで頻繁におこる法改正にきちんとキャッチアップして、それらを遵守して行かなくてはいけません。もし知らずに法律違反を犯してしまっても、「知らなかった」では済まされません。

社労士は、分かりづらい労働社会保険諸法令を中心に、事業主にかみ砕いて説明し、企業のコンプライアンスの徹底をサポートすることができます。

(2)社労士の独占業務には非ず

社労士のコンサルタント業務は、「1号業務」「2号業務」とは違い、独占業務ではありません。また、社労士が法的に請け負いを認められているコンサルティングは、企業における人事や労務関係への指導・相談です。この業務は、経営労務コンサルタントなど、社労士以外の有資格者でも請け負うことができます。

①社労士の業務とは

それでは、1~3号業務とは具体的にどんな業務を指すのでしょうか。

以下の通り、1、2号業務は社労士の独占業務ではありますが、将来的にはシステム化による省人化が可能だという声があります。しかし、有能なコンサルタントになるためには、社労士として「1号業務」「2号業務」の知識、経験を十分に蓄積し、豊かなベースを持つことが不可欠です。

【社労士の業務】

独占業務 1号業務 ①書類作成(行政機関に提出するもの)
②提出代行
③事務代理
④紛争解決手続き代理業務
2号業務 帳簿書類作成(提出不要) 就業規則の作成・改訂
労働者名簿・賃金台帳の作成
非独占業務 3号業務 相談・指導 労務管理、労働・社会保険 に関して
▼こちらの記事も合わせてご覧ください。
社労士(社会保険労務士)の独占業務と報酬について徹底解説!

②社労士が指導ができる内容は?

繰り返しますが、社労士がコンサルタントとして指導できる内容は、企業における人事や労務、社会保険関係への指導・相談です。

企業のリソースの中でも、ヒューマンリソース「ヒト」は、企業発展の鍵を握る根本的存在です。どんな企業も多かれ少なかれ人材に関する問題を抱えており、事業主だけでは解決には至らないことが多いでのす。

社労士は、社外の人間として、専門家の立場から客観的にアドバイスをする役割であり、その指導内容が会社の問題点のソリューションに繋がれば、大変喜ばれます。

(3)労務管理コンサルタントの主な仕事

社労士がコンサルタントとして関わることができる職場の労働問題は、非常に多岐に渡ります。そのため、全てをここに網羅することはできませんが、主なコンサルタント業務を以下に挙げてみましょう。

・雇用管理(社会保険、各種年金、高齢者問題)
・就業管理(休日・休暇を含む労働時間管理)
・人事管理(採用コンサルティング、異動・退職・解雇等、評価制度)
・賃金管理(賃金や昇給、退職金制度の設計・運用)
・福利厚生
・安全衛生(労働環境など)
・教育訓練(社員教育)
・労使関係

①採用コンサルティングとは?

上記の業務の数々をご覧になり「採用コンサルティングって何?」と思われた方もいるでしょう。採用コンサルティングは、経験豊かな社労士だけが担当できる業務です。

採用コンサルティングは、社労士が企業の採用活動についてコンサルティングをおこない、優秀な人材に応募してもらえるような会社つくりを、具体的に事業主にアドバイスすることです。

働き方改革関連法施行後の現在、求職者は昔とは違い、ライフワークバランスの実現が可能な労働環境、ブラックでない就業規則などを求めています。会社の労働環境にメスを入れるのは、内部の人間ではなかなかできないことです。

社労士の採用コンサルティングで、優秀な人材が応募してくるような魅力的な職場に改善できたら、社労士としても仕事冥利に尽きるというものです。

②就業規則の整備などのコンサルティング

就業規則は、従業員が10人を超えた時点で、会社が作成して労働基準監督署に提出する義務が発生します。就業規則があると、その会社の労働条件が確認しやすいメリットがありますし、助成金申請をする場合は申請要件として、就業規則の整備が定められている場合があります。

しかし、就業規則は、労働条件に対する法改正に常に則った内容でなければなりません。例えば働き方改革によって、時間外労働に関する法律が厳格化されたため、図らずとも違反してしまったら罰則を課される可能性が出てきました。就業規則は、こういった観点から毎年見直しをおこなう必要があるのです。

多くの事業者は、事業をまわすだけで精一杯で、就業規則の見直しはついついおろそかにしがちです。ですので何かしらの労使トラブルが発生したり、助成金の申請に向かう時は、社労士に相談する絶好のチャンスです。相談の上、適切な指導を受けることで、法律に基づいた就業規則の作成や改訂が可能になります。

2 コンサルティングができる社労士が重宝される理由

コンサルティングができる社労士は、どの企業においても必要とされます。なぜならほとんどの企業が常に抱え続ける課題は、「人材」についてだからです。

社労士のコンサルティングが、企業が抱える人事労務の課題に対して何ができるか詳しく見ていきましょう。

(1)企業の課題を発見して指導する

社労士のコンサルタント業務は「相談」を受け「指導」をするというものです。

企業の課題はそれぞれですが、中小企業庁の資料によると、課題は企業の成長段階に応じて変化していくものであるようです。

【企業の各成長段階にある課題】

成長のフェーズ 課題の推移 中心的課題
創業期 家族の理解・協力

知識・ノウハウの習得
資金調達
成長初期 質の高い人材の確保

労働力の確保

販路開拓
安定・拡大期 成長に応じた組織体制の見直し

量的な労働力の確保

販路開拓
質の高い人材の確保

中小企業庁「成長タイプ別・成長段階別の実態と課題」の資料を基に作表

ご覧の通り、企業が成長途上にある時の最も大きな課題は「資金調達」ですが、安定・拡大期を迎えると「質の高い人材の確保」が中心課題に代わります。また「成長に応じた組織体制の見直し」が必要な時期を迎えます。人事・労務の専門家である社労士は、成長段階における課題の発見と、解決のためのコンサルティングができます。

(2)人材についての課題の発見

社労士は、よりフォーカスして、「人材についての課題の発見」もおこないます。企業の成長段階における課題が、財源確保から人材確保に移行していくように、業績のアップと持続のためには「人材」に眼を向けざるを得ません

企業が抱える、人材に関する課題は以下の4つになるといわれています。

①優秀な人材がなかなか求職してこない
②人材の定着率が悪く、直ぐに辞めてしまう
③企業は残業を減らさなければいけないが、人手が足りない
④縁故採用でなく一般応募の人を雇用すると、何か問題が起こる

こういった課題は、社内の人間ではなかなか解決に至らないものです。労務コンサルタントをおこなえる社労士に依頼し、問題点を洗い出したうえで、適切な解決策を立てていくことが必要です。

(3)コンサルタントは第三者の立場

コンサルタント業務をおこなう社労士によると、就業規則などが未整備の会社には、それでも上手く回っている会社も多いそうです。それは、労働管理、賃金や人事管理、評価制度などが未整備でも、事業主が見える形に表していないだけで感覚的には制度化されているということです。

しかし、制度は明確な可視化をしておかないと、いつか労使トラブルは発生します。雇う側と雇われる側の間で、理解の不一致が簡単に起きてしまうからです。制度の可視化の手助けができるのが、社労士コンサルタントなのです。

3 コンサルタントとして成功するには

最後に、コンサルタントとして成功するための秘訣についてまとめてみましょう。

せっかくコンサルタントに人事制度などを作成してもらっても、結局あまり運用できていないという残念な話を良く聞きます。大手コンサルティング会社のコンサル料は、高額なのにも関わらずです。コンサルタントとして成功するには、顧客企業に作成した制度をずっと運用してもらえ、定期的に改善を依頼されるような社労士にならなければいけません。そのためには、どのような精進が必要でしょうか。

(1)コンサルタント一本に絞るのも良い

社労士の独占業務である1号業務、2号業務を請け負う社労士は、書類作成・手続き業務に提出期限があるため、締め切りに追われるようになります。そうなると、なかなかコンサルタント業務まで手がまわらなくなります。

熟練社労士は、1号業務、2号業務に従事していると、その会社の改善点が見えてくるといいます。コンサルタント業務は「改善提案」をおこなうことが可能ですが、給与計算や各種手続き書類の作成・提出に追われていると、コンサルティングまで至る余裕はなくなります。1号業務、2号業務の経験を十分に積んだら、3号業務のコンサルタント業務に専念してスキルを上げていくのも良いでしょう。

 (2)難易度の高い仕事にも挑戦

コンサルタント業務を請け負っていると、ある日突然難易度の高い仕事が舞い込んでくることがあります。経験が不十分なうちに、人事制度の導入や改定などの高レベルな案件を打診されたら、たいていは不安になってしまうでしょう。

マニュアル通りにおこなえば良い業務は、ある意味誰でもできます。顧客と共同で、ゼロから作り上げていくような仕事は大変責任が大きく、難しいものです。しかし、飛躍のチャンスと思って難易度の高い仕事も受けていくと、自分の成長に繋がります。

社労士コンサルタントは能力差が大きいといわれていますので、飛躍のチャンスが巡ってきたら、ぜひ果敢にチャレンジしましょう。

(3)研修講師も積極的に

研修講師の仕事が舞い込んだら、こちらも尻込みせずに挑戦しましょう。営業活動の一環にもなります。

身に付けた知識は、人に話すことで整理されて行きます。研修講師は顧客と一対一ではない難しさがありますが、コンサルタントとしてのスキルアップにも繋がりますので、研修講師のオファーがあれば、ぜひ受けるようにしましょう。

4 サマリー

社労士のコンサルタント業務について、お分かりいただけましたでしょうか。人事・労務の知識を土台として、専門家の観点から企業の発展のための指導をおこなう仕事です。責任も大きいですが、やりがいがあることは間違いありません。

5 まとめ

・労務管理、社会保険に関する相談・指導が社労士の「コンサルタント業務」である。

・社労士は法律で認められた唯一の労務管理コンサルタントである。

・コンサルタント業務は「1号業務」「2号業務」と違い、独占業務ではない。

・採用コンサルティングは、優秀な人材が応募してくる魅力的な職場に改善するための指導である。

・企業の課題は成長段階で違い、財源確保から人材確保に移行するため、段階に合わせたソリューションの提案が必要。

・企業の資源である人材の質を上げるためのコンサルティングもおこなう。

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