社労士試験の結果を左右する直前期はどう過ごす?社労士試験・直前対策のマスト項目を詳しく解説!

社労士試験の結果を左右する直前期はどう過ごす?社労士試験・直前対策のマスト項目を詳しく解説!

社労士試験の対策には、戦略も必要です。勉強時間が長くとれるから合格できるわけではないことからも、効率的な学習方法が合格の決め手となることは明らかです。であるならば、これまでの頑張りの総仕上げである直前期をどう過ごすかが、非常に重要になります。

この記事では、どんな受験生でも不安に陥る直前期に焦点を当て、直前対策としておこなうべき項目をまとめていきます。

1 直前対策は必要か?

広大な出題範囲を持つ社労士試験。ほとんどの受験生は試験当日までを逆算して、効率的な学習を心掛けてきたことでしょう。しかし、いざ直前期にさしかかったら、何を勉強すればよいか悩むのではないでしょうか。

留意すべきは、社労士試験には「足切り」があるということです。足切り制度とは、すべての出題範囲で一定以上の得点を取らなければ不合格になってしまう制度です。この制度がなければ、自分の得意分野を得点源として苦手な分野を補えば良いのかもしれませんが、難関国家試験である社労士試験はそれでは合格できません。どの科目も合格基準点を超えるように、直前期にラストスパートをかけましょう。

また法改正も、直前対策で必ずおこなうべき項目です。毎年8月に実施される社労士試験は、その年の4月までの法改正が出題範囲に含まれます。そのため、法改正の勉強を開始するのは5月からでよいというのが、社労士試験の常識になっています。

なお、直前対策の1つである「厚生労働白書」「労働経済白書」は一般常識で出題されますが、こちらの公表のタイミングは毎年10月頃と、社労士試験終了後の約1か月後になります。

2 直前対策ですべきこと

直前対策とは「仕上げ」です。これまで学習してきた成果を更に補完する重要な期間でもあります。また、法改正のように、直前対策としておこなった方が時期的に適切な項目もあります。

(1)法改正

法改正の試験範囲は、既に申し上げた通りその年の4月までに施行された法律です。ですので、5月から法改正対策に着手すれば十分間に合うことになります。

これまでの傾向としては、法改正初年度は基本事項しか出題されていません。ですので法改正初年度は、対策本に載っているような込み入った内容にとらわれる必要はないといえます。直近の法改正については、基本的な内容を押さえましょう。

社労士試験の直前対策として常に必須項目に挙げられる法改正のチェックは、資格学校のおこなう直前対策講座や対策本も有効な対策になります。しかしここでは、社労士試験テキストを用いておこなえる法改正対策を紹介します。

「うかる!社労士 テキスト&問題集」は、最も売れている社労士試験テキストと名高く、ご存知の方も多いでしょう。同書は法改正の内容を、以下のようにPDFで出版元のフェニックスアカデミーのホームページに掲載しています。

出典:フェニックスアカデミー

同ホームページは、文書だけでなく以下のような法改正についての解説動画も作成し、YouTubeで公開しています。法改正については、このように使用してきたテキストで確認することができるのです。フェニックスアカデミーに限らず、多くの社労士試験対策テキストが、法改正情報を出版社のサイト上などで公開していますので、是非確認してみてください。

(2)基本問題を徹底的に

ご存知のように、社労士試験では満点を取る必要はありません。
社労士試験対策は7割得点を目指し、出題範囲を広く浅く勉強することが秘訣です。難問や奇問にとらわれて、貴重な勉強時間をロスしたらもったいないのです。

出題範囲に占める基本問題の割合は実に高く、7~8割といわれています。難問・奇問は全体の2~3割しかないのです。
よく言われるのが、「正答率が50%以上の問題を押さえる」ことです。つまり、誰でも正解できる問題を絶対間違えないようにするのが重要なのです。

直前期には、基本問題、頻出論点に立ち返りましょう。基本問題を間違えないレベルに達しているか、いま一度確認しましょう。

(3)過去問・模試の解き直しの徹底

過去問題を本番と同じ時間配分で解いていくのも効果的です。学生時代の受験勉強でも経験済みでしょう。模擬試験を受けるように過去問に取り組み、解答後はきちんと採点してみましょう。そして合格ラインとの距離感をつかんでいきましょう。

これまでの受験勉強は、出題科目ごとに理解を深めていくやり方であったと思われます。しかし直前対策では、過去問1回で10科目を解くことになります。それも、横断的、組み合わせのかたちでの理解も要求されます。

社労士試験は過去問の「焼き直し」が多い試験といわれますので、過去問をしっかりやっておいて損はありません。また、模試の解き直しも過去問同様に本番のように解いてみましょう。不正解だった問題はもちろんのこと、正解した問題もテキストを見直して確認すれば、より理解度を深めることができます。

(4)一般常識の白書・統計対策

社労士試験科目には、2つの一般常識が含まれます。一般常識科目の配点は以下の通りです。

試験科目 択一式問題数(配点) 選択式問題数(配点)
労務管理その他の労働に関する
一般常識
10問(10点) 1問(5点)
社会保険に関する一般常識 1問(5点)

出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト

一般常識と聞くと易しそうに聞こえますが、ご存知のように社労士試験の一般常識科目は、受験生泣かせといわれています。労働や雇用、社会保険などに関する国内の動向を、直近で公表された「厚生労働白書」や「労働経済白書」、統計データからすくい上げる問題が出題されます。

両者とも膨大なページ数に渡り、厚生労働白書は約500ページ、労働経済白書は約400ページになります。公表時期は9~10月と社労士試験終了後で、次年度用の社労士試験対策テキストの発売と同時期であるため、テキストに載っていない最新白書は自力で読む必要があります。

しかし、一般常識科目の出題傾向としては、試験実施年度の前年度の白書からの出題が多いです。つまり、2020年試験であれば、2019年の厚生労働白書と労働経済白書からの出題になるということです。白書・統計データは、国内の雇用や経済の動向への理解度を求める問題ですので、新聞やニュースで使われる経済用語もチェックしておきましょう。

また、統計とは何かといえば、以下のような調査結果を指します。

<主な統計と動向調査>

労働力調査 総務省統計局 我が国における就業及び不就業の状態を毎月明らかにすることを目的として実施されている。

労働力状態(労働力人口、非労働力人口、就業者数、自営業主、家族従事者、雇用者、完全失業者)、労働力人口比率、就業率、完全失業率等を把握することができる。四半期平均値でより細かい調査事項について詳細集計が公表されている。

雇用動向調査 厚生労働省 主要産業の事業所における入職者、離職者等について入職及び離職に関する事情等を調査し、労働力の移動の実態を明らかにすることを目的とし、年2回実施している。

事業所における入職・離職の状況(入職者数、離職者数、入職率、離職率等)、入職経路、前職に関する事項、離職理由、等を把握することができる。

賃金構造基本統計調査 厚生労働省 我が国の賃金構造の実態を明らかにするため、毎年6月分の賃金等について実施している調査。主要産業に雇用される常用労働者について、その賃金の実態を労働者の雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数別等を明らかにすることを目的としている。労働者の雇用形態、就業形態、職種、性、学歴、経験年数別等の平均の賃金、労働時間、年齢、勤続年数等や新規学卒者の初任給等を把握することができる。
就労条件総合調査 厚生労働省 主要産業における企業の賃金制度、労働時間制度、労働費用、福祉施設・制度、退職給付制度、定年制等について総合的に調査し、我が国の民間企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的として実施している。

所定労働時間、週休制の状況、年間休日総数、年次有給休暇の取得状況、変形労働時間制の採用状況、諸手当、賃金制度の改定状況等を把握することができる。

毎年1回実施されているが調査項目の一部は数年周期で調査される。

賃金引上げ等の実態に関する調査 厚生労働省 民間企業(労働組合のない企業を含む。)における賃金・賞与の改定額、改定率、賃金・賞与の改定方法、改定に至るまでの経緯等を把握することを目的として年1回実施している。

賃金の改定の実施状況、改定時期、定期昇給、ベースアップの実施状況、1人平均賃金の改定額、1人平均賃金の改定率、賃金の改定方式や賃金の改定に当たり重視した要素等を把握することができる。

民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況 厚生労働省 労使交渉の実情を把握するため民間主要企業の春季賃上げ要求・妥結状況を集計したものである。民間主要企業の各年の春季交渉における要求額、妥結額、賃上げ率、要求提出時期、妥結時期等を把握することができる。

厚生労働省「主な統計資料」を基に筆者が作表

一般常識にはこのような膨大な資料が出題範囲として含まれるため、やはり社労士試験科目の最難関といわれてもおかしくありません。次章で紹介する直前対策のコツのひとつに「新教材を買わない」がありますが、一般常識対策だけは例外だといえるでしょう。特に対策が十分でなかった受験生には、一般常識の直前対策テキストは有効です。通信講座の直前対策講座に申し込むのもよいでしょう。

また、白書・統計資料からの出題は、雇用や経済の動向の最新知識を問うものですが、過去問で白書・統計データ関連問題を確認すると、出題傾向の把握や用語の学習に役立ちます。

(5)数字関係問題の対策

数字関係も、問題量が多いです。実際に、令和元年の社労士試験・選択式問題では、40問中22問が数字関係の問題でした。細かな数字の記憶は直前期がふさわしく、要件の確認についてもそうです。

出典:厚生労働省

 

上図は、数字問題である「雇用保険の基本手当の所定給付日数」と、要件問題である「基本手当を受ける要件」の抜粋です。失業の理由が会社都合か自己都合かと、被保険者期間、年齢区分で、所定給付日数が大きく違うことを表した資料ですが、こちらも頻出項目です。

数字に関してはもう暗記するしかありません。横断的に比較して覚える、ゴロ合わせで覚えるなど、何とか工夫して覚え込んでください。この作業はやはり、直前期におこなうのが適切でしょう。

3 直前対策を上手くおこなうコツ

これまで、社労士試験本番を控えた直前期に何を確認すべきかについて述べてまいりました。本章では、受験勉強の仕上げとして貴重な直前対策をより有効なものとするためのコツを紹介していきます。

(1)新しいことをしない

社労士試験の受験勉強は「やればやるほど不安になる」といわれることが多いです。膨大な試験範囲にまたがる78問を、高速で解いていくことを要求される難関国家試験なので、本番が近づくほど不安になるのは当然ですね。

しかし、この局面でやりがちな失敗が、新しいテキストや問題集に新たに手を付けてしまうことです。このおこないが多くの受験生の受験勉強を、ブレたものにさせてしまうのです。

前述したように、社労士試験は基本問題の出題範囲が7割といわれています。それにも関わらず、合格率は6%台という低い数字です。

この低い合格率には、社労士試験の出題範囲の広さや足切り程度が関係しているとともに、基本問題を完璧に仕上げることの難解さが関係しています。基本問題を中心に各科目の理解度を完璧にするという作業は意外と難しく、直前期になるほど不安に駆られて新しいものに手を広げてしまいがちです。しかし、これまで使ってきた教材であいまいな箇所を、徹底的につぶして完璧にする方が有効なのです。

「これまでの教材は覚えてしまったので、もうやることがない」 という人もいるでしょう。もしそうなら、合格間違いなしです。しかし実際はそんなに甘くはありません。

基本問題が7割である社労士試験の教材とは、得てして範囲が被っているものです。被っていないところは、いわゆる枝葉の問題だといえるでしょう。そのような重要性の低い箇所にとらわれていたら、時間がもったいないのです。

(2)よく間違える問題は書き出す

これも学生時代によくやった方法かもしれませんが、キーワードを書き出すのも良いでしょう。スマホ特化型の通信講座には、講義動画を見ながらマイ単語帳を作成できる機能を搭載したものもあります。もちろん紙ベースの単語帳でもいいので、自分の弱点を補う資料を自作してみましょう。

自分の苦手な箇所をまとめるようにすれば、広い出題範囲に翻弄されて穴だらけで本番を迎えなくて済みます。社労士試験前日や当日にも最終チェックができますので、是非苦手箇所をまとめておきましょう。

(3)目的条文を書き出す・音読する

法令の目的条文は、選択式の頻出箇所です。条文学習は専門用語の学習にもなり、繰り返し読むことで法令の理解を助けてくれます。是非、声に出して読んでみましょう。

声を出すというアウトプットは、学習効果だけでなくリフレッシュ効果も期待できます。記憶の定着にも効果的です。

4 直前対策におすすめの教材

これまで、仕上げである直前対策について紹介してきましたが、社労士通信講座の中にははじめから直前対策講座がセットになっているものもあります。また、本番の予測問題を、テクノロジーを用いて高確率で的中させている教材もあるので紹介していきます。

(1)資格スクエア「直前対策講座」

資格スクエアの【2020年向け】社労士合格パック(ロングプラン)は、合格に必要なことだけを、スマホやPCで効率的に「スリム学習」できる、一発合格を狙う講座です。教材は以下の3つの講座から成っています。

科目別基礎固め講座 入門講座(約10時間)+基礎講座(約100時間)+択一Web問題集
実践応用講座 選択式過去問対策講座(約10時間)+科目別問題演習
直前対策講座 直前対策講座(約20時間)+模試

直前対策講座は約20時間を要し、重要事項確認・改正法対策・一般常識対策を中心に解説する内容なので、安心して最後の仕上げに取り組むことができます。しかも、大手予備校や大学で、14年間にわたり受験指導してきたベテラン講師が講座を担当。「でるところ」を意識した直前対策講座となっています。

重要事項確認 主要7科目(労基、労災、雇用、徴収、健保、国年、厚年)の中で出題が予想される重要事項に的を絞り、本試験において応用レベルにも対応し、確実に得点するための押さえこみを行います。直前期の「すき間時間」「細切れ時間」を有効活用するために、重要事項ごとに回数を分け、1回当たりの時間を20分~40分程度としております。
改正法対策 「うかる!社労士 合格テキスト」に反映されていない改正事項を解説します。

(改正科目:労基・労災・雇用・徴収・労一・健保・国年・厚年・社一)

一般常識対策 労働経済(白書)・社会保険の沿革を中心に解説します。
講座詳細 講座名     直前対策講座

講座内容 約20時間

視聴期限 2020年8月末

担当講師 田口 愼哉

出典:資格スクエア

(2)資格スクエア「未来問」

もう一つ、直前期のおすすめの教材として、AIが高い的中率で問題を予測する「未来問」を紹介します。資格スクエアは、「AI(人工知能)」による資格試験の出題問題予測という、日本初の開発に着手してきました。その成果のほどが発表されるとメディアでも取り上げられ、大きな反響を呼びました。

第一弾は、2018年10月に実施された宅建試験の問題の予側でした。2,500人超が未来問を使って本試験を受験したところ、問題予測的中率はなんと78%でした。

第二弾では2019年5月に実施された司法試験予備試験・短答式試験の問題予測でした。同じく2,500人超が未来問を使って本試験を受験したところ、的中率60%と、両試験においてそれぞれ合格ラインをクリアしたのです。

未来問の作成は以下の通りです。

まず直近14年分の過去問題、社労士講座テキスト等を教師データとして、文章分類エンジンによって124カテゴリーに分類します。そのうえで、毎年度の出題傾向を学習した出題傾向予測エンジンで今年度の出題問題70問を予測します(年度によっては同一カテゴリーから複数問出題されるにも関わらず、カテゴリー的中率は64%超えを記録)。

そして今回、宅建、司法試験予備試験に続く第三弾として、社労士試験でも『未来問』を作成し皆様に無料で提供いたします。

社労士試験でも、2018年本試験を2017年までの実績をもとに予測したところ、カテゴリ的中率64%と合格ラインをクリアしております。

直前期の実力総チェック教材として、『未来問』を是非ご利用ください!

出典:資格スクエア

未来問は、現在希望者に無料で提供されており、資格スクエアホームページから申し込むことができます。

5 サマリー

これまでの学習の総仕上げともいえる社労士試験の直前対策について、イメージが湧きましたか?

来年初めての本試験を受験される方、既に受験しており来年リベンジを図りたい方にとっても、この記事が大切な直前期をどう過ごすかのヒントになれば幸いです。

6 まとめ

・社労士試験の直前対策は、同試験に足切りがあることからも、これまでの学習の総仕上げとして重要視して臨むべきである

・法改正や白書・統計データについての対策は、公表のタイミングからいっても直前対策でおこなった方が良い

・社労士試験の特徴として基本問題が全体の7割を占めることから、直前対策も難問・奇問にとらわれず基本問題の理解の徹底に努めるべきである

・過去問の焼き直しも多いため、過去問も多く解くこと

・公的機関発表の統計データは膨大な情報量だが、ニュースや新聞で情報収集しつつ、データと絡めた知識を得ると良い

・社労士試験講座には直前対策があらかじめセットになったものも。また、AIが出題問題を予測した「未来問」が希望者に無料提供されている

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