あなたは、社労士試験に出題される数字問題の対策として、「語呂合わせ」を活用していますか?
社労士試験に合格するためには、膨大な内容を理解し、キーワードを暗記しなければいけません。数字問題も多く出題される社労士試験ですが、この数字問題を制するためには、語呂合わせが非常に有効だと言われています。
社労士試験対策で語呂合わせを活用しないのは、もったいないといわざるを得ません。Amazonでも、語呂合わせに関するテキストが多く販売されていますね。
この記事では、社労士試験合格に役立つ秀逸な語呂合わせを、試験科目別に紹介していきます。
目次
1 労働基準法
使用者が規制の対象となる法律です。労働者を保護のため労働条件の最低基準を規定する数字問題が出題されます。
(1)年次有給休暇算出方法の「出勤した日」の規定
入社から6か月間継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤していれば、その労働者には、10労働日の年次有給休暇を付与しなければなりません。
出勤率は、以下の式で計算されます。分子の「出勤した日」の語呂合わせを紹介します。
出勤率= | 出勤した日(分子) |
全労働日(分母) |
年次有給休暇が付与される要件である、出勤率の算定に必要な、出勤した日(分子)の規定は、そのままでは覚えるのが難しいですね。ですので、語呂合わせで覚えましょう!
①遅刻又は早退した日
②業務上の傷病により療養のため休業した期間
③産前産後休業(労基法39⑧)
④介護休業または育児休業をした期間
⑤年次有給休暇を取得した日
⑥裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令を受けて会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日のように、労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日
遅刻?早退?
ぎょうさん買い行くねんと
言ったのは
就労を拒まれたため
出典:TAC出版 社労士語呂合わせ ※一部修正
(2)「割増賃金の基礎となる賃金」から除外できるもの
割増賃金の基礎となるのは、所定労働時間の労働に対して支払われる「1時間当たりの賃金額」です。
例えば月給制の場合、各種手当を含めた月給を、1か月の所定労働時間で割って、1時間当たりの賃金額を算出します。この時、以下の7つは労働と直接的な関係が薄いことと、個人的事情から支給されていることから、基礎となる賃金から除外することが可能なのです。
家族手当
通勤手当
別居手当
子女教育手
住宅手当
臨時に支払われた賃金
ちなみに私が社労士試験の時に覚えてたのは、割増賃金から除外可能な手当。これの頭文字を取って「かつべしじゅりい」と呪文のように唱えていました。
頭文字で、「かつべしじゅりい」と語呂合わせして覚えましょう。
(3)賃金の非常時払
労働基準法第25条 は、労働者が使用者に「賃金の非常時払」を請求できると定めています。
条文を引用すると、
使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。
また、労働基準法施行規則第9条は、以下のような、その他厚生労働省令で定める非常の場合、も請求が可能であると定めています。
①労働者の収入によって生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、又は災害を受けた場合
②労働者の収入によって生計を維持する者が結婚し、又は死亡した場合
③労働者の収入によって生計を維持する者がやむを得ない事由により1週間以上にわたって帰郷する場合
これを「限定列挙」と言います。すべて確実に記憶しておかなければなりませんが、 これも語呂あわせで記憶しましょう。
30(産・疾)歳(災)で結婚(結婚)式(死・帰)
つなげて「30歳で結婚式」と覚えましょう。
2 労働安全衛生法(安衛法)
特に危険な作業を必要とする機械等は、労働安全衛生法で「特定機械等」と位置づけられています。これらを設置している事業場は、検査証の有効期間切れに注意しなければなりません。特定機械等は7種類ありますが、これらを覚えるために、語呂合わせを活用しましょう。
下記は、特定機械等の名称のイニシャルです。このアルファベットを語呂合わせにします。
E エレベーター
B ボイラー
A 第1種圧力容器
G ゴンドラ
C クレーン、移動式クレーン
D デリック
L 建設用リフト
ちなみに、クレーンには以下の2種類があるので注意しましょう。
①つり上げ荷重3t以上のクレーン(スタッカー式クレーンは1t以上)
②つり上げ荷重3t以上の移動式クレーン
また、特定機械等の検査は、それぞれ次の危険性を回避するためにおこなわれます。
爆発する危険 | ①ボイラー(小型ボイラー等を除く)
②第1種圧力容器(小型圧力容器等を除く) |
転倒等の危険 | ③つり上げ荷量が3トン以上のクレーン
④つり上げ荷量が3トン以上の移動式クレーン ⑤つり上げ荷量が2トン以上のデレック |
落下等の危険 | ⑥載積荷量が1トン以上のエレベーター
⑦ガイドレールの高さが18メートル以上の建設用リフト ⑧ゴンドラ |
3 労働者災害補償保険法
業務災害、通勤災害を被った労働者に、国が保健給付をおこなうことを定めた法律です。給付の要件などの数字問題が出題されます。
(1)遺族(補償)給付日数
遺族(補償)年金の額は、「遺族の数」に応じて決定されます。遺族の数によって年金額(給付基礎日額の日数)が変わりますが、この日数も語呂合わせで覚えましょう。
遺族の数 | 年金額(給付基礎日額の日数) |
1人 | 153日分(55歳以上または障害状態にある妻の場合は175日分) |
2人 | 201日分 |
3人 | 223日分 |
4人以上 | 245日分 |
こちらも、頻出問題です。インパクトの強い語呂合わせで、しっかり覚えましょう。
4 雇用保険法
失業した労働者の所得保障を目的とした法律です。受給資格や給付内容などで、数字問題が多く出題されます。
(1)雇用保険 基本手当の所定給付日数
雇用保険の支給限度日数は、数字問題の中でも覚えにくい項目のひとつです。給付日数は、年齢や被保険者期間、離職理由によって違ってきます。
①一般の受給資格者(自己都合退職とか)
②就職困難者(障害者など)
③特定受給資格者(事業主都合の離職者等が該当)
①②はそれほど難しくありません。難しいのは③です。
いわゆる会社都合の失業者の場合です。この場合の基本手当の所定給付日数は、下表の通りになります。
被保険者
期間 1年未満 |
1年以上
5年未満 |
5年以上
10年未満 |
10年以上
20年未満 |
20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳以上
35歳未満 |
90日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上
45歳未満 |
90日 | 180日 | 240日 | 270日 | |
45歳以上
60歳未満 |
180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上
65歳未満 |
150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
上図は、規則性があるようでないので非常に覚えにくいのです。
年齢と算定基礎期間の区切りは覚えるしかありませんが、算定基礎期間であれば「イチゴごと20」(1-5、5-10、10-20、20-)という語呂合わせで覚えられます。
次に、30日を1単位として、このようにリライトします。
被保険者
期間 1年未満 |
1年以上
5年未満 |
5年以上
10年未満 |
10年以上
20年未満 |
20年以上 | |
30歳未満 | 3 | 3 | 4 | 6 | ー |
30歳以上
35歳未満 |
3 | 6 | 7 | 8 | |
35歳以上
45歳未満 |
3 | 6 | 8 | 9 | |
45歳以上
60歳未満 |
6 | 8 | 9 | 11 | |
60歳以上
65歳未満 |
5 | 6 | 7 | 8 |
一番左の「被保険者期間1年未満」は年齢に関わらず「3」で決定です。
他の数字は、このような語呂合わせで覚えていきます。
本番の社労士試験で基本手当の所定給付日数が出題されたら、一旦バーっとこの数字を書き出してしまうのも良いでしょう。その後に30を掛けて算出しなおせば、バッチリです。
5 労働保健の保険料の徴収等に関する法律
労災保険と雇用保険の保険料徴収について定めた法律です。
概算保険料は、「概算保険料の延納」といって分割納付が認められています。対して、確定保険料は延納制度はありません。
継続事業の場合は、「概算保険料の額が40万(労災保険、または雇用保険のどちらか一方の保険関係が成立している事業の場合は20万円)以上」であれば、事業主が申請すれば、3回に分けて分納が可能です。
納付期限 | 各期の区分 | |
第1期分 | 7/10 | 4/1~7/31 |
第2期分 | 10/31(※11/14) | 8/1~11/30 |
第3期分 | 1/31(※2/14) | 12/1~3/31 |
※()は、労働保険事務組合に労働保険事務処理の委託をしている場合の納期限
第1~3期の納付期限は、この語呂合わせで覚えましょう。
納豆(7/10)、父さん(10/31)、いざ(1/31)購入
労働保険事務組合に労働保険事務処理の委託をしている場合、2期3期においては納期限が14日ずつ後ろにズレる点も、あわせて覚えましょう。
6 労務管理その他の労働に関する一般常識
労基、安衛、労災、雇用、徴収以外の労働関係諸法令、労務管理および労働経済について、幅広く出題されます。
(1)継続雇用制度の導入
平成25年4月1日からは、希望者は全員、高年齢者継続雇用制度の対象となることになりました。
出典:厚生労働省
ただし、平成25年3月31日までに、既に労使協定により継続雇用の対象者を限定する基準を設けている事業主には、その基準を引き続き利用できる12年間の経過措置が設けられます。
この12年間とは、平成25年4月1日から、平成37年4月1日です。
以下はこの期間を覚えるための語呂合わせです。
都合よい(25.4.1)、皆よい(37.4.1)継続雇用
出典:TAC出版 社労士語呂合わせ
(2)障害者雇用納付金の徴収
障害者雇用納付金の徴収は、労働者の人数に関わらず、平成32年4月から50,000円になります。それまでの間は、労働者の人数が101~200人の場合は40,000円で、100人以下の場合は徴収はありません。
労働者が201人を超える場合のみ50,000円を納付しなければなりません。
常時雇用している労働者数が100人を超える障害者雇用率(2.2%)未達成の事業主は、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金を納付しなければならないこととされています。
常時雇用している労働者数が100人を超え200人以下の事業主については、平成27年4月1日から平成32年3月31日まで障害者雇用納付金の減額特例(不足する障害者1人につき月額「50,000円」を「40,000円」に減額)が適用されます。
これを覚えるための語呂合わせを紹介します。
徴収されると不満言う(201)、傲慢社長(5万)
出典:TAC出版 社労士語呂合わせ
(3)障害者雇用調整金の支給
常時雇用している労働者数が100人を超える事業主で障害者雇用率(2.2%)を超えて障害者を雇用している事業主には、その超える数1人につき、月額27,000円が支給されます。
これを「障害者雇用調整金の支給」といいますが、支給額などを覚えるための語呂合わせはこちらです。
不慣れ(27,000)ながらも、人を一(101)人でも多く採用する社長には支給する
出典:TAC出版 社労士語呂合わせ
7 社会保険に関する一般常識
改正が多い医療保険や年金の制度は、沿革についてよく出題されます。年月日といった数字こそ、語呂合わせで覚えてしまいましょう。
(1)医療保険の沿革
①健保法の制定(大正11年制定、昭和2年施行)
健保に入れるなんて、大将いい(大正11)にぁー(2)
・
②国保法の制定(昭和13年制定、同年施行)
漁火(13)ともして国保加入
・
③船員保険法の制定(昭和14年制定、昭和15年施行)
船長一人酔(14)っぱらっても、行こう(15)と船出した
・
④老人保健法の制定(昭和57年制定、昭和58年施行)
75歳が、逆立ちしたら57
※老人医療の受給対象者の年齢は、平成14年の改正で、段階的に75歳に引き上げられた。
・
⑤介護保険法の制定(平成12年4月1日施行、平成9年制定)
いつ(12)も良い介護(くぁいご)(419)であれと願い、制定した
・
⑥高齢者の医療の確保に関する法律(平成20年4月1日施行)
庭師(204)のい(1)っちゃん、後期高齢者デビュー
・
⑦全国健康保険協会の設立(政府管掌健康保険の公法人化)(平成20年10月1日施行)
協会へ連れてい(2、0、10、1)くよ
(2)年金の沿革
①厚生年金保険法の成立(昭和17年6月老年法施行、昭和19年10月厚年法へ改称)
いな(17)い?労(6)働者年金に入る人!と呼びかけると、
いく(19)らでもいま(10)すと後年(厚年)になり人増えた
②国民年金法の制定等
(昭和34年4月国民年金法制定)
見知(34)らぬ市(4)民に国民年金
・
(昭和34年11月無拠出制開始)
見知(34)らぬ人々(11)に福祉年金
・
(昭和36年4月拠出制年金【国民皆年金】開始)
見ろよ(364)!皆が保険料納めてる
・
③基礎年金番号の実施(平成9年1月から実施)
基礎年金番号制度の実施に悔い(91)はない
・
④3共済の厚生年金への統合(平成9年4月統合)
苦し(94)い共済を、厚年へ統合
・
⑤農林漁業団体職員共済組合の厚生年金への統合(平成14年4月統合)
もう一度より(14)を戻そうよ(4)、厚年と
・
⑥日本年金機構の設立(平成22年1月1日設立)
続(22)ける一人一人(11)の、記録を守る年金機構
・
⑦確定拠出年金法の施行(平成13年10月施行)
いざと(1、3、10)なれば、自己責任の確定拠出
・
⑧確定給付企業年金法の施行(平成14年4月施行)
会社(かいし【14】ゃ)がし(4)っかり約束!確定給付
出典:TAC出版 社労士語呂合わせ
8 健康保険法
業務災害以外の病気やケガについても保健給付について定めた法律です。
入院時生活療養費の額は、生活療養に要する平均的な費用の額を勘案して算定した額から、平均的な家計における食費及び光熱水費の状況等を勘案して厚生労働大臣が定める「生活療養標準負担額」を控除した額となっています。
区分 | 食費〈1食につき〉 | 居住費
〈1日につき〉 |
|
課税世帯 | 医療区分Ⅰ
(Ⅱ・Ⅲ以外の方) |
460円(420円)※2 | 370円 |
医療区分Ⅱ・Ⅲ
(医療の必要性の高い方) |
460円 | ||
難病患者等 | 260円 | 0円 | |
低所得者Ⅱ(住民税非課税世帯) | 210円 | 370円 | |
低所得者Ⅰ(年金収入80万円以下等) | 130円 | 370円 |
※2 管理栄養士等を配置していない保険医療機関に入院している場合は420円です。
出典:全国健康保険協会
生活療養標準負担額 は、この語呂合わせで覚えましょう。
新郎(46)新婦(42)通院(21)の意味(13)はさあな(37)
難病患者等の260円は別個に覚えましょう。
出典:社労士語呂合わせと覚え方: 生活療養標準負担額 ※一部修正
9 厚生年金保険法
老齢基礎年金の受給資格期間は、公的年金の発展過程を考慮した「経過措置」が取られており、25年よりも短いものとする特例が3つ設けられています。
以下は、厚生年金保険の中高齢者の特例です。
生年月日 | 資格期間 |
~昭和22年4月1日 | 15年(180月) |
昭和22年4月2日~昭和23年4月1日 | 16年(192月) |
昭和23年4月2日~昭和24年4月1日 | 17年(204月) |
昭和24年4月2日~昭和25年4月1日 | 18年(216月) |
昭和25年4月2日~昭和26年4月1日 | 19年(228月) |
始めと終わりの年月日を、このように語呂合わせで覚えてしまいましょう。資格期間は、1年ごとに12か月増えるだけですので、覚えやすいですね。
10 国民年金法
国民年金保険料の「申請免除」の免除規定の数字も、覚えにくいものです。5種類の免除に関する数字問題は、語呂合わせで覚えましょう。
①全額免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
②4分の3免除
78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
③学生納付特例制度(申請者本人のみ)
118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
④半額免除
118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
⑤4分の1免除
158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
産後(35)の夫婦(22)那覇(78)でサンバ(38)良いや(118)行こうや(158)
11 サマリー
いかがでしたか?
これまで紹介した語呂合わせは、あなたの社労士試験合格に役立ちそうですか?
まずは出題内容をよく理解して、語呂合わせで重要部分の暗記を補いましょう。
12 まとめ
・年次有給休暇算出方法の「出勤した日」の規定は「遅刻?早退?ぎょうさん買い行くねんと言ったのは就労を拒まれたため」の語呂合わせで覚える
・「割増賃金の基礎となる賃金」から除外できるものは「かつべしじゅりい」と覚える
・賃金の非常時払は、「30歳で結婚式」と覚える
・特定機械等の7種類は、「いい(E)バッグ(B・A・G)は1年、クリスチャンディオール(C・D)は2年、ルイ・ビトン(L)はずっと使える」と覚える
・「概算保険料の延納」3回の納付期限は、「納豆(7/10)父さん(10/31)いざ(1/31)購入」と覚える
・高齢者継続雇用の12年間の経過措置は「都合よい(25.4.1)皆よい(37.4.1)継続雇用」と覚える