社労士・司法書士を徹底比較!~業務内容・試験の難易度・ダブルライセンスについて

社労士・司法書士を徹底比較!~業務内容・試験の難易度・ダブルライセンスについて

法律系の国家資格として知られている、司法書士と社会保険労務士。実は、非常に相性の良い資格であることをご存じでしょうか。しかし、両資格を合わせて保持している人はごくわずかなのです。

本記事では、社労士と司法書士、それぞれについて、これから資格取得に挑戦しようと考えている方のために解説していきます。

1. 社労士(社会保険労務士)とは

社労士の正式名称は、社会保険労務士です。社労士は労務管理のスペシャリストで、労働保険や社会保険に関する手続きを主に行っています。会社の経営上欠かせない、人事、労務、給与計算など、ヒト・モノ・カネの資本に関する専門家として、手続きや管理などの全般を担うことができます。また、厚生労働省へ申請する助成金の手続きも行うことができます。

(1)社労士の主な仕事

就業規則や社会保険などの手続きに関する書類の作成・提出業務は、社労士にしか行うことを許されていない「独占業務」です。これらの仕事に対して、たとえ士業であっても他資格の保持者が報酬を得て行うことは禁止されています。

社労士試験に合格して一般企業に勤める場合は、人事・労務部門に配属されます。総務や経理などとも連携して給与計算や就業規則に関する業務のほか、労働トラブルや各種助成金の対応といった業務を担当します。

社会保険労務士事務所に就職する場合は、顧客企業の給与計算や就業規則の作成はもちろんのこと、雇用や各種助成金に関するコンサルティング業務を行います。

(2)社労士の資格難易度

社労士の試験は、毎年8月下旬の日曜に実施されている、年に1回しかない国家試験です。択一式試験と選択式試験で構成されており、合格率は約3~9%と幅がありますが、難易度の高い試験です。

試験科目

試験科目は多く、労働関係科目の分野からは「労働基準法、労働安全衛生法、労働災害補償保険保険法、雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律、労務管理その他の労働に関する一般常識」、社会保険関係科目の分野からは「健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法、社会保険に関する一般常識」に関して出題されます。

合格基準点

1つ1つに合格基準点(足きり点)が設けられます。それをクリアしなければ、全体として合格点に達していたとしても、不合格になってしまいます。全ての科目について苦手意識を持たず、網羅的に勉強しなければなりません。

この合格基準点は、毎年同じというわけではありません。参考までに、第50回(平成30年度)社会保険労務士試験の合格基準は、選択式は、40点中23点以上で、各科目3点以上(ただし、社会保険に関する一般常識と国民年金法は2点以上)、択一式は、70点中45点以上で、各科目4点以上が合格でした。

合格者が受験者の上位約3~9%であるという点においては、相対評価的試験だと考えられるでしょう。

2. 司法書士とは

司法書士といえば「登記」でしょう。一番イメージしやすいのは、住宅を購入した際に行う不動産登記ではないでしょうか。他に商業登記なども含め、法務局への手続きを代行するスペシャリストです。

(1)司法書士の主な仕事

不動産登記・商業登記・供託の手続きの代理をすることができます。これは司法書士の独占業務です。会社を興す際や不動産の所有者となる際に、本人に代わって手続きをすることができます。

また、裁判所・検察庁・法務局への提出書類の作成や法律相談も行うことができます。司法書士が対応できる分野において訴訟事案が発生した際に、依頼人からの聞き取りや相談、また実際に裁判を行うために必要となる裁判所や検察庁への提出書類の作成及び申請をすることが可能です。これらは司法書士と弁護士にのみ認められた業務です。

最近では、相続の相談を受ける司法書士がとても増えています。誰かが亡くなって相続が発生すると、亡くなった方の不動産などの登記変更が必要になります。相続の相談を受けた際には、相続関係図という、いわゆる家系の一覧図を作成します。そこで法律的な観点から話を整え、登記変更する流れをつくるのです。ちなみに、こういった相続にまつわるルールは、試験科目の「民法」に含まれます。

(2)司法書士の資格難易度

司法書士試験は、7月上旬の日曜日に、まずは1次試験が実施されます。午前に択一式、午後に筆記試験があります。筆記試験は非常に実務的な問題です。1次試験に合格した場合、10月上旬の日曜日に実施される口述試験に挑むことができます。口述試験は、1次試験とは異なり、比較的合格しやすいとされています。

受験者層

司法書士試験の合格率は約2%と難易度が高いこともあり、司法試験の受験経験者、受験のために退職した人など、受験に専念している人が多く見受けられます。仕事をしながら合格を目指す受験者が多い社労士試験と比較すると、明らかに受験者の質が違うのです。つまり、それほどの難関試験であるという認識が求められます。

試験科目

司法書士試験の科目としては「民法、商法、不動産登記法、商業登記法、憲法、刑法、供託法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、司法書士法」から出題されます。司法試験と重なる分野もあるため、司法試験の受験経験者が司法書士試験を受験する理由となっています。

3. 社労士・司法書士の比較

社労士も司法書士も難易度の高い国家資格ですが、難易度には差があることがわかりました。では、実際に勉強を始めて資格を取得し、仕事をしていく上では、どのような違いがあるのでしょうか。以下、詳しく見てきましょう。

(1)社労士と司法書士の受験勉強

社労士の場合、例えば企業内で関連の仕事をしながら資格を取得したいと考えたとき、資格の勉強をしていく中で、仕事で触れてきた関連キーワードがたくさんでてきます。身近なものとして勉強しやすいのがポイントのひとつではないでしょうか。

司法書士の場合は、仕事をしながら受験勉強をしようと決めたら、プライベートな時間は1年~1年半ほど取れなくなることを覚悟しなければなりません。難易度が高いだけあって勉強に時間はかかりますが、合格を目指す価値は十分あるといえるでしょう。

(2)社労士と司法書士の需要

社労士と司法書士は、いずれも人手不足が起こっているため、どちらの資格を取得しても仕事には事欠きません。

総務・経理・人事などとして仕事をしたことのある人であれば、社労士の需要が高いことは理解できるでしょう。資格取得後も、今までの経験を十分に活かせるはずです。

司法書士も同様に、需要が高いことで知られています。他の士業(弁護士、税理士、社労士、行政書士など)から必要とされるケースも多いのが司法書士の仕事の特徴です。

4. 社労士・司法書士の登録

士業の資格はいずれも、合格しただけでは肩書きとして名乗ることはできません。必ず、所定の組織や協会へ登録を行う必要があります。ここからは社労士、司法書士、それぞれの登録方法について見ていきましょう。

(1)社労士の登録

社労士として登録するためには、都道府県ごとに設置されている社労士会への入会が必要です。

登録のためには、所定の実務経験が2年以上必要です。しかし、実務経験がなかったとしても、合格者対象の「労働社会保険諸法令関係事務指定講習」を受講することで、実務経験の2年に代わる要件を満たすことができます。この講習を経て社労士登録を行う場合には、最短で合格の翌年の夏~秋頃の登録が可能となります。

(2)司法書士の登録

司法書士の登録をするためには、都道府県ごとに設置されている司法書士会への入会が必要となります。

申請が受理されると、登録面接が行われた後、日本司法書士会連合会で登録審査を受ける流れです。この審査に通ると、司法書士としての登録と司法書士会への入会が叶い、晴れて司法書士を名乗れることになります。

5. 社労士・司法書士のダブルライセンス

社労士と司法書士のダブルライセンスを持つ方は稀ですが、非常にニーズがあります。ここからは、ダブルライセンスを持つことのメリットなどについて解説します。

(1)ダブルライセンスの有用性

社労士と司法書士の業務は関連性が高いため、ダブルライセンスとして保持するには相性のいい資格だと考えられます。以下の2つの例を見てください。

例① 創業支援のケース

司法書士:株式会社設立の登記
社労士 :労働保険・社会保険の手続き、労務管理

例② 定年退職者対応のケース

社労士 :労働保険や社会保険の手続き、年金の試算、老後資金相談
司法書士:今後の遺産相続に関する相談、不動産の登記変更

通常は上記のように業務の引継ぎが行われますが、司法書士・社労士のダブルライセンス保持者であれば、これを一人で完結することが可能となります。当然、クライアントの安心にも繋がるわけです。

(2)試験の相性について

社労士試験と司法書士試験、どちらも受験することを考えた場合の勉強内容について、果たして相性は良いのでしょうか。

試験の科目はほぼ重なっていないため、必ずしも相性が良いとは言えないでしょう。しかし、どちらも同じ「法律」という枠組の中にあることは確かです。ダブルライセンスを目指すための勉強量・勉強時間ともに多くなりますが、時間をかけて取得する価値のある資格であることには違いありません。

6. サマリー

いかがでしたでしょうか。

司法書士、社労士とも、企業内での活躍だけでなく、独立開業も視野に入れられる資格です。業務上の関連性が高く、相性の良い資格であるため、ダブルライセンスを目指す価値も十分にあることがわかりました。

7. まとめ

・社労士も司法書士も難易度の高い資格である
・社労士は労務管理の専門家、司法書士は登記のスペシャリスト
・ダブルライセンスを持つ人は稀だが需要は高い

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