社労士試験対策の問題集に「一問一答」という形式の問題集があるのをご存知ですか。〇☓式のものが多いのですが、取り組んでみると、意外と解答の根拠を探すのが難しい問題集です。
社労士試験の出題形式は、ご存知の通り「選択式」「択一式」ですが、〇☓式の一問一答式の問題集は、効果的な学習法としてよく紹介されています。
この記事では、一問一答が効果的な学習方法である理由とともに、おすすめの一問一答4選を比較しながら紹介し、それぞれを詳しく解説していきます。
目次
1 社労士試験対策に一問一答がおすすめな理由とは?
ご存知の通り、社労士試験は「選択式」「択一式」で出題されるため、一問一答式は本番の出題形式とは異なりますが、なぜおすすめなのでしょうか。
(1)手軽に学習できる
一問一答式問題集は、基本的に〇☓で解答します。そして、解答後すぐに正誤判断と解説をチェックできる、見開きのものが多いです。
つまり、手軽に学習ができるため、社会人生活を送りながらスキマ時間を利用しながらでも、効果的な学習ができるのです。
(2)苦手分野を把握しやすい
一問一答は、まず正誤判断で、苦手分野と得意分野の仕分けができます。
次は「自信がある問題」と「よく分からない問題」「全く分からない問題」とに仕分けをしましょう。「全く分からない問題」→「よく分からない問題」の順に理解していけば、苦手分野の克服に繋がります。
広大な範囲が出題される社労士試験の対策は、この仕分け作業が上手くできるかが鍵となります
(3)おすすめの一問一答問題集は?
一問一答の問題集を、早速使ってみたくなりましたか?
それでは2020年社労士試験用に発売されたなかでもおすすめの一問一答を、下表で比較してみましょう。
ユーキャンの「これだけ!一問一答集」のみ1冊で完結されています。他のLEC、TAC、i.D.E社労士塾は、4冊シリーズになっています。
出版社 | 著書名 | 冊数 | シリーズ | 価格 | 発売日 |
ユーキャン | 2021年版 ユーキャンの社労士 これだけ!一問一答集 | 1 | なし | 2,090円 | 2020/11/06 |
LEC 東京 リーガルマインド |
2021年 出る順社労士シリーズ 一問一答 |
4 | ① 労基法/安衛法/労災法 | 1,430円 | 2020/08/07 |
② 雇用法/徴収法/労一般 | |||||
③ 健保法/国年法 | |||||
④ 厚年法/社一般 | |||||
TAC出版 | 2021年度版 よくわかる社労士 合格するための過去10年本試験問題集 |
4 | 1 労基・安衛・労災 | 1,540円 | 2020/09/24 |
2 雇用・徴収・労一 | 2020/10/10 | ||||
3 健保・社一 | |||||
4 国年・厚年 | |||||
i.D.E 社労士塾 |
2020年 条文順過去問題集 |
4 | NO.1(労基法・安衛法・労働一般) | 1,210円 | 2019/10/13 |
NO.2(労災法・雇用法・徴収法) | 1,320円 | 2019/11/10 | |||
NO.3(健保法・社会一般) | 1,210円 | 2019/12/01 | |||
NO.4(国年法・厚年法) | 1,320円 | 2019/12/15 |
既に申し上げましたが、一問一答を使うメリットの1つに「弱点の発掘」があります。解答したら、問題を「自信がある」「何となく分かる」「分からない」に仕分けをして、理解度の低い分野からつぶしていきましょう。
そうであれば、より細分化され出題されている問題集の方が、習得度を測る上で精度が高いことになります。
次章では、おすすめ4選の一問一答の特長についてまとめていきます。
2 社労士試験対策 一問一答集のおすすめ4選をご紹介
(1)2021年版 ユーキャンの社労士 これだけ!一問一答集【赤シートつき&要点まとめつき】
出典:ユーキャン
ユーキャンの一問一答は、1冊で完結します。しかし、「難関試験の合格ラインを超える力を手に入れる!」と謳っている通り、基礎力の育成には十分役立ちます。
出題形式:〇☓式
問題数:777問
サイズ:新書サイズ
新書サイズで、見開きで問題と解答・解説の両方が確認できるため、通勤中の電車の中でも内容の濃い学習ができます。
「択一式の勉強で点数が取れるようになったら、一問一答をやったほうがよい」というレビューがありました。まさにその段階に達したらおすすめの一冊といえます。
付録には赤シートがついています。学生時代に受験勉強で利用した方も多いでしょう。
選択式・択一式ともに対策でき、すべての問題に出典と重要度が付記されています。姉妹書である問題集「速習レッスン」へのリンクが付いているので、関連させて効率的に学習することができます。
①メリット
ユーキャンの一問一答のメリットは、何といっても1冊にコンパクトにまとめられている点でしょう。
また、見開きで問題と解答・解説が一覧できるため、勉強の時間と場所を選びません。解答・解説だけでなく、ちゃんと《POINTマスター》で頻出箇所をまとめています。
②デメリット
試験勉強が進んで理解度が深まってくると、本書では物足りなくなるでしょう。そういう場合は、何冊かにシリーズ化された一問一答に移行するようにしましょう。
(2)2021年出る順社労士シリーズ 一問一答 LEC東京リーガルマインド
本書は、人気の問題集「2019年版出る順社労士ウォーク問 一問一答過去問BOOKポケット」を、2021年社労士試験向けに改訂、改題したものです。
社労士試験の択一式過去問を、10年分にわたって一問一答形式で科目別・項目別に編集してあります。試験範囲の10科目が以下のように4冊に分かれていますが、それぞれ400ページ以上のボリュームがあるため、習得度を細かくチェックできます。
① 労基法/安衛法/労災法
② 雇用法/徴収法/労一般
③ 健保法/国年法
④ 厚年法/社一般
LECは、過去問をベースとした正確な知識の習得は有効であると述べ、過去問対策は、いまも昔も社労士試験合格への「王道」であると断言しています。一問一答形式で択一式の過去問対策をすると、根拠(正誤の理由)をきちんと押さえることができるため、効率的な知識の定着化ができると説明しています。
本試験と同一の「5肢択一形式」の対策には、LECの「出る順社労士 必修過去問題集」を活用しましょう。5肢のなかから相対的に正答を見つけていくことになるため、そのための訓練も必要だからです。
LECは、過去問対策のフローとして、まず本書で知識のチェックをおこなってから「出る順社労士 必修過去問題集」で本番さながらの実戦感覚を磨くという方法ををすすめています。
また、大手資格学校の出版だけあって、掲載されている資料の価値も高いです。
上図は、労働基準法の過去10年間の出題項目を一覧表にしたものです。
■は選択式、●は択一式を示しています。
表とともに掲載された、LEC専任講師からのコメントには、「出題傾向はほぼ安定し、頻出項目は総則、労働契約、賃金、労働時間、時間外・休日労働及び年次有給休暇、就業規則である」と述べられています。また、近年出題の頻度が増えている通達や判例についても、目を通しておくべきというアドバイスが添えられています。
①メリット
10年分の過去問をベースとした一問一答が編集され、かつ項目別に並び替えてあるので、整理された学習をすすめることができます。一問一答は、どの分野の正答率が低いのか分かりやすいので弱点を探しやすいため、効率的な試験対策ができます。
②デメリット
本書が、LECの過去問問題集「出る順社労士 必修基本書」とリンクしていることは既に申し上げました。しかし、本書のレビューには、「『出る順社労士 必修基本書』とのリンク先に解説が掲載されていない箇所があるため、違う教材で解説を探さないといけない」という、気になるコメントがありました。また、本書の解説そのものは、割とあっさりしているとのことです。
それらの点を除けば、内容の充実した一問一答集であるといえるでしょう。
(3)2021年度版 よくわかる社労士 合格するための過去10年本試験問題集 TAC出版
出典:TAC出版
本書は、TAC社労士講座「上級本科生」での使用教材です。
TACの「よくわかる社労士シリーズ」の過去問題集であり、テキストに完全準拠しています。ボリュームもたっぷりで、一問一答の出題範囲は、以下の通り4冊に分割されています。
1 労基・安衛・労災
2 雇用・徴収・労一
3 健保・社一
4 国年・厚年
特長としては、まず他社の一問一答に引けを取らない、下記の内容が挙げられます。
・科目別・項目別に一問一答形式で解ける
・10年分の過去問を網羅的に掲載
・同シリーズの「よく分かる社労士合格テキスト」とセットで使うとより学習効果が上がる
また本書に関する、高評価レビューも見つかりました。
基本テキストと過去問10年の繰り返しが合格への近道です。
過去問題集はこれがベスト出典:Amazon
過去問の各選択肢を分野別に一問一答式として編集した問題集です。
一問一答式をこなすと同時に過去問演習を10年分も出来るのですから一石二鳥です。
一問一答式の過去問集はこれ以外にもあるのですが、過去問集の中で「よくわかる社労士合格するための過去10年本試験問題集」が最初に出版されたので、これを選びました。
本書は資料としての価値も高く、冒頭には労働基準法の択一式出題ランキングも載っていました。引用すると、以下のようになります。
1位:就業規則(34問)
2位:賃金の支払い(33問)
3位:労働契約の終了(33問)
①メリット
本書は〇☓式の一問一答問題集ですが、正誤の解説が実に詳細です。答えがなぜ〇で、なぜ×なのかを、学習者の納得がいくように解説されています。
「過去問は解説の充実度で選ばれるものです。本書の解説は、的を射た的確な解説!」とTACが謳う通り、本書の一問一答は、周辺知識の確認もできる詳細な解説となっています。
また「プラス3マーク」や「難問マーク」などのアイコンが、多数活用されています。これにより、まずは7年分マスター、その次はプラス3マークをマスターといったように、アイコンが効率的な学習を導いてくれます。
過去問の番号で掲載ページが検索できる「過去問索引」という便利機能も備えています。
②デメリット
出版されたばかりであるためか、ネガティブなレビューは一切ありませんでした。
(4)2020年 条文順過去問題集 i.D.E社労士塾
出典:i.D.E社労士塾
i.D.E社労士塾は、社労士試験に特化しためずらしい資格学校です。教室は東京・高田馬場にしかありませんが、通信教育をおこなっており、その指導の質の高さから近年注目の学校です。
i.D.E社労士塾の一問一答は、2020年受験対策の過去問題集で、全4巻のシリーズで構成されています。
第1巻:労基法・安衛法・労働一般
第2巻:労災法・雇用保険・労働保険徴収法
第3巻:健康保険・社会一般
第4巻:国民年金・厚生年金
サイズ:A5版
内容:過去7年間の本試験問題(択一式)を条文順に並び替えた一問一答形式
構成:見開き(問題と解答解説という配置)
選択式問題に関しては、直近の本試験問題から年度別に編集してあるとのことです。
しかし、近年新たな出題傾向として注目の、組合せ問題や個数問題、テーマ問題は、出題形式のままで編集してあります。
5肢択一形式の場合、選択肢から選ぶだけという出題の性格上、問題集を解いても学習がおろそかになりがちですが、本書は「暗記でなく、内容を理解しているか」という観点から確認作業をおこなうことができます。
また、類似問題にも対応できる詳しい解答解説も提供されています。
①メリット
i.D.E社労士塾の創設者和幸井出先生の解説には、非常に詳しいと定評があります。例として、2015年版ではありますが本書を活用して社労士試験に合格したという高評価を見つけましたので、引用します。
しかし、特筆すべきは、その解答解説です。TACにありがちな「設問の通り正しい。」で解説が終わっている問題がほとんどないんです。さすがは井出先生ですね。「過去問ならコレ」 と断言できるくらいおススメのシリーズです。(中略)IDE塾の過去問が自分への自信と本番や模擬試験の点数につながった感覚があります。
このレビューでお分かりのように、i.D.E社労士塾の解説はとても詳細で秀逸です。そして、井出講師の解説によって、実際に合格に繋がったという感覚を、生徒(読者)が持っている点が素晴らしいです。
②デメリット
上記で引用した高評価のレビュワーは、本書のデメリットに当たる部分にも言及しています。
ただし、解説が詳しい分、ボリュームはありますので、この5冊を攻略するには、かなりの覚悟が必要です。
実にその通りで、i.D.E社労士塾の一問一答は、4冊とも300~400ページ程のボリュームがあります。
社労士試験対策のコツは、得意科目を作ることではなく、全てを広く浅くやることですよね。それを考えると、本書を終わらせる覚悟がないと、手を付けても無駄になってしまうかもしれません。
3 一問一答に匹敵!「社労士アプリ」で効率学習
そんな一問一答の問題集に匹敵するのが、資格スクエアの「社労士試験問題集」スマホアプリです。
このアプリでは、一問一答方式の「◯か×か」の二択ではなく、「もちろん◯」「たぶん◯」「たぶん×」「もちろん×」の四択から解答します。
資格スクエアの問題演習機能は、脳科学を利用した独自のアルゴリズムにより、個人の理解度に合わせて問題が提示されるため、自分の理解度に沿った復習が可能になります。
もちろんスマホアプリであるため、片手でらくらく操作できるのが特徴です。移動中や待ち時間に、いつでもどこでも、スキマ時間を利用してアウトプットを重ねましょう!
4 サマリー
いかがでしたか? 一問一答の問題集を、始めてみたくなりましたか?
一問一答は、自らの学習の弱点を知るためにも有効な学習方法です。冒頭で紹介した苦手科目の仕分けを、ぜひ一問一答でおこなってみましょう。そうすれば、苦手分野から克服していくことができます。
この記事が、あなたにあった一問一答を探すための一助になれば幸いです。
5 まとめ
・苦手分野を把握するには、一問一答の問題集を活用するのがおすすめ
・苦手分野を「良く分からない問題」「全く分からない問題」とに仕分け、「全く分からない問題」→「良く分からない問題」の順に理解していく
・ユーキャンの一問一答はシリーズ化されておらず一冊完結型だが、勉強時間がない人の基礎力片目に適している
・LECの一問一答は、「出る順社労士 必修過去問題集」に準拠している
・TACの一問一答も「合格テキスト」に準拠しており、セットで使うとベストの勉強法になるという高評価がある
・i.D.E社労士塾の一問一答は解説が詳細で評判が高い。ボリュームは多いが正答の根拠がしっかり解説されている
・資格スクエアの「社労士試験問題集」スマホアプリは、一問一答に匹敵する効率的な学習が可能