政府も推奨。働き方改革の一環、テレワーク全般に関して解説

政府も推奨。働き方改革の一環、テレワーク全般に関して解説

最近、「働き方改革」という言葉をよく耳にすると思います。2019年度から時間外労働時間に罰則付きの上限を設けたり、年次有休休暇の5日取得を義務づける取り組みが始まっています。これに見られるように、現代において多種多様な働き方が多くの企業や労働者にとって必要になっています。働き方を限定してしまうことで、様々な問題が生まれる以上、企業も労働者もより柔軟な働き方を考える時代にあります。その背景にあるのは、例えば

1.介護離職の問題
2.時間や場所に囚われない考え方
3.私生活にもう少しゆとりを持ちたい

といった要因が考えられます。働き方改革は、こうした問題に直面したり理想を叶えたいと思っている企業や個人に対して、より有用に機能していくことでしょう。
なぜなら政府もネットや IT などを活用して会社外でも柔軟に働くことができる取り組みとして、例えば「テレワーク」の導入を推奨しているからです。現在は「ワークライフバランス」といって仕事と私生活との調和を保つことが、特にサービス業や接客業などではなかなか難しい面もあります。

1.会社だけでなく、自宅でも仕事したい
2・例えば親の介護を専属でしたいけど、そのために離職はできない

といった考えを持っている人は、テレワークに関して色々と知ってみたいとお思いではないでしょうか。そこで、この記事では、これからの働き方を見直したいという人のために、現在注目を集めているテレワークの概要について、様々な情報をお伝えしていきます。

1. テレワークとは?

では、そもそもテレワークとはどのようなものなのでしょうか。まずはその全体像についてご説明します。
テレワークとは、離れた場所を意味する「テレ」と労働・仕事を意味する「ワーク」を合わせた造語です。その名の通り、企業など1つの場所で働くのではなく、自宅や他の就業場所といった、別の場所でも働くことができるようにすることが目的です。
IT 技術や AI が急速に発達してきた昨今、もはや時間や場所に囚われず、自分の生活スタイルに合った働き方をするのが当たり前な世の中になってきています。
何よりも、ネット環境があれば自分のスキルや知識を活かして、パソコン上での仕事が容易にできる時代です。テレワークもネット環境があれば、場所や時間の制約を受けずに仕事ができるよう導入された1つの制度です。この制度を利用することは、労働者にとっては

1. 仕事と私生活の調和を図ったり、より効率の良い仕事ができる
2. 柔軟な働き方で仕事へのモチベーションが高まる
3. 通勤の手間や時間が省ける

という面で期待値が大きいものですが、企業側にとっても導入する意味は大きくあります。

例えば

1. 介護離職が少なくなり雇用継続にも繋がる
2. 労働生産性の向上の期待
3. 災害などの非常時にも対応可能

といった面で効果的です。
このように、テレワークを導入することは、労使双方にとってメリットがあることが多いことが分かるでしょう。

ではまず、その種類に関して見ていきましょう。
テレワークには大きく3つの種類があり

1.在宅勤務
2.モバイルワーク
3.サテライトオフィス勤務

という3つの型に分けられます。

1. 在宅勤務

在宅勤務とは、1日中自宅で勤務する形態です。会社にも出社する必要は無く、終日自宅で仕事をすることができます。会社に出社する必要がなく、自宅で仕事ができるため、通勤時間も省くことができ、時間も確保できます。自由度がとても高い働き方と言えます。親の介護や子の看護といった、仕事を休まざるを得なかったり、場合によっては退職せざるを得なかったりするリスクが激減します。

2. モバイルワーク

モバイルワークとは、例えば営業職の人間が外回りをしている場合、その移動時間中にパソコンで仕事をしたり、得意先やカフェなどに立ち寄って仕事をするタイプのものです。今の時代スマホやパソコンを持ち歩いて仕事をするのは当たり前です。仕事を外でできるのであれば、職場に戻って仕事する割合も減り、作業効率のアップや、ひいてはワークライフバランスの実現にも繋がります。

3. サテライトオフィス勤務

サテライトオフィス勤務とは、通常務める会社のオフィスとは別の異なるオフィスなどに勤務して、そこを仕事場所にする型です。施設利用型勤務とも呼ばれます。例えば、社員の自宅近くにグループ会社や支店などがある場合、本来の就業場所でなく、そこに立ち寄り仕事をすることができます。これも更に専用型と共用型2つの型に分けることができます。

専用型

グループ会社も含めた自社限定で利用する型です。全く別の場所にテレワークスペースそのものを設置するパターンと、既存のオフィス内にスペースを設けるパターンがあります。

共用型

コワーキングスペースとも呼ばれ、あらゆる企業や人が共同で利用するスペースのことです。複数の企業や個人で共同して使用するため、異業種間の交流の場としても利用できます。ノマドワーカーがよく仕事をするスペースとして利用したりもします。
テレワークはまだまだ一般的に導入されているものではありませんが、主に研究開発職やデザイン職、システムエンジニアといった専門性の高い職種を対象に、より幅広い導入が想定されています。
また、介護や育児のため退職せざるを得ない状況が少なくないのも大きな問題です。そのような人たちが安心して、ゆとりをもって介護や育児ができるサポートとしてもテレワークは大きな意味を持ちます。

2. テレワークのデメリット

テレワーカーを導入し、実践していくことは、当然メリットばかりではありません。相応のデメリットもあります。どのようなデメリッ トがあるのか、テレワーカー側とメインオフィス側から見ていきます。

・テレワーカー側

テレワークをすることのデメリットとしては

1. 自己管理や私生活との区別が難しい
2. 使用機器が限定される

ということが挙げられます。

確かに比較的自由に動けたり、私生活における時間が確保できる側面はありますが、例えば在宅勤務の場合は、それによって仕事と私生活の区別がしにくくなったり、他の型でも自由度の高い動きができる分、かえって長時間労働になる可能性もあります。
また、自宅勤務の場合は特にそうですが、使用機器がパソコンやスマホに限定されてしまします。社内に居れば専用機器を使えたり、会社でしか見られない・起動できないソフトなどもあるでしょう。動き方や時間の面では自由度が高いですが、使用できる物が限定される側面はあります。

・メインオフィス側

メインオフィス側のデメリットとしては
1. テレワーカーの労務管理がそうでない者と比べ難しい
2・ 情報漏洩リスクが高まる
といったことが挙げられます。

テレワーカーは、当然本来のオフィスを離れて仕事をすることがほとんどなので、就業場所のオフィスでずっと仕事をする人に比べ、勤怠管理が難しくなり、労働時間の把握がしづらくなります。そして、本当に仕事をしているかどうかの判断も難しい面があります。これは、目の届く社内で仕事をする人と比べても、労務管理上の不公平感が生じる恐れはあります。
また、社外にパソコンなどのモバイル端末を持ち出すことにもなるので、その中に重要なデータや個人情報が入っていることも考えられます。これによって、それらの紛失や漏洩リスクにも繋がる可能性は否定できません。

・テレワークのデメリットをカバーするには

ではテレワークのデメリットはどのように補えばよいのでしょうか。その方法は

1. テレワークに関する研修や勉強会で知識をつけさせる
2. 勤怠管理を適切にし、社内勤務者との不平等をなくす
3. なるべく自宅勤務にならないよう、他の型を提供する

という対策が考えられます。

テレワークに関しては、まだそれほど導入や利用が一般化していなかったり、概要をあまり知らない人も少なくないので、どういうものであるかを理解するための研修や勉強会は行う必要があります。
また、労働時間の把握など、出退勤管理を徹底して行う必要もあります。離れた場所で就業するのが基本なので、長時間労働とそれに伴う残業代が無駄に生じない対策を取ることは労務管理上必須です。
そして、可能な限り自宅勤務を減らすことが有効です。モバイルワークとサテライト勤務の利用を推進すれば、労務管理もよりしやすくなりますし、自社専用の機器やソフトなども使いやすくなります。また、自宅勤務では仕事と私生活との区分けがしづらい面もあるので、メリハリをつけるという意味ではより有効でしょう。

3. テレワークに使われているIT技術

テレワークは、パソコンなどモバイル端末を用いて仕事をする性質上、様々なIT技術が利用されています。近年のIT技術の発展は目覚ましく、仕事の効率化や簡素化はもちろん、コミュニケーションや情報共有などの面においても今や多くの企業にとっては欠かせないツールです。
テレワークにはどのようなITが使われているのかを見ていきます。

1. ソフトウェア

例えばチャットといったツールを導入すれば、オフィス内で行われる会議であっても、パソコンがあって、チャット機能を利用することができれば、場所の制約は受けずに済みます。会議が行われる時間さえ把握しておけば、その時間に一斉にそのコミュニティに集まり、会議が可能になります。チャットワークが代表的です。

2. クラウド

クラウドは、インターネットさえ利用できる環境にあれば、例えば社内専用で使うソフトであっても、他のパソコンやスマホからそれが利用できることを可能にするものです。つまり、場所を選ばずにそのサービスやソフトを利用できるようにする技術です。クラウドファンディングやクラウドソーシングという言葉をよく耳にすることがあるかもしれませんが、こうしたサービスもクラウドの機能によって提供されているものです。

3. セキュリティ

オフィス外で仕事をするのが基本のテレワーカーにとって、個人情報や社内秘密といった、とても重要な情報をパソコンに入れて持ち歩くことも当然考えられます。こうした状況ではセキュリティも万全にしておく必要があります。暗号化する技術やシンクライアントといった、テレワーカー側に最低限の情報のみ持たせる技術を利用することが考えられます。

4、テレワーク導入にかかる助成金

助成金という言葉を聞いたことがあるかと思います。助成金とは、雇用保険に加入している株式会社などの企業が、一定の条件を満たすことで国から支給される支援金のようなものです。テレワークに関する以下3つの助成金に関して見ていきます。

1. 時間外労働等改善助成金

こちらの助成金は、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務に取り組む事業主に対して、国が費用を助成するものです。
対象となる事業主は、中小事業主であり、以下の要件をすべて満たすものです。

1.労働者災害補償保険の適用事業所であること
2.テレワークを新規で導入する事業主であること
3.時間外労働の制限その他の労働時間等の設定の改善を目的とし、テレワークの導入や実施に積極的に取り組む意志があり、成果が期待されること

小売    資本又は出資額→5000万以下  常時雇用労働者→50人以下
サービス  資本又は出資額→5000万以下  常時雇用労働者→100人以下
卸売り   資本又は出資額→1億以下   常時雇用労働者→100人以下
その他   資本又は出資額→3億以下   常時雇用労働者→300人以下

4.その事業主が
・テレワーク用通信機器の導入
・クラウドサービスの導入
・就業規則・労使協定等の作成・変更
・労務管理担当者や労働者に対する研修、周知・啓発
などの取り組みのうち、1つ以上を実施すること

これらの要件が必要になります。

そして、対象事業所は、例えば年次有給休暇の平均取得日数を前年に比べ4日増加させるなどの目標があり、それを達成することを目標にします。そして、それらの達成度合いや支給対象となる取り組みに要した諸費用に応じて支給額が決定されます。

2.テレワーク活用・働く女性応援助成金

こちらは、テレワークを導入する企業が、それを通して、働く女性の活躍を支援する助成金です。支給対象となるのは

1.テレワーク活用推進コース
2.女性活躍推進コース

の2つのコースがあります。

テレワーク活用推進コース

常時雇用する労働者が2名以上かつ999名以下で都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業などが対象です。

女性活躍推進コース

常時雇用する労働者が2名以上かつ300名以下で都内に本社または事業所をおく中小企業などが対象です。
それぞれ、テレワーク導入機器事業や女性の新規採用・職域拡大を目的とした設備等の整備の事業が対象となります。テレワーク機器導入に費やした費用やトイレやシャワー室、ベビールームなど、女性の活躍を推進するために要した費用が支給対象になります。

3.サテライトオフィス設置等補助事業

こちらは、テレワークの形態の1つであるサテライトオフィス勤務を増やすべく、オフィスの近くにサテライトオフィスを設置し、より働き方を柔軟にしていこうとする企業に対して支援する助成金です。
こちらは

・都内の市町村部にオフィスを設置すること
・複数の企業の労働者が利用できる共用型のサテライトオフィスであること
・ サテライトオフィスの仕様は以下の条件を基本として満たしていること
・サテライトオフィスの整備及び運営が一体となった事業計画を有すること

などが条件となります。市町村部にはまだまだサテライトオフィスが少なく、自宅の近くに設置する取り組みに比べると積極的ではないのが現状で、その取り組みに対する費用などを助成します。

5、テレワークに必要なセキュリティ対策とは?

テレワークには必要なセキュリティ対策があります。パソコン機器などを持ち出す以
上、常に情報漏洩や紛失リスクを伴います。それでは、具体的にどのようなセキュリティ対策があるのかを見ていきます。

テレワークのセキュリティ対策には主に

・マルウェア・ウィルス感染、不正アクセスを防止する(セキュリティ対策ソフトの利用など)
・通信を覗き見られないように対策する(SSLなどの暗号化通信の利用など)
・盗難時にデータが流出しないようにする(媒体内のデータの暗号化など
・端末からデータが流出しないようにする(クラウドサービスの利用など)

といった対策が考えられます。テレワークを行う以上、パソコンやスマホなどの機器そのものへのセキュリティは当然対策をする必要があります。

また、クラウドサービスのセキュリティ対策も基本的にはテレワークと同じような対策を講じればよいのですが、テレワークそのものへの対策以上に強固にする必要があります。テレワークはクラウドサービスを利用することで、更に利便性は増します。IT技術の発達によって場所を限定せず会議ができたり、会社専用のエクセルなどもクラウドによって他のパソコンで利用できるなど非常に便利です。それゆえに、よりセキュリティは強固なものでなければなりません。会議が盗聴されたり、個人情報や社内情報を乗っ取られる可能性も大いにあります。
こうしたリスクをどのような形で担保すればよいのでしょうか。それにはサイバー保険やテレワーク保険といった、専用の保険に加入することが有効です。このような保険を利用することで、個人情報の漏洩・紛失、外部からの攻撃といった様々なリスクに備えることができます。

サマリー

これまでテレワークに関して、様々なことを紹介してきました。テレワークはまだまだ導入している企業の方が少なく、多くの人に認識されているという訳でもありません。テレワークを導入することは、企業側にも労働者側にも多くの恩恵をもたらします。特にこれからの時代はより場所や時間に囚われない働き方が一般化していくことが予想されます。仕事と私生活のバランスや、人生設計をより豊かなものにしていくためには、働き方の抜本的な見直しや変革は欠かせなくなってくるでしょう。
一方、デメリットや個人情報漏洩といった危険性も伴います。そうしたマイナス面やリスクにも留意しながら、より多くの人がテレワークに対する認識を持って取り組んでいくことが求められます。便利な世の中である反面、あらゆる面で気をつけなければならないことがあるという自覚を持つことが大切です。
そして、テレワークをこれからより多くの企業や個人が利用し、双方にとってより働きやすく環境の良い職場が形成されていくことを望みます。

まとめ

・テレワークは働き方改革によって導入された、労働のあり方を見直す制度である。
・テレワークは介護や育児などによる離職を防ぎ、雇用継続に繋がる期待が高い。
・テレワークは柔軟性もある反面、企業側、労働者側にデメリットもある。
・テレワークには様々なIT技術が活用されている。
・テレワークを導入することで企業側も様々な助成金を受けられるメリットがある。

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