社労士になるためにクリア必須!社労士試験の難易度や勉強法について解説

社労士になるためにクリア必須!社労士試験の難易度や勉強法について解説

新型コロナウイルスの影響もあって、ますます働き方に対して世間の関心が高まっています。特に、労働環境に関する厳しい目が、各企業に向けられているのが事実です。その中で、俄然注目されている資格として、社会保険労務士(社労士)があります

社労士と略されることも多いこの資格は、社労士試験(社会保険労務士試験)をクリアしなければなりません。ニーズの高い業種だけに、試験自体も難しい印象があるのですが、実際どの程度難しいものなのでしょうか?ここでは、社労士の国家試験について詳しく解説します。

 

1 社労士になるための条件

社労士になるためには、数々の関門をクリアしなければなりません。その関門とは、国家試験となります。具体的には、以下のような条件があります。

(1) 社労士試験合格が必須

社労士になるためには、社労士試験に合格しなければなりません。社労士試験を受験するためには、実は受験資格を満たしている必要があるのです。具体的には、以下の3つのうちいずれかを満たさなければなりません。

  • 学歴
  • 実務経験
  • 国家試験合格

① 学歴

学歴の場合、必ずしも社労士の専門的な学部を卒業している必要はありません。4年制大学や短大、5年制の高等専門学校を卒業しているケースであれば、専攻の学部学科を問わず「学歴」によって社会保険労務士試験の受験資格を得ることが可能です。また、大学在学中や中退であったとしても、学位を得るのに必要な一般教養科目の学習を終えているケースや卒業必須単位62単位以上を修得しているケースであれば、受験資格を得ることが可能です。

専門学校卒の場合は、少し細かなルールにより受験資格が決定されます。平成7年以降に専門学校を卒業していれば、卒業時に授与された「卒業証書」または「称号授与書」に、「専門士」又は「高度専門士」の記載があれば要件を満たしています。もし記載がない場合、もしくは平成6年以前に卒業している場合は、以下の要件をすべて満たさなければなりません。

  • 卒業時に「専門士」又は「高度専門士」の称号が付与されている
  • 修業年限「2年以上」、課程の修了に必要な総授業時間数が1,700時間(62単位)以上、専修学校の「専門課程」を修了
  • 高等学校卒業、中学校卒業の場合は、学歴という点で社労士試験の受験資格を得ることはできませんので注意してください。

 

② 実務経験

実務経験としては、以下の5業種において実務経験を有している必要があります。

  • 健康保険組合、労働保険事務組合等の役員又は従業員
  • 公務員等
  • 社会保険労務士事務所、弁護士事務所等の補助者
  • 労働組合の専従役員、又は法人等の労務担当役員
  • その他、法人等の従業者

その他、法人等の従業者の場合は、労働組合の職員または法人等、もしくは事業を営む個人従業者として労働社会保険諸法令に関する事務に従事した期間が、通算して3年以上になる者が対象です。一般企業の人事労務担当者などが該当するため、比較的幅広い対象者がいる反面、単純事務は実務経験に認められないことが規定されているため、要件を満たしているかはしっかり確認する必要があります。

その他業種は、それぞれ通算して3年以上の実務経験が必要です。

 

➂ 国家試験合格

社労士には、法律などの知識も有している必要があります。これもあり、法律の知識が問われる他の資格を取得するために受験した国家試験の結果が、社労士試験の受験要件にも該当するのです。社会保険労務士試験以外の国家試験の中で、厚生労働大臣が認めた国家試験に合格した者が、社労士試験の受験資格を得ることができます。これには、一見すると社労士にも関連しない試験もあるのですが、国家試験に合格しているという点が決め手となるのです。

他にも、司法試験予備試験、旧法の規程による司法試験の第一次試験や旧司法試験の第一次試験または高等試験予備試験に合格した者、行政書士試験に合格した者に受験資格が与えられています。合格していることの証明として、合格証明書又はその写しまたは合格証書の写しが必要です。

 

(2) 社労士試験を受けるための条件は?

社労士試験の受験要件は、ここまで紹介したように大きく3つの条件が指定されています。一方で、受験資格として年齢要件は存在していません。よって、受験資格を満たしていれば、思い立ったときにいつでも挑戦することが可能です。但し、高校卒業レベルでは受験資格を得られないこと、また実務経験が3年以上必要になることを鑑みれば、実質的に20歳以上でなければ受験資格を得ることができないのが実情です。

下限がある一方で、受験資格を満たしていれば上限は気にする必要がありません。事実、70歳以上で社労士試験を受験し、合格した例も多数あります。

▼こちらの記事も合わせてご覧ください。
社会保険労務士(社労士)試験の受験資格について

2 社労士試験(社会保険労務士試験)を受けるまでの流れ

社労士試験に受験するための流れをしっかり把握しておかないと、受験資格を満たしていても受験できないリスクもあるので要注意です。具体的には、以下の流れで受験てつづきを 進めていきます。

(1) 日程の確認

社労士試験は、例年8月下旬に行われることが多いです。この日程は、毎年4月30日までに官報により公告されることになっているので、4月の時点で正式な日程を確認した上で、受験準備を進めることが重要です。

 

(2) 受験案内と申し込み用紙の入手

社会保険労務士試験受験案内及び受験申込書は、主に以下2つの方法で入手できます。

  • 郵送による請求(後日、郵送受取)
  • 窓口による請求(その場で窓口受取)


電話やFAX による請求はできませんので注意してください。
郵送の場合は、公示前の3月上旬~4 月中旬から請求が可能で、公示後の4 月中旬~5 月下旬は郵送による請求のあった日(往信用封筒到着日)の翌営業日に発送されます。往信用封筒(長形3号 )、返信用封筒(角形2号)、切手の準備が必要です。

窓口の場合は、告示前の配布は不可で、告示後は5月末まで配布されています。

(3) 受験案内と申し込み様式の受け取り

受験案内と申し込み様式を受け取ったら、受験案内の内容をしっかりと確認してください。稀に大きなルール変更があり、必要となる要件や準備する資料が変更になっている可能性もあるためです。もし不足しているものがあれば、この時点で早急に準備すべきです。

また、受験案内には以下の資料が同封されています。

  • 受験案内
  • 社会保険労務士試験受験申込書・社会保険労務士試験試験科目免除申請書
  • 受験手数料払込用紙(払込取扱票・振替払込請求書兼受領証・振替払込受付証明書(お客さま用)・払込受領証の一連4票式)
  • 社会保険労務士試験実務経験証明書
  • 受験申込用封筒 

もし不足している資料があれば、確認の上で入手してください。また、申込書番号が記載されている資料がありますが、この番号が各資料で一致しているかどうかを確認することも重要です。各資料については、記入例を参考としてもれなく記入していきます。

なお、社会保険労務士試験実務経験証明書については、実務経験を受験資格とする方、新たに試験科目の免除申請を行う場合等の免除資格を証明する方のみが提出する資料となります。

 

(4) 受験申込み

各資料の記入が完了したら、郵送もしくは試験センター窓口に直接持参して提出します。郵送の場合は、専用の封筒に入れて、必ず「簡易書留郵便」で試験センターへ郵送してください。また、郵便局の郵便窓口(有人窓口)から差し出して、絶対にポストへ投函しないでください。これは、書類到着に関する照会には応じられないためです。

それぞれの申し込み期限は、2020年の例では郵送が5 月 31 日消印有効、試験センター窓口が5 月 29 日17:30までとなっていました。

 

3 社労士試験の受験と合格までの流れ

実際に申し込んだ後は、合格に向けて勉強を重ねていくのみです。また、試験当日からは、以下のような流れで進行していきます。

(1) 試験当日の準備

まずは、試験日がいつであるかを再度確認しておきましょう。また、試験会場までのアクセスなども合わせて確認することをおすすめします。特に見知らぬ会場に出向く場合は、行き違いなどによって試験開始に間に合わない可能性もあるので、可能であれば事前確認しておくことが重要です。試験当日は、最低限必要なものとして以下があります。

  • 受験票
  • 筆記用具
  • 腕時計

受験票は、試験中に机上へ置くことが要求されています。可能であれば、裏面にセロハンテープや両面テープを固定しておくのがベストです。また、受験票には試験会場までのアクセスなども記載されているので、参考にするのも良いでしょう。

筆記用具は、試験時間中はHBの鉛筆、HBのシャープペンシル、プラスチック消しゴムに限定して持ち込み可能です。蛍光ペンや色鉛筆、定規、鉛筆削りなどは使用不可となるので注意してください。腕時計は通信機能や計算機能が付属しておらず、音を発しないものでないものに限定されます。スマートウォッチなどは当然持ち込みが禁止されています。

その他、あった方が良いものとしては身分証明書、ペットボトルの飲料水、昼食などがあります。

 

(2) 社労士試験の受験

試験当日の流れとしては、午前に選択式試験、午後に択一式試験が実施される流れとなります。各試験開始前には、注意事項などの説明が行われますので着席時刻までに必ず着席して待ちます。もし誤った席に座っている場合は、欠席扱いとなる場合があるので注意してください。

受験の際は必ず受験票を持参して、試験中は試験官に見えるように机上に置くのがルールです。
選択式試験は、10:00から注意事項等の説明がスタートして試験は10:30開始、11:50に終了しますが、退室可能時間として11:10~11:40が設定されており、許可を受ければトイレや飲水も可能です。

その後、1時間の昼食休憩があり午後は択一式試験となります。最初の30分が注意事項等の説明で、試験は13:20~16:50の間で、退室可能時間は14:10~16:40と長めです。すべてが終了するのは16:50と長丁場となっています。

 

着席時刻 試験時間 出題形式 備考
10:00

 

12:50

10:30~11:50(80分)

 

13:20~16:50(210分)

選択式

 

択一式

10:00~ 注意事項説明

11:10~11:40 退室可能時間

12:50~ 注意事項説明

14:10~16:40 退室可能時間

(令和2年度社会保険労務士試験 受験案内を参考に作成 https://www.sharosi-siken.or.jp/pdf/01_01_annai.pdf

 

① 出題範囲

社労士試験の出題範囲は、労働に関する内容で多岐にわたります。ただし、各試験によって出題される箇所は限られるので、ターゲットを絞った学習を行うことで合格できる可能性が高まります。

それぞれの試験における、出題範囲は以下となっています。


選択式試験

文章中の5つの空欄に当てはまる語句および文章を20の選択肢から選ぶ、選択式の試験です。労働科目、社会科目から各4問ずつ、計8問出題されます。概ね、以下の配分で出題されています。

  • 労働基準法および労働安全衛生法-1問
  • 労働者災害補償保険法-1問
  • 雇用保険法-1問
  • 労働管理その他の労働に関する一般常識および社会保険に関する一般常識-2問
  • 健康保険法-1問
  • 厚生年金保険法-1問
  • 国民年金法-1問

 

択一式試験

択一式試験は、5つの文章の中から1つを選ぶ試験となります。労働科目、社会科目から各35問、計70問出題されますので、かなりのボリュームがあります。概ね、以下の配分で出題されています。

  • 労働基準法-7問 および労働安全衛生法-3問
  • 労働者災害補償保険法-7問
  • および徴収法-3問
  • 雇用保険法-7問 および徴収法-3問
  • 労働管理その他の労働に関する一般常識-5問
  • および社会保険に関する一般常識-5問
  • 健康保険法-10問
  • 厚生年金保険法-10問
  • 国民年金法-10問

 

② 合格基準

各試験では、合格基準が設けられています。具体的には、以下の合格基準で判定されます。

  • 選択式試験:総得点24点以上かつ各科目3点以上(ただし、雇用、健保は2点以上)
  • 択一式試験:総得点45点以上かつ各科目4点以上

 

注目すべきポイントは、科目によって最低点が設定されている点があります。要するに、全科目コンスタントに得点を重ねないと、合格を勝ち取ることができません。すべての科目をパーフェクトに理解している必要はないにしても、幅広く学習する必要があります。

 

(3) 合格発表

社会保険労務士試験の合格発表は、例年11月上旬に行われることが多いです。発表は、合格者の受験番号を官報に公告されますし、厚生労働省や全国社会保険労務士会連合会試験センター及び都道府県社会保険労務士会にて掲示されています。同時に、同センターのホームページにおいて、合格者の受験番号が登載されますので、最も手軽に確認することが可能です。

同時に、合格発表日に受験生全員に対して「成績(結果)通知書」が郵便されます。この通知は、受験資格証明書として使用可能であり、再受験される場合は大切に保管しておくことをオススメします。実際に社労士になるためには、この後「事務指定講習」に参加して、実務経験を積みます。

流れとしては、「通信指導過程」が4ヵ月程度、「面接指導過程」が4日間ほどの期間がかかります。

 

4 社労士試験の難易度は?

社労士試験は、毎年4万人近い方が受講される、人気の試験です。難易度を図る上でバロメーターとなるのが合格率や合格者数ですが、これは年ごとに変化するのが実情です。過去5年間の社労士の合格率としては、概ね約3~7%程度となっています。令和2年度は6.4%であり、比較的平均的な合格率に収まっています。

ただ、合格者数は年ごとに増減する傾向があります。いずれにしても、とても低い合格率であることに変わりありません。その理由としては、多くの科目と広い試験範囲により、知識を習得しにくいという点があります。広範な知識をバランス良く習得して、高いレベルをキープしたまま本試験に臨むのは非常に難しいものです。

多くの受験生が試験当日までに十分な対策を立てにくく、不合格という結果になるケースが大半であり、合格率の低さとなって露呈しています。選択式試験で合格基準を達成できなく不合格になることも多くあり、特に単一式試験で科目別合格基準をわずかに下回るというケースが散見されています。

さらに難易度を高めている原因として、多くの法改正があることで最新の情報に対応できていないという点もあります。過去問などに頼る学習も有効的なのですが、受講年に法改正があるとその学習法も通用しません。特に、近年は働き方改革に伴い細かな法改正もあるので、試験の難易度を高めています。

5 社労士試験に合格するための勉強法

社労士になるための勉強法としては、科目ごとにバランス良く得点して総得点の6割~7割を獲得するように学習を重ねる方法があります。これを目安として、主に以下のポイントを重視して勉強を行いましょう。

 

(1) 参考書選びにこだわる

社労士の勉強を行う際には、主に参考書や過去問を利用する方法、通信教育を受講する方法、予備校などに通う方法があります。最も手軽に行えるのが参考書や過去問による方法があります。その場合、まずは適切な書籍を選ぶことが重要となります。いきなり本格的なものを購入しても、見るのも嫌になってしまうものです。

そこで、なるべく薄めの参考書を購入して、学習するのが良いでしょう。そして、より本格的な知識を習得したい場合は、専門性の高い参考書を購入します。書籍に関しては、基本的に街の本屋さんでも取り扱っているケースが大半です。

 

(2) 問題集からチャレンジする

資格試験の学習では、参考書を読んで問題集を解くのがスタンダードな流れですが、いきなり問題集からチャレンジするという方法もあります。この場合、最初は全く意味が理解できないケースもあるのですが、そこで参考書の解説を熟読して知識として身につけることで、すでに知識がある部分は飛ばして、不足している箇所のみを効率よく学ぶことが可能です。

 

(3) 何度も繰り返して学習する

問題集で間違えたり理解できなかった部分は、参考書で知識を習得したと同時に、マーカーなどで印を付けておきましょう。一通りの問題集をクリアしたら、2回3回と繰り返して問題集を説いていきます。ここで重要なのが、間違えた部分をマーキングした際に以前も間違えている箇所があるかどうかです。何度も間違えるということは、解釈がそもそも間違えていたり、設問が理解できていないなどの根本的な問題が潜んでいる可能性があります。

問題集や過去問題は、過去10年分を10回ずつ解いていくというのが原則です。もし何度も躓く問題があれば、自分で調べて覚えるのにも限界があるため、有識者に指導を仰ぐなどにより、確実に知識を習得することが可能です。

 

(4) 社労士試験合格に必要な時間は?

社労士試験で合格するためには、独学では800~1,000時間の学習が合格に向けての目安となっています。一般的な通信教育においては、最低500時間以上のカリキュラムが組まれていて、流石にそれ以上の時間がかかるということになります。独学という点で比較すると、司法書士で約3,000時間以上、税理士約2,000時間かかると言われており、流石にそれ以下の時間で合格できるケースが多いです。

よって、

 

6 社労士試験は独学でも合格可能?

社労士試験は、確かに難しい試験ではありますが、独学で合格された方も多くいる資格です。概ね、合格者の8割近くが予備校や通信講座などを利用していると推定されますが、逆に言えば2割程度の方が独学でも厳しい試験をクリアしているのです。もちろん、それ相応の厳しい学習を続けなければなりませんが、独学でも十分取得できる資格であると言えます。

 

7 サマリー

・社労士試験の受験要件として、学歴、実務経験、国家試験合格のいずれかの要件を満たす必要がある

・社労士試験に年齢制限はない

・社労士試験を受験するまでの流れとしては、期限内にも申し込みする必要がある

・社労士試験は午前に選択式試験、午後に択一式試験が実施される

・合格基準は総合店だけでなく科目別の最低点が決められている

・社労士試験の難易度は高めであるが、独学でも十分合格は可能

・勉強法としては、まずは参考書や問題集にこだわる

・効率よく勉強するためには、問題集からチャレンジしてわからないところを中心に学習する

・問題集は10回程度繰り返して学習するとよい

 

8 まとめ

社労士になるためには、難易度が高い試験に合格しなければなりません。決してやさしい道のりではありませんが、努力すれば十分達成できる目標となります。効率よく勉強する方法を見出し、社労士として活躍する道を切り開きましょう。

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