社労士資格を持つ新卒の就活は最強?中途採用でも良い案件に出会える社労士就活のコツを伝授!

社労士資格を持つ新卒の就活は最強?中途採用でも良い案件に出会える社労士就活のコツを伝授!

会社経営にはつきものの、労務や雇用関連の問題。もしこういった問題が生じてしまったら、頼りになるのは社会保険労務士(社労士)です。近年、社労士の活躍に対する注目は高まり、働き方改革、今般の新型コロナウイルス感染拡大でも、社労士の需要はますます高まりました。

社労士資格は就職に有利だと言われていますが、実際にそうなのでしょうか。この記事では、社労士の就活の実態について、新卒と中途採用の場合からそれぞれまとめていきます。

1 社労士資格は就活に有利?

就活とは、主に大学・大学院生がおこなう就職活動を指しますが、退職者・転職者の就職活動も含めます。

(1)社労士資格のメリットとは?

そもそも新卒の就活生は、「ポテンシャル採用」という新卒ならではのアドバンテージにあずかることができます。ポテンシャル採用とは、新卒は特別な技能や資格を保有・取得していなくても、今後伸びていく可能性を買われて採用されるという意味です。

しかし、そこに社労士資格のような難関国家資格が加われば、インパクトは実に大きくなるでしょう。

特に、大学生の社労士試験合格者に対する採用側の印象は、とても良くなります。資格自体の難易度もさることながら、合格を勝ち取った努力も評価され、人間性もプラス評価になる可能性があります。大学生の社労士資格保有者は、通常は実務経験がないと採用されないような企業や部署にも、採用される可能性も高いです。

中途採用の場合は社労士資格だけでなく、人事・総務などの実務経験があるかどうかも重視されます。そのため資格だけで実務が未経験だと、中途採用の場合は就活がうまくいかないこともあります。

(2)そもそも大学生は社労士資格を取れる?

社労士資格にはいくつか受験資格が設けられており、その中には大学生が引っかかって受験資格を得られなくなる項目もあります。在学中に社労士試験に合格したければ、まず自らが受験資格に該当するかどうかを確認しましょう。

(3)在学中に社労士試験に合格するには?

大学生は、社労士試験の受験資格を満たせば、在学中に社労士試験を受験し合格することが可能です。受験資格を満たすには、卒業必須単位62単位を取得する必要があります。大学生が在学中に社労士試験に合格するためには、以下のようなタイムスケジュールに則り、計画的に対策しましょう。

~2年生終了 卒業必須単位62単位を取得
3年生4月 社労士試験センターに、社労士試験の受験申し込みをおこなう
(卒業必須単位62単位以上の成績証明書を添付して受験申込書を送付)
3年生8月 社労士試験を受験
3年生11月 合格発表
3年生3月 就活開始(履歴書に「社労士試験合格」と記入できる)

カリキュラムは大学によって異なります。2年生のうちに卒業必須単位62単位以上を取得可能かどうかを、事前に大学の学生課に問い合わせておきましょう。

2 どんなところに就活する? 〜新卒の場合

繰り返しますが、大学生の場合は、ポテンシャルが買われて採用されることが殆どです。一般企業に就職した場合、社労士資格保有者は、社労士資格が役立てられる以下のような部署に配属されるかもしれません。

・ 人事部
・ 厚生労働組合や福利厚生課
・ 経理部(賃金計算)

資格を役立てられる就職先は、一般企業の他にもあります。

(1)社会保険労務士事務所

社労士法人の事務所は、基本的には実務経験のない社労士の採用はしませんが、新卒採用は別です。新卒採用をおこなう社労士事務所には大手の事務所が多いため、就職したら大変忙しくなるでしょう。

将来独立開業して事務所を構えたい人は、このような大手社労士事務所で経験を積むことは非常におすすめです。可能なら30代くらいまで、10年以上在籍して経験を積むことをおすすめします。

(2)税理士事務所

社労士の独占業務には「賃金計算作成業務」や「休暇手当手続き業務」があることをご存知ですか。このため税理士は、賃金計算や休暇手当の書類作成、届け出代行をおこなってその報酬をもらうことはできません。

しかし、顧問契約先の企業から、このような依頼を受ける税理士は多いため、社労士を雇用する税理士事務所があるわけです。税理士と社労士の両者が事務所に所属していれば、事業の規模を拡大でき、経営と人事・労務の両方に関する大規模なコンサルティングをおこなうことができます。税理士と社労士の業務には重なる部分が多いことからも、社労士とのダブルライセンスを持つ税理士がいるのです。

大手の法人税理士事務所には、税理士業務のみならず社労士業務にも力を入れ、社労士を複数雇用しているところもあります。

(3)法務事務所

法務事務所とは行政書士のいる事務所をを指しますが、時として司法書士が所属している場合もあります。行政書士、司法書士も、顧客から社労士の独占業務に接触する依頼を受けることがあります。そのような場合、社労士を雇用して業務を任せる場合があります。

(4)経営コンサルティング会社

大手経営コンサルティング会社にも、社労士の新卒採用の求人を出すところがあります。社労士を雇えば社労士の独占業務の仕事を受注でき、事業の幅も経営コンサルティングだけでなく、人事・労務コンサルティングにまで広げられるからです。

意外にも、即戦力となる経験者採用だけでなく新卒採用をおこない、一から育てるコンサルティング会社も多いのです。

(5)一般企業

社労士資格保有者が一般企業に就職する場合は、ヒューマンリソースにまつわる業務を請け負う人事部や総務部などに配属されます。資格保有者が1人いると、これらの業務を外部の社労士に外注する必要がなくなるので、コストダウンにつながります。しかし、社労士の専門知識が求められる採用であるため、実務経験が多い人が採用されやすくなります。

社労士の独占業務は、以下の3つに大別されます。勤務社労士は、これらのなかでも3号業務を担うことが多いのです。コンサルティングの内容としては人事、賃金、労働時間、人材育成などが主ですが、社労士資格があれば労働争議に関する相談・指導をおこなうこともできます。

社労士独占業務 1号業務 ①書類作成
➁提出代行
③事務代理
④紛争解決手続代理業務 ※特定社会保険労務士のみがおこなえる
2号業務 ⑤帳簿書類作成
3号業務 ⑥相談・指導 コンサルティング

3 実務経験の強みは? 〜中途採用の場合

中途採用の場合、実務経験があれば有利だといわれています。実は、社労士の求人数は少ないのですが、それでも実務経験があると大きな強みになります。どのような実務経験があれば、プラス評価となるのか解説します。

(1)人事部・総務部、営業の経験

ヒューマンリソースにまつわる業務をおこなう人事部・総務部は、「給与計算」「社会保険手続き」などの実務経験がある人員を求めています。つまり即戦力募集で、社労士の資格に関しては「あると尚良い」という程度の場合も多いのです。

また、募集要項の内容に「助成金の提案」という記載がある場合があります。これは、中小企業に対して、厚生労働省の助成金申請の営業経験があるかどうかを問うているのです。ご存知のように、厚生労働省管轄の助成金申請は社労士の独占業務です。特に大手の社労士法人は、助成金申請の「営業職」募集をおこなう場合が多いです。

(2)ダブルライセンスで差別化

社労士資格とは別に、マッチする資格をダブルライセンスで持っていると、就活で有利に働きます。既に申し上げましたが、税理士資格と社労士資格のダブルライセンスがその良い例です。

その他には、行政書士、中小企業診断士、簿記検定、ファイナンシャルプランナーといった資格を持ち合わせることで、その業界における知識もアピールができます。現在、顧客目線に立った士業間での連携をおこなう、ワンストップサービス化が進んでいます。採用企業としても、顧客に対して、社労士業務だけでないワンストップサービスを提供できるようになるためメリットがあります。

4 社労士の求人を探すコツ

社労士資格を持つ人材を必要としない企業はない、と断言できるほど、社労士の持つ知識は企業にとって必要なものです。しかし、社労士に対する求人をなかなか見つけられないという声は常にあります。

勤務社労士を目指す人は、どうしたらスムーズに求人を探せるのでしょうか。そんなコツをまとめてみます。

(1)新卒の場合

まずはポテンシャルで採用が叶う新卒から見ていきましょう。

①新卒の就職先は豊富

新卒の場合は「社労士資格はあるけど実務経験がない」 と悲観する必要は全くありません。もちろん、社労士の実務経験があったほうが良いのは間違いありませんが、大学生にはそれは難しいです。

履歴書に社労士試験合格とあれば、その知識が活用できそうな会社に応募すれば、高く評価されるでしょう。

②社労士求人は都会に多い

社労士の需要は、当然企業の多く集まる都会に集中します。特に大企業が多いと社労士への需要が高くなります。もちろん同時に社労士の母数も大きくなるので、就活における競争は激しくなります。

地方であれば求人数が都会と比べると少なく、企業規模が小さい場合が多いです。しかし競争率は低いので、採用されずに困ることは少ないはず。良質な求人に出会えるように努めましょう。

(2)中途採用の場合

社労士に転職する場合は、頑張って合格しても本当に仕事があるのかが一番の心配事でしょう。

確かに「営業」「販売」職に比べたら、社労士の求人数はずっと少ないです。しかし、繰り返しますが、企業がある限り社労士の仕事は世の中からなくならないはずです。

募集案件数は少なくても、社労士のニーズはどこかで常に発生しています。そのようなニーズといかにして出会うかが、問題なのです。

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社会保険労務士(社労士)の仕事が絶対になくならない理由

①総務・人事部門に潜り込もう

中途採用の場合は、求人サイト、ハローワーク、新聞などをフル活用し求人を探しましょう。この時に大切なのは「社会保険労務士」のキーワードに、あまりこだわり過ぎないことです。社会保険手続き、労務管理などの業務が発生しない会社は、ひとつもないのですから、社労士業務のありそうな会社にひとまず人事で採用されるのも手です。その場合、以下のような募集案件がおすすめです。

・100名以上社員がいる会社で「総務・人事」配属の人員を募集している案件
・「設立年数」もチェック。設立年数と企業規模で、課題が変わってくるため

人事部採用されてしまえば、あなたの社労士資格が役立つ日は遠からずやって来ます。社労士の知識とは、社内の人と関わるうちに求められ活かされていくものです。

②こちらから攻める

「社会保険労務士事務所」の求人を探すのは一般企業以上に難しくなります。特に2~3名で運営している事務所は、求人にお金を掛けることはあまりしません。しかし、求人は出さずとも新しい人材を必要としている事務所は少なくないのです。

そのため、社労士事務所に就職したかったら求人を待っているだけでなく、検索サイトで探して自分から電話を掛けて売り込みましょう。断られることの方が多いはずですが、面接に漕ぎつけるまで、めげずにどんどんアタックしてください。

また、ハローワークに行くと社労士の求人を見つけることができます。これは、社労士の管轄所が厚生労働省で、助成金とつながる求人があることと関係します。

ハローワークの求人の中には「社労士資格が必要なもの」「社労士資格があると尚良いもの」など様々あるでしょう。

(3)とりあえず食いつなぐには?

社労士試験合格後に、仕事を受けて報酬を頂くためには、次の条件を満たす必要があります。

①2年以上の実務経験がない場合、事務指定講習を終了する
②社会保険労務士名簿に登録する

登録をおこなう際、自らの働き方を、①開業社労士、②勤務社労士、③社労士法人の中から選択します。しかし実際には、社労士としての働き方にはこれら以外のものも多くあります。下表は3つの分類以外の働き方をまとめたものですが、これらの中には登録をおこなわなくてもできるものもあります。ひとまずこういった働き方をして、キャリアを積むのも良いでしょう。

受験指導の講師 ・社労士試験合格を目指す生徒に対して、受験指導をおこなう講師。
・受験予備校などに勤務する。フル勤務ではなくて非常勤講師のような雇用形態になることも多い。
・報酬の単価はかなり高い。
・社労士試験格後、実務経験が深くなくても雇ってもらえることも多い。
行政協力 本来行政機関がおこなうべき業務を、社労士がおこなうもの。各都道府県の社会保険労務士会を通じて依頼がある。

・労働保険料手続きの受付業務
・労働相談、年金相談
・失業保険をはじめとした労働法関連の手続き
・年金制度や健康保険制度の改正後の手続き処理

専門機関 労働・社会保険に関する専門機関での就労。即戦力が期待される。

・日本年金機構
・全国健康保険協会
・健康保険組合
・労働保険事務組合

コンサルタント 社労士の専門知識を活かして、労働や社会保険に関する相談に応じる。
執筆・講演 労働社会保険諸法令の専門知識についてのコンテンツを扱う業務。

・記事、書籍の執筆
・講演会、セミナーの講師

5 サマリー

社労士試験に合格した後、社労士法人や一般企業への就活を希望する人はかなりいます。社労士は業務の需要に対して求人数が少ないのがネックですが、この記事を参考にして果敢に就活に挑み、納得のいく就活をして頂けると幸いです。

6 まとめ

・社労士が新卒で就活をおこなうと「ポテンシャル採用」で可能性を買われて採用されやすい。

・大学生が在学中に社労士試験に合格するためには、卒業必須単位62単位を取得するという受験資格を満たす必要がある。

・就職先には一般企業の他に社労士事務所、税理士事務所、法務事務所、経営コンサルティング会社がある。

・社労士の独占業務には「賃金計算作成業務」や「休暇手当手続き業務」があるため、税理士事務所からの求人がある。

・中途採用の場合は資格だけでなく、「給与計算」「社会保険手続き」などの人事・総務の実務経験が重視される。

・「助成金の提案」という営業経験を求める案件もある。

・資格学校講師や行政協力などの働き口もあり、中には社労士名簿への登録がなくてもできるものもある。

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