社労士(社会保険労務士)のやりがいとは?年収や将来性に鑑み「社労士のやりがい」を考えてみた

社労士(社会保険労務士)のやりがいとは?年収や将来性に鑑み「社労士のやりがい」を考えてみた

はじめに

将来なりたい職業を選ぶ時、誰でもその仕事の「やりがい」について考えますよね。どんな仕事に就くにしても、やりがいを感じながら楽しく働きたいものです。社会保険労務士(社労士)といえば、働き方改革、コロナ禍に特設された助成金申請で注目を集めた国家資格ですが、どのようなやりがいがあるのかご存知ですか。

この記事では、「社労士がやりがいを感じる時ってどんな時?」「どうやったらやりがいを感じる社労士になれるの?」といった疑問に対して、お答えしていきます!

1 社労士(社会保険労務士)とはどんな仕事?

社労士という資格について耳にしたことがあっても、具体的には何をしているのかは、あまり知られていないのではないでしょうか。初めに、社労士の業務について説明しましょう。

⑴ 労働・社会保険に関する業務をおこなうプロ

社労士は、入社から退職までの様々な手続きに関する労務のプロです。人を雇うにあたって生じる申請書類の作成を担当したり、法定帳簿を作成したり、企業からの依頼を受けて労働相談にも応じます。

労働基準法、労災・雇用保険、介護保険、国民年金保険などの制度に精通し、労働問題に関するあらゆる業務を、国のお墨付きで遂行できる国家資格です。

社労士しか請け負うことができない独占業務も、以下の通り認められています。

【社労士の業務】

1号業務 ①書類作成

②提出代行

③事務代理

④紛争解決手続き代理業務

④は特定社労士のみが遂行できる 独占業務
2号業務 帳簿書類作成 労働者名簿、賃金台帳等
3号業務 相談・指導 コンサルタント業務 非独占業務

⑵ 社労士になると享受できるメリットとは?

社労士の業務は、会社が存在する限りなくならないといわれています。近年では、働き方改革関連法の施行におこなわれた法改正に関して、企業サポートができる労務の専門家として注目を浴びました。また、社労士は雇用保険関連も独占業務としているため、厚生労働系の助成金申請業務は、社労士による独占が許されています。

社労士になると享受できるメリットは、他にもありますので、挙げていきます。

① 報酬水準が高い

社労士試験の平均合格率は、6.5%程度となっており、難関資格試験に属しています。業務も非常に専門性の高い領域を扱うため、社労士の報酬水準は比較的高めです。特に、1号2号業務よりも3号業務であるコンサルタント業務の報酬は、ぐんと上がります。

詳しく後述しますが、どのような業務を専門とするかによって、社労士の収入にはかなり差が生じるようです。

② 企業と顧問契約ができる

企業と雇用関係を結ぶことができた社労士は、毎月固定の収入が見込めます。この安定性を、社労士業の魅力の一つに挙げる社労士もいます。

③ 独占業務がある

独占業務とは、「特定の職業にしかできない仕事」として規定された業務です。独占業務に携わることは、かなりのやりがいを感じるのではないでしょうか。

今般の新型コロナウィルス感染拡大にあっては、社労士が「雇用調整助成金」「テレワーク導入の助成金」などの特例制度の解説や申請手続き業務で、活躍する姿が見られました。厚生労働省系の助成金に関しては、資金源は雇用保険であることから、社労士の独占業務に定められています。

2 社労士(社会保険労務士)のやりがいとは?

先述の独占業務が許されている社労士は、企業が抱える労務課題を解決する専門家として、国に「お墨付き」をもらっていることになります。企業の課題を解決に導くことができ、顧客企業に喜んでもらえた時は、社労士冥利に尽きる瞬間に違いありません。大きなやりがいを感じることでしょう。

⑴ 現役社労士が語るやりがいとは?

下表は、現役社労士が感じる代表的な「やりがい」を調べ、まとめたものです。労働者の味方になれることが社労士の特権ですが、そこに大きなやりがいを感じる社労士は多いのです。

 

顧客に頼られる ・企業の経営者である顧客に、労働相談などをおこなうことができる。

・労働基準法、雇用保険、労災保険、社会保険や勤怠出勤台帳の作成、労働問題の専門家として頼られる。

企業に提言して改善に導くことができる ・企業の雇用についてアドバイスをすることができる。

・労働者が企業から不当な扱いをされた場合は、経営者に提言して状況を正すことができる。

・労務の専門家として企業経営を健全なものに導くことができる。

・働き方改革が目指す労働環境の改善を、企業で実現するため指導することができる。

労働者の味方になれる ・労働者に正当な管理保護を与えることができる。

・超過勤務による過労死問題や残業未払い問題の解決と予防のために指導ができる。

・社会保険、年金、労災の疑問点や現在の加入状況について答えることができる。

・業務中のケガでいくら補償されるのか、会社が倒産が失業保険はいくらもらえるのか、将来の年金はいくら支給されるのか、といった労働者の切実な疑問に答えることができる。

会社の業績アップに貢献できる ・人事制度、評価制度、福利厚生など見直すことで、離職率はかなり低くなる。

・人事を見直すことで業績アップする場合もある。

・日本企業のほとんどをしめる零細企業や中規模企業の体制を整え、企業の成長を見届けることができる。

・顧客企業の業績アップに貢献し、喜んでもらうことができる。

⑵ 自らがの体験した労働問題を解決に導くことができる

社労士を目指したきっかけとして、自らが会社勤務時代に労働問題に遭遇したことを、挙げる社労士もいます。自らが「以前ブラック企業に勤めていた」と語る社労士も、多いです。このような劣悪な労働環境の改善に、労務のプロとして携わることができるため、大変なやりがいを感じると思われます。

かつて、長時間労動が慢性化し、過労死などが起きても隠蔽され、マタハラ・パワハラ・セクハラが横行している時代がありました。こういった問題を防ぐための法律が徐々に整備されてきたにも関わらず、まだまだ全体に浸透し切っていない現実があります。

劣悪な労働環境を通過してきた社労士は、その経験を自らのモチベーションに変えて、精力的に働く社労士になることでしょう。

3 現役社労士(社会保険労務士)の実際の声

社労士業務にはやりがいがあるのか?この質問に対する社労士の答えは、携わっている業務や年収によって、かなり違います。やりがいの有無が人によって違うのは、社労士だけに限ったことではないでしょう。

honne.bizは、様々な仕事や資格について、実際に働いたり取得した人の本音を、自由に投稿するサイトです。同サイトから、社労士のやりがいに関するコメントを抽出し、コメント主の属性や取り扱い業務、年収とともに作表しました。

⑴ 社労士になってやりがいを感じる時

同サイト資料から、81歳(男性)でも、現役社労士として活躍できることが分かりました。しかも、その方の年収は1200~1500万円で、いまだに社労士として成功をおさめています。

同サイトには、「近年労務の仕事にニーズが出てきた」ことを、社労士のやりがいとして挙げるコメントもありました。

また「社保手続きや給与計算、助成金申請などは薄利多売だが、ブルーオーシャン市場を探して行けば儲かる」と、市場開拓のやりがいについて言及する2000万円プレーヤー社労士もいました。

 

年齢

性別

年収 業務 やりがい
45歳

(男性)

1500~                                       2000万 外資系企業の人事コンサルティング   ・外国人から受けが良い。

・既存マーケット以外で活躍できれば売上が伸びる。

40歳

(男性)

1000万弱 紹介のみで経営 給与計算、社保届出だけでなく人事評価や研修、就業規則等を組み合わせると、人事コンサルティングとして業務の幅が広がる。
53歳

(男性)

3000万 コンサルティング全般中心に1号、2号業務も 顧客から有り難うございましたと言われて収入を得ることができる。
34歳(男性)

    

1000~1200万 就業規則含む労務コンサルティング

各種保険手続き

労働相談、給与計算

賃金制度設計

人事評価制度構築

各行政対応、助成金

・経営者の身近なパートナーとして共に問題解決し、事業が発展していく喜びを共有できる。

・顧客に感謝され相応の報酬を受け取ることができるのは、この上ない喜びであり、モチベーションも向上する。

29歳

(男性)

300万弱 社会保険労務士法人の正社員

給与計算

社会保険手続き

顧客の疑問に対して説明し、理解してもらうとやりがいを感じる。

honne.bizの資料を基に作表

⑵ 社労士のここが大変

同サイトには、社労士業務のやりがいだけでなく、大変さについて言及するコメントも目立ちました。社労士業務の大変さに関するコメントを、以下に紹介します。

・合同事務所勤務の場合、社労士は、あくまでも税理士の下請け。

・他士業のように「先生」と呼ばれることが少ない。

・公表される社労士平均年収は高すぎる。会社からの給与などと合算されているのでは?

・社労士法人では、新規採用者の8割がいなくなる。

・過労死、うつ病、1か月以内での退社多数など、劣悪な労働環境の社労士法人もある。

・あまり実務ができない人が社労士会会長、事務所所長に就いている。

・下請けだとみなされる。

・常に知識をアップデートしないと、役に立たなくなる。

・顧客に拘束されてる感があり、長期旅行は無理。

・深く考えすぎたり悩みやすい人は向かないのかも知れない。

・扱う制度(年金制度)が将来性に乏しく、制度破たんするのではないかと不安。

・法の抜け道を教えて欲しいと頼まれる。

4 やりがいを感じる社労士(社会保険労務士)になるためには?

社労士にやりがいを感じているかどうかは、個々によってかなり違うことが分かりました。更にいえば、

①取り扱う業務と

②それに伴う年収によって、やりがいを感じるか否かがかなり変わります。

社労士にやりがいが感じられない場合は、この2点を見直す必要があると思われます。やりがいを感じる社労士になるために必要なアクションを、以下に紹介します。

⑴ 知識のアップデートを欠かさない

社労士は日々の仕事をこなすだけでも大変です。実務においては日々スキルを上げていかなくてはなりません。あわせて社会の動向にアンテナを立てながら、毎年施行される法改正にも確実にキャッチアップしていく必要があります。今般の新型コロナウィルス感染拡大のように、突発的に発生する社会の変化もあります。特例助成金の申請業務のように、社労士業務は社会の動向に応じてアップデートされるため、勉強したり社労士研修に参加したりといった努力は、惜しまないようにしましょう。

⑵ 将来AIに代替されない実力を

働き方改革の推進を追い風に、確実に活躍の場が広がっている社労士ですが、もう一つその将来性を脅かす懸念材料があります。それは、将来的に士業を脅かすとされる、AIの台頭による職業淘汰です。労使問題や労務課題は複雑であるため、機械的には解決できないといわれています。それでも、1号2号業務の単純作業については、確実に自動化・機械化されるといわれています。

先述の本音調査サイトの資料でも紹介したように、これからの社労士は、自らブルーオーシャンを開拓する姿勢が必要です。また1号2号業務を修めたら、次は付加価値の高いコンサルタント業務も取り扱っていけるように、たゆまずスキルアップしていく必要があります。

5 サマリー

社労士は、自らの業務のどんな内容にやりがいを感じているかをまとめて参りました。仕事にやりがいを感じることができれば、更に成長していくことができます。やりがいを感じながら働ける社労士になるためには、自助努力を惜しまないことがポイントです。

6 まとめ

・社労士になるメリットには報酬水準が高い、企業と顧問契約ができる、独占業務がある、などがある。

労働者の味方になれる社労士の特権に、大きなやりがいを感じる社労士は多い。

・社労士になって自らが体験した労働問題を解決に導くことに、やりがいを感じる人もいる。

近年労務の仕事にニーズが出てきたことに、やりがいを感じる社労士も。

・薄利多売の業務でなく、ブルーオーシャン市場を探して市場開拓することに、やりがいを感じる社労士もいる。

・合同事務所勤務の場合、社労士はあくまでも税理士の下請けとして扱われるのが不満。

・他士業のように「先生」と呼ばれることが少ないのが不満。

取り扱う業務それに伴う年収によって、社労士にやりがいを感じるかどうかが変わる。

・やりがいを感じるには、知識のアップデートを欠かさず、市場開拓やコンサルタント業務への挑戦も積極的におこなうこと。

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