社労士会って何?全国社労士連合会と各都道府県社労士会の違いは?あまり知られていない社労士会の役割にフォーカスオン!

社労士会って何?全国社労士連合会と各都道府県社労士会の違いは?あまり知られていない社労士会の役割にフォーカスオン!

社会保険労務士(以下、社労士)を目指すあなたなら、「社労士会」という言葉は幾度となく目にしているはず。しかし「社労士試験に合格をした後、登録をするところ」といった、漠然とした認識しかないのではないでしょうか。

また、社労士会には「連合会」と「各都道府県社労士会」が存在しますが、両者はどんな関係性にあるのでしょうか。

この記事では、そんな謎に包まれた社労士会について、深くさぐっていきます!

1 社労士会とは?

社労士会とは、正式には「社会保険労務士会」といいます。社労士会は社会保険労務士法に基づき設立された団体で、全国の都道府県に設立されています。社労士になるには社労士試験に合格するだけでは不十分で、この社労士会に入会し「社会保健労務士名簿」に登録しなければならないのです。

東京には「東京都社会保険労務士会」と「全国社会保険労務士会連合会(以下、連合会)」が存在します。この関係性を説明すると、東京都の社労士会は連合会の支部という位置づけになります。連合会は各都道府県社労士会の本部であり、各都道府県社労士会でおこなった社労士登録は、自動的に連合会に備えられた社会保険労務士名簿に反映されます。

(1)社労士会の業務とは?

社労士会は主に次のような業務をおこないます。

・社会保険労務士の登録・入会の事務
・会報の発行(月刊)
・社労士会会員のための各種研修会の開催

上記の業務に加え、時限的な業務もおこないます。例えば今般の新型コロナウイルス禍にあっては、社労士による無料電話相談窓口を設置して労務相談を受けたり、感染拡大で休業を余儀なくされた事業者のために、助成金申請について詳しく解説した動画を作成したりしました。

(2)社会保険労務士名簿への登録

社労士になるにはまず社労士試験に合格しなければなりませんが、あわせて実務経験も必要になります。両方の条件を満たしたら、連合会に備える社会保険労務士名簿に登録します。これで、晴れて社会保険労務士と名乗ることができます。

①登録までの流れ

次の2つを満たす
Ⅰ 試験合格者であるⅡ 労働社会保険諸法令に関する事務に従事した期間が通算2年以上になる者である、または事務指定講習(4か月の通信教育と4日間の面接指導)を終了した者である

各都道府県の社労士会に入会

          ⟱  (即入会システム)

全国社労士会連合会の名簿に登録

社会保険労務士証票を発行

社労士会は社会保険労務士法 第25条の29にのっとり、社会保険労務士名簿に各都道府県社労士会を通じて登録すれば、社労士会に自動登録される「登録即入会」のシステムを取っています。

登録する際は、自らの分類を「開業社労士」「勤務社労士」「その他(社労士法人)」のなかから選びます。なお、登録された社労士の住所・氏名は登録先の社労士会のホームページに載るようになりますので、社労士の副業が勤務先に知られたら困る人は注意が必要です。

②欠格事由とは?

社労士会への登録にあたっては、「欠格事由」「登録拒否事由」「登録取消事由」といったスクリーニングが設けられています。登録者がこれらに該当すると社労士として登録できなかったり、登録が取り消しされたりすることもあります。下表の要件に当てはまる場合は、試験合格、実務経験などの条件を満たしても、残念ながら社労士名簿への登録ができないのです。

欠格事由 登録前 ①未成年者
②成年被後見人・被保佐人
③破産者で復権を得ないもの
④次の事由に該当した日から3年を経過しないもの
・社労士の失格処分を受けた
・社労士の登録取消処分を受けた
・社労士法、労働社会保険諸法令の規定で罰金以上の刑を受けたなど
登録拒否事由 登録時 ・欠格事由に該当している
・心身の故障で業務をおこなうことができない
・社会保険料の滞納処分を受け、3か月以上引き続き滞納している
・社労士としての適格性を欠く
登録取消事由 登録後 ・登録を受ける資格に関する重要事項について告知せず、または不実の告知をおこない登録を受けた
・心身の故障で業務をおこなうことができない
・2年以上継続して所在が不明である

③懲戒処分とは?

社労士が、万が一職務責任や法令の遵守義務に反する行為をおこなってしまった場合は、懲戒処分がおこなわれます。この懲戒処分には、下表のとおり3種類の重さの処分がありますが、これを実行するのは厚生労働大臣です。

戒告

最も軽い

最も重い

文字通り”戒め”を申し渡す処分
業務停止 社労士としての業務をおこなうことを1年以内は中止
失格処分 社労士資格を失わせる処分

※懲戒処分の中には、社労士資格を剥奪するものはありません。
※③の失格処分を受けると、欠格事由に該当するため社労士名簿への登録が抹消され、再登録が3年間できなくなります。

2 社労士会の役割とは?

各都道府県に設置された社労士会を束ねる連合会は、厚生労働大臣の認可を受けた法定団体です。

(1)「全国社会保険労務士会連合会」とは

各都道府県社労士会の本部ともいえる連合会は、どのような目的のもとにどんな事業を展開しているのでしょうか。

目的 社会保険労務士会の会員の品位を保持し、その資質の向上と業務の改善進歩を図ること。そのため、以下の業務をおこなう。
・都道府県の社会保険労務士会及びその会員の指導及び連絡に関する事務
・社会保険労務士の登録に関する事務
・社会保険労務士試験及び紛争解決手続代理業務試験の実施に関する事務
事業   1 社会保険労務士の品位を保持するため、社会保険労務士会及びその会員に対し、勧告又は指導をおこなうこと。
  2 社会保険労務士の資質の向上を図るため、社会保険労務士の業務に関する研修をおこなうこと。
  3 社会保険労務士の登録及び社会保険労務士法人の届出に関する事務をおこなうこと。
  4 社会保険労務士の業務の改善進歩を図るため、調査研究をおこなうこと。
  5 社会保険労務士制度の普及宣伝をおこなうこと。
  6 社会保険労務士法(以下「法」という。)別表第1に掲げる労働及び社会保険に関する法令に関する調査研究をおこなうこと。
  7 関係行政機関等に対する協力及び連絡をおこなうこと。
  8 会報の発行をおこなうこと。
  9 福利厚生に関すること。
10 法の規定に基づく社会保険労務士試験の実施に関する事務をおこなうこと。
11 法の規定に基づく紛争解決手続代理業務試験の実施に関する事務をおこなうこと。
12 法の規定に基づく試験免除等の講習をおこなうこと。
13 資格審査会の設置及び運営をおこなうこと。
14 社会保険労務士の電子申請に関する業務をおこなうこと。
15 認証個別労働関係紛争解決手続の業務をおこなうこと。
16 その他本会の目的を達成するために必要な事業をおこなうこと。

全国社会保険労務士会連合会の資料を基に作表

社会保険労務士名簿は連合会にしか備えられていませんので、名簿への登録事務は連合会のみが携わる業務です。また、広報活動も連合会の重要な任務です。連合会のビデオライブラリーには、社労士の役割を世に知らしめるために制作された動画が紹介されています。またSNSやYouTubeでの情報配信もおこなっています。

(2)各都道府県社労士会の場合

各都道府県社労士会のなかから、神奈川県社会保険労務士会の業務内容を例として紹介します。

設置 法定団体として神奈川県知事、神奈川労働基準局長の連名で昭和53年11月25日に認可された。
業務 社会保険労務士の登録業務
会員への連絡
会員への研修・講習
関係法令の周知
関係行政への協力
会報「かながわ社労士」の毎月発行
本会及び支部会の街頭無料相談会
県下の中学・高校の授業を担当し、「出前教育」を実施
業務
研究会
労働安全衛生部会、労務診断部会、労働ADR部会、賃金部会、人事部会、福利厚生部会、外国人問題部会、
集団労使紛争対策部会、特定社労士業務部会、障害年金部会・がん患者等有病者の就労支援研究会

神奈川県社会保険労務士会ホームページ資料を基に作成

神奈川県社労士会の活動状況の紹介によると、同会は「社会保険労務士の社会的地位の向上の実現」を目指し、各種研修の開催やいわゆる「三号業務」について研究・発表支援等に取り組んでいます。

三号業務とは、労務管理と労働社会保険に関するコンサルティング業務のことです。三号業務の範囲はとても広いのですが、働き方改革や新型コロナ禍で、日本の就労環境が大変換期をむかえている今、労務の専門家・社労士のコンサルティングは広く求められるようになりました。

また、社労士以外の者が業として報酬を得て労働・社会保険に関する書類作成や提出代行に携わる「職域侵害」の防止や、非社会保険労務士の排除にも努めています。同会も、新型コロナ禍で設立された雇用調整助成金の特例について無料電話相談窓口を設けるなど、時限的な活動もおこなっています。

3 社労士登録っていくらかかるの?

社労士登録は、社労士会の主要業務です。登録するには必要書類を直接当該社労士会まで持参するか、郵送で書類の受理になります。各都道府県社労士会によって違いますので、事前に電話で確認して下さい。

(1)登録に必要な書類

社会保険労務士名簿に登録するにあたり必要な書類は以下の通りです。

社会保険労務士登録申請書(正本1枚、副本2枚の3枚複写)
※3枚全てにご署名ご捺印ください(6か所)
社会保険労務士試験合格証書のコピー
従事期間証明書(原本)又は、事務指定講習修了証のコピー
住民票の写し
(マイナンバーの記載のないもの、3か月以内のもの、コピー不可、本人のみ)
写真1枚(縦3cm×横2.5cm )
戸籍抄本(マイナンバーの記載のないもの、3か月以内のもの)
※登録申請時の氏名が合格証・従事期間証明書・事務指定講習修了証と相違がある場合のみ必要

(2)登録申請費用

社労士として登録をするなら、登録手数料・入会金を準備しなければなりません。下表は神奈川県社労士会の登録費用の例です。登録免許税と登録手数料はほぼ全国30,000円ですが、入会金と会費は各会によって金額が違います。

登録免許税(収入印紙を申請書に添付) 30,000円
登録手数料 30,000円
(開業) 入会金 70,000円
年会費 90,000円
(勤務・その他) 入会金 40,000円
年会費 45,000円

登録免許税・手数料および入会金は、社労士として働く初年度に一度だけかかるものです。入会金と年会費に関しては、勤務社労士の場合の方が低額です。

(3)各種研修費用

連合会の社労士名簿に登録する際には、繰り返しますが、社労士試験に合格することと通算2年以上の実務経験が必要です。実務経験が無かったりあっても2年に満たない場合は、4か月の通信指導過程と4日間の面接指導過程からなる「事務指定講習」を受けることで、これと同等の経験を有すると認められます。

この事務指定講習の受講料は、77,000円です(2020年5月時点)。講習の会場は全国4か所で、講習にかかってくる交通費や宿泊費は別ですので注意してください。

4 新型コロナ禍対策における時限的活動

社労士会は、新型コロナ禍などで必要とされる労務相談を各都道府県社労士会でおこなっています。

例えば、本部機能を持つ連合会は、今般の新型コロナ禍により企業が直面している労務上の問題に答える、無料相談窓口を開設しました(詳細はこちらからご覧ください)。この窓口では、以下のような労務上の悩みに、社労士が回答します。

・事業所を休業するにはどうすればよいか。
・テレワーク・時差出勤制度を導入したいがどうすれば良いか。
・感染対策で休んだ時の給料はどうなるか。
・ウイルスが原因の休業で、助成金が支給されると聞いたが?
・勤務先が事業所閉鎖するがどうなるのか?

この他、連合会は政府が新型コロナ感染拡大により特例を設けた助成金等について、社労士の立場から解説動画を作成し、特集ページも作成しました。休業を余儀なくされた経営者・人事労務担当者に向けて「人事・労務のプロ」である社労士が、「雇用調整助成金」「小学校休業等対応助成金」などの助成金について、詳しい申請マニュアルを配信するためです。

連合会は、多くの事業者の助成金申請の助けとなるように、ホームページ上でこれらの動画の積極的なシェア・拡散を呼びかけています。

5 サマリー

社労士会の役割について、お分かりいただけましたか。

社労士として働きたいなら、まず社労士名簿に登録し社労士会に入会しなければなりません。講習の申し込みや年会費の支払いだけでなく、ホームページに社労士として名前も掲載して頂くなど、社労士会とは長いお付き合いになります。

この記事が、そんな社労士会について理解を深めるきっかけになれば幸いです。

6 まとめ

・社労士会の正式名称は「社会保険労務士会」という。

・社労士試験合格と実務経験が揃ったら、社労士会を通し社会保険労務士名簿に登録する。

・「全国社会保険労務士会連合会」は各都道府県社労士会の本部であり、各会でおこなった社労士登録は自動的に連合会の社労士名簿に反映される。

・社労士会の主な業務は、社労士の登録・入会事務、会報発行、各種研修会の開催である。

・欠格事由があると社労士登録ができない。

・実務経験がない又は規定に満たない場合、連合会主催の事務指定講習を終了すること。

・社労士登録では登録手数料・入会金・登録免許税を支払う。その他年会費がかかる。

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