働き方改革に伴う資格とは?業務効率、業務推進等の面から紹介!

働き方改革に伴う資格とは?業務効率、業務推進等の面から紹介!

2018年6月に働き方改革関連法が成立したことで、2019年4月から「時間外労働の上限規制」など様々な改正事項が導入されています。企業はこれらに適切に対応していかなければなりませんが、そのためには、働き方改革の推進担当者が改正事項を十分に理解し、その他の社員も業務効率化の重要性を認識できていなければなりません。

この記事では、働き方改革を進めていくうえで社員に求められる対応力やスキルをアップできる検定や資格についてご紹介しています。

1 働き方改革を進めていくためには社員のスキルアップが必要

働き方改革を円滑に進めていくためには、人事・労務担当部署などの働き方改革の推進担当者が新たに導入する事項の詳細、また、導入に当たっての背景などを十分に理解したうえで社内に展開していかなければなりません。また、働き方改革では長時間労働を削減していかなければならないことから、全社員が業務効率化の重要性を認識し、個別に業務の進め方を見直していくことなども必要になります。

このため、多くの企業では、管理職や働き方改革の推進担当者が働き方改革に対応していくための能力を向上させることや、全社員が効率的に業務を行うためにITスキルなどを向上させることを目的として、関連する検定の受検や資格取得を推奨しています。

働き方改革に関する検定や資格には次のようなものがあります。

2 働き方改革の理解度を測るための検定等

政府の働き方改革の流れを受けて、多くの民間団体では働き方改革に関する検定などが実施されています。それらの中から有名なものをご紹介します。

(1)働き方検定

企業の働き方改革の推進担当者などが働き方改革をどの程度理解できているのかを測るため、一般財団法人全日本情報学習振興協会では、「働き方改革検定」として次の5つの検定を実施しています。

①働き方マスター試験

この試験は「働き方改革とは何か」 を十分に理解することを目標としているもので、分かり易い図表で示した労働経済社会の現状や企業のいろいろな取組みと 「働き方改革関連法」の基本的な部分を組み合わせた初心者向けの試験です。

解答はマークシート方式で、50問中70%以上正解すると合格となります。試験は年に4回、5月、8月、11月、2月に全国の指定会場で実施されており、受験料は8,000円(税抜)です。

【参考】[働き方マスター試験/一般財団法人全日本情報学習振興協会]
(https://www.work.or.jp/wsr/)

②ワークスタイルコーディネーター認定試験

この試験は「働き方改革実行計画」 と 働き方に関する法律を広く取り上げ、労働法分野の中でも、特に働き方改革 に関する法令と条文について詳しく扱っています。上記の「働き方マスター試験」の内容を含む、上位の試験であり、受験対象としては、働き方改革 を進める企業や団体のリーダークラスを目指す方などが想定されています。

解答はマークシート方式で、70問中70%以上正解すると合格となります。試験は、「働き方改革マスター試験」と同様、年に4回、5月、8月、11月、2月に全国の指定会場で実施されており、受験料は10,000円(税抜)です。

【参考】[ワークスタイルコーディネーター認定試験/一般財団法人全日本情報学習振興協会]
( https://www.work.or.jp/wsc/)

③労働法務士認定試験

上記の「ワークスタイルコーディネーター認定試験」では、労働法の中でも個人の働き方に関する部分に限定されていますが、この試験は労働法分野の全領域を扱っています。「働き方改革検定」の中では最上位の専門的知識を問う試験であり、受験対象としては労働法の専門職を目指す方などが想定されています。

マークシート方式の試験で、60問中70%以上正解すると合格となります。試験は年に2回、5月と12月に全国の指定会場で実施されており、受験料は15,000円(税抜)です。

【参考】[労働法務士認定試験/一般財団法人全日本情報学習振興協会]
(https://www.work.or.jp/wsm/)

④ストレスチェック検定

2015年12月から、労働者50人以上の事業場では毎年1回、定期的にストレスチェックの実施が義務付けられていますが、この検定では、「ストレスチェック」とは何か、また、ストレスチェックの実施方法や面接指導の実施方法などが問われます。受験対象としては、実際にストレスチェック事務にかかわる担当者をはじめ、管理職や人事・労務担当者などが想定されています。

マークシート方式の試験で、40問程度の問題について70%以上正解すると合格となります。試験は年に1回、7月に東京と大阪で実施されており、受験料は5,000円(税抜)です(2020年実施試験から、問題数は80問、受験料は8,000円に変更になる予定)。

【参考】[ストレスチェック検定/一般財団法人全日本情報学習振興協会]
(https://www.work.or.jp/scs/)

⑤認定ハラスメント相談員Ⅰ種試験

この試験では、ハラスメント相談員に必要となる、セクハラ・パワハラ・マタハラ・イクハラなどの基礎知識から相談にのぞむ心構え、質問や相談への対応などの知識が問われます。受験対象としては、人事・労務担当者、ハラスメント相談員になろうとする者などが想定されています。

選択式および記述式の試験で、計70問程度の問題について70%以上正解すると合格となります。試験は年に3回、7月、10月、1月に全国の指定会場で実施されており、受験料は18,000円(税抜)です。

【参考】[認定ハラスメント相談員Ⅰ種試験/一般財団法人全日本情報学習振興協会]
(https://www.harassment.or.jp/)

(2)メンタルヘルス・マネジメント検定試験

この試験は、大阪商工会議所と施行商工会議所が主催しているもので、試験では、職場内での役割に応じて必要となるメンタルヘルスケアに関する知識や対処方法が問われます。

試験は、職位・職種別に3つのコースが設定されており、人事労務管理スタッフ、経営幹部を対象としたⅠ種(マスターコース)、管理監督者を対象としたⅡ種(ラインケアコース)、一般社員を対象としたⅢ種(セルフケアコース)があります。

Ⅰ種は選択問題が100点満点、論述問題が50点満点の合計150点満点で構成されており、論述問題が25点以上かつ選択問題と論述問題の合計が105点以上であれば合格となります。Ⅱ種とⅢ種は選択問題のみの100点満点で、70点以上あれば合格となります。

試験はⅠ種が年に1回、11月に実施、Ⅱ種とⅢ種は、年に2回、11月と3月に実施されており、受験料はⅠ種が11,000円(税込)、Ⅱ種が6,600円(税込)、Ⅲ種が4,400円(税込)です。

【参考】[試験のご紹介/メンタルヘルス・マネジメント検定試験公式サイト(大阪商工会議所)]
( https://www.mental-health.ne.jp/about/)

(3)テレワーク検定

テレワークとは、パソコンやモバイル機器などを活用した、移動中の業務(モバイルワーク)や、在宅勤務、サテライトオフィス勤務などのことを言います。働き方改革においては、このテレワークが仕事と子育て、介護などを両立するための手段として期待されています。

この検定は、一般社団法人エコ・ペーパーレス協議会が実施しているもので、テレワークの基礎知識や情報セキュリティ対策、また、必要な機材やそれらの効果的な活用方法などが問われます。

受検対象としては、これからテレワークを導入しようとしている企業担当者や、テレワークを既に導入済みでさらに効率よく活用していきたいと考えている企業担当者などが想定されています。

検定はEラーニング形式になっており、各章ごとに教材をダウンロードして学習を進め(各章ごとに確認ドリルあり)、最終的に検定テストを受ける流れになります。(検定テストは、期間中何度でも挑戦可)検定料は3,300円(税込)です。

【参考】[テレワーク検定/テレワーク検定公式サイト(一般社団法人エコ・ペーパーレス協議会)]
(http://www.wnw-academy.com/)

3 業務効率化を促進するためのIT資格等

政府の働き方改革では、「時間外労働の上限規制」が導入されているため、必然的に業務効率的化にも取り組んでいかなければなりません。製造業務などでは、設備や工程の見直しなどを検討していくことになりますが、事務処理においては、IT化の徹底、各担当社員のパソコンやソフトの操作スキルを向上していかなければなりません。

ここでは、事務処理業務に携わる社員に取得を推奨したい業務効率化のためのIT関係の資格をご紹介します。

(1)マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)

この資格はMicrosoft Office(マイクロソフトオフィス)製品の操作スキルを国際的に証明するもので、試験は株式会社オデッセイコミュニケーションズが実施しています。

試験は実技のみですが、スペシャリストレベル(一般)とエキスパートレベル(上級)に分けられ、前者はWord(ワード)、Excel(エクセル)、PowerPoint(パワーポイント)、Access(アクセス)、Outlook(アウトルック)の5つのアプリケーションソフトについてバージョン(2013や2016など)ごとに実施されており、後者はWordとExcelのみ同じくバージョンごとに実施されています。

試験は毎月1~2回、日曜日にパソコンスクールや専門学校などで実施されている「全国一斉試験」か各指定会場の判断で実施されている「随時試験」のいずれかを選択して受けることになります。

受験料は、アプリケーションおよびバージョンごとに定められていますが、例えば、Word2016のスペシャリストレベル(一般)では、一般価格で10,780円(税込)、学割価格で8,580円(税込)です(2019年11月1日現在)。

【参考】[マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)とは/マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)公式サイト]
(https://mos.odyssey-com.co.jp/about/)

(2)VBAエキスパート

そもそもVBAとは、主にMicrosoft Officeシリーズに搭載されているプログラミング言語のことを言いますが、これを使ってExcelやAccessなどでマクロを組めば、複雑な計算などを自動化できる便利なものです。

この資格は、Excel、Accessのマクロ・VBA(Visual Basic for Applications)のスキルを証明するもので、上記のマイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)と同様に株式会社オデッセイコミュニケーションズが実施しています。

試験は実技のみで、資格には「Excel VBA ベーシック」、「Excel VBA スタンダード」、「Access VBA ベーシック」、「Access VBA スタンダード」の4つがあり、ベーシックレベルはビジネスで一般的に利用されるレベル、スタンダードレベルはITプロフェッショナルなどに求められる、より高いレベルになっています。

試験は、指定されたパソコンスクールや専門学校が実施している日に受験することができます。

受験料は、「Excel VBA ベーシック」、「Access VBA ベーシック」が一般価格で13,200円(税込)、「Excel VBA スタンダード」、「Access VBA スタンダード」が一般価格で14,850円(税込)となっていますが、他のVBAエキスパートやマイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)など対象となる資格を有している場合には、それぞれ1,000円程度安い割引価格が適用されます(2019年11月1日現在)。

【参考】[VBAエキスパートとは/VBAエキスパート公式サイト]
( https://vbae.odyssey-com.co.jp/about/)

(3)日商PC検定試験

マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)と同じような試験になりますが、日本商工会議所及び各地商工会議所が実施しているものに日商PC検定試験というものがあります。

マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)の試験では、Word、Excel、PowerPoint、Access、Outlookの5つのアプリケーションソフトについての基本操作から応用操作までのスキルが問われる実技試験ですが、この試験では、実技試験だけでなく知識問題もあります。WordやExcelなどの操作に加え、ビジネス関連知識やIT知識などがトータルで問われるため、業務の中での実践的なスキルを習得するためにはこちらを受験した方がよい場合もあります。

この試験には、ビジネス文書の作成、取り扱いが問われる「日商PC検定試験(文書作成)」、業務データの活用、取り扱いが問われる「日商PC検定試験(データ活用)」、目的に応じた適切で分かりやすいプレゼン資料を作成できるかが問われる「日商PC検定試験(プレゼン資料作成)」の3種類があり、さらにこの区分ごとにレベルが設定されています。難易度が高いものものから1級、2級、3級があり、「文書作成」と「データ活用」についてはさらに基礎級のBasicがあります。

試験は、各地商工会議所やパソコン教室、教育機関、職業訓練校などで受験することができますが、1級は年2回、10月と2月に実施、2級、3級、Basicは各試験会場の判断で随時実施されています。

受験料は、1級が10,480円(税込)、2級が7,330円(税込)、3級が5,240円(税込)、Basicが4,200円(税込)となっています(2019年11月1日現在)。

【参考】[日商PC検定試験/商工会議の検定試験公式サイト]
(https://www.kentei.ne.jp/pc)

4 働き方改革の推進担当者が持っておきたい専門資格

自社の働き方改革を進める限り、その推進担当者などに何か特別な資格が必要になるというわけではありません。

しかしながら、推進担当者の中に労働関係法や健康管理に関する専門資格を有する者がいれば、より円滑に働き方改革を進めていけることは言うまでもありません。

働き方改革に有益となる資格には様々なものがありますが、ここでは、「社会保険労務士」と「衛生管理者」をご紹介します。

(1)社会保険労務士

社会保険労務士は、労働保険・社会保険に関する手続きなどを業として行える国家資格です。

この資格を取得すると、独立して開業したり、社会保険労務士事務所などで働く者もいますが、その知識を会社内で活用していく者も多いため、人事・労務担当部署などでは取得を推奨している企業もあります。

合格率は、近年10%を切っているため、決して簡単な試験ではありませんが、働き方改革に限らず、人事・労務のスペシャリストを目指すには最適の資格と言えます。

受験にあたっては、一定の学歴や実務経験が必要となり、試験は、年に1回、例年8月末に全国の指定会場で実施されています。受験手数料は9,000円で、別途、払込手数料200円が必要になります(2019年度試験)。

【参考】[社会保険労務士試験とは/社会保険労務士試験オフィシャルサイト(全国社会保険労務士会連合会試験センター)]
(http://www.sharosi-siken.or.jp/exam/howto.html)

(2)衛生管理者

衛生管理者は、職場における労働者の健康障害を防止する役割を担う国家資格です。

常時50人以上の労働者を使用する事業者は、労働者の健康障害を防止するため、事業場の労働者の人数に応じた数の「衛生管理者」を選任しなければならないことになっています(労働者数が50人以上200人以下であれば、1人以上の選任が必要)。

衛生管理者の業務としては、健康診断の実施など健康保持増進のための措置に関することや、毎週1回作業場等を巡視して必要に応じて改善措置を講じることなどです。

この衛生管理者に選任できるのは、医師や労働衛生コンサルタントなどであるか、国家資格である衛生管理者免許(対応できる業種により第一種と第二種がある)を有している者に限られていますが、衛生管理者免許を取得するためには、全国の安全衛生技術センターなどで実施されている衛生管理者試験に合格しなければなりません。

試験は毎月1回以上実施(都市部では複数回)されており、受験手数料は第一種、第二種ともに6,800円です(2019年11月1日現在)。

受験にあたっては、一定の学歴や実務経験が必要になりますが、普通に勉強すれば1回目で合格することも難しくない試験です。現在、衛生管理者である者もいずれ異動することを考えれば、できる限り複数の者に取得させておいた方がよい資格です。

【参考】[資格の紹介 衛生管理者(第一種及び第二種)/公益財団法人安全衛生技術試験協会]
(https://www.exam.or.jp/exmn/H_shokai502.htm)

5 サマリー

いかがでしたでしょうか。

働き方改革を進めていくうえで社員に求められる対応力やスキルをアップさせるためには、会社として、関連する検定の受検や資格取得を推奨することが効果的です。これらの取り組みにより、働き方改革の推進担当者は働き方改革の意味を理解したうえで社内に展開できるようになりますし、その他の社員もより業務効率化を意識できるようになります。

教育・研修の一環として、検定や資格を積極的に活用していきましょう!

6 まとめ

・働き方改革を円滑に進めていくためには、管理職や働き方改革推進担当者が働き方改革を十分に理解できており、かつ、全社員に業務効率化に対応していく能力がなければならない。

・管理職や働き方改革推進担当者の働き方改革への理解度を向上させるためには、働き方改革に関する検定を受検させることが有効である。

・各社員の事務処理業務の効率化を図るためには、IT関係の資格を取得させることが有効である。

・働き方改革推進担当者の中には、専門的資格(社会保険労務士等)を有する者がいることが望ましい。

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