働き方改革 助成金の種類・支給額から探し方まで徹底解説!

働き方改革 助成金の種類・支給額から探し方まで徹底解説!

政府の働き方改革によって、企業には時間外労働の上限規制のほか、さまざまな改正事項に対応していくことが求められています。そのためには、労務管理システムの導入費用など一定の経費が発生しますが、厚生労働省や各地方自治体は、これらの経費の一部について助成金を支給しています。

この記事では、働き方改革で活用できる助成金について解説していきます。

1. 働き方改革で活用できる助成金

働き方改革を進めていくうえでは、社会保険労務士への相談や勤怠管理システムの導入など、少なからず経費が発生します。このため、厚生労働省や各地方自治体では、働き方改革に取り組み、一定の要件を満たす企業に対して助成金を支給することで、働き方改革の促進を図っています。

働き方改革で活用できる助成金として、まずは、厚生労働省による「時間外労働等改善助成金」「業務改善助成金」「キャリアアップ助成金」から、順に見ていきましょう。

※記載内容は、2019年7月1日現在の情報をもとにしています。

2. 「時間外労働等改善助成金」

「時間外労働等改善助成金」は、資本金等や雇用する労働者数が一定規模(業種ごとに異なる)以下である中小企業(以下、厚生労働省の助成金に関する中小企業の定義は同じ)が、時間外労働の上限規制などに円滑に対応していくことを目的としています。生産性を高めながら、労働時間の短縮などに取り組む事業主に対して助成金を支給するものです。

この「時間外労働等改善助成金」には次の5つのコースがあります。

(1)時間外労働上限設定コース

「時間外労働上限設定コース」では、時間外労働の上限時間を一定時間以下に見直し、休日を増加させた場合に助成金が支給されます。 

①助成金の概要

時間外労働の上限(月45時間・年間360時間)について、「特別条項付き36協定」を締結することで、月80時間、年間720時間を超えるような時間に設定しているような事業場が対象となります。上限時間を一定の時間以下に見直し、かつ、そのことを目的として外部専門家によるコンサルティング、労務管理用ソフトウェア機器の導入など、定められた取り組みを実施した場合に、その経費の一部が支給されます。

②助成金の支給額

現状の上限時間からの減少具合に応じて、50万円から150万円の支給額が計算されます。さらに、週休2日制を積極的に導入した企業には、現状の休日日数からの増加具合に応じて、25万円から100万円が加算されることになっています。

上記の額が、1企業あたりの上限額である「200万円」または「対象経費の4分の3の額」を超えていなければ、額面通りに支給され、超えていれば、いずれか低い方の額が支給されます。

なお、従業員数が30人以下で一定の条件を満たす場合には、さらに増額になる可能性もあります。

【参考】[時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)/厚生労働省]

(2)勤務間インターバル導入コース

「勤務間インターバル導入コース」では、勤務終了後から次の勤務までに一定時間以上の「休息時間」を設ける制度である「勤務インターバル」の導入に取り組んだ場合に、助成金が支給されます。

①助成金の概要

「勤務間インターバル制度」について、新規導入、あるいは、既に導入している制度の適用労働者の拡大、休息時間の延長を実施し、かつ、そのことを目的に外部専門家によるコンサルティング、労務管理用ソフトウェア機器の導入など、定められた取り組みを実施した場合にその経費の一部が支給されます。

②助成金の支給額

新規導入、既存制度の拡充(適用労働者の拡大や休息時間の延長)とも、助成率は対象経費の4分の3になりますが、次のとおり1企業あたりの上限額があります。

Ⅰ 新規度導入の場合

ⅰ 休息時間が9時間以上11時間未満の制度を導入した場合の上限額:80万円

ⅱ 休息時間が11時間以上の制度を導入した場合の上限額:100万円

Ⅱ 既存制度の拡充の場合

ⅰ 休息時間が9時間以上11時間未満の制度にした場合の上限額:40万円

ⅱ 休息時間が11時間以上の制度にした場合の上限額:50万円

なお、従業員数が30人以下で一定の条件を満たす場合には、さらに増額になる可能性もあります。

【参考】[時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)/厚生労働省]

(3)職場意識改善コース

「職場意識改善コース」では、生産性の向上などを図って、所定外労働の削減や年次有給休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組んだ場合に助成金が支給されます。

①助成金の概要

病気休暇や教育訓練休暇、ボランティア休暇など一定の特別休暇を新たに導入、また、労働者の月間平均所定外労働時間数を5時間以上削減し、かつ、そのことを目的に外部専門家によるコンサルティング、労務管理用ソフトウェア機器の導入など、定められた取り組みを実施した場合にその経費の一部が支給されます。 

②助成金の支給額

支給額は、取り組みの達成内容によって次のように異なります。

Ⅰ 「一定の特別休暇の導入」と「月間平均所定外労働時間数の5時間以上削減」の両方を達成した場合

対象経費の4分の3(1企業あたりの上限額:100万円)

Ⅱ 「一定の特別休暇の導入」を達成し、「月間平均所定外労働時間数の5時間以上削減」が未達成の場合

対象経費の2分の1(1企業あたりの上限額:50万円)

なお、従業員数が30人以下で一定の条件を満たす場合には、さらに増額になる可能性もあります。

【参考】[時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)/厚生労働省]

(4)団体推進コース

「団体推進コース」では、事業協同組合や信用協同組合のような事業主団体および共同事業主(事業主団体等)が対象です。傘下の事業主のうち、労働者を雇用する事業主(構成事業主)の労働条件の改善のために、時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取り組みを実施した場合に、助成金が支給されます。

①助成金の概要

事業主団体等が、事業実施計画で定める時間外労働の削減、または賃金引上げに向けた改善事業の取り組みを行い、構成事業主の2分の1以上に対してその取り組みまたは取り組み結果を活用したこと、かつ、その取り組みが、市場調査の事業や新ビジネスモデルの開発など、定められた取り組みである場合にその経費の一部が支給されます。

②助成金の支給額

「対象経費の合計額」、「総事業費から収入額を控除した額」、「上限額(原則500万円、都道府県単位以上の団体の場合は1,000万円)」のうち、最も低い額が支給されます。

【参考】[時間外労働等改善助成金(団体推進コース)/厚生労働省]

(5)テレワークコース

「テレワークコース」では、在宅またはサテライトオフィスにおいて就業する「テレワーク環境」を整備した場合に、助成金が支給されます。

①助成金の概要

次の成果を目標とし、かつ、これらの達成のため、テレワーク用通信機器の導入、外部専門家によるコンサルティングなど、定められた取り組みを実施した場合に、その経費の一部が支給されます。

Ⅰ 評価期間中(1か月から6か月で設定される一定期間)に1回以上、対象労働者全員に在宅またはサテライトオフィスでテレワークを実施させること。

Ⅱ 評価期間中における、対象労働者の在宅またはサテライトオフィスでのテレワーク実施日数を、週間平均1日以上にすること。

Ⅲ 年次有給休暇の取得促進について、労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数を前年と比較して4日以上増加させること、または、所定外労働の削減について、労働者の月間平均所定外労働時間数を前年と比較して5時間以上削減させること。

②助成金の支給額

上記の取り組みを達成できたか否かで、支給額は次のように異なります。

Ⅰ 上記を達成できた場合

「対象経費の4分の3」、「1人あたりの上限額:20万円×対象労働者数」、「1企業あたりの上限額:150万円」のうち最も低い額を支給

Ⅱ 上記を達成できなかった場合

「対象経費の2分の1」、「1人あたりの上限額:10万円×対象労働者数」、「1企業あたりの上限額:100万円」のうち最も低い額を支給

「1人あたりの上限額」という表現がわかりにくいかもしれませんので、例を挙げて解説します。

100万円のテレワーク機器を、対象となる労働者5人だけのために導入して、取り組みを達成した
・「対象経費の4分の3」で計算すると75万円
・「1人あたりの上限額:20万円×対象労働者数」で計算すると100万円
・この場合「対象経費の4分の3」で計算した額が最も低くなるため、75万円が支給される

【参考】[時間外労働等改善助成金(テレワークコース)/厚生労働省]

3. 「業務改善助成金」

時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務などに対応していくためには、業務の効率化および生産性の向上を図っていくことが求められます。

「業務改善助成金」は、中小企業の生産性向上を支援し、かつ、労働者の賃金の引き上げを促すことを目的としています。生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内の最低賃金を一定額以上に引き上げた事業主に対して助成金を支給するものです。

(1)助成金の概要

生産性向上に資する機械設備や、POSシステムなどを導入することによって業務改善を行い、かつ、事業場内の最低賃金を30円以上引き上げた場合に、その費用の一部が支給されます。

(2)助成金の支給額

事業場の状況によって、次の2つのコースに分けられ、支給額も異なります。

①30円コース(800円未満)

対象となるのは、事業場内最低賃金800円未満であり、かつ、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内、および事業場規模30人以下の事業場です。

助成率は対象経費の5分の4(助成金の支給申請時の生産性が、3年度前と比較して一定率以上伸びている場合は10分の9)になりますが、次のとおり、最低賃金を引き上げる労働者数によって上限額があります。

Ⅰ 最低賃金を引き上げる労働者数が1~3人である場合の上限額:50万円

Ⅱ 最低賃金を引き上げる労働者数が4~6人である場合の上限額:70万円

Ⅲ 最低賃金を引き上げる労働者数が7人以上である場合の上限額:100万円

②30円コース

対象となるのは、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内、および事業場規模30人以下の事業場です。

助成率は、対象経費の4分の3(生産性の伸び率が一定以上の場合は5分の4)になりますが、次のとおり、最低賃金を引き上げる労働者数によって上限額があります(上限額は①と同様)。

Ⅰ 最低賃金を引き上げる労働者数が1~3人である場合の上限額:50万円

Ⅱ 最低賃金を引き上げる労働者数が4~6人である場合の上限額:70万円

Ⅲ 最低賃金を引き上げる労働者数が7人以上である場合の上限額:100万円

【参考】[業務改善助成金/厚生労働省]

4. 「キャリアアップ助成金」

「キャリアアップ助成金」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用の労働者(以下、「有期契約労働者等」)の企業内でのキャリアアップを促進するため、下記の取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給するものです。

この助成金には次の7コースがあります。ここまで紹介してきた助成金は、資本金や雇用する労働者数が一定規模以下である中小企業が対象でしたが、このキャリアアップ助成金は、中小企業に該当しない企業(大企業)も対象にしています。

【参考】[キャリアアップ助成金/厚生労働省] 

(1)正社員化コース

「正社員化コース」では、有期契約労働者等を正社員に転換した場合などに助成金が支給されます。

①助成金の概要

有期契約労働者等を正規雇用労働者(正社員)や無期雇用労働者に転換した場合、また、無期雇用労働者を正規雇用労働者(正社員)に転換した場合に助成金が支給されます。

②助成金の支給額

支給額は、雇用形態の転換内容や企業規模によって異なります。また、助成金の支給申請時の生産性が3年度前と比較して一定率以上伸びている場合には、その分の加算があるなど、かなり複雑です。

支給額をおおまかに整理すると、次のようになります。

Ⅰ 有期雇用から正規雇用への転換
ⅰ 中小企業の場合は、1人あたり57万円、生産性の向上が認められれば72万円
ⅱ 大企業の場合は、1人あたり42万7,500円、生産性の向上が認められれば54万円

Ⅱ 有期雇用から無期雇用への転換/無期雇用から正規雇用への転換
ⅰ 中小企業の場合は、1人あたり28万5,000円、生産性の向上が認められれば36万円
ⅱ 大企業の場合は、1人あたり21万3,750円、生産性の向上が認められれば27万円

さらに、該当労働者が派遣労働者である場合や、母子家庭の母や父子家庭の父である場合などには、一定の額が加算されます。

(2)賃金規定等改定コース

「賃金規定等改定コース」では、有期契約労働者等の基本給に関する賃金規程等を増額改定し、昇給させた場合に助成金が支給されます。

①助成金の概要

すべてまたは一部の有期契約労働者等について、基本給の賃金規程等を2%以上増額改定した場合に助成金が支給されます。

②助成金の支給額

支給額は、基本給の昇給をすべての有期契約労働者等に実施するのか、一部の者だけに実施するのか、また、企業規模などによっても異なりますが、おおまかに整理すると、次のようになります。

Ⅰ すべての有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合
ⅰ 対象労働者数が1人~3人の場合
・中小企業の場合は、1事業所あたり9万5,000円、生産性の向上が認められれば12万円
・大企業の場合は、1事業所あたり7万1,250円、生産性の向上が認められれば9万円
ⅱ 対象労働者数が4人~6人の場合
・中小企業の場合は、1事業所あたり19万円、生産性の向上が認められれば24万円
・大企業の場合は、1事業所あたり14万2,500円、生産性の向上が認められれば18万円
ⅲ 対象労働者数が7人~10人の場合
・中小企業の場合は、1事業所あたり28万5,000円、生産性の向上が認められれば36万円
・大企業の場合は、1事業所あたり19万円、生産性の向上が認められれば24万円
ⅳ 対象労働者数が11人~100人(上限)の場合
・中小企業の場合は、1人あたり2万8,500円、生産性の向上が認められれば3万6,000円
・大企業の場合は、1人あたり1万9,000円、生産性の向上が認められれば2万4,000円

Ⅱ 一部の有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合
ⅰ 対象労働者数が1人~3人の場合
・中小企業の場合は、1事業所あたり4万7,500円、生産性の向上が認められれば6万円
・大企業の場合は、1事業所あたり3万3,250円、生産性の向上が認められれば4万2,000円
ⅱ 対象労働者数が4人~6人の場合
・中小企業の場合は、1事業所あたり9万5,000円、生産性の向上が認められれば12万円
・大企業の場合は、1事業所あたり7万1,250円、生産性の向上が認められれば9万円
ⅲ 対象労働者数が7人~10人の場合
・中小企業の場合は、1事業所あたり14万2,500円、生産性の向上が認められれば18万円
・大企業の場合は、1事業所あたり9万5,000円、生産性の向上が認められれば12万円
ⅳ 対象労働者数が11人~100人(上限)の場合
・中小企業の場合は、1人あたり1万4,250円、生産性の向上が認められれば1万8,000円
・大企業の場合は、1人あたり9,500円、生産性の向上が認められれば1万2,000円

さらに、中小企業において3%以上増額改定した場合や、そのほか定められた要件を満たすことで、一定の額が加算されます。

(3)健康診断制度コース

「健康診断制度コース」では、有期契約労働者等を対象とする法定外の健康診断制度を新たに導入し、延べ4人以上実施した場合に助成金が支給されます。

①助成金の概要

有期契約労働者等に対する雇入れ健康診断や定期健康診断は、その者の週当たり所定労働時間数が正社員の4分の3未満である場合には、法律上、実施する必要はありません。

この健康診断を実施する義務がない有期契約労働者等に対して、健康診断や定期健康診断、人間ドックなどを実施する制度を新たに導入し、延べ4人以上実施した場合に助成金が支給されます。

②助成金の支給額

支給額は、企業規模によって次のように異なります。

Ⅰ 中小企業の場合は、1事業所あたり38万円、生産性の向上が認められれば48万円

Ⅱ 大企業の場合は、1事業所あたり28万5,000円、生産性の向上が認められれば36万円

(4)賃金規定等共通化コース

「賃金規定等共通化コース」は、まさに「同一労働同一賃金」の趣旨に合致するものです。正規雇用労働者と同様の職務に従事する有期契約労働者等には、正規雇用労働者と同等の賃金を支払う賃金規定を新たに作成、適用した場合に助成金が支給されます。

①助成金の概要

一般的に、正規雇用労働者と有期契約労働者とでは適用される賃金規程が異なり、従事する職務が同じであっても、有期契約労働者の方が低い賃金を設定されています。

このコースでは、正規雇用労働者と有期契約労働者等を同じ賃金テーブルに乗せ、有期契約労働者等の賃金が時給計算であれば、同じ職務に従事する正規雇用労働者の月給を時給換算した賃金を支給するなどの賃金規程を新たに作成、適用した場合に助成金が支給されます。

②助成金の支給額

支給額は、企業規模によって次のように異なります。

Ⅰ 中小企業の場合は、1事業所あたり57万円、生産性の向上が認められれば72万円

※共通化した対象労働者(2人目以降20人まで)について、1人あたり2万円、生産性の向上が認められれば2万4,000円を加算

Ⅱ 大企業の場合は、1事業所あたり42万7,500円、生産性の向上が認められれば54万円

※共通化した対象労働者(2人目以降20人まで)について、1人あたり1万5,000円、生産性の向上が認められれば1万8,000円を加算

(5)諸手当制度共通化コース

「諸手当制度共通化コース」では、有期契約労働者等に対して、正規雇用労働者と共通の諸手当制度を設け、適用した場合に助成金が支給されます。

①助成金の概要

家族手当や住宅手当などは、正規雇用労働者だけを対象とし、有期契約労働者には支給しない制度であることが多いと言えます。

このコースでは、正規雇用労働者だけを対象としていた手当を、有期契約労働者等に対しても支給する制度を設けて実際に支給した場合、また、有期契約労働者等と正規雇用労働者の両方を対象とする制度を新たに設け、実際に支給した場合に助成金が支給されます。

②助成金の支給額

支給額は、企業規模や共通化の状況によっても異なりますが、おおまかに整理すると次のようになります。

Ⅰ 中小企業の場合は、1事業所あたり38万円、生産性の向上が認められれば48万円
ⅰ 共通化した対象労働者(2人目以降20人まで)について、1人あたり1万5,000円、生産性の向上が認められれば1万8,000円を加算(導入した手当が複数ある場合には、対象労働者が最も多い手当1つで計算)
ⅱ 正規雇用労働者と有期契約労働者等の両方を対象とする制度を新たに設けた場合(2つ目以降10手当まで)には、導入した手当の数1つあたり16万円、生産性の向上が認められれば19万2,000円を加算

Ⅱ 大企業の場合は、1事業所あたり28万5,000円、生産性の向上が認められれば36万円
ⅰ 共通化した対象労働者(2人目以降20人まで)について、1人あたり1万2,000円、生産性の向上が認められれば1万4,000円を加算(導入した手当が複数ある場合には、対象労働者が最も多い手当1つで計算)
ⅱ 正規雇用労働者と有期契約労働者等の両方を対象とする制度を新たに設けた場合(2つ目以降10手当まで)には、導入した手当の数1つあたり12万円、生産性の向上が認められれば14万4,000円が加算

(6)選択的適用拡大導入時処遇改善コース

「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」では、労使間の合意に基づく社会保険の適用拡大の措置により、有期契約労働者等を新たに被保険者とし、基本給を増額した場合に助成金が支給されます。

①助成金の概要

昨今、短時間労働者の社会保険の適用拡大が進められています。2017年4月1日からは、勤務時間・勤務日数が常時雇用者の4分の3未満、従業員数500人以下の会社であっても、労使間の合意があり、一定の要件を満たせば社会保険に加入できるようになっています。

このコースでは、短時間労働者の社会保険の適用について、労使間での合意によって、有期契約労働者等を新たに被保険者とし、基本給を増額した場合に助成金が支給されます。

【参考】[短時間労働者に対する厚生年金保険等の適用が拡大されています/日本年金機構] 

②助成金の支給額

支給額は、基本給の増額割合や企業規模などによっても異なりますが、おおまかに整理すると次のようになります。

Ⅰ 基本給の増額割合が3%以上5%未満の場合
ⅰ 中小企業の場合は1人あたり(45人まで)2万9,000円、生産性の向上が認められれば3万6,000円
ⅱ 大企業の場合は1人あたり(45人まで)2万2,000円、生産性の向上が認められれば2万7,000円

Ⅱ 基本給の増額割合が5%以上7%未満の場合
ⅰ 中小企業の場合は1人あたり(45人まで)4万7,000円、生産性の向上が認められれば6万円
ⅱ 大企業の場合は1人あたり(45人まで)3万6,000円、生産性の向上が認められれば4万5,000円

Ⅲ 基本給の増額割合が7%以上10%未満の場合
ⅰ 中小企業の場合は1人あたり(45人まで)6万6,000円、生産性の向上が認められれば8万3,000円
ⅱ 大企業の場合は1人あたり(45人まで)5万円、生産性の向上が認められれば6万3,000円

Ⅳ 基本給の増額割合が10%以上14%未満の場合
ⅰ 中小企業の場合は1人あたり(45人まで)9万4,000円、生産性の向上が認められれば11万9,000円
ⅱ 大企業の場合は1人あたり(45人まで)7万1,000円、生産性の向上が認められれば8万9,000円

Ⅴ 基本給の増額割合が14%以上
ⅰ 中小企業の場合は1人あたり(45人まで)13万2,000円、生産性の向上が認められれば16万6,000円
ⅱ 大企業の場合は1人あたり(45人まで)9万9,000円、生産性の向上が認められれば12万5,000円

(7)短時間労働者労働時間延長コース

「短時間労働者労働時間延長コース」では、パート・アルバイトなどの短時間労働者の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合に助成金が支給されます。

①助成金の概要

雇用する短時間労働者について、週所定労働時間を5時間以上延長、または、週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長するとともに「賃金規定等改定コース」または「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」の実施によって処遇の改善を図り、社会保険の被保険者とした場合に助成金が支給されます。

 ②助成金の支給額

支給額は、週所定労働時間の延長時間や他のコースの実施状況、企業規模などによっても異なりますが、おおまかに整理すると次のようになります。

Ⅰ 短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し、新たに社会保険に適用した場合
ⅰ 中小企業の場合は1人あたり(45人まで)22万5,000円、生産性の向上が認められれば28万4,000円
ⅱ 大企業の場合は1人あたり(45人まで)16万9,000円、生産性の向上が認められれば21万3,000円

Ⅱ 短時間労働者の週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長するとともに「賃金規定等改定コース」または「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」の実施し、新たに社会保険に適用した場合した場合ⅰ 週所定労働時間の延長時間が1時間以上2時間未満
・中小企業の場合は、1人あたり(45人まで)4万5,000円、生産性の向上が認められれば5万7,000円
・大企業の場合は、1人あたり(45人まで)3万4,000円、生産性の向上が認められれば4万3,000円
ⅱ 週所定労働時間の延長時間が2時間以上3時間未満
・中小企業の場合は、1人あたり(45人まで)9万円、生産性の向上が認められれば11万4,000円
・大企業の場合は、1人あたり(45人まで)6万8,000円、生産性の向上が認められれば8万6,000円
ⅲ 週所定労働時間の延長時間が3時間以上4時間未満
・中小企業の場合は、1人あたり(45人まで)13万5,000円、生産性の向上が認められれば17万円
・大企業の場合は、1人あたり(45人まで)10万1,000円、生産性の向上が認められれば12万8,000円
ⅳ 週所定労働時間の延長時間が4時間以上5時間未満
・中小企業の場合は、1人あたり(45人まで)18万円、生産性の向上が認められれば22万7,000円
・大企業の場合は、1人あたり(45人まで)13万5,000円、生産性の向上が認められれば17万円

5. 地方自治体の助成金について(東京都の場合)

働き方改革に関連する助成金は、厚生労働省だけでなく、地方自治体でも支給しているところがあります。

例えば、東京都の「働き方改革宣言奨励金」「働き方改革助成金」「テレワーク活用・働く女性応援助成金」などが挙げられます。

(1)働き方改革宣言奨励金

「働き方改革宣言奨励金」は、働き方・休み方の改善に係る経費を助成することにより、企業等の働き方改革を推進することを目的としています。一定の取り組みを実施した、都内で事業を営む中小企業等(労働者を2人以上、かつ、6か月以上継続して雇用していることなどの要件あり。以下同様)に、奨励金が支給されます。

この「働き方改革宣言奨励金」は、さらに「働き方改革宣言事業」と「制度整備事業」の2つに分けられます。

①働き方改革宣言事業

雇用する正社員の働き方・休み方について、次のⅠからⅣの取組事項をすべて実施した場合に、30万円が支給されます。

Ⅰ 長時間労働の削減、年次有給休暇等の取得促進に向けた問題点の抽出

Ⅱ 原因分析及び対策の方向の検討

Ⅲ 目標及び取組内容の設定(働き方改革宣言書の作成)

Ⅳ 社内周知

②制度整備事業

下記の「働き方の改善」または「休み方の改善」として掲げられているいずれかの制度について、労使協定を締結し、締結した協定を踏まえて制度内容を就業規則等に明文化した場合に、制度の数などに応じて、10万円~40万円が支給されます。

Ⅰ 「働き方の改善」
フレックスタイム制度、短時間勤務制度、テレワーク制度、在宅勤務制度、勤務間インターバル制度、時差出勤制度、週休3日制度

Ⅱ 「休み方の改善」
業務繁閑に応じた休業日の設定、年次有給休暇の計画的付与制度、記念日等有給休暇制度、時間単位での年次有給休暇制度、連続休暇制度、リフレッシュ等休暇制度、柔軟に取得できる夏季休暇制度

【参考】[働き方と休み方を変えよう!働き方改革宣言奨励金/東京都産業労働局] 

(2)働き方改革助成金

「TOKYO働き方改革宣言企業」に承認され、上記の「働き方改革宣言奨励金」の「制度整備事業」を実施しているなど一定の条件に該当する中小企業等が、下記の制度を導入し、計画期間中に助成要件を満たすことで、1制度あたり10万円(最大40万円)が支給されます。

①フレックスタイム制度
計画期間を3か月~12か月とし、その間、すべての月で、月1回以上、従前の始業・終業時間と異なる出退勤をしていること。

②短時間勤務制度
計画期間を3か月~12か月とし、その間、週1回以上、連続2か月以上の短時間勤務を実施していること。

③テレワーク制度・在宅勤務制度
計画期間を3か月~12か月とし、その間、連続2か月以上、かつ4回以上の利用があること、

④勤務間インターバル制
計画期間を3か月~12か月とし、その間、インターバル時間が運用され、利用者がいること。

⑤時差出勤制度・週休3日制度
計画期間を3か月~12か月とし、その間、制度が運用され、全対象者に制度が利用されていること。

⑥営業繁閑に応じた休業日の設定/年次有給休暇の計画的付与制度
計画期間を12か月とし、その間、制度が運用され、全対象者に制度が利用されていること

⑦記念日等有給休暇制度/時間単位での年次有給休暇制度/連続休暇制度/リフレッシュ等休暇制度/柔軟に取得できる夏季休暇制度
計画期間を3か月~12か月とし、その間、制度が運用され、利用者がいること。

【参考】[働き方改革助成金 制度の運用をバックアップ/東京都産業労働局] 

(3)テレワーク活用・働く女性応援助成金

働き方改革の推進に向けたテレワーク環境の整備や、企業における女性の新規採用・職域拡大を目的とした設備等の整備を支援するため、下記のような取り組みを行った中小企業等には費用の一部が支給されます。

この助成金は「テレワーク活用推進コース」と「女性の活躍推進コース(女性専用設備の整備)」の2つに分けられます。

①テレワーク活用推進コース

在宅勤務、モバイル勤務等を可能とする情報通信機器等を導入した場合、また、サテライトオフィスでのテレワークを可能にするため、民間のサテライトオフィスを利用した場合には、それぞれ、経費の2分の1(250万円が限度)が支給されます。

②女性の活躍推進コース(女性専用設備の整備)

女性の新規採用・職域拡大を目的とした設備(トイレ、更衣室、休憩室等)を整備した場合には、経費の3分の2(500万円が限度)が支給されます。

【参考】[テレワーク活用・働く女性応援助成金/公益財団法人東京しごと財団] 

6. 働き方改革で活用できる助成金を探す方法

ここまで紹介してきた助成金は、2019年度において働き方改革で活用できる主なものとなります。そのため、次年度にはなくなる可能性もあり、引き続き存続する場合でも内容が見直される可能性もあります。

また、助成金は一般的に申請できる期間が定められているため、利用しようと思ったときは、その時点でどのような助成金に申請できるのかを調べるところから始めることになります。

では最後に、活用できる助成金を探す方法について解説します。

(1)厚生労働省などのホームページで探す

働き方改革で活用できる助成金は、基本的には厚生労働省か各自治体のものになります。

助成金の情報は、インターネットのまとめ記事などから入手することもできますが、公開された時期によっては支給要件などが変わっている可能性もあるため、厚生労働省または各自治体のホームページで確認した方が確実です。

なお、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している「J-Net21」のような信用できるサイトでも助成金を探すこともできますが、詳細については結局、厚生労働省など制度元のホームページで確認することになります。

【参考】[働き方改革特設サイト(支援のご案内)助成金のご案内/厚生労働省] 

【参考】[支援情報ヘッドライン/J-Net21中小企業ビジネス支援サイト] 

(2)社会保険労務士などの専門家に相談する

労務管理全般や助成金の専門家である社会保険労務士に、活用できる助成金を相談することもできます。一定の料金はかかりますが、複雑な申請書類の作成や提出なども代行してくれます。

社会保険労務士でない者が助成金の申請サポートをしていることもありますが、トラブルも多いため、社会保険労務士に相談・依頼した方が安心です。

【参考】[助成金の申請は、社労士へご相談ください。/全国社会保険労務士会連合会] 

7. サマリー

いかがでしたでしょうか。

働き方改革で活用できる助成金は数多くあり、それらによって、必要経費の一部を回収することができます。どの助成金を申請すべきか、また、できるのかについては、企業の状況によって異なりますが、自社の時間外労働の時間や有期契約労働者の待遇などを十分把握したうえで、積極的に活用していきましょう。 

8. まとめ

・働き方改革で活用できる助成金は、厚生労働省のものが多いが、地方自治体で運用しているものもある

・申請する助成金を選ぶためには、自社にとってどのような働き方改革の取り組みが必要であるのかを理解しておかなければならない

・自社にとってどのような働き方改革の取り組みが必要であるのかは、従業員の労働環境や待遇などによって異なる

・各助成金の申請には、就業規則の改定や複雑な申請書類を作成する必要があるため、社内で対応が難しい場合には、社会保険労務士などの専門家に委託することもできる

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