テレビの時代は終わったといわれる現代、芸能人や著名人もこぞってYouTubeに参入しています。動画の「伝える力」は凄まじく、字面を追うよりも内容がスラスラと入ってくるから不思議です。実は社労士の先生方にも、YouTuberとして有益な情報を発信している先生が多くいらっしゃることを、ご存知ですか?
この記事では社労士YouTuberの先生方と、各先生方の再生回数の多い動画について、詳しく紹介していきます!
目次
1 社会保険労務士法人ローム
社会保険労務士法人ローム は、「違いが分かる社長はロームを選ぶ」と謳う社労士チャンネルです。チャンネル登録者数は1.65万人で、動画配信をおこなうのは、上場企業を含む654社の顧問先を持つ現役社労士・牧野剛先生です。
⑴ Youtuber 牧野剛先生はどんな方?
牧野先生のプロフィールによると、先生は大学卒業後、生協に就職されました。この就職先の劣悪な環境が、牧野先生が労働問題に開眼するきっかけとなりました。
就職した生協は当時、夏休みや年末年始の休みも取れない上に、未払い残業が蔓延するような劣悪な労働環境でした。
先生は、20代で生協の労働組合の専従となり、バブルの人出不足と人件費以外の「コストダウン提案」など、組合で要求していた要件のほとんどを勝ち取り活躍しました。労働問題に興味を持った先生は、この後社労士試験にわずか3か月で合格しますが、この短期決戦の勝因は、労働組合の活動で年金や健康保険制度、労働基準法の学習資料を作成していたからだと分析されています。
【牧野剛先生の歩み】
1989年:社会保険労務士資格を取得。
1991年:独立。
2007年:社会保険労務士法人ロームを設立。
⑵ 社会保険労務士法人ロームのコンテンツ紹介
本動画チャンネルは、ターゲットを「2代目社長さま」に絞っています。そのため、コンテンツは経営者がすぐに実務におろせる内容になっています。
「働き方改革に対応したい!」「人手不足をなんとかしたい!」「会社の利益をもっと増やしたい!」「問題社員をなんとかしたい!」
そんな悩みを持つ「2代目社長さま」へ送る、ソリューションの提案が動画コンテンツの中心です。
今般のコロナ禍でも、牧野先生は助成金や労務管理などについて、以下のように精力的に発信しました。
・コロナショックのピンチはチャンス!?コロナショックを生き残るために、会社が今やるべきこと!(雇用調整助成金)
・新型コロナウィルスとホテルのキャンセル対策(雇用調整助成金、休業、多能化など)
・【社長必見!】新型コロナウィルスと労務管理(拡散防止、景気への影響、就業制限、休業、解雇、生産調整、休業補償)
また、zoomの使い方について指南する動画も数本配信されています。主に、PCに苦手意識を持つ人に向けた内容になっています。
⑶ 再生回数の多い動画紹介
本チャンネルの、再生回数の多い動画は以下の通りです(2020年12月時点)。ご覧の通り、富士通や損保ジャパンの大量リストラや同一労働同一賃金など、働き方改革関連の動画が最大値を示しています。続いて再生回数が多いのは、コロナ禍による不況に関する動画です。これは最近配信されたコンテンツですが、「大失業時代の到来か?」をはじめ、多くの人の興味を引いたコンテンツであったことが分かります。
コロナ | 【コロナ不況】大企業・中堅企業も危険です! | 4.5万回 |
大廃業時代の到来!あなたはどう生き残る? | 4.1万回 | |
大失業時代の到来か? | 13万回 | |
働き方改革 | 【最新版】同一労働同一賃金を解りやすく解説!(働き方改革) | 17万回 |
損保ジャパンの「リストラ」がすごい!もはや神がかりか? | 21万回 | |
年金破綻か?金融庁の報告書から消された「真実」を社労士が解説! | 4.3万回 | |
知らないと損する!役員報酬の決め方(85%の社長が知らないお得なルール) | 5.5万回 | |
終身雇用崩壊発言の「狙い」とその後の雇用スタイルは? | 4.5万回 | |
45歳以上の大量リストラ!富士通などの大企業の動きと中小企業の対応法は? | 17万回 | |
有給休暇義務化のパート・アルバイトの具体的な対応法【2019年4月働き方改革】 | 5.9万回 | |
【これってパワハラ??】パワハラになる例、ならない例6つ (2020年法制化予定) | 4.4万回 | |
テレワーク | Zoomの設定方法( 登録・インストール) | 4.7万回 |
2 社労士YouTuber川浪宏【中小企業の働き方改革応援チャンネル】
社労士YouTuber川浪宏【中小企業の働き方改革応援チャンネル】は、登録者数こそ3000人台ですが、中小企業経営者をターゲットに有益な情報を提供しているチャンネルです。
熊本県で社労士事務所HIKARIを経営する川浪宏先生が、顧問先の中小企業から相談される内容に対する分かりやすい解説を、動画にしています。
⑴ Youtuber 川浪宏先生はどんな方?
川浪先生の前職は、上場企業の営業管理職でした。営業部に13年在籍されますが、その間に、先生は企業の福利厚生制度の提案力を向上するために、社労士資格を取得します。
2007年6月には、独立を果たして事務所を創業されました。2019年11月時点で顧問先企業は140社を超え、現在は事務所職員9名とともに、労務相談をおこなうまでになりました。
2019年6月から、先生は労働紛争解決センター熊本(法務省認証機関)のセンター長に就任しています。
⑵ 【中小企業の働き方改革応援チャンネル】のコンテンツ紹介
本チャンネルが取り扱うコンテンツは、中小企業を取り巻く様々な労務問題です。具体的には以下のような問題です。
- 求人
- 採用面接
- 残業
- 社会保険
- 給料
- 労災
- 助成金など
一般公開動画だけでなく、限定公開のチャンネルも投稿されています。
社労士動画といえば「助成金申請の解説動画」が王道ですが、当初川浪先生は、雇用調整助成金の動画だけは作るまいと思っておられたそうです。なぜならルールがコロコロ変わるうえに、地方の労働局のローカルルールも存在するので、面倒くさいからだそうです。
しかしリーマン・ショックや、先生の地元・熊本での大地震の際に、その考えを改めることになりました。当時、雇用調整助成金の特例が乱発されることで情報が錯綜し、混迷をきたした現場を目の当たりにしたことがきっかけです。
新型コロナウィルス感染拡大にあって、更に現場が混沌となることは明らかだったため、先生は解説動画の製作を開始されました。未知のウィルスの脅威にひるまずに、医療従事者やソーシャルワーカーが責任を果たす姿にも触発されたそうです。
⑶ 再生回数の多い動画紹介
雇用調整助成金をはじめとする、厚生労働省関連の助成金の申請手続きは、社労士の独占業務に定められています。【中小企業の働き方改革応援チャンネル】の人気動画も、コロナ禍により特例が設立された雇用調整助成金の申請手続きの解説動画です。
3 社労士.松本みつはるチャンネル
社労士.松本みつはるチャンネルは、登録者数2万人の社労士動画チャンネルです。公式ホームページによると、松本光治(みつはる)先生は、2011年の東日本大震災以降に社労士に転職しました。その後の短期間で、以下のような素晴らしい業績を成し遂げています。
①過去5年間の助成金受給額→累計1億6000万円を突破。
②労働トラブル相談→年間50件以上。
③就業規則・雇用契約書の改善コンサル→累計40社以上・・・など。
⑴ Youtuber 松本みつはる先生はどんな方?
松本先生の肩書は「助成金・労務問題コンサルタント」です。先生は大学卒業、企業に就職し法人営業をされていました。社労士として独立する前の職場は、外資系AIU損害保険会社でした。
年間優秀賞(2004年AIU)などのタイトルを獲得するほど、優秀な営業マンでしたが、ある時仕事について「ただの押し売りなのでは?」と悩むようになってしまいます。当然、成績は下降の一途をたどり、そこで東日本大震災を被災しました。
「セールスは卒業」「もっと価値ある提案を!」と一念発起し、ゼロから社労士として開業されます。中小企業経営者の「困りごと」や「喜ぶこと」にスポットをあてたコンサルティングで、「助かったよ」と多くの顧客から喜びの声を受け取られています。
⑵ 社労士 松本みつはるチャンネルのコンテンツ紹介
動画の中心は、中小企業経営者のお役立ちコンテンツです。キャリアアップ助成金、コロナ助成金詐欺予防 、勤務間インターバルコースの紹介など、社労士コンテンツの王道である助成金申請の解説動画もあります。
また、働き方改革の推進が簡単ではない建設業についてのコンテンツも多いです。「一人親方は労働者か?事業者か?」、社会保険質問シリーズでは「現場を渡り歩いている作業員はどうする?」「測量、警備、設計など周辺業者は含まれる?」など、業界関係者でなくても読んでみたくなる動画が満載です。
⑶ 再生回数の多い動画紹介
4 のんびり社労士いけいチャンネル
ネーミングがほのぼのしているのんびり社労士いけいチャンネルは、登録者数1.16万人を数えます。Youtuber社労士・伊計大樹先生は、クリエイターとしてYoutuber事務所に所属している異色の存在です。
⑴ Youtuber 伊計大樹先生はどんな方?
伊計大樹先生は、2018年8月から「社労士ちょっこし講座」の投稿を開始され、2020年9月に同講座の投稿を終了されました。2020年10月には「のんびり社労士いけい」として、チャンネルをリスタートされています。
妖怪や釣りを愛するキャラクターを前面に出しながら、「年金」に関わる学習コンテンツを中心に配信されています。分かりやすい解説や先生のお人柄が功を奏し、複雑な内容を扱っている動画でも、再生回数が多いです。
⑵ のんびり社労士いけいチャンネルのコンテンツ紹介
労務や年金の学び動画として好評を博していましたが、2020年9月30日には、社労士試験対策の動画投稿を終了されました。
しかし、年金に関する学び動画は充実していますので、是非視聴してみて下さい。参考までに、「国民年金」「障害年金」「年金改革法」に関する最近の記事を挙げてみます。
⑶ 再生回数の多い動画紹介
のんびり社労士いけいチャンネルで再生回数が多い動画を、以下にまとめました。
最も再生回数が多い「特別支給の老齢厚生年金講座その③★支給要件と生年月日要件をあらためて確認しよう」には、視聴者からこのようなコメントが投稿されています。
「老齢厚生年金は訳が分からず、こちらにたどりつきました!」
年金は複雑なので、社労士試験の受験生泣かせの科目です。法改正での変更点に注意しながら、是非以下の動画を視聴してみて下さい。
5 社労士ミーティング_資格スクエア
社労士ミーティング_資格スクエアは、社労士試験のための専門チャンネルです。もともとは、資格取得のオンライン学習サービス「資格スクエア公式チャンネル」のなかの社労士講座でしたが、2020年に単独のチャンネル「社労士ミーティング」としてリニューアルされました。講師が女性司会者と会話しながらテンポ良く進む動画が中心で、解説が分かりやすいと高評を得ています。
⑴ Youtuber 田口愼哉先生はどんな方?
メインの講師は、社労士の田口愼哉先生です。大手流通系企業にで15年間勤務した後、1998年社労士試験に一発合格されます。翌年1999年には、田口社会保険労務管理事務所を開業されました。
短期決戦の一発合格を果たしたことで、大手資格試験予備校から講師職のオファーを受けられます。約14年間にわたり講師業を勤めあげた後、資格スクエアに参画されました。
社労士試験科目の講座を担当する、もう一人の講師が高橋宏治先生です。高橋先生は特定社会保険労務士の資格を取得している、ベテラン社労士受験講師です。
⑵ 社労士ミーティングのコンテンツ紹介
メインコンテンツは、労務問題や働き方改革、社労士試験対策です。講師は高度プロフェッショナル制度、男性の育休などにも言及されています。
社労士志望の人には参考になる、社労士という職業にフォーカスした動画も数本あります。
⑶ 再生回数の多い動画紹介
社労士ミーティングは、タイトルもかなり分かりやすく作ってあります。一発合格した田口先生だからこそ語れる、社労士試験合格の秘訣について収録したものもあります。
なお本チャンネルは、今後年金や労務について、より専門性を深めていく方向性だそうです。
6 サマリー
いかがでしたか?「見てみたい!」と感じたチャンネルや動画はありましたか?ややこしい労務の問題や社労士試験科目が、動画で提供されると分かりやすく感じます。助成金申請手続きなどの実務解説も、動画だとよく理解できるのが不思議です。
7 まとめ
・社会保険労務士法人ローム は「違いが分かる社長はロームを選ぶ」と謳う社労士チャンネルで、経営者がに有益な実務をコンテンツとする。
・中小企業の働き方改革応援チャンネルは、中小企業から相談される内容を解説動画にして配信している。
・社労士.松本みつはるチャンネルは、中小企業の「困りごと」を取り上げた動画を配信している。
・のんびり社労士いけいチャンネルは、クリエイターとしてYoutuber事務所に所属する年金に詳しい解説動画である。
・社労士ミーティング_資格スクエアは、講師が女性司会者とテンポ良く進める動画が中心で、社労士試験対策や労務を扱う。