
宅建試験に出題される民法では、連帯債務について定めています。
連帯債務者の1人に請求、更改、免除、相殺、混同、時効という「絶対的効力を生じる事由」が起きた場合には、他の連帯債務者にも影響が及びます。
1 混同
混同とは、自分が自分に債権を持ち、自分が自分に債務を負担するということです。
自分に自分でお金を払うなどはできないため、債権債務は消滅します。
混同は相続によって起こりやすい傾向にあります。
相続では債権もそっくりそのまま引き継がれることになりますが、もしも親Aさんが子どもBさんに1,000万円の債権を有していたという場合でも、Aさんの死後にBさんが債権を相続するということが可能です。
しかしこれではBさんがBさん自身に債権を持つということになり、混同としてみなされます。
また、Aさんに対する3,000万円の連帯債務を、Aさんと親子関係であるBさんと、他人のCさん、Dさんに負っていたとします。
Aさんが死亡し、Bさんに債権が相続される場合、BさんはBさんに債権を有するため混同が生じ、債務者Bさんは債務者Bさんに支払ったとみなされ連帯債務が消滅します。
この後、BさんはCさんとDさんに、負担割合に基づく求償をすることが可能です。
2 時効
連帯債務者の1人のために時効が完成した際には、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者もその債務から免れることになります。
3 連帯債務の相対的効力を生じる事由
絶対的効力を生じる事由以外の事情は他に影響を与えず、「相対的効力を生じる事由」となります。
相対的効力を生じる事由の主なもののうち、1つは「期限の猶予」です。
連帯債務の弁済期が1月1日である場合、連帯債務者の1人に「1月10日でよい」と期限の猶予が与えられた場合でも、連帯債務者全員の弁済期が1月10日になるわけではなく、期限を猶予された人だけの弁済期が延びるのです。
もう1つは「債務承認」で、債務者の1人がこれをした場合にはその人だけが時効中断するということです。
債権者が連帯債務者の1人に請求した場合には、全員の時効が中断します。