借地借家法

借地借家法

宅建試験では土地や建物といった不動産に関する法律が出題されます。
その中の1つが権利関係を定めた法で、ここでは不動産に付与される権利やその移り変わりを焦点としています。

権利関係の基本的な枠組みや大きなルールは民法に定められていますが、その他、実際の契約で必要となるような細かい取決めは、様々な法律によって決められているのです。

その中の1つが借地借家法で、これは「借地権」と「借家権」の両方を扱った法律です。
文字通り、土地を借りる権利と建物を借りる権利のことですが、借地権の範囲は建物所有を目的とする土地賃借権・地上権のことであるため、植林目的の場合には借地借家法の適用外となるので気を付けましょう(その場合は民法が適用されます)。

 

普通の借地権

借地権と借家権には一般的なものと、特別なものが存在します。
まず、普通の借地権から見ていきましょう。

これは民法でも出てきたことですが、不動産に対する賃借権は登記によって第三者に対抗可能になるため、借りている不動産が第三者に売却されてしまったときでも登記があれば追い出されなくて済むのです。
しかし、賃貸人は賃借権の登記に協力する義務はなく、実際に登記してもらうことはとても難しいため、賃借人は対抗要件を満たしにくいというのが現実です。
それでは賃借人の権利が侵害されてしまう、と考えられて定められたのが借地借家法で、借地権者(土地の賃借人・地上権者)が借りている土地に建物を建てて、それに自己所有の旨の建物登記をすれば、その土地が売却されても借地権の他校が可能になるとしたのです。
建物登記は賃貸人の力を借りなくても1人で出来ますから、それさえ満たせば新地主の対抗要件となるのです。
もしその建物が滅失してしまった場合でも、借地上の見やすい場所に「滅失した建物を特定出来る事項(どこにどんなものがあったかという、位置情報、建物の階数や外観などの情報)」「滅失した日付」「建物の再築予定がある旨」を掲示しておけば、滅失してから2年間は対抗要件になり得ます。

しかしここで注意したいのが、借地権の存続期間です。
借地権をどれくらいの期間有効なものにするかということは、借地契約の締結時に定めておくことが認められています。
もしもその定めが無い場合は、最初の借地契約では30年、1度目の合意更新(再契約)では20年、2回目の合意更新では10年、それ以降の合意更新でもすべて10年というように自動的に決まります。
存続期間を定める場合にはこれよりも短くすることは出来ず、当初の借地契約は30年以上、1度目の合意更新では20年以上、2度目の合意更新では10年以上、それ以降の合意更新でもすべて10年以降にする必要があります。
つまり、存続期間を定められるといってもそれは法定より長く出来るというだけで、賃貸人が自分に有利なように短くしても無効として扱われます。

さて、その「更新」ですが、これは本人達がちゃんと再契約をし直していく以外にも「法定更新」と呼ばれる自動的な再契約があります。
これは建物の存続のためにある制度で、期間満了時に建物が存在するという事実を満たす事で可能になります。
方法は2つあり、「請求による法定更新」は、期間満了時に建物がある場合に借地権者が地主に対し、更新するよう請求するだけで更新出来るというものです。
しかし地主に正当事由(どうしてもその土地を使わないといけない事情)があれば、そのことをもって地主が遅滞なく異議を述べることで契約を終了させることも認められています(遅滞なく・正当事由のどちらかを欠いていれば更新します)。
もう1つ、「使用継続による法定更新」は期間満了時に建物が存在し、その後も引き続き借地権者が土地を使用し続けることによって契約が更新するというもので、地主は正当事由を持って遅滞なく異議を述べれば契約を終了させることが出来ます。

しかし法定更新がされなかった場合、つまり契約が終了した場合には、その土地に建ててしまった借地権者の建物をどうすればよいかが問題となります。
もし契約が終了したときには、借地権者は地主に対して借地上の建物を時価で買い取るよう「建物買取請求」をすることが認められています。
これには地主の意思は必要なく、借地権者が一方的に買取を請求するだけで、両者の売買契約が成立するのです。
ただ、借地権者が、地代を払わないなど債務不履行があるが故に契約を解除されたという契約終了の場合には、この権利を行使することは出来ません。

存続期間満了前に建物が滅失しても、契約自体は土地を借りることが目的ですから借地契約が終了するわけではありません。
ですから、また新しい建物をそこに作り直すということも可能ですが、その際に借地権は地主の承諾を得ることが必要です。
借地権者が地主の承諾を得て存続期間を超える建物を再築したときは、地主の承諾を得てから再築した場合なら承諾の日から20年、再築後に地主が承諾した場合なら再築の日から20年、存続期間が延長します。

賃借権を譲渡・転貸する場合にも、地主の承諾が必要です。
ただ、賃借権の譲渡・転貸によって地主に不利となるおそれが無いにも関わらず地主が承諾しないという場合には、借地権者は裁判所に申立てて地主の承諾に代わる許可を得ることが出来ます。
これは借地権にのみ認められている裁判所の制度で、借家権の譲渡・転貸に対しては認められていません。
また、借地上の建物を競売または公売(国税滞納を理由とした競売)によって第三者が取得した場合ですが、この第三者は出来ることなら土地の賃借権も一緒に取得したいところでしょう。
その際、第三者に賃借権が移動しても地主に不利となるおそれがないのに、地主が賃借人の譲渡を承諾してくれないという場合、その第三者は裁判所に申立てて地主権者の承諾に代わる許可をもらうことが出来ます。
普通の売買契約における賃借権の譲渡・転貸は借地権者によって、競売・公売における場合は第三者によって申立てがなされるというわけです。

特別の借地権

以上のような借地権は、基本的に借地権者を保護するために存在しているため、裁判所も借地権者の味方になりがちです。
借地権の更新の拒絶理由になる地主の正当事由もなかなか認められず、地主は一度土地を貸したらもう二度と戻ってこないと覚悟しなくてはならないことになりがちです。
流石にそれでは地主側が気の毒ということで、期間満了によって必ず契約を終了出来るという3種類の特別の借地権が認められているのです。

「定期借地権」は50年以上の存続期間が必要ですが、契約の更新はしないという特約を定めることが可能です。
また、建物再築による期間20年の延長をしない、契約終了に伴う建物買取請求も出来ない、という特約もつけることが出来ます。
この契約は必ず書面(公正証書など、書面であれば何でもよい)でしなくてはならず、口頭でしても無効になります。

「建物譲渡特約付き借地権」は30年以上の存続期間を定め、期間満了時に建物を地主に相当の対価で譲渡するということを借地契約締結時に特約するというものです。
この契約には更新がなく、建物再築による20年の期間延長もありません。
なお、契約終了後に、建物が地主のものになった後でも旧借地権者や建物賃借人によって建物使用が継続されている場合は、その者が新家主である地主に請求することで、地主との間に期間の定めの無い建物賃貸借が成立したことになります。
建物譲渡特約付き借地権の契約は、書面・口頭どちらでもすることが出来ます。

「事業用定期借地権」はその名の通り、事業の用に供する建物を所有する目的にのみ認められます。
事業の用に供する、とは、飲食店やスーパー、コンビニ、パチンコ屋などのように商売をするための建物を指しますが、商売といっても居住用賃貸マンションによる家賃収入を目的とした建物は認められません。
この契約では存続期間を10年以上50年未満とすることが必要ですが、30年の前後によって詳細が変わってきます。
10年以上30年未満を存続期間とする事業用定期借地権では、特約を定めなくても「契約の更新」「建物再築による期間20年の延長」「建物買取請求権」は当然に無いものとされます。
が、存続期間が30年以上50年未満の事業用定期借地権では、「契約の更新がない」「建物再築による期間20年の延長はしない」「建物買取請求権がない」ということを特約で定めることが出来るとされており、特約を定めなければ地主は不利となる可能性があります。
事業用定期借地権においては、公正証書による契約が必要です。

 

普通の借家権

では、次は建物を借りる場合の「借家権」です。
借地借家法における「借家」の範囲は、建物賃貸借(賃料を払うことで建物を借りていること)に限られていますが、利用目的は問われず、居住用・営業用のどちらにも適用されます。
しかし継続した賃貸借ということが条件であり、一時使用のための賃貸借だと明らかである場合には民法の適用となります。

建物賃借権は、登記がされていなくても、建物の引渡しがあればその建物がその後第三者に売却されても対抗出来るとされています。
つまり賃借権の登記がない場合でも、建物が売却された後でも引き続き使うことが出来るということで、買主が賃貸人の地位を賃借人に主張するためには所有権の移転登記をする必要があります。
建物賃貸借の存続期間は原則として、自由に定めることが出来ます。
定めないことも可能ですが、その場合には期間の定めのない建物賃貸借として存続することになります。
存続期間の定めが無い場合には、解約の申入れがなされない限りはいつまでも建物賃貸借を続けることが可能ですが、借家人からの解約申入れは正当事由が不要で申入れの3ヶ月後に終了するのに対し、家主からの解約申入れは正当事由を要するのに加え、申入れから6ヶ月後に終了するという違いがあります。
存続期間の定めをする場合は、1年以上であれば上限なく決めることが出来ます(1年未満の期間を定めてもその期間は無効となり、存続期間の定めが無い建物賃貸借となる)。
期間が満了したら借地契約同様に合意更新が可能ですが、正当事由があり、1年前から6ヶ月前までに更新拒絶の通知をすれば家主は更新を拒絶することが可能になります。
条件を満たさない更新拒絶通知では契約終了とならず、従前の契約と同一条件で更新されたものとみなされる上、存続期間は期間の定めのないものとなってしまいます。

建物を借りている間、住みやすくするために畳やエアコンなどを新しく設置することもあるでしょう。
そういった、建物を便利にするためにあり簡単に取り外せるものを「造作」といい、借家人には「造作買収請求権」という、家主の同意を得て建物に取り付けた造作に関しては、借家契約終了時にそれを買い取るよう家主に請求出来る権利があります。
これは借家人が一方的に請求するだけで売買契約を成立する効力を持ち、行使されると家主には自動的に代金支払義務が生じます。
ただ、家主は造作の取付けに同意を与える際、造作を買い取らないという特約をすることが出来るため、その場合には契約終了時、借家人は造作を取り外して自分で持っていかなくてはいけません。
建物の転借人にも、家主の同意を得て取り付けた造作に関しては同様に造作買取請求権を持ちます。

借家人が死亡したときには建物賃借権が相続されるため、配偶者などの相続人は借家人が死亡した後でも引き続き借家を認められます。
しかし借家人に相続人がいない場合には、原則として建物賃借権は消滅します。
例外として、居住用建物の賃借人が相続人無しに死亡した場合において、その時点で婚姻または養子縁組の届出はしていないけれど、建物の貸借人と事実上夫婦または養親子と同様の関係にあった同居者は、建物賃借権を引き継ぐことは可能です。
もしもその同居者が建物賃借権を消滅させたいと思った場合には、相続人なしに死亡したことを知ってから1ヶ月以内に家主に対してその旨を伝えることが必要です。

 

特別の借家権・定期建物賃貸借

特別の借地権と同じく、借家権においても、期間満了に伴い必ず契約が終了するような特別が認められています。
これを「定期建物賃貸借」といい、この契約を結ぶためには書面ですることが必要です。
書面であれば何でも良いのですが、口頭では認められないため、それでは普通の建物賃貸借扱いになってしまいます。

契約期間は1年未満でもよく、存続期間10ヵ月の定期建物賃貸借も有効に扱われます。
1年以上の場合には、家主は期間満了1年前から6ヶ月前までの通知期間に、期間満了のために契約が終了する旨を通知する必要があります。
通知期間が終わってしまった後に終了の通知をしたときは、その通知から6ヶ月が経過した日に契約終了となります。

また、借家人は期間満了前に「居住用建物の賃貸借である」「賃貸借の目的としている部分の床面積が二百平方メートル未満である」「転機や両尾用、親族の介護その他やむを得ない事情のため、借家人が建物を自己の生活の本拠として使うことが困難である」という条件を満たせば途中で解約することが可能です。
解約の申入れがあった日から1ヶ月で契約は終了します。

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