民法

民法

宅建試験に出題される民法では、権利関係について定めています。

 

債権譲渡

債権は権利なので、人から人への譲渡が認められており(原則自由に出来ますが、当事者の特約によって禁止することも可能)、債権が人の間を移ることを「債権譲渡」といいます。
債権譲渡において重要なのは、債務者の抗弁を理解することでしょう。
23年度の試験では、債権譲渡が広く出題されました。

債権譲渡が行われる場合、権利者であると主張するために必要な対抗要件は、債務者に対する通知または承諾とされています。
通知をする場合には譲渡人(債権を譲渡した人)からする必要があり、譲受人(債権を受け取った人)からしても無効となってしまいますが、承諾の場合は、債務者が譲渡人・譲受人のどちらかにすれば対抗要件となります。
ちなみに債務者に保証人がいる場合は、通知は債務者本人に、承諾も債務者本人がする必要があります。

もしも債権の二重譲渡(1人の譲渡人が複数の譲受人を作ってしまった場合)が行われたときには、公正証書や内容証明郵便等、確定日付のある証書による通知・承諾が優先されます。
それでも、確定日付のある通知が複数存在するという場合には、到達日が早い方が勝ちとされます。

債権譲渡を禁止する特約を結んだのに、債権者が債権を譲渡してしまった場合は原則無効とされます。
しかし判例では、譲受人が善意かつ重大な過失がないときならば、債権譲渡は認められるとしています。

債務者は債権譲渡に対する抗弁権を持っていますから、債権譲渡の通知を受けるまでに譲渡人に対して主張出来た事由をもって、譲受人に対して対抗することが可能です。
もし通知を受けるまでの間に、債権が弁済によって消滅したり、債権発生の原因である契約が取り消されたり、契約が無効であるため債権が不成立なときは、譲受人に対して支払を拒絶することが出来ます。
しかし、承諾した時点でこの権利は行使出来なくなりますから、債権譲渡に対して債務者が異議を留めない承諾をすると、たとえ譲渡人に対抗出来た事由があったとしても、譲受人に対する対抗は不可能です。

 

相殺

お互いの債権と債務をそれぞれぶつけ合わせ、チャラにしてしまうことを「相殺」といいます。
相殺自体を問う問題はあまり出題されませんが、他の分野で関連してくるため基本を押さえておきましょう。

たとえばAさんとBさんが事情により、お互いに100万円の借金をしているとします。
2人がよいのなら問題ありませんが、揃って100万円を用意してお互い渡し合うというのは面倒くさいですし、ナンセンスといえますね。
こういったとき、両方の債権を相殺してチャラにすることが可能です。
相殺しようという意思表示を「相殺の意思表示」といい、先に相殺を言い出した人の債権を「自働債権」、他方の債権を「受働債権」、そしてお互いの債権が相殺出来る状態にあることを「相殺適状」といいます。

相殺適状となるためには互いに債権を持っていることが前提ですが、ここで気を付けておきたいのが、時効によって消滅した債権でも消滅以前に相殺適状となっていたものであれば相殺可能、ということです。
大抵の権利関係では、時効で消滅した権利は主張出来ませんが、相殺においては消滅時効にかかった債権でも対象にすることが出来るのです。
また、相殺適状となるには、相殺しようとする人の債権(受働債権)が弁済期を迎えておくことが必要で、
相殺する債権は発生の原因・弁済場所が異なっていてもよいのですが、相殺の意思表示に条件や期限(来年になったら相殺の意思表示の効力が生じる、就職したら相殺する、など)をつけることは出来ません。

片方の債権が不法行為に基づく損害賠償請求権(借金を返さないことに怒った債権者に殴られ、その結果の慰謝料など)である場合、加害者から相殺をすることは出来ません。
被害者からは相殺の意思表示をすることが可能です。
また、同時履行の抗弁権を持っている方からの相殺は認められていますが、抗弁権の対象として文句を言われる方からの相殺は不可能です;。

相殺の効果の範囲は双方の債権の重なり合う分の額で、効果は相殺適状時に遡って発生します。

 

危険負担

危険、つまりリスク・損害は買ってき消えるものではありませんから、誰かが損害を負担しなくてはいけません。
「建物の売買契約を締結した後、引渡までに売主の不可抗力によって(地震など)滅失・損傷があった場合は、買主がその損害を負担します。
売主に修理義務はなく、買主は全額支払義務を負う上に、代金減額請求も修理の要求も出来ません。

また、条件が完成すると効力が発生する停止条件が付いている場合には、条件完成前に建物が不可抗力で滅失・損傷した場合は、条件の完成によって契約の効力が生じます。
ただ、滅失と損傷でそれぞれ扱いがことなり、滅失であれば不可抗力によるものなら売主が損害を負担し、買主は代金支払義務を免れます。
しかし損傷の場合、それが不可抗力によるものであれば、買主は代金全額支払義務を負います。

契約締結の前に建物が火事でなくなっていたなどのように、契約前に契約が実現不可能になることを「原始的不能の契約」といいます。
反対に、契約が成立してからその内容を実現することが出来なくなることを「後発的不能」といい、債務者の責めに帰すべき事由に基づいたものだったなら、債務不履行の1つである履行不能の問題として扱われ、買主は売買契約を解除することが可能です。
が、債務者の責めに帰することが出来ない事由であれば買主の解除権はなく、危険負担の問題となります。

 

売買契約

私たちの生活には何種類もの契約がありますが、なかでも売買契約はもっともスタンダードな契約と言えるでしょう。
宅建試験における出題率も高く、手付・売主の担保責任ともに頻繁に現れています

私たちが日頃するようなレベルの買い物であればいちいち必要ありませんが、車や家、土地などという高価なものに対する売買契約では、「手付」という契約成立の証拠となるいくらかのお金を相手方に渡すのが一般的です。
この手付について、民法は、手付の交付があれば解約手付と推定する、としています。
これは手付放棄をすれば契約が解除出来る、つまり解約手付を交付した買主は手付の分だけ損をすることを受け入れれば相手方の過失がなくても契約を解除することが可能になるというものです。
手付を受け取った売主も「手付倍返し」という、手付の倍の金額を買主に返すということをすれば契約解除を自由に出来ます。
つまり、損をする代わりに契約を解除出来るということですが、相手方が履行に着手してからは解除手付による契約解除は出来なくなります(自分の履行着手は解約手付には影響しない)。

契約の安全性を確保するため、「売主の担保責任」という制度も設けられています。
これは買主を困らせないように売主が負う無過失責任で、売主の故意または過失を問わず生じます。
「他人物売買」という、他人の物を売買する行為があります。
人の物を売ることなんてありえない、と思うでしょうが、実は可能なのです(勿論、出来るからといってホイホイやっていいわけではありませんが)。

たとえば買主Aさんと売主Bさんの間で土地の売買が行われたとしましょう。
しかしこの土地は実はCさんのもので、BさんはCさんから所有権を取得してAさんに移転するようCさんとの交渉を試みましたが、Cさんは拒絶したためAさんへの所有権移転が出来ませんでした。
しかも、Aさんは本当は、土地がCさんのものだと知っていてその上で買ったのです(悪意)。
このとき、Aさんがとれる行為について考えてみましょう。

他人物売買自体は有効です。
この場合、土地は100パーセントCさんのものなので「全部他人物売買」といいます。
というわけでAB間の契約は有効ですが、土地はCさんのものであるため、契約するだけでAさんがすぐ所有権を取得出来るわけではなく、売主のBさんがCさんから所有権を取得し、Aさんに移転する義務を負うということになります。
問題なのはその先ですが、Cさんが拒絶して所有権の移転が出来なかった場合、土地を変えなかったAは悪意であれば契約の解除を、善意であれば解除に加えて損害賠償請求もすることが出来ます。
ちなみに売主Bさんが善意(時効取得したなどと勘違いしていて、その土地が他人のものだと知らなかった)ならば、善意の売主からの解除も可能で、その際には買主が善意なら損害賠償をした上で解除、悪意なら移転出来ないことを通知して解除することになります。

全部他人物売買においては、何年以内に権利を行使しないといけないなどの制限は特に設けられていません。

なお、上記の例ではBさんがCさんに所有権の移転をお願いしていますが(結局断られましたが)それすらしなかった場合、つまり売主が故意または過失で所有権を取得しようとしなかったために買主への移転が出来なかったときには、買主は善意・悪意を問わず、担保責任とは別に、債務不履行に基づく解除および損害賠償請求を売主にすることが認められます。

では、上記の例で、土地の半分はBさんのものだったけれどももう半分がCさんのものだったというときはどうするのでしょう。
売却した物の一部が他人の物であることを「一部他人物売買」といい、この場合でも売主Bさんは、Cさんから所有権を取得して買主Aさんへ移転する義務を負います。
Cさんが拒絶し移転不能となると、Aさんが悪意であれば代金減額請求が、善意であれば代金減額請求・損害賠償請求、または解除が可能です(解除は、Cさんの部分を取得出来ないと契約目的が達成出来ないときのみ可能)。
全部他人物売買とは異なり、1年以内に権利を行使しなければいけません(悪意なら契約時から1年、善意なら知ったときから1年)。

地上権は物権ですから、登記があることによって第三者に対する対抗が可能です。
たとえば、地主のAさんがBさんのために地上権を設定し、Bさんはい地上権の登記も手に入れています。
その後AさんがCさんに土地を売却すると、BさんはCさんに地上権を対抗出来ることになるのですが、それではCさんはせっかく買った土地を使えず地代を請求するだけになってしまいます。
賃借権の登記がある土地の売買についても同じですが、Cさんはどうするべきでしょうか。
使えない物を買った場合、Cさんが善意ならAさんに対する損害賠償請求と解除をすることが出来ますが、悪意だと何も出来ません。
また、担保責任の追及は、地上権が付いていると知ってから1年以内にする必要があります。

1平方メートルで4万円で、200平方メートルだから800万円だという決め方をした売買契約を「数量指示売買」といいます。
数量指示売買で面倒なのが、あとから図って見たら150平方メートルしかなかったという
「数量不足売買」が起こり得ることです。
数量不足売買のとき、買主が善意(数量不足を知らない)であれば代金減額請求や損害賠償請求をすることが出来る上、契約目的が達成出来なければ解除も認められています。
が、この場合でも権利を行使するためなら、数量不足を知ってから1年以内にする必要があります。
ちなみに不足ではなく多かった場合、200平方メートルだったと思ったら250平方メートルあったという場合には民法に定めがなく、売主の増額請求は認められません。
売主は損をすることになりますが、確認を怠ったのが悪いとされているのです。

AさんがBさんから借金をする際、自己所有の土地に抵当権を設定してその旨を登記したとします。
しかしその後、抵当権を設定したにも関わらず、AさんはCさんにその土地を売ってしまいました。
さらにその後、Aさんがお金を返さなかったため、Bさんはその土地を競売したのですが、これではCさんは土地を買ったのにそれを失ってしまうことになります。
このように、抵当目的物の売買が行われた結果、買主の権利が侵害された場合には、買主CさんはAさんとの売買契約を解除し、さらに損害賠償請求をすることが可能です。
これはCさんの善意・悪意を問わず、つまり買ったものが抵当目的物であることを知っていても知らなくても行使出来る権利です。
Aさんが借金を返済すれば自分の土地は無事なのですから、知っていても構わないのです。
権利行使の期間制限はなく、買主の好きなときにすることが可能です。
ただ、解除や損害賠償請求が出来るのは実際に抵当目的物の競売が行われ、買主が所有権を失ったときであり、抵当権が付いているというだけでは出来ません。

床下の一部が腐っていたり、屋根裏の柱が虫食いでもろくなっていたりと、見えない部分にある欠陥を「隠れた瑕疵」といい、その瑕疵がある物を売ってしまった売主の責任を「瑕疵担保責任」といいます。
その際、買主が善意無過失であれば売主に損害賠償請求をすることが可能で、また契約目的を達成出来ない(家であったら住めないレベルで欠陥があるなど)ときには解除することも出来ます。
買主の善意無過失の範囲は、欠陥があることを知らず、かつ、必要な調査をしたけれど欠陥を見つけられなかったという場合です。
瑕疵担保責任の追求は、買主が瑕疵を発見してから1年以内にする必要があります。
また、引渡しから10年が経過すると時効消滅により追求が不可能になります。
出来るのは損害賠償請求・解除だけで、「瑕疵修補請求権」という、修理を求めることは出来ません(契約時に特約で定めていれば例外)。
売主は無過失責任であるため、どんなに綿密な調査をしても見つけられなかったという場合でも責任を負うことになります。

これらの担保責任について、民法は「任意規定」であるとしています。
つまり当事者同士が特約で排除することも出来るということで、「これが起きた時でも私は担保責任を負いません」という免責特約をすることが可能なのです。
よく定められるのは瑕疵担保責任を負わないという特約ですが、これを定めれば仮に後から隠れた瑕疵が見つかっても売主は責任を負わなくてよいことになります。
ただ、瑕疵があるとわかっていながら買主にそのことを告げず、免責特約をしたという場合には信義に反するため、その特約は無効となります。

 

贈与契約

お金や代替品などの対価を得ず無償で何かをあげること、つまりプレゼントのことを民法では「贈与」といいます。
贈与においても契約という形がとられており、贈与契約では当事者の一方(贈与者)が自分の財産を無償で相手方(受贈者)に与えるという意思を示し、相手方が承諾すると効力が生じるということになっています。
口約束だけで効力が発生する契約ですが、書面による贈与もあります。
書面による贈与は、口約束だけの贈与とは違い、贈与者からも受贈者からも意思を撤回することが出来ません。

また、書面によらない贈与においても、履行の終わった部分は撤回出来ません。
動産ではその物が引き渡された時点、不動産なら引渡し、または登記が移された時点で履行が終わったとみなされ、贈与の撤回が不可能になります。

売買契約においては、隠れた欠陥のある物を売ってしまった売主は善意無過失の買主に瑕疵担保責任を負いますが、贈与契約における瑕疵担保責任はありません。
あげたものに瑕疵があっても、いくらなんでもタダでもらったものの欠陥を追求するというのは道理に反するというものでしょう。
そのため贈与者は担保責任を負うことがありませんが、しかし、瑕疵の事実を知っていながら何も告げずに贈与したという場合は責任を負うことになります。
また、「負担付贈与」という、受贈者が負担を伴う贈与(建物をまるまるあげるけど、一室だけは贈与者の身内に住まわせるなど)においては、負担の限度において売主と同じ担保責任を負います。

 

金銭消費貸借契約

売買契約では、基本的に「物」と「お金」を交換することになります。
一方、「お金」が対象で、交換では無く一時的にそれを移動させる契約を「金銭消費貸借契約」といいます。
簡単に言えば借金のことで、民法上では「要物契約」とされ、お金を受領することで金銭消費貸借の効力が発生します。

銀行やサラ金業者などは、金銭消費貸借契約を結ぶ際に「利息」と呼ばれる、借りたお金の使用料という名目で貸借した額より多いお金を返させることで利益を得ていますが、この利息はそれを支払う旨の契約をしなかった際には払わなくてよいものです。
前述のような業者はそれが商売であるため必ず利息を設定するでしょうが、たとえば個人間で「財布を忘れたから三千円貸してくれ」などというものに利息を設定する人もいないでしょう。
あえてその旨を契約しなければ、利息の支払の必要はありません。
また、本来の弁済期(支払日)までに返済がされなかった際、履行遅滞に基づく損害賠償請金としての「遅延利息」も設定することも認められています。

金銭債務の支払場所について、特別に意思表示をしなかったときには、債権者の現在の住所で返済しなくてはなりません。

弁済(この場合は借金の返済)をした人は、弁済を受領した人(お金を貸していた側)に対して領収書などの受取証書を交付するよう請求することが出来ます。
弁済と受取証書は同時履行の関係にあるため、受取証書が交付されるまでは弁済しなくてよいことになります。
また、お金を貸した際に発行される、債権の成立を証明する文書(金銭消費貸借契約書など)がある場合には、弁済が完了すれば証書の返還を求めることが出来ます。
これは弁済が先にある必要があり、債権証書の返還と弁済は同時履行の関係では無いので気を付けましょう。

 

賃貸借契約

お金ではなく「物」を貸し、それによって使用収益(使わせて利益を上げさせる)させ、賃借人がこれに対して賃料を払う契約を「賃貸借契約」といいます。

「この物を借りている」という賃借権は登記することが出来、賃貸目的物が譲渡された場合でも譲受人に賃借権を対抗することが可能です。
たとえば、Aさんが家をBさんから借りて住んでいたとき、Bさんがその家をCさんに売ってしまった場合でも、Aさんが賃借権を登記していればCさんが「出ていけ」と言ったときでもAさんは対抗することが出来るのです。
ただ、賃借権を登記する場合には賃貸人の協力が必要であり、特に協力の義務の無い賃貸人の力を借りるのは難しいため、実際に賃借権が登記されることはあまりありません。

賃貸人は目的物を契約内容に従って使用収益する義務を負うため、借りている間の修理義務は賃貸人が負うことになりますし、賃借人も原則、賃貸人の保存行為(修理など)を拒絶することは出来ません。
しかし何かあるたびに賃貸人が直接来ないといけないというようでは効率が悪いですから、賃借人が費用を出して修理をすることも可能です。
たとえば借りている家に雨漏りがあった時、賃貸人である大家さんのことを待っていたら家がどんどん濡れてしまいますから、賃借人は先に修理することが出来るということです。
その際にかかる、使用収益に必要な費用を「必要費」といい、これは全額、直ちに賃貸人へ請求することが出来ます。
一方、賃借人が気を利かせて壁紙を綺麗なものに新調したり、キッチンの拡張工事をしたとします。
こういった、賃借物の価値を高めるためにかかった費用を「有益費」といい、これは賃貸借終了後、賃貸人の選択により支出額または価格増加の現存分を請求することが出来ます。

賃借人の負う義務は、まず当たり前ですが家賃などの賃料を支払うことです。
また、賃借権を無断譲渡・無断転貸することは禁止されており、もしも賃借人がこれを行った場合には賃貸人は契約を解除することが認められています(判例では、背信的行為だと認めるに足らない特段の事情があるときは解除出来ないとしている)。
賃借人は賃貸借契約終了時、賃借物を借り始めたときの状態に戻す(壁に穴を開けたら返すまでに直すなど)「原状回復義務」を負いますが、特約が無い限り、これには「通常損耗」と呼ばれる、普通に使っていることによってつく床や畳のキズなどは含まれておらず、その補修をする際の費用は賃貸人不安となります。

無断で賃借権を譲渡・転貸すると契約が解除されるということでしたが、賃貸人の同意を得ての場合は有効なものとなります。
賃借権が譲渡された場合、元の賃借人だった者は権利を譲渡した時点で契約関係から離脱することになるため、譲渡後に発生した賃料は新たな賃借人に請求することになります。
一方、賃借権の転貸では契約の離脱は起こりません。
Aさんから家を借りていたBさんが、その賃借権をCさんに転貸した場合においてBさんの契約離脱はないためAさんは賃料をBさんに請求することが出来るのです。
Bに請求せず、実質的に賃借しているCに直接請求することも可能ですがその際、賃借人と賃料と転借人の転貸料を比較して少ない金額を請求出来るということになります。

家や部屋を借りる際、「敷金」を支払うことになると思いますが、これを民法的に説明すると、賃借人が賃料を滞納するなどして賃借人に対して債務を負うかもしれない将来に備え、担保として差し入れておくというものです。
敷金返還請求権は賃借人が明渡しをすると発生しますが、その二者は同時履行の関係にはないため、「敷金を返さないなら明渡しはしない」などと言い張ることは出来ません。
この敷金返還を巡るトラブルは実際に起こっており、特に重要なのが賃借が行われている最中に賃貸人が交代した場合です。
AさんからBさんが家を借り、その際敷金を交付しました。
その後、Bさんが家を借りている間にAさんはCさんにその家を売り、登記も完了しました。
しかしいざBさんの賃借が契約満了となり、明渡しを済ませたBさんがCさんに敷金の返還を請求すると、「敷金をAから引き渡されていないからそれはAに請求しろ」とCさんが主張したのです。
実はこれは認められない行為で、CさんはAさんから敷金を引き渡されていなくても、Bさんに返還する必要があるのです。
敷金返還債務は新賃貸人に自動的に引き継がれるため、AB間の売買契約が完了した時点でCさんはBさんへの敷金返還義務を負います(もちろん、CさんがBさんに敷金を返還したら、後から同額をAに請求することは可能です)

一方、賃借人が途中で交代した場合には敷金関係は移転しません。
賃貸人は賃借人が変わったときに元の賃借人に敷金を返還し、新しい賃借人は敷金を新たに賃貸人へ交付することになります。

 

使用貸借契約

賃料を伴わず、無償で物を貸し借りするという契約を「使用貸借契約」といいます。
これは借主が目的物を受け取ることで効力は発生する要物契約で、借主が死亡しても権利の相続はなく、借主の死亡によって契約は終了します。

使用貸借契約では無償で物を借りていることになりますが、その物にかかる修理費など、通常の必要費は借主負担となります。
借用物は契約で定めた時期、また、特に時期の定めが無い場合には契約に定めた目的に従い使用・収益を終わった時点で返還しなくてはいけません(使用・収益が終わる前でも、使用・収益をするに足りる期間が経過したら貸主は返還請求が可能)。

使用貸借において、借主の使用収益権は貸主に対してのみ主張出来る権利ですから、物を借りている間にそれが第三者に売られたりしてしまった場合には、使用貸借契約を主張することは出来ません。
また、使用貸借は登記出来ないため、対抗要件になるようなものは無いでしょう(使用貸借は貸主の好意で成り立つ契約であるため、その好意がなくなれば契約が崩れてしまうのです)。
とはいえ使用貸借も立派な契約ですから、貸主といっても好きな時にいつでも契約を解除出来るわけではありません。
貸主の契約解除が可能になるのは、借主が契約またはその目的物の性質によって定められた使い方をしなかった場合、借主が貸主の承諾を得ないで賃借物を第三者に使用させた場合です。

 

請負契約

自分自身で直接何かをするのではなく、他者に頼んでやってもらうことを「請負契約」と言います。
建設業者に頼んで家を作ってもらったり、オーダーメイドで服を仕立ててもらったりというのがこれにあたります。
請負契約は注文に応じて仕事を完成するという契約で、依頼人のことを「注文者」、仕事をする人を「請負人」と言います。

注文者は完成した仕事に対して「報酬支払義務」を負い、請負人は「仕事完成義務」および完成した目的物を引き渡す「引渡し義務」を負います。
仕事完成義務と報酬支払義務は同時履行の関係ではなく、仕事完成義務が先履行義務であるため、「報酬を払ってくれないと仕事しません」ということは出来ません。
しかし目的物の引渡しと報酬支払は同時履行の関係にあるため、報酬が渡されないことを理由に物を引き渡さない、ということは可能です。

請負人がした仕事の目的物に瑕疵がある場合には、注文者は請負人に瑕疵修補請求(修理しろと言うこと)と損害賠償請求をすることが可能ですし、さらに、瑕疵が重大で契約目的が達成出来ないのであれば契約を解除することが出来ます。
しかし目的物が建物である場合、どんなに瑕疵が重大でも仕事が完成した後に解除することは出来なくなり、瑕疵修補請求・損害賠償請求だけで留めなければいけません。
これらの権利はあくまで請負人が持っている権利で、AさんがBさんに家を作るよう依頼し、出来上がった家をCさんに売却したらその家に欠陥があった、などという場合には注意が必要です。
Cさんは欠陥を修理したいと思ったのですが、ここで直接、CさんがBさんに修理を請求するということは出来ません。
Aさんは家が売却された後でも注文者の地位にあるため、瑕疵修補請求権のあるAさんがBさんに修理を請求することが必要なのです。
Cさんに出来る瑕疵担保責任の追及はAさんへの損害賠償請求・解除ですから、Aさんに瑕疵修補請求をしたり、Bさんに修理を求めたりということは出来ないのです。

請負人の担保責任期間、つまり目的物の引渡しを受けてから瑕疵修補や損害賠償の請求が出来るのは、動産であれば引渡しから1年以内(解除も可能)、木造建築は引渡しから5年以内、鉄筋コンクリートなど頑丈な建物は引渡しから10年以内、瑕疵が原因で建物が滅失・損傷した場合はそこから1年以内です。

請負契約でも、免責特約によって担保責任を負わないと定めることが可能です。
が、瑕疵を知りながらも告げなかったことについては免責出来ません。

仕事が完成する前であれば、注文者は、損害賠償をして契約を解除することが可能です。
注文者がいらないものをわざわざ作り続けてももったいないだけですし、受取人もお金をもらうことで損害が出ないと言えるでしょう。
また、注文者が破産手続開始の決定を受けた場合には、請負人または破産管財人によって契約は解除することが可能です。

完成した物の所有権が注文者と請負人のどちらに帰属するのか、というのは少々ややこしい問題です。
これは判例を参考に考えていく必要があるでしょう。
注文者が材料の全部、または主要な部分を供給した場合には注文者に直接帰属することになりますが、請負人が材料の全部、または主要な部分を供給したとなると請負人が所有権を獲得するため、引渡しによって注文者に移転することになります。
明示・黙示問わず、特約を定めることにより、請負人が材料全部を負担した場合でも建物完成と同時に注文者が所有権を取得出来るとすることも可能です。
注文者が代金の全部、または大部分を支払っている場合には特約の存在が推定されるため、完成と同時に所有権が注文者に帰属します。

 

委任契約

契約という法律行為をしてもらうよう、相手方に依頼する契約を「委任契約」といいます。
依頼する側を「委任者」、引き受ける側を「受任者」といい、自分の代わりに家を売ったりしてもらうなどの場合を指します。
民法における委任は法律行為だけでなく、結婚式のスピーチやベビーシッターなど、様々な事務の委託にも準用されるため(準委任)、委任とは事務処理を他人に頼むことだ、と捉えておきましょう。

委任契約において、受任者は「善管注意義務」という、委任事務の処理を委任の趣旨に従い、善良な管理者の注意をもって行う義務を負います。
これは委任の有償・無償を問わず、自分のことに対する注意以上に気を使ってすべきだとさえています。
また、委任者の請求があった場合、受任者はいつでも委任事務処理の状況を報告し、終了後は遅滞なくその経過と結果を報告する必要があります(特約がなければ定期的な報告はいりません)。
その他、委任事務処理にあたって金銭等を受け取った場合、受任者はそれを委任者に引き渡すという「受取物引渡義務」を負っています。
また、委任者のためえに自己の名をもって取得した権利がある場合には、受任者はそれを委任者に移転しなくてはいけません。
たとえば車を買ってくるよう委任した場合、受任者が委任者の名で契約すればそれは代理であり、受任者は代理人にあたり委任者が本人のままですが、受任者が自分の名前で契約するとそれは代理ではなく、受任者が契約当事者になるため、買主として得た所有権を委任者に移転する必要があるのです。

一方、委任者の負う義務はまず、報酬支払義務と費用前払い義務です。
もっとも委任契約は原則として無報酬であるため、報酬を受けるには特約を定める必要があります。
報酬を払う特約がある場合の委任者は受任者の請求がありしだい、委任事務処理費用を前払いしなくてはいけません。
また、「債務の代弁済・担保供与義務」に基づき、受任者が委任者のために自己の名で債務を負担したときにおいて、受任者は債務の肩代わりまたは相当な担保の請求を委任者に請求することが可能です。
債務の肩代わりの請求は「代弁済請求」といい、これは単に契約においてかかった費用を受任者が委任者に請求するということです。
相当な担保の提供の請求は、受任者が委任者に有する債権を被担保債権として、委任者の財産に抵当権を設定するか保証人を立てるよう請求することです。

委任は、各当事者によっていつでも解除することが可能です。
債務不履行などの有無を問わず、どんな理由でも解除出来ますが、相手方が不利となる時期に解除した場合には損害賠償する必要があります。
その他、委任者の死亡・破産手続開始の決定、受任者の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判によって終了します(委任者の後見開始の審判では終了しないので注意しましょう)。

尚、委任契約の解除の効果は遡及効ではないため、未来に向かってのみ効力を生じます。

 

不法行為

故意または過失により、違法に他人に損害を与えることを「不法行為」といいます。
たとえば人をわざと殴って怪我をさせたり、よそ見しながら運転していて店の看板を壊したりといった場合は不法行為となり、不法行為者である加害者は被害者に損害賠償責任を負います。
裏を返せば、故意・過失がない不可抗力の場合には損害賠償責任を負わないということです。
損害賠償は原則、金銭で行います。
他人の名誉を毀損した者に対しては少し特殊で、裁判所は被害者の請求によって村議賠償の代わりに、または損害賠償に加え、名誉を回復するのに適当な処分(謝罪広告等)を命ずることが可能です。

宅建試験において重要となるのは、「特殊不法行為」と呼ばれるものです。

1つ目は「使用者責任」という、会社の従業員(被用者)が業務の執行において他人に不法行為をした場合、被用者地震が損害賠償責任を負うのに加えて会社(使用者)も損害賠償責任を負うというものです。
これは使用者という存在の特性からくる考え方で、普段被用者を使って利益を得ているのだから、同時に損害も負担するべきだと主張されるのです。
ただ、使用者が被用者の選任・監督について相当の注意をした、または相当の注意をしたとしても損害が生じたであろうと考えられる場合には、責任を負わないとされています(とはいえ判例では、使用者の無過失責任はほとんど認められていません)。
被害者が損害賠償をするためには、費用者が不法行為の要件を満たしている(故意または過失によって違法に損害を与えた)ことが必要で、それがあれば被害者は使用者・被用者のどちらにも損害賠償請求をすることが可能です。
使用者は被用者に不法行為をするよう指示していなくても、つまり被用者が個人的に不法行為をした場合でも使用者責任を負いますが、そのケースでは被用者が原因をつくっているため、使用者は損害賠償後に被用者に求償することが出来ます(使用者にも原因があると全額求償は不可)。

2つ目は「工作物責任」ですが、まず「工作物」の定義を確かめておきましょう。
工作物とは人間が作ったもののことで、建物や柱のことを「土地の工作物」といいます。
土地の工作物の設置または保存に瑕疵があるために、他人に損害が生じた場合に負う責任が工作物責任です。
たとえば、建設会社Aが作った建物をBさんが所有していて、Cさんがそれを賃借しているとします。
しかしこの建物の外壁がはがれたせいで、近くの道を歩いていたDさんがそれにぶつかり怪我をしてしまいました。
この場合、被害者にあたるDさんは誰に損害賠償請求をすればよいのでしょうか。
まず、占有者に対して損害賠償請求をすることになりますから、最初にCさんに対して損害賠償請求をします。
Cさんに過失が無いとそれ以上Cさんには何も言えませんから、所有者のBさんに損害賠償請求をします。
所有者の責任は無過失責任であるため、Bさんは問答無用で損害賠償請求をしなくてはなりません。
ちなみに、壁がはがれた原因が建設会社Aにある場合、つまり損害原因について責任を負う者があるときには、損害賠償したBさんやCさんは、建設会社Aに対して求償をすることが出来ます。

3つ目は「注文者の責任」という、請負契約に関する特殊不法行為です。
注文者は請負人に仕事を任せている以上、請負人がその仕事において第三者に加えた損害(工事中に建設業者が材木を落として人を怪我させたなど)を賠償する責任は負いません。
ただ、注文者による注文または指図に過失があった場合は損害賠償責任を負います。

最後に「共同不法行為」ですが、複数人が共同で不法行為をして他人に損害を加えた場合は、各自が連帯して損害賠償する責任を負います。
1人が全額賠償してもよいですが、その際には、その人は各不法行為者の過失割合に応じた求償をすることが可能になります。

不法行為に対する損害賠償請求には消滅時効があります。
損害と加害者の両方を被害者(またはその法定代理人)が知った場合には、知った時点から3年間で、損害と加害者の両方を知らない場合には不法行為があった時点から20年気かで損害賠償請求権が時効消滅します。

 

相続

「相続」という言葉はドラマや小説などでも多く出てくると思いますが、これは民法において非常に重要な分野といえます。
法律的に説明すると、相続とは、死亡した人の債権債務(遺産)を一定の人が引き継ぐことで、死亡した人を「被相続人」、その遺産を引き継ぐ人を「相続人」といいます。
遺産相続というとお金や不動産という財産が手に入るイメージが強いですが、実際の相続では権利だけでなく義務や債務も引き継がれるため、借金などを相続することもあります。

相続は誰でも出来るわけではなく、遺言が無い場合には、被相続人の配偶者(愛人は婚姻届を出していないため違う)、直系尊属(両親・祖父母)、嫡出子(結婚している男女の子ども)、非嫡出子(結婚していない男女の子ども)が相続人になることが出来るとされています。
この「子」ですが、実子と養子は同一の扱いとされ、嫡出子と非嫡出子の両方がいる場合もその両者を同等に扱うと決められています(以前は非嫡出子が嫡出子の半分になると規定されていたのですが、最高裁の判決ではそこも同じ扱いにすべきだという判断がされたのを受け平成25年に法改正されました)。
配偶者は常に相続人となり、また、配偶者と共に子(第1順位)、直系尊属(第2順位)、兄弟姉妹(第3順位)の順番で相続人になります。
子がいれば配偶者と子が相続人、子がいなかったら配偶者と直系尊属、それもいなかったら配偶者と兄弟姉妹、というように決めていきます。

遺言による取決めが無い場合にすることになる、法律で定められた相続の割合を「法定相続分」といいます。
配偶者と子どもの場合は2分の1ずつ、配偶者と直系尊属の場合は配偶者3分の2・直系尊属3分の1、配偶者と兄弟姉妹は配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1、というように決められています(配偶者がいなければ子・直系尊属・兄弟姉妹が全部相続)。

相続は、被相続人の死亡によって開始するため、相続人は被相続人の死亡時に生存していなくてはならないという「同時存在の原則」があります。
しかし相続人に子どもがいる場合、つまり被相続人から見て孫がいる場合には原則「代襲相続」として孫に相続させることになります。
また、被相続人に子も孫もいない場合、兄弟姉妹が相続の資格を有することになりますが、その兄弟姉妹も被相続人より先に死亡していたときには、兄弟姉妹の子、つまり被相続人にとっての甥や姪も原則、代襲相続します。
相続人となるべき者が相続欠格者(被相続人を殺した者など。自動的に相続人から外される)だった、または排除された者(被相続人を虐待・侮辱したりしたため、被相続人に請求された家庭裁判所によって相続人から外された者)だった場合、その者自身は相続人になれないものの、その子は代襲相続をします。
ただし、相続人となるべき者が相続を放棄した場合には、その者に子がいたとしても代襲相続は出来ません。

相続人は、自分が相続人となる相続が開始したことを知った時から3ヶ月以内に、単純承認・限定承認・放棄のいずれかをする必要があります。
単純承認は被相続人の債権債務すべてを相続するというもので、相続の開始を知ってから3ヶ月以内に限定承認も放棄もしないと、これをしたものとみなされます。
限定承認は遺産における債務、つまりマイナス要素を遺産のプラス要素の中から払い、それでも払いきれなかった分においては責任を負わない、というものです。
これをする際には家庭裁判所に申し述べる必要があり、相続人が複数人いるときは全員が共同ですることが必要です。
放棄は遺産の全てを放棄するということで、相続開始後に家庭裁判所に申し述べることで、初めから相続人ではなかったという扱いになります。
相続開始前にしても無効になるため、必ず相続開始後にしなくてはいけません。

遺言とは、自分の死後に自分の財産をどうしてほしいかという文書を作ることで、遺言が可能であることを「遺言能力」を有している、といいます。
遺言能力は15歳に達した時点で取得し、未成年者は法定代理人の同意が無くても単独ですることが出来ます(成年被後見人は事理を弁識する能力を一時回復した時に医師2人の立会いのもとで可能。被保佐人と被補助人は保佐人・補助人の同意がなくても遺言出来るが、同意が無いことを理由にした取消は不可)。
遺言は「共同遺言の禁止」に基づき、複数人が同一の証書ですることは出来ません。

普通方式の遺言には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があり、それぞれ求められる方式を守らないと効力を生じません。
自筆証書遺言は、遺言者がその全文、日付および氏名を自書したものに印を押すことが必要で、パソコンやタイプライターによるものは無効とされます。
公正証書遺言は、遺言者が公証人2人以上の面前で遺言内容を口授し、それに基づいた、遺言者の真意を正確に文書にまとめたものを公証人が作成するというものです。
遺言が複数回に渡って行われた場合には、新しい日付のものが優先されます。
遺言書(公正証書による遺言以外)の保管者、またはそれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後に遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出し、検認(遺言書の形状や日付、署名などの現在における内容を明確にして偽造や変造を防止するための手続)を請求する必要があります。
遺言所に封印がある場合、家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会いがある場合でないと開封出来ません。

もしも遺言に「孫が大学を卒業したら」などの停止条件が付与されている場合には、その条件が成就した時点から効力を生じます。

先ほど法定相続分についてやりましたが、遺言によって特別に相続分が定められている場合にはその取決めが法定相続分に優先します。
しかし被相続人の独断だけで遺言を書かれると、愛人だの友人だのに財産を全部遺贈(プレゼント)するなどということも認められることになり、遺族に何も残されなくなってしまう可能性があります。
そのため、遺言でも左右されない遺族の取り分として「遺留分」が定められており、原則として遺産の2分の1、直系尊属のみが相続人であれば例外として遺産の3分の1が遺留分となります(兄弟姉妹に遺留分はありません)。
遺留分を有する者のことを「遺留分権利者」といい、遺留分権利者が受けた財産額が遺留分に不足していることを「遺留分の侵害」といいます。
遺留分が侵害された者は「遺留分減殺請求」として侵害された分(不足分)を請求することが出来ます(しなくてもよい。その場合には遺留分が侵害されるような寄贈も有効)。

遺留分減殺請求権には期間制限があり、遺留分権利者が相続の開始および減殺すべき遺留等があったことを知ってから1年間行使しない場合、また相続開始時から10年が経過した場合には時効消滅します。
自分から放棄することも可能ですが、相続開始前に放棄するには家庭裁判所の許可が必要です(相続開始後は自由に放棄可能)。
ちなみに、遺留分の放棄をしても、それは遺留分の請求をしないということにすぎないため、相続人になることは可能です。

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