宅建の試験科目より 〜税法

宅建の試験科目より 〜税法

宅建試験に出題される内容のうち、宅地建物の税に関する法令、宅地建物の需給に関する法令および実務に関すること、宅地建物の価格評定に関することにおいては、様々な法律から出題されます。
全体的な難易度はそこまで高くありませんが、覚えるべき内容が複雑な部分もあるため要領のよい勉強が求められます。

また、登録講習修了者は5点免除者にあたるため、住宅金融支援機構法、不当景品類及び不当表示防止法、土地・建物に関する内容についての試験勉強は不要です。

では、最初は税法について見ていきましょう。
税法の範囲は広いため、不動産取得税、固定資産税、印紙税、登録免許税を中心にメリハリをつけて勉強していくことが必要です。

1 税金のしくみ

日常生活の中で税金の存在を実感する場といったら、やはり最たるものは消費税でしょうか。
令和元年10月より消費税率が10パーセントになり、100円のものを買ったら消費税が10円、合計110円を払うようになりました。

この、消費税を例にとって税金全体を考えていきましょう。
100円という、税金がかけられる基礎になる金額を「課税標準」といいます。
これにかける10パーセントを「税率」、払うべき金額110円を「税額」といい、これは他の税金においても同様です。

税法においては税金が安くなる「軽減措置」があります。
軽減措置のうち、課税標準が安くなるものを「控除」、税率が軽くなるものを「軽減税率の適用」、税額が安くなるものを「減額措置」といいます。
この違いと言い方は要所要所で使うため、しっかり区別しておきましょう。

2 不動産取得税

不動産の取得者に対し、その不動産がある都道府県が、その不動産の取得者(個人・法人)に課税する都道府県税のことを「不動産所得税」といいます。
そのため、海外の不動産を日本人・日本企業が取得した場合でも不動産取得税自体は課税されません。

ここでいう不動産は、土地または家屋(住宅・事務所・店舗・工場等)を指し、不動産を売買・交換・贈与によって取得した場合、家屋を新築・増築・改築した場合に不動産所得税が課税されるため、取得した者は不動産取得の事実等を市町村長を経由し、都道府県知事に申告または報告する必要があります。
相続・包括遺贈・法人の合併による取得の場合、宗教法人・学校法人・社会福祉法人がその本来の用に供する不動産を取得した場合、国・都道府県・市町村による取得の場合には非課税となります。

不動産取得税の税率は土地・住宅ともに3パーセントですが、店舗などのように住宅以外の建物は4パーセントです。
課税標準は実際の取引価格とは異なり、固定資産課税台帳に登録された評価額です。
ちなみに、平成27年3月31日までに宅地を取得した場合にはその土地の評価額の2分の1を不動産取得税の課税標準額とする、という特例がありました。

一定(床面積が50平方メートル以上(一戸建て以外の貸家住宅は40平方メートル以上)240平方メートル以下)の新築住宅を取得したときは、1戸にうき1,200万円をその価格から控除するという「新築住宅控除」のが適用されます。
また、一定(床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下で、個人が自己の居住用住宅にすることが目的の、新築から20年以内の住宅であること(鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の耐火または準耐火建築物は25年以内)または1981年の新耐震基準を満たしている)の中古住宅を取得した際には、中古住宅の新築された日に応じて控除額が決定します。
新築された日が昭和60年7月1日から平成1年3月31日であれば450万円控除、平成1年4月1日から平成9年3月31日なら1,000万円控除、平成9年4月1日以降なら1,200万円の控除となります。
これらの控除を受ける際には、申告が必要です。
また、新築住宅控除は法人による取得の場合でも適用されますが、中古住宅控除の場合は法人には適用されません。

住宅用土地を取得した場合にも税額控除がありますが、減額を受けるためには申告を要します。

・土地を取得してから3年以内に住宅を新築した
・借地して住宅を新築後、1年以内にその敷地を取得した
・土地を取得した後、1年以内にその上にある中古住宅を取得した
・新築後1年以内の土地付き未使用住宅を取得した

という要件のいずれかに該当する場合には、「45,000円」あるいは「土地の1平方メートルあたりの評価額×2分の1×住宅の床面積の2倍(最大200平方メートル)×3パーセント」のうち、多い方の金額が土地の税額から控除されます。

また、控除だけでなく、課税標準となるべき額、つまり控除後の額が一定の金額に満たない場合には課税自体をしないこともあります。
土地の取得の場合は10万円、家屋の建築(新築・増築・改築)による取得の場合は23万円、承継(売買・交換・贈与)による取得の場合は12万円が免税点となり、これ未満の場合には課税されません。

納付は普通徴収の方法により、納税通知書が納税義務者に交付されることで徴収されます。

3 固定資産税

土地や家屋(住宅・工場などの建物)、償却資産(事業のために使用する資産。工場の機械類や運送用の車など)を「固定資産」といい、それを所有している者に課される市町村税を「固定資産税」といいます。
取得時のみに課税される不動産取得税とは異なり、固定資産税は毎年課税されます。

納税義務者となるのは1月1日の賦課期日現在、登記簿または固定資産課税台帳に所有者として登記または登録されている者で、これは台帳主義に基づいて決定するため、もしも1月20日に土地が売却されて所有者が変わったとしても固定資産税を払うのは元々の所有者となります。
例外として、土地に質権が設定されてる場合には質権者が、設定されている地上権の存続期間が100年よりも長い場合には地上権者が納税義務者となります。
納税義務者となった者が税金を滞納している場合、督促を受け、督促状を発した日から10が経過するまでに完納しないときには、市町村の徴税吏員は滞納者の財産を差し押さえる必要があります。

固定資産税の課税標準は、固定資産課税台帳に登録された評価額評価額とされます。
原則3年ごとの見直しとされますが、地目の変更(山林から宅地)、家屋の改築(価格増加)といった特別事情があった場合は、基準年度から3年が経っていなくても見直しがあります。
また、住宅用地の課税標準は特例として、200平方メートル以下の住宅用地(小規模住宅用地)であれば評価額の6分の1、200平方メートルを超える部分の住宅用地であれば評価額の3分の1が課税標準になります。
課税標準が、土地なら30万円、家屋なら20万円、償却資産なら150万円にそれぞれ満たない場合には、固定資産税の課税はされません。
標準税率(原則的な税率。財政状況により、市町村が高くすることも可能)は1.4パーセントとされています。

新築住宅の場合、「床面積の2分の1以上が居住用」「居住用部分の床面積が50平方メートル(戸建て以外の貸家住宅は40平方メートル)以上280平方メートル以下」という条件に該当しているものについては税額控除されます。
条件を満たす一般の新築住宅については、新たに課税されることになる年度から3年度分に限って、床面積120平方メートルまだの部分の税額が2分の1減額となります。
また、条件を満たし、地上階数3以上の耐火または準耐火の新築住宅は新たに課税されることになった年度から5年度分に限り、床面積の120平方メートルまでの部分の税額が2分の1減額されます。

徴収方法は普通徴収です。

4 所得税

収入から給与所得控除という必要経費を引いたものを「所得」といい、個人の所得に対して国が課税する国税を「所得税」といいます。
宅建試験ではこのうち、不動産を売却することで得られる譲渡所得に対する所得税の出題がされます。
譲渡とは通常の売買だけでなく、交換や競売、収用等の所有権その他の財産権を移転するいさいの行為に加え、離婚に伴う財産分与も時価で売却したものとしてみなされるため、譲渡所得税の課税対象となります。

不動産の譲渡所得はその所有期間により、「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」に分類されます。
長期譲渡所得は譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える不動産を譲渡して得た所得で税率は原則15パーセント、短期譲渡所得は譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下の不動産を譲渡して得た所得で税率は原則30パーセントです。

宅建試験で問われるのは、主に長期譲渡所得の方になります。
長期譲渡所得の課税においては、{収入金額-(取得費+譲渡経費)-特別控除}×税率で取得税額を算出します。
収入金額は売却代金と同義、取得費は不動産の購入代金のこと(昭和27年12月31日以前から引き続き所有していた場合の取得費は概算で、その収入金額の100分の5とする)で、譲渡経費は仲介手数料や印紙代など、譲渡のためにかかった費用です。居住用財産を譲渡した場合には、特別控除として3,000万円を限度に減額されます。
この特別控除(宅建試験では「居住用財産の譲渡所得の特別控除」ともいう)は、個人が居住用財産を譲渡した場合であれば短期・長期譲渡を問わず適用されます。
また、その家屋が居住用として使用されなくなった日から3年経過する日の属する年の12月31日までに売却した場合も適用されることになります。
しかし、

・譲渡した相手が配偶者、直系血族の場合
・譲渡する相手が、譲渡人が50%を超える会社の発行済株式の総数または出資金額を有するときにおける当該会社の場合
・収用交換等の5,000万円の特別控除を受ける場合
・その年の前年、または前々年、すでにこの特別控除または居住用財産の買替えの特例を受けた場合

には特別控除の適用外となります。

譲渡年の1月1日における所有期間が10年を超える居住用財産(住宅およびその敷地。仮住まいや別荘は対象外)を譲渡した場合、特別控除後の譲渡益が6,000万円以下の部分は10パーセント、特別控除後の譲渡益が6,000万円を超える部分は15パーセントの所得税額となります。
譲渡益は、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除を適用した後の金額です。
この特例においては、その者の配偶者等に譲渡した場合、その年の前年、前々年にすでにこの特例を受けた、居住用財産の買替えの特例を受けた場合には適用されません。

譲渡年の1月1日、所有期間が5年を超える土地等を、

・国または地方公共団体に対する譲渡
・独立行政法人都市再生機構の行う住宅建設または宅地造成等その本来の業務に直接必要だと認められるものの用に供するための譲渡
・一定の民間の優良な宅地造成事業への譲渡

などのような、優良住宅地等のために譲渡する場合には軽減税率が適用されます。
特別控除後の譲渡益が2,000万円以下の部分は10パーセント、2,000万円を超える部分は15パーセントの軽減税率となります。

個人の有する資産について、土地収用法等の規定に基づく収用または交換処分等による譲渡が行われた際には、5,000万円を限度とした特別控除の対象になります。
しかし、公共事業施行者から最初に買取等の申出があった日から6ヶ月経過した日までに譲渡されなかったときには適応外とされます。

個人が居住用財産を売却し、新しい不動産に買い替えた場合には「特定の居住用財産の買い替えの特例」の対象になります。
譲渡資産の譲渡による収入金額が買換え資産の取得金額以下の場合にはその譲渡はなかったものとなり、課税されず将来に繰り延べられます。
譲渡資産の譲渡による収入金額が買換え資産の取得金額を超える場合は超える部分については譲渡があったとして課税されます。
個人が、譲渡した年の1月1日において保有期間が10年を超える居住用財産を譲渡し、一定の期間内に代わりの居住用財産を取得した場合の長期譲渡所得については、

・譲渡者の居住期間が10年以上
・買換資産では耐え者の床面積が50平方メートル以上、かつ土地の面積が500平方メートル以下
・譲渡資産の譲渡に係る耐火の合計額が1.5億円以下

の要件の下、2つの特例のいずれかが認められます。

同じ年中に複数の資産の譲渡について、2種類以上の特別控除の適用がある場合の控除額は、年を通じて5,000万円が限度となります。
また、個人がローンで一定の住宅を取得した場合には、その個人の所得税額から一定割合の控除を受けることが可能です。
控除の対象となるのは、新築、中古住宅取得、増改築から6ヶ月以内にその者の居住の用に供した新築住宅や中古住宅(建築後の経過年数が20年以内、耐火建築住宅は25年以内)・増改築した、床面積50平方メートル以上の住宅です。
控除を受けるには、控除のある年の合計所得金額が3,000万円以下であることが条件です。
控除対象になる住宅取得借入金額は、償還期間が10年以上の住宅取得者入金等(増改築用借入金については100万円を超えるもののみ。土地の取得借入金は除く)。
控除対象となれるのは、住宅取得借入金等の年末残高で、友人や親戚からの借入金は償還期間が10年以上だったとしても対象外です。
控除期間は居住の用に供した日の属する以後10年間の各年分(控除期間)で、の所得税額控除手続として確定申告書による申告をすることになりますが、給与所得者は2年目以降の各年分については給与の支払者を経由し、年末調整によって控除を受けることが可能になります。

5 登録免許税

登記を受ける者に対して国が課税する国税を「登録免許税」といいます。
登記料のような扱いですが、建物の表示登記および国・都道府県・市町村・独立行政法人都市再生機構・地方住宅供給公社が自己のために受ける登記の場合には、例外として非課税となります。

納税義務者となるのは登記を受ける者であるため、たとえば売買契約の締結による移転登記の申請なら買主・売主の両方が納税義務者となります。
登記を受ける者が複数いるときにはお互いに連帯納税義務者となり、その全員が納税義務を負います。

納付方法は原則、現金納付です。
登録免許税相当額を日本銀行本店・支店など国の収納機関に現金納付し、その領収証書を登記申請書に貼付けて提出することになります。
ただし、税額が3万円以下の場合は特例として、登録免許税相当額の印紙を登記申請書に貼付けて提出できます(税額が1,000円に満たない場合は一律1,000円)。
課税標準は固定資産課税台帳の登録価格で、質権または抵当権の設定登記では債権金額が課税標準となります。
所有権保存登記の税率は0.4パーセント、相続・合併・共有物分割による所有権移転登記も0.4パーセント、地上権・賃借権の設定登記は1パーセント、土地の売買による所有権の移転登記は1.5パーセント、売買・交換・贈与による所有権移転登記は2パーセント、そして債権金額を課税標準とする抵当権設定登記の税率は0.4パーセントです。

6 印紙税

売買契約書や建築請負契約書といった契約書など、一定の課税文書を作ると、その作成者に課される国税を「印紙税」といいます。

文書の作成者は印紙税の納税義務者となるため、1つの文書を複数の者(法人含む)が共同で作成した場合にはその全員が連帯して納付する義務を負います。
基本的に売買契約書は2通作成しますが、そのときには2通両方に印紙税が課せられるため、もし片方1通が納付されないときには売主・買主両者が連帯納付義務を履行していないとみなされます。
代理人が代理人名義で文書を作成した場合、その代理人が課税文書の作成者として納税義務を負います。

国・地方公共団体が作成した文書、建物賃貸借契約書・使用貸借契約書、媒介契約書等の委任状または委任契約書、質権・抵当権の設定またはその譲渡に関する契約書は非課税文書であるため、課税の対象外になります。
ただし、国・地方公共団体と私人との間で売買契約書が作成された場合、私人が保存する場合には国等が作成したものとみなされるため印紙税は課税されませんが、国等が保存する文書については私人が作成して国等に交付したものとみなされるため課税対象になります。
また、地上権設定契約書や土地賃貸借契約書も課税対象です。

契約書の印紙税額は原則、契約書に記載された契約金額によって決められています。
たとえば、売買代金が100万円を超え500万円以下のときは2千円が印紙税額とされます(消費税額は記載金額には入りません)。
贈与契約は基本的に無償で行われるため、贈与契約書には記載金額がありません。
記載金額のない契約書の場合、印紙税額は200円です。
不動産交換契約書の場合、契約書に交換金額の記載があるのであればそのうち、高い方の金額が記載金額として見なされます。
たとえば、Aさん所有の8,000万円の土地とBさん所有の5,000万円の土地を交換し、BさんがAさんに交換差金の3,000万円を支払うという場合には両者のうち高い額である8,000万円を記載金額として扱うのです。
交換金額の記載がなく、交換差金だけが記載されている不動産交換契約書においては、記載された交換差金が記載金額となります。
交換金額と交換差金のどちらも記載が無い場合には、記載金額はないものとして扱い、印紙税額は200円です。
土地賃貸借契約書の場合には、賃借権設定の対価が記載金額となります。
これは権利金など契約が終了しても返還されないもののことですから、賃料は記載金額にはなりえません。
必ずそうできるわけではありませんが、1つの契約書に2つの契約内容を記載することが可能な場合があります。
単一の契約書内に、売買契約と建築請負契約の内容をそれぞれ区分できるときには、売買金額と請負金額どちらか高い方が記載金額となります(両方同じ額の場合には売買金額を記載金額とする)。
受取書や領収書に対する印紙税もありますが、記載された受取金額が3万円未満の場合の課税はありません。
敷金領収書等の売上代金以外の金銭・有価証券の領収書では記載金額に関わらず一律200円、不動産売買代金の領収書・不動産賃貸料の領収書等の売上代金に関する金銭・有価証券の領収書の場合は記載金額(受取金額)に応じた200円から20万円の印紙税額が課せられます。
課税文書を作成した者は、文書を作成するときまでに印紙税に相当する金額の印紙を文書に貼付、納付する必要があります。
また、課税文書の作成者は自分またはその代理人、使用人の印鑑または署名によって文書と印紙の彩紋にかけ判明に消印しなくてはなりません。
印紙税を納付すべき課税文書の作成者が印紙税を課税文書の作成時までに納付しなかったときには、過怠税が徴収されることになります。
過怠税を徴収するのは納税地の所轄税務署長で、額は納付すべき印紙税の2倍に相当する額になりますから、作成者は過怠税と元の印紙税の合計として3倍の金額を支払わなければならないのです。

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