
予備試験合格にはどんな事が必要だと思いますか?
一般的には法律科目毎の基礎知識や短答式・論文式・口述それぞれの対策をする事を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、本質的には合格のための学習計画を立て、それをやり抜く力こそ大切なのです。
一見すると、精神論のように思えますが計画を立てその計画通りに実行をするということは勉強以外でも大切な能力のひとつです。
本記事では予備試験の勉強にフォーカスし、「やり抜く力」とは何か、予備試験に合格するためには「何をやり抜くべきなのか」について考えていきます。
目次
1 やり抜く力(GRIT)とは
「やり抜く力」とは、アンジェラ・ダックワース氏が著書『GRIT やり抜く力』(ダイヤモンド社)で提唱した言葉です。
“GRIT”とは
G(Guts)の度胸・R(Resilience)の回復力・I(Initiative)の自発性・T(Tenacity)の執念の頭文字をそれぞれ取った略称になります。
偉業を成し遂げた人達はこのGRITがあったからこそ、成し遂げたのだと著者は語ります。
特に下記の8要素の条件が満たされる状態が良いGRITと言われています。
情熱・幸福感・目標設定・自制心・リスクテイキング・謙虚さ・粘り強さ・忍耐
逆に言うと良くないのはこの8要素が一つでも抜けた状態です。
では、良いGRITの条件を満たすためにはどのようなことが必要なのでしょうか。
2 計画をやり抜くには?
ここまでやり抜く力がどんなものであるかを説明しました。
本章では実際にやり抜くにはどうしたらいいのか、ダックワース氏の理論をもとに解説します。
(1) 意図的な練習をする
意図的な練習とは自分の成長のために必要な事を考え、練習することです。
具体的には以下の3つの手順をひたすら繰り返すことです。
①少し高めの計画を設定し、自らの弱点を克服するにはどうするか考える
②少し高めの計画の達成をさせ、フィードバックして、改善点を探す
③改善点は改善するまで繰り返し、自らの弱点の克服をひたすら続ける
少し背伸びした目標を設定し、達成することで成長することができるのです。
また、出来なかったこと、出来ないことに目を背けることなく弱点を受け止めて改善できるための行動をし続けることで自身の能力を伸ばすことができます。
(2) やり抜く力を鍛える
やり抜く力を鍛えるには以下4つのポイントに努めましょう。
①今より少し難しいことに挑戦する
②成功体験を積み上げる
③グリットを持つ、持ちたい人と行動を共にする
④短期だけでなく長期目標を視野に入れる
難易度が高いことに挑戦することは誰でも少し怖いと感じるでしょう。
しかし、今の自分と同じレベルの課題や目標と向き合い続けているだけではそれ以上の壁を突破する力を養うことができません。
いきなり難易度が高いことに挑戦しなくてよいのです。
「頑張ったらできるかもしれない」と思える今よりも「少し」難しいことに挑戦しましょう。「頑張ったらできた」という成功体験は大きな自信に繋がりますし、「もっとできるかもしれない」という自分への期待や成長意欲を刺激することができます。
また、同じ目標を持った人、一緒に目標を達成したい仲間と一緒に行動することで互いに切磋琢磨したり時には励ましあったりすることができるのでモチベーションを高く維持することができます。
3 予備試験合格のために何をやり抜くか?
ここからは、「予備試験合格」にフォーカスしGRITの応用について考えてみましょう。
2章で述べた意図的な練習、やり抜く力を鍛えるという観点で予備試験合格のためにどうすればいいのか筆者の見解を述べたいと思います。
(1) スケジュールを立てて実行する
言うまでもなく予備試験に合格するためには多くの勉強時間が必要となります。
人それぞれではありますが、資格スクエアでは、合格するためには2,000時間を目安とした勉強時間が必要だとお伝えしています。
しかし、中には1,500時間程の勉強時間で合格された方や5,000時間を費やした方もいらっしゃいます。
数千時間と言われたときに簡単にイメージすることは難しいでしょう。
具体的に計算すると下記のような内容です。
平日に4時間勉強して、土日祝10時間勉強して、1ヶ月4週と、月1程度で祝日だと考えて、1年間で2,640時間程度です。2年だと5,280時間です。
[1週間の勉強時間(4×5+10+10)×4週+祝日の勉強時間(10)]×12ヶ月=2,640時間
この計算上では1年間で合格する為の計算になりますので休みなく毎日勉強するという計算になります。
しかしながら、仕事を続けながら勉強をする方や学業と並行して予備試験の勉強を行う方にとってはあまり現実的ではありません。
大切なのは自分の可処分時間を把握し現実的なスケジュールを立て、それを実行するということです。
1日に自分はどのくらい勉強時間に充てられるのかを把握し無理のないスケジュールを立てましょう。また、意外と盲点となってしまいがちなのが「スキマ時間」です。
自分の生活習慣を振り返り、活用できるスキマ時間はぜひ活用してみてください。
例えば、通勤時間に1時間かかる場合、その時間で条文を1つ覚える、講義を聞き流しながら通勤する、など実は勉強に充てられるスキマ時間は多いものです。
さらに、スケジュールを立てる際は「1日4時間勉強する」というざっくりしたものではなく「この週に何を勉強する」「この月にはどこまで講義を聞く」などより具体的な内容にすることも非常に大切です。
予備試験のような試験範囲が広い試験では、どこから勉強すべきか何をいつまでに終わらせるべきかわからなくなってしまう人も多くいます。そこで予め試験範囲を洗い出し具体的なスケジュールとして落とし込むことで迷う時間をなくし、勉強を進めることに集中することができます。
勉強スケジュールを提示している予備校も多いのでぜひ積極的に活用し、自分の可処分時間と照らし合わせながら勉強計画を立てましょう。
(2)アウトプットを重視する
予備試験は難易度が高い試験であるとともに非常に試験範囲が広い試験です。
一見、覚えることが多い=インプットすることが多いと思われがちですが、実はアウトプットこそ予備試験合格において重要です。
予備試験は3つの試験で構成されており、段階的に合格をする必要があります。
まずは短答式試験、次に論文式試験、最後に口述試験があります。
短答式試験においては択一式問題ですので確かに一定の点数までは暗記で突破できるかもしれませんが論文式試験は記述式試験になるため暗記だけでは突破できません。
短答式試験の合格率は例年20%程度であり、その20%の合格者が論文式試験へ進むことができます。論文式試験の合格率も例年20%前後を推移していますので、ここまで進むことができるのは受験生の凡そ4%程度といえます。
口述試験においては例年90%程度の合格率のため、論文式試験を突破できれば合格への道が大きく拓かれるのです。
つまり、予備試験の大本山は論文式試験なのです。
では、論文式試験に合格するためにはどうしたらよいのでしょうか。
先述したとおり、暗記だけでは突破することができません。
論文式試験は記述式試験のためインプットも大切ですが、それ以上に「アウトプット」が非常に大切になります。
例えば、模試や試験本番で思っていたより実力が発揮できず、あまり成績が良くなかった場合に、「インプットが足りていなかった」といった敗因で片付けてしまい、ひたすらインプットだけしてアウトプットに時間が割けずにいると、アウトプット力が落ちてしまい、誤った勉強法に偏ってしまう危険性があります。
アウトプットを磨くためには量をこなすことも大切です。
2019年度予備試験論文式試験合格者の資格スクエアのアンケートによると、合格者の43%以上が、200通以上の答案を作成しています。それほど答案を作成することが重要であることが分かると思います。
論文については自分では採点や添削が難しいため、予備校で提供する答案添削や周囲の予備試験合格者に論文を見てもらうと良いでしょう。
4 サマリー
予備試験は合格率4%程と非常に難易度が高い試験です。
しかしながら、正しい計画を立てて実行をすることで合格へ到達できる試験です。
やり抜く力(GRIT)を活用し実力を鍛え合格を目指しましょう。
5 まとめ
- 予備試験合格に必要なのはやり抜く力(GRIT)
- やり抜くには意図的な練習とやり抜く力を鍛える事が必要
- 予備試験合格に必要なGRITは自分に合ったスケジュールを立てアウトプットを重視した勉強法を身に着けること