「外国人の移動の自由」~予備試験・司法試験のためのおはなし~

「外国人の移動の自由」~予備試験・司法試験のためのおはなし~

外国人について、(1)入国(2)出国、(3)再入国が権利の性質上、保障されるかが問題となります。予備試験・司法試験の短答問題で問われても理由も含めて答えられるように準備する必要があります。
入国の自由については、国際慣習法上、外国人に入国・在留を認めるか否かは国家の自由裁量に委ねられています。
現行憲法も同じ立場に立つと考えられ、外国人に入国の自由は保障されないと考えられます。

しかし、出国の自由は、国益を害する危険がありません。
したがって、憲法22条2項を根拠に、外国人にも出国の自由は保障されると考えられます。

最大判(昭32.12.25)

判旨
憲法22条2項は「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない」と規定しており、ここにいう外国移住の自由は、その権利の性質上外国人に限って保障しないという理由はないとした。

本判決は、外国人にも憲法22条2項で出国の自由は保障されるとしました。

再入国の自由は、日本国に在留資格を有する外国人がその在留期間満了の日以前に再び入国することをいいいます。
在留期間内の海外旅行や国籍国への一時帰国など、戻る際の日本への入国が再入国にあたります。

再入国については、一般の外国人については入国と同じ扱いをして、外国人に再入国の自由は保障されない(否定説)と考えるのが判例です。

ただし、再入国の自由について肯定説をとる見解も有力です。
既に日本国との関係ができていて、生活の基盤が日本にある場合を考えると入国の自由と同じに扱うべきか疑問があるからです。

その場合、出国および再入国許可申請を行った外国人が具体的に日本国の利益または公安を害する行為を行うおそれがある場合には、法律の定めた合理的かつ明確な基準(要件)の下で、出国および再入国の申請を不許可とすることは、人権の内在的制約として許されると考えます(羈束裁量説)。

また、否定説をとった場合でも、法務大臣の完全な自由裁量は認められず、再入国は新規の入国とは事情を異にすることなどから、法務大臣の裁量には一定の限界が認められると考えるのが有力です。

森川キャサリーン事件(最判平4.11.16)

事案
日本を生活の本拠とする定住外国人が韓国旅行のため再入国許可申請をしたところ、指紋押捺拒否を理由として不許可処分とされたので、その処分の取消しを請求した事件です。

判旨
「我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されてぃるものではないことは、昭和32年と昭和53年の最大判の趣旨に徴して明らかである」として、外国人の再入国の自由は、憲法22条により保障されないとした原審の判断は、正当として是認できると判示し、外国人の再入国の自由は保障されないとしました。

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