平成30年度司法試験予備試験の問題と解答!今年の試験はどうだった?!

平成30年度司法試験予備試験の問題と解答!今年の試験はどうだった?!

はじめに

難関である司法試験予備試験ですが、もちろん突破できないわけではありません!

しっかりと傾向を掴んで試験に臨めば、クリアできる可能性が高まります。

年々微妙にアレンジが加わっていることもあり、最重要な過去問題としてはやはり直近のものを使用したほうが効率が良いのです。

ここでは、平成30年の予備試験のトレンドを紹介していきます。

 

目 次
1.平成30年度予備試験の問題と解答
2.平成30年度予備試験の難易度はどれくらいだった??
3.平成31年度司法試験予備試験を受験する方へ
4.サマリー
5.まとめ

1.平成30年度の予備試験の問題と解答

司法試験予備試験は、大きく分類して短答式試験と論文式試験に分類されます。

それぞれの平成30年の問題と解答をまずはチェックしましょう。

 

1-1. 短答式試験の問題と解答

短答式試験は、選択式の問題が出題されますが、組み合わせのバリエーションが多く運でクリアできるほど甘くありません。

しっかりと知識を習得して、慌てず問題を説いていく必要があります。

憲法・行政法

問題No

問題

解答

第1問

次の対話は,公務員の人権に関する教授と学生の対話である。教授の各質問に対する次のアからウまでの学生の各回答について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№1]から[№3])

教授.公務員の地位のように権利主体と公権力との間に特殊な法律関係がある場合には,憲法の人権保障が原則として及ばないなどとする理論がありますね。このような理論によって公務員の人権に対する制約を正当化した最高裁判所の判決がありますか。

ア. はい。猿払事件判決(最高裁判所昭和49年11月6日大法廷判決,刑集28巻9号39

3頁)が,先生のおっしゃる趣旨の判示をして,公務員の政治的意見表明の自由に対する制約を正当化しています。[№1]

2

教授.あなたの言うその判決は,国家公務員法第102条第1項が一定の行動類型に属する政治的行為を禁止していることに伴い生じ得る意見表明の自由の制約については,どのような判示をしていますか。

イ. 公務員の政治的中立性を損なうおそれのある行動類型に属する政治的行為を禁止することに伴い意見表明の自由が制約されることになっても,そのような制約は行動の禁止に伴う限度での間接的・付随的制約にとどまると判示しています。[№2]

1

教授.堀越事件判決(最高裁判所平成24年12月7日第二小法廷判決,刑集66巻12号1337頁)は,公務員のしたある行為が国家公務員法第102条第1項にいう「政治的行為」に該当するか否かの判断についてどのような枠組みを示していますか。

ウ. 同項にいう「政治的行為」の意義を,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められるものと解した上,その判断においては,当該公務員の地位,その職務の内容や権限等,当該公務員がした行為の性質,態様,目的,内容等の諸般の事情を総合して判断するのが相当であると判示しています。[№3]

1

第2問

憲法

法の下の平等に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№4])

ア.子にとって自ら選択できないような事柄を理由に不利益を及ぼすことは許されず,子を個人として尊重し,その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきたという事情は,嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠が失われたと判断すべき根拠となる。

イ.憲法第14条第1項は国民に対し法の下の平等を保障した規定であり,平等の要請は,事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り,差別的な取扱いをすることを禁止する趣旨と解され,特に同項後段の事項は,合憲性の推定が排除される事項を限定列挙したものである。

ウ.地方公共団体が法律の範囲内で条例を制定することができるとしている条例制定権の規定(憲法第94条)に照らすと,地方公共団体が売春の取締りについて各別に条例を制定する結果,その取扱いに差別を生ずることがあっても,地域差の故をもって憲法第14条第1項に反するとはいえない。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○

4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

3

第3問

次の見解は,インターネット上の名誉毀損罪の成否と表現の自由について論じたものである。この見解に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[№5]から[№8])

「インターネットの利用者は,自己の見解を外部に向かって発信することができるから,インタ

ーネットを利用している被害者は,自己に向けられた加害者のインターネット上の表現行為に対し,言論による反論が可能である。したがって,インターネットの利用者が名誉毀損の表現行為をした場合には,新聞などのマス・メディアを通じた表現の場合よりも,名誉毀損罪の成立する範囲を限定すべきである。」

ア.この見解に対しては,インターネット上の全ての情報を知ることは不可能であり,自己の名

誉を毀損する表現が存在することを知らない被害者に対して反論を要求すること自体,そもそも不可能である,という批判があり得る。[№5]

1

イ.言論の応酬により当不当を判断することができるのは意見や論評であって,事実の摘示による名誉毀損の場合には,被害者と加害者が言論の応酬をしても,インターネット利用者は真偽を判断することができないという指摘は,この見解の根拠となり得る。[№6]

2

ウ.この見解に対しては,インターネット上に載せた情報は,不特定多数の利用者が瞬時に閲覧可能となり,全世界に伝播される可能性もあることから,被害者のインターネット上の反論によって名誉の回復が図られる保証もない,という批判があり得る。[№7]

1

エ.言論による侵害に対しては,言論で対抗するのが表現の自由の基本原則であり,被害者が加害者に対し十分な反論ができ,功を奏するのであれば,被害者の社会的評価が害されるおそれはないという指摘は,この見解の根拠となり得る。[№8]

1

第4問

取材フィルム又はビデオテープの押収が問題となった「博多駅事件決定」(最高裁判所昭和44年11月26日大法廷決定,刑集23巻11号1490頁),「日本テレビ事件決定」(最高裁判所平成元年1月30日第二小法廷決定,刑集43巻1号19頁)及び「TBS事件決定」(最高裁判所平成2年7月9日第二小法廷決定,刑集44巻5号421頁)に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№9]から[№11])

ア.「博多駅事件決定」は,裁判所の提出命令について適法としたが,「日本テレビ事件決定」と「TBS事件決定」は,公正な刑事裁判を実現するためには,適正迅速な捜査が不可欠であるとして,検察事務官や司法警察職員がした差押えについても,適法と認められる場合があるとした。[№9]

1

イ.「日本テレビ事件決定」と「TBS事件決定」では,対象のビデオテープは,事件の全容を

解明し犯罪の成否を判断する上でほとんど不可欠と認められるものであったのに対し,「博多

駅事件決定」では,犯罪の成立は他の証拠上認められるが,事件の重要な部分の真相を明らかにする必要があるとして,取材フィルムの提出命令を適法とした。[№10]

2

ウ.3事件いずれの決定においても,それぞれその対象となった取材フィルム又はビデオテープは,既にそれらが編集された上放映されており,提出命令又は差押えによって放映が不可能となって報道の機会が奪われたというものではなかった。[№11]

1

第5問

学問の自由及び教育の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№12])

ア.大学における学生の集会が,大学の公認した団体が大学の許可を得て開催したものであれば,真に学問的な研究又はその結果の発表のためのものでなく,実社会の政治的社会的活動に当たる場合であっても,同集会への警察官の立入りは,大学の有する学問の自由と自治を侵害することとなる。

イ.学問の自由は,学問研究の自由とその研究結果の発表の自由だけでなく,その研究結果を教授する自由をも含むところ,教育の本質上,教師は,高等学校以下の普通教育においても,教授の自由を有し,自らの判断で教育内容を決定することができるのであって,国が教育内容の決定に介入することは許されない。

ウ.親は,子の将来に関して最も深い関心を持ち,かつ,配慮をすべき立場にある者として,子に対する教育の自由を有しており,このような親の教育の自由は,主として家庭教育等学校外における教育や学校選択の自由にあらわれるところ,親の学校選択の自由は,特定の学校の選択を強要又は妨害された場合,その侵害が問題となり得る。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○

4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

7

第6問

居住・移転の自由に関する次のアからエまでの各記述について,明らかに誤っているものの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。(解答欄は,[№13])

ア.自衛官につき,防衛大臣が指定する場所に居住しなければならないとする法律の規定は,当該国民が自ら自衛官に志願した結果として課される制約であるところ,我が国の防衛のためいつでも職務に従事できる態勢にあることが求められるという自衛官の職務の性質に照らし,このような居住地の制限は合理的な制限であって合憲と解される。

イ.外務大臣において,著しくかつ直接に日本国の利益又は公安を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者につき一般旅券を発給しないことができるとする法律の規定は,単に旅券の発給を制限するに過ぎず,海外渡航の自由を制約するものではないため合憲と解される。

ウ.住民が住所を変更したときには市町村長に届け出なければならない旨を義務付ける法律の規定は,住所・居所の決定や移転それ自体を制限するものではなく,規制態様が軽微である反面,住民票の整備により得られる公益が大きいことから合憲と解される。

エ.破産手続中の破産者につき,裁判所の許可なく居住地を離れることを禁止する法律の規定は,破産手続という限られた期間内にのみ適用されるものに過ぎず,仮に裁判所の許可が得られなくても破産手続が終結すれば自由に居住地を離れることができるため,居住・移転の自由に対する制約が認められず合憲と解される。

1.ア イ 2.ア ウ 3.ア エ 4.イ ウ 5.イ エ 6.ウ エ

5

第7問

人身の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№14]から[№16])

ア.憲法第31条は「何人も,法律の定める手続によらなければ,その生命若しくは自由を奪はれ,又はその他の刑罰を科せられない。」と定めるところ,同条の定める法定手続の保障が及ぶと解すべき行政手続であっても,常に必ず,行政処分の相手方に事前の告知,弁解,防御の機会を与えることを必要とするものではないと解される。[№14]

1

イ.憲法第35条第1項は,本来,主として刑事責任追及の手続における強制について,それが司法権による事前の抑制の下におかれるべきことを保障した趣旨であるが,刑事責任追及を目的とする手続においてばかりでなく,それ以外の手続においても,同項による保障が等しく及ぶと解される。[№15]

2

ウ.憲法第38条第1項は,「何人も,自己に不利益な供述を強要されない。」と規定するところ,自己が刑事上の責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されないことを保障するとともに,その実効性を担保するため,供述拒否権の告知を義務付けていると解される。[№16]

2

第8問

選挙に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№17]から[№19])

ア.判例は,参議院議員選挙における定数不均衡の問題について,参議院の半数改選制の要請を踏まえれば投票価値の平等が一定の限度で譲歩を求められても憲法に違反するとはいえないとして,衆議院の場合よりも広い立法裁量を認めてきており,これまで違憲状態を認定したことはない。[№17]

2

イ.判例は,衆議院議員選挙におけるいわゆる1人別枠方式について,小選挙区比例代表並立制の導入に当たり,直ちに人口比例のみに基づいて定数配分を行った場合の影響に配慮するための方策であり,新選挙制度が定着し運用が安定すればその合理性は失われるとしている。

[№18]

1

ウ.判例は,公職選挙法による選挙運動用の文書図画の頒布・掲示の規制について,表現の自由に対する最小限の制約とはいえないが,憲法第47条の趣旨に照らせば,国会の定めた選挙運動のルールは合理的と考えられないような特段の事情のない限り尊重されなければならず,当該規制は立法裁量の範囲を逸脱しているとまではいえないので合憲であるとしている。[№19]

2

第9問

政党に対する寄付に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№20])

ア.労働組合は,組合員の経済的地位の向上を本来の目的とする団体であり,その目的のために,組織として支持政党又はいわゆる統一候補を決定し,その選挙運動を推進すること自体は自由であるが,その政党に寄付する資金の費用負担を組合員に強制することは許されない。

イ. 会社は,法令の規定に従い定款で定められた目的の範囲内において権利を有し,義務を負うところ,会社が特定の政党に政治資金を寄付することも,客観的,抽象的に観察して,会社の社会的役割を果たすためにされたものと認められる限りにおいては,定款所定の目的の範囲内の行為とみることができる。

ウ. 税理士会は,税理士の使命及び職責に鑑み,税理士法に基づき設立された強制加入団体であり,その会員には,実質的には脱退の自由が保障されていないが,税理士に係る法令の制定改廃に関する要求を実現するために税理士会として政党に金員を寄付することは,税理士会の目的の範囲内の行為であり,そのために会員から特別会費を徴収する決議も有効である。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○

4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

2

第10問

衆議院の優越に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからウの順に[№21]から[№23])

ア.条約の承認に関する衆議院の優越の程度は,法律案の議決,予算の議決のいずれの場合と比べても小さい。[№21]

2

イ.参議院と比べて衆議院の方が議員の任期が短いこと,衆議院に解散の制度があることは,衆議院の優越の根拠とはならない。[№22]

2

ウ.憲法改正の発議及び予備費支出の承諾については,議決において衆議院の優越はなく,両議院の議決は対等である。[№23]

1

第11問

次の文章は,憲法上の地方公共団体の意義について述べた最高裁判所の判決(最高裁判所昭和38年3月27日大法廷判決,刑集17巻2号121頁)の判示を要約したものである。この判決に関する次のアからエまでの各記述について,明らかに誤っているものの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。(解答欄は,[№24])

「憲法が特に一章を設けて地方自治を保障するにいたったのは,新憲法の基調とする政治民主化の一環として,住民の日常生活に密接な関連をもつ公共的事務は,その地方の住民の手でその住民の団体が主体となって処理する政治形態を保障しようとする趣旨からである。この趣旨に徴するときは,憲法第93条第2項にいう地方公共団体といい得るためには,単に法律で地方公共団体として取り扱われているということだけでは足らず,事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み,共同体意識をもっているという社会的基盤が存在し,沿革的にみても,また現実の行政の上においても,相当程度の自主立法権,自主行政権,自主財政権等地方自治の基本的権能を附与された地域団体であることを必要とするものというべきである。」

ア.この判決は,憲法によって保障された地方自治がどのような性質を有するかという問題について,個人が国家に対して固有かつ不可侵の権利を持つのと同様に,地方公共団体もまた固有の前国家的な基本権を有するという立場に立つものである。

イ.この判決は,「事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み,共同体意識をもっているという社会的基盤」の存在を地方公共団体の要件として挙げるが,「共同体意識」というのは測定不能で漠然とした概念ではないかとの批判がある。

ウ.この判決のように,沿革上及び行政上の実態を基準に,憲法上の地方公共団体に当たるか否かを判断することは,憲法の下位規範である地方自治法によって憲法の解釈を行うこととなるとの指摘がある。

エ.この判決には,憲法第92条にいう「地方自治の本旨」が,第93条で具体化されている住民自治と第94条で具体化されている団体自治によって構成されていると解する余地がなくなるという問題点がある。

1.ア イ 2.ア ウ 3.ア エ 4.イ ウ 5.イ エ 6.ウ エ

3

第12問

条約に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№25])

ア.砂川事件判決(最高裁判所昭和34年12月16日大法廷判決,刑集13巻13号3225

頁)は,主権国家としての我が国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ高度の政治性を有する条約について,憲法に対する優位性を認め,裁判所の違憲審査権の範囲外にあると判断した。

イ.憲法と条約の効力関係に関する憲法優位説によれば,条約を違憲審査の対象とし得るが,適式な手続を経て締結されたある条約が違憲と判断された場合でも,当該条約の国際法上の効力は失われないため,我が国は依然として当該条約を履行する義務を負うこととなる。

ウ.憲法第98条第2項が遵守を求める「確立された国際法規」の意義を「国際社会において一般に承認されている成文・不文の国際法規」と解する説に立っても,我が国が締結していない条約に規定されている事項については,同条項が定める遵守義務の対象にはならない。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○

4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

6

第13問

行政法

以下のAからCは,行政上の法律関係における信義則の法理の適用に関する文章である。次のアからウまでの【 】内の各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№26])

A:納税者が,所得税について,青色申告の承認を受けることなく,青色申告書による確定申告をしたところ,税務署長が青色申告の承認があるかどうかの確認を怠り申告書を受理し,さらに,翌年分以降の所得税についても青色申告用紙を送付し,青色申告書による確定申告を受理するなどしてきた事案に関する最高裁判所昭和62年10月30日第三小法廷判決(裁判集民事152号93頁)は,(ア)【租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係において,信義則の法理の適用が認められるかどうかの判断に当たっては,納税者が税務官庁の表示した公的見解を信頼して行動した後に,その表示に反する課税処分が行われたため,経済的不利益を受けることになったかどうか,また,その表示を信頼し,その信頼に基づいて行動したことについて納税者に帰責事由がないかどうか,という点の考慮が不可欠であると判断したものである。】

B:地方公共団体が一定内容の継続的な施策を決定し,特定の者に対し同施策に適合する特定内容の活動を促す個別的具体的な勧告ないし勧誘をし,当該特定の者も,相当長期にわたる同施策の継続を前提にして初めて投入した資金や労力に相応する効果を生じ得るような性質の特定内容の活動を行ったが,その後の施策の変更により,当該特定の者に看過し得ない程度の積極的損害が発生した事案に関する最高裁判所昭和56年1月27日第三小法廷判決(民集35巻1号35頁)は,(イ)【上記事情の下において上記損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは,それがやむを得ない客観的事情によるのでない限り,当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯びると判断したものである。】

C:原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律等に基づき被爆者に対して支給される健康管理手当の受給権につき,法令上の根拠がないのに,被爆者が国外に居住地を移した場合に失権の取扱いとなるものと定めた違法な通達に基づき,地方公共団体が支給を打ち切った事案に関する最高裁判所平成19年2月6日第三小法廷判決(民集61巻1号122頁)は,(ウ)【上記通達に基づき違法な事務処理をしていた地方公共団体が,未支給の健康管理手当の支給義務を免れるために消滅時効を主張することは,特段の事情のない限り,信義則に反し許されないと判断したものである。】

1.ア〇 イ〇 ウ○ 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ○

4.ア〇 イ× ウ× 5.ア× イ〇 ウ○ 6.ア× イ〇 ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

1

第14問

行政処分の効力に関する教員と学生の対話中の次のアからウまでの【 】内の各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。なお,解答に当たっては,行政庁が以下の農地買収計画を定めることが,いずれも旧自作農創設特別措置法(昭和21年法律第43号。昭和27年廃止)に基づく行政処分であること,同法に基づく農地買収計画に対する争訟の手続は,買収対象となる農地の所有者が異議申立てや訴願(以下,これらを併せて「不服申立て」という。)を前置する制度であったこと,同法に基づく農地買収計画に係る最高裁判所の判例で示された行政処分の効力に係る行政法の理論が現行法においても通用することを前提としなさい。(解答欄は,[№27])

教員:行政庁が,ある農地買収計画を定めた後に,その農地買収計画の内容が違法又は不当であると判断した場合の行政処分の効力について考えてみましょう。当該行政庁は,当該農地買収計画に係る法定の不服申立て期間が徒過した後において,法律上の定めがなくても,当該農地買収計画を自ら取り消すことはできるでしょうか。

学生:(ア)【農地買収計画を定めた行政庁は,当該農地買収計画に係る法定の不服申立て期間の徒過により争訟手続によってその効力を争い得なくなった後は,当然無効と認められる場合を除き,当該農地買収計画を自ら取り消すことができないものと解されます。】

教員:では,農地買収計画が違法であるが,権限ある機関により取り消されていない場合に,その行政処分の効力がない場合とはどのような場合ですか。

学生:(イ)【農地買収計画の違法が重大かつ明白で当然無効ならしめるものと認められる場合には,権限ある機関による取消しを待たずに,その効力を有しないものと解されます。】

教員:では,行政庁がある農地について農地買収計画を定めたが,裁決庁が当該農地の所有者からの不服申立てにより当該農地買収計画から当該農地を除外する旨の裁決を行い確定したという事例で,行政処分の効力について考えてみましょう。当該裁決庁は,その裁決が違法であると判断する場合に,特別の規定がなくてもその裁決を自ら職権で取り消すことができるでしょうか。当該裁決では,一定の争訟手続に従い,当事者を手続に関与させて,紛争の終局的解決を図ることを目的として,実質的には法律上の争訟を裁判していたものと認められることを前提として,考えてください。

学生:(ウ)【当該裁決は,実質的には法律上の争訟を裁判するものであることから,特別の規定がない限り,裁決庁が自ら取り消すことはできないものと解されます。】

1.ア〇 イ〇 ウ○ 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ○

4.ア〇 イ× ウ× 5.ア× イ〇 ウ○ 6.ア× イ〇 ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

5

第15問

行政手続法上の不利益処分に関する次のアからエまでの各記述について,法令に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[№28]から[№31])

ア.行政手続法の不利益処分に関する規定は,職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分にも適用される。[№28]

 

2

イ.行政手続法は,行政庁が不利益処分に関する基準(処分基準)を定めた場合には,これを公にすることを求めているが,この義務は努力義務にとどまる。[№29]

 

1

ウ.行政手続法の定めによれば,行政庁が聴聞手続を執ることができるのは,許認可等を取り消すといった重大な不利益処分に限られる。[№30]

 

2

エ.行政手続法の定めによれば,不利益処分をする際に,理由を示さないで処分をすべき差し迫

った必要がある場合には,処分と同時にその理由を提示する必要はない。[№31]

1

第16問

行政裁量に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№32])

ア.裁判所は,出入国管理及び難民認定法に基づく,「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由」があるかどうかに関する法務大臣の判断について,それが違法となるかどうかを審理,判断するに当たっては,上記法務大臣の判断が裁量権の行使としてされたものであることを前提として,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により上記判断が全く事実の基礎を欠くかどうか,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により上記判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し,それが認められる場合に限り,上記判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法であるとすべきものである。

イ.高等学校用の教科用図書の検定における合否の判定等に係る文部科学大臣の判断について,教科用図書検定調査審議会の判断の過程に,原稿の記述内容又は欠陥の指摘の根拠となるべき検定当時の学説状況,教育状況についての認識や,検定の基準に違反するとの評価等に看過し難い過誤があって,文部科学大臣の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には,上記判断は,裁量権の範囲を逸脱したものとして,国家賠償法上違法となる。

ウ.公害健康被害の補償等に関する法律に基づく水俣病の認定の申請を棄却する処分の取消訴訟における裁判所の審理,判断は,処分行政庁の判断の基準とされた認定の基準に現在の最新の医学水準に照らして不合理な点があるか否か,公害健康被害認定審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤,欠落があってこれに依拠してされた処分行政庁の判断に不合理な点があるか否かといった観点から行われるべきものである。

1.ア〇 イ〇 ウ○ 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ○

4.ア〇 イ× ウ× 5.ア× イ〇 ウ○ 6.ア× イ〇 ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

2

第17問

建築の分野における行政指導に関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[№33]から[№36])

ア.建築基準法に基づくいわゆる総合設計許可をする権限を有する都道府県知事が,当該許可の申請の内容の変更を求める行政指導を行う場合,当該行政指導には,行政手続法の行政指導に関する規定が適用される。[№33]

2

イ.何人においても,建築基準法に基づく違反建築物の除却命令をする権限を有する市町村長に対し,行政手続法の規定により,違反建築物の除却を促す行政指導を求める申出をすることが認められているが,違反建築物の除却命令を求める申出をすることは認められていない。[№34]

2

ウ.国土交通大臣が,全国の一級建築士に対し,その業務の適正な実施を確保するための行政指導をしようとするときは,あらかじめ,事案に応じ,行政指導指針を定め,かつ,行政上特別の支障がない限り,これを公表しなければならない。[№35]

1

エ.建築主において自己の申請に対する建築確認を留保されたままでの行政指導には応じられないとの意思を真摯かつ明確に表明している場合であっても,行政指導の目的とする公益上の必要性が失われていないときは,行政指導が行われていることを理由に建築確認を留保しても,違法ではない。[№36]

2

第18問

行政契約に関する次のアからエまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[№37]から[№40])

ア.行政手続法は,行政契約の定義及び手続的規律に関する規定を設け,行政契約の締結及び履行に関する公正の確保と透明性の向上を図っている。[№37]

 

2

イ.公共事業に必要な用地を土地収用法に基づく収用裁決によって取得することができる場合に,これを随意契約の方法によって取得することは,原則として許されない。[№38]

 

2

ウ.国又は地方公共団体が,相手方に新たな義務を課することを内容とする契約を当該相手方と締結するに当たっては,法律による行政の原理ないし侵害留保原則の見地から,原則として,当該義務を課する法令上の根拠があることを要する。[№39]

 

2

エ.水道事業者は,事業計画に定める給水区域内の需要者から受けた給水契約の申込みを拒否するか否かを判断するに当たり,正常な企業努力を尽くしても水の供給に一定の限界があり得ることを考慮することが許される。[№40]

1

第19問

行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく開示請求に関する次のアからウまでの各記述について,法令に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№41])

ア.開示請求の対象となる行政文書とは,行政機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画及び電磁的記録であって,当該行政機関の職員が組織的又は個人的に用いるものとして保有されているものをいう。

イ.開示請求は,行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項を明らかにしても,口頭により行うことは認められない。

ウ.開示請求に対し,当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで,不開示情報を開示することとなるときは,行政機関の長は,当該行政文書の存否を明らかにしないで,当該開示請求を拒否することができる。

1.ア〇 イ〇 ウ○ 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ○4.ア〇 イ× ウ× 5.ア× イ〇 ウ○ 6.ア× イ〇 ウ×7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

5

第20問

処分性に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№42])

ア.告示により一定の条件に合致する道を一括して道路に指定する方法でされた建築基準法第42条第2項所定のいわゆるみなし道路の指定は,特定の土地について個別具体的にこれを指定するものではなく,不特定多数の者に対して一般的抽象的な基準を定立するものにすぎないのであって,これによって直ちに建築制限等の私権制限が生じるものでないから,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。

(参照条文)建築基準法(道路の定義)

第42条 (略)

2 この章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員4メートル未満

の道で,特定行政庁の指定したものは,前項の規定にかかわらず,同項の道路とみなし,

その中心線からの水平距離2メートル(中略)の線をその道路の境界線とみなす。(以下

略)

3~6 (略)

イ.労災就学援護費について,労働者災害補償保険法及び同法施行規則は,その支給の実体的及

び手続的な要件や金額について何ら定めていないから,労災就学援護費を支給しない旨の決定は,行政庁が公権力の行使として一方的に決定し,取消訴訟によらなければその判断を覆すことができないとの効力が法律上与えられたものとはいえず,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。

ウ.病院開設中止の勧告は,医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められているものの,当該勧告を受けた者に対し,これに従わない場合には,相当程度の確実さをもって,病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものであり,その結果,実際上病院の開設自体を断念せざるを得ないことになるから,上記勧告は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。

1.ア〇 イ〇 ウ○ 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ○

4.ア〇 イ× ウ× 5.ア× イ〇 ウ○ 6.ア× イ〇 ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

7

第21問

原告適格に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ①の事案を前提にした場合に,②の記述が最高裁判所の判例の内容として正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。(解答欄は,[№43])

ア.①鉄道の連続立体交差化を内容とする都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち,同事業に係る東京都環境影響評価条例所定の関係地域内に居住するXらが,都市計画法に基づいてされた同事業の認可の取消訴訟を提起した事案。②Xらの住所地と上記事業の事業地との距離関係などに加えて,上記条例の規定する関係地域が,対象事業を実施しようとする地域及びその周辺地域で当該対象事業の実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれがある地域として知事が定めるものであることを考慮すれば,Xらは上記事業の認可の取消しを求める原告適格を有する。

イ.①建築基準法に基づくいわゆる総合設計許可に係る建築物の周辺地域に存する建築物に居住し又はこれを所有するXらが,同許可の取消訴訟を提起した事案。②Xらのうち,総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住する者は,上記許可の取消しを求める原告適格を有するが,同地域に存する建築物を所有するにすぎない者は,その原告適格を有しない。

ウ.①市町村長から一定の区域につき既に一般廃棄物収集運搬業の許可を受けてこれを営んでいるXが,当該区域を対象としてAに対してされた一般廃棄物収集運搬業の許可処分の取消訴訟を提起した事案。②廃棄物の処理及び清掃に関する法律は,他の者からの一般廃棄物処理業(一般廃棄物収集運搬業を含む。)の許可の申請に対して市町村長が既存の許可業者の事業への影響を考慮してその許否を判断することを通じて,当該区域の衛生や環境を保持する上でその基礎となるものとして,その事業に係る営業上の利益を個々の既存の許可業者の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解されるから,XはAに対する上記許可の取消しを求める原告適格を有する。

1.ア〇 イ〇 ウ○ 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ○

4.ア〇 イ× ウ× 5.ア× イ〇 ウ○ 6.ア× イ〇 ウ×

7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

3

第22問

次のアからエまでの各事例におけるXが行政事件訴訟法上の仮の救済を求めるとした場合,各事例について最も適切と考えられる仮の救済の申立てを,それぞれ後記1から3までの中から選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[№44]から[№47])

ア.タクシー会社であるXが,道路運送法に基づき,運賃及び料金の認可申請をしたところ,処分行政庁から申請を拒否する処分を受けた事例[№44]

2

イ.県知事が公有水面埋立法に基づき公有水面埋立免許を与えた後に,当該免許に基づく工事により,周辺の景観が破壊されることを危惧する周辺住民Xの事例[№45]

 

1

ウ.地方公務員であるXが,非行があったとして,懲戒権者から地方公務員法に基づき停職処分をされようとしている事例[№46]

 

3

エ.市の公園で集会を開催しようと計画していたXが,当該市の条例に基づき,公園の使用許可を市長に申請し使用許可を受けたが,その後,集会の開催前に,集会内容が不適切であるとして,市長から当該使用許可を取り消す処分を受けた事例[№47]

1.執行停止の申立て

2.仮の義務付けの申立て

3.仮の差止めの申立て

1

第23問

国家賠償に関する次のアからエまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[№48]から[№51])

ア.行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについては,あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではなく,このことは,当該行政処分が金銭を納付させることを直接の目的としており,その違法を理由とする国家賠償請求を認容したとすれば,結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られるという場合であっても異ならない。[№48]

1

イ.建築基準法によると,建築物の所有者が有する財産上の利益は法律上保護された利益ではないから,建築確認を行う際に建築主事が職務上尽くすべき義務を尽くさず,建築物の所有者に損害が生じたとしても,建築物の所有者に対する,建築主事が所属する公共団体の国家賠償責任は認められない。[№49]

2

ウ.国家賠償法第1条第1項の「その職務を行うについて」とは,少なくとも公務員が主観的に

権限行使の意思を有して,当該権限行使を行う場合に限られるから,客観的に職務執行の外形を備える行為によって,他人に損害を加えた場合であっても,当該公務員に権限行使の意思が認められない場合には,当該公務員個人の損害賠償責任は別として,国家賠償責任は認められない。[№50]

2

エ.監獄の長が行った未成年者との面会を拒否する処分が,旧監獄法による委任の範囲を超えた命令に基づいていることを理由として違法とされたとしても,当該命令の適法性につき,長期間にわたって,実務上特に疑いを差し挟む解釈をされたことも裁判上とりたてて問題とされたこともないといった事情があり,監獄の長にとって当該命令が委任の範囲を超えることが容易に理解できなかった場合には,上記の違法を理由とする国家賠償責任は認められない。[№51]

1

第24問

行政不服審査法に関する次のアからエまでの各記述について,法令に照らし,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからエの順に[№52]から[№55])

ア.行政不服審査法にいう「処分」とは,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいうところ,弁護士会は,国又は地方公共団体の機関ではなく,「行政庁」には当たらないから,弁護士会が弁護士法の規定に基づいて行う所属弁護士に対する懲戒は,行政不服審査法にいう「処分」には当たらない。[№52]

2

イ.行政不服審査法は,国民が簡易迅速な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めるものであるから,審査請求は,他の法律(条例に基づく処分については,条例)に書面でしなければならない旨の定めがある場合を除き,口頭ですることができる。[№53]

2

ウ.審査請求をするか否かは関係者の自由な判断に委ねられているから,審査請求人は,審理手続が開始され,処分庁等が書面を提出し又は口頭で意見を述べた後であっても,裁決があるまでは,いつでも審査請求を取り下げることができる。[№54]

1

エ.行政不服審査法は,国民の権利利益の救済を図るのみならず,行政の適正な運営を確保することを目的とするものであるから,審査庁は,審査請求に係る処分が違法又は不当であると認めるときは,裁決で,審査請求人の不利益に当該処分を変更することも許される。[№55]

2



民法・商法・民事訴訟法

 

問題No

問題

解答

第1問

法人に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№1])

ア.法人は成年後見人になることができない。

イ.法人は民法上の組合の組合員になることができない。

ウ.法人は財産以外の損害について不法行為に基づき損害賠償を請求することができない。

エ.法人は遺言執行者になることができる。

オ.法人は特別縁故者として相続財産の分与を受けることができる。

1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ

5

第2問

任意代理に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№2])

ア.特定の法律行為をすることを委託された代理人が本人の指図に従ってその行為をした場合,本人は,自ら過失によって知らなかった事情について代理人が過失なく知らなかったことを主張することができない。

イ.権限の定めのない代理人は,保存行為をする権限のみを有する。

ウ.代理人が相手方と通謀して売買契約の締結を仮装した場合,相手方は,本人がその通謀虚偽表示を知っていたか否かにかかわらず,当該売買契約の無効を主張することができる。

エ.代理人が保佐開始の審判を受けたときは,代理権は消滅する。

オ.代理人が相手方と売買契約を締結した後,その代理人が制限行為能力者であったことが判明した場合であっても,本人は当該売買契約を行為能力の制限によって取り消すことができない。

1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ

3

第3問

占有権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№3])

ア.占有保持の訴えは,妨害の存する間のみ提起することができる。

イ.Aが所有する甲建物にAと同居しているAの未成年の子Bは,甲建物の占有権を有しない。

ウ.Aは,Bが所有する甲土地を解除条件付でBから買い受ける旨の売買契約を締結し,当該売買契約に基づいてBから甲土地の引渡しを受けた。その後,解除条件が成就した場合,Aの甲土地に対する占有は自主占有でなくなる。

エ.甲土地を占有していた権利能力なき社団が一般社団法人になった場合,その一般社団法人は,甲土地の取得時効を主張するに際して,権利能力なき社団として占有した期間を併せて主張することができる。

オ.占有の訴えに対し,本権に基づく反訴を提起することはできない。

1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ

3

第4問

所有権の取得に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№4])

ア.AがA所有の甲土地をBに譲渡し,Bが甲土地上に立木を植栽して明認方法を施した場合において,その後,AがCに甲土地を譲渡して,Cに対する所有権移転登記をしたときは,明認方法が存続していたとしても,BはCに対して,立木の所有権を対抗することができない。

イ.AがBに対して,完成した建物の所有権の帰属について特約をせずに,A所有の土地上に建物を建築することを注文したところ,Bが自ら材料を提供して建前を建築した段階で工事を中止した場合(その時点における時価400万円相当)において,Aから残工事を請け負ったCが自ら材料を提供して当該建前を独立の不動産である建物に仕上げ(その時点における時価900万円相当),かつ,AがCに代金を支払っていないときは,当該建物の所有権は,Cに帰属する。

ウ.Aの所有する船舶(時価600万円相当)に,Bの所有する発動機(時価400万円相当)が取り付けられた場合において,損傷しなければこれらを分離することができず,主従の区別がつかないときは,当該発動機付船舶は,3対2の割合でAとBが共有する。

エ.Aが所有する建物を賃借したBがAの同意を得て増築をした場合には,その増築部分について取引上の独立性がなくても,増築部分の所有権は,Bに帰属する。

オ.Aの所有する液体甲(100立方メートル)が,Bの所有する液体乙(10立方メートル)と混和して識別することができなくなり,液体丙(110立方メートル)となった場合において,Aが液体丙の所有権を取得したときは,BはAに対し,不当利得の規定に従い,その償金を請求することができる。

1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ

2

第5問

担保物権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№5])

ア.留置権は,債務者以外の者の物についても成立する。

イ.一般の先取特権は,債務者以外の者の財産についても成立する。

ウ.質権は,債務者の財産についてのみ設定することができる。

エ.抵当権は,永小作権を目的として設定することができる。

オ.立木に土地と分離して抵当権を設定した場合,明認方法によって,その抵当権を第三者に対抗することはできない。

1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ

3

第6問

法定地上権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№6])

ア.Aが所有する甲土地及びその上の乙建物にBのために共同抵当権が設定された後,乙建物が取り壊され,甲土地上に新たにAが所有する丙建物が建築されて,丙建物につきCのために抵当権が設定された場合において,甲土地に対するBの抵当権の実行によりDが甲土地を取得したときは,法定地上権が成立する。

イ.Aが所有する更地の甲土地に第一順位の抵当権が設定された後,甲土地上にAが所有する乙建物が建築され,甲土地に第二順位の抵当権が設定された場合において,第二順位の抵当権の実行によりBが甲土地を取得したときは,法定地上権は成立しない。

ウ.Aが所有する甲土地上にBが所有する乙建物があるところ,甲土地にCのために第一順位の抵当権が設定された後,Bが甲土地の所有権を取得し,甲土地にDのために第二順位の抵当権を設定した場合において,Cの抵当権が弁済により消滅し,その後,Dの抵当権の実行によりEが甲土地を取得したときは,法定地上権が成立する。

エ.Aが甲土地及びその上の乙建物を所有しているが,甲土地の所有権移転登記をしていなかったところ,乙建物に抵当権が設定され,抵当権の実行によりBが乙建物を取得したときは,法定地上権は成立しない。

オ.AとBが共有する甲土地上にAが所有する乙建物があるところ,Aが甲土地の共有持分について抵当権を設定した場合において,抵当権の実行によりCがその共有持分を取得したときは,法定地上権が成立する。

1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ

3

第7問

詐害行為取消権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№7])

ア.相続の放棄は,相続の放棄をした債務者が債務の履行を長期間怠るなど背信性の程度が著しい場合に限り,詐害行為取消権の対象となる。

イ.不動産の買主は,その売主がその不動産を第三者に贈与した場合,それによって売主が無資力となったとしても,当該贈与を詐害行為取消権の対象とすることができない。

ウ.詐害行為取消権の対象となる贈与の目的物が不可分なものであるときは,その価額が債権額を超過する場合であっても,贈与の全部について取り消すことができる。

エ.贈与が虚偽表示に該当することを知らない転得者との関係において,当該贈与を詐害行為取消権の対象とすることはできない。

オ.債務者が自己の第三者に対する債権を譲渡した場合において,債務者がこれについてした確定日付のある債権譲渡の通知は,詐害行為取消権行使の対象とならない。

1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ

4

第8問

保証に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№8])

ア.保証が付された債権が譲渡された場合においては,譲渡人から主たる債務者に対して債権譲渡の通知をすれば,保証人に対して通知をしなくても,譲受人は保証人に対して保証債務の履行を請求することができる。

イ.未成年者が法定代理人の同意を得ずに債務を負担する行為をした場合において,その債務の保証人は,保証契約締結の当時,未成年者が法定代理人の同意を得ずに債務を負担する行為をしたことを知っており,かつ,その後に,当該未成年者の行為が,未成年者の行為であることを理由に取り消されたときは,当該未成年者が負担していた債務と同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定される。

ウ.主たる債務者が債権者に対し反対債権を有している場合であっても,保証人は,債権者から保証債務の履行を請求されたときは,保証債務を履行しなければならない。

エ.主たる債務について違約金の定めがない場合,保証人は,債権者との間で,保証債務についてのみ違約金を約定することができない。

オ.特定物の売買契約が売主の債務不履行により解除され,売主が代金返還義務を負担したときは,売主のための保証人は,反対の特約のない限り,当該代金返還義務について保証の責任を負う。

1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ

4

第9問

弁済に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№9])

ア.委託を受けない保証人は,主たる債務者の意思に反して弁済することができない。

イ.弁済を受領する権限を有しない者に対する弁済は,債権者がこれによって利益を受けたとしても,債権者に対し効力を有しない。

ウ.第三者は,当事者が合意により禁止したときは,弁済をすることができない。

エ.弁済の時期について不確定期限があるときは,債務者は,その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。

オ.預金通帳を盗んだ者が預金通帳を使用して現金自動入出機から預金の払戻しを受ける行為については,弁済の効力が生じることはない。

1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ

5

第10問

民法上の金銭消費貸借に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№10])

ア.金銭消費貸借の予約は,書面によらなければならない。

イ.貸主が借主の指示する第三者に金銭を交付した場合であっても,金銭消費貸借は効力を生ずる。

ウ.金銭消費貸借において,反対の意思の表示がない限り,貸主は法定利率による利息を請求することができる。

エ.金銭消費貸借において貸主が利息を請求することができる場合,借主は,特約のない限り,元本を受け取った日を含めて利息を支払わなければならない。

オ.金銭消費貸借において,返還場所に関する合意をしなかった場合には,借主は貸主の現在の住所に弁済金を持参して返還をしなければならない。

1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ

1

第11問

不動産の賃貸借に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№11])

ア.所有者の承諾を得ずにされた他人物賃貸借の賃借人は,後日,所有者からその明渡しの請求を受けたときは,それ以後,賃貸人に対して賃料の支払を拒むことができる。

イ.対抗力のある賃借権を有する賃借人は,賃貸人の承諾を得ずに賃借権を第三者に譲渡し,又は賃借物を第三者に転貸することができる。

ウ.対抗力のある賃借権が設定された不動産の譲渡がされた場合において,新所有者が旧所有者の賃貸人としての地位を承継するには,賃借人に対して承継の通知をしなければならない。

エ.賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において,そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは,賃借人は,契約の解除をすることができる。

オ.賃貸借は,賃貸人の死亡又は賃借人の死亡のいずれの場合であっても,当然には終了しない。

1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ

3

第12問

事務管理に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。(解答欄は,[№12])

1.事務管理の管理者は,本人が既に知っている場合を除き,事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない。

2.事務管理によって管理者が本人のために有益な債務を負担した場合には,管理者は,自己に代わってその債務の弁済をすることを本人に対して請求することができる。

3.事務管理の管理者は,本人の請求があるときは,いつでも事務管理の状況を報告しなければならない。

4.事務管理の管理者は,本人が現に管理に着手するまで,事務管理を継続しなければならない。

5.本人の身体,名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をした管理者は,これによって本人に損害が生じたときであっても,悪意又は重大な過失があるのでなければ,これによって生じた損害賠償の責任を負わない。

4

第13問

いずれも婚姻をしていないA男とB女との間に子Cが生まれた。この場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№13])

ア.Aが成年被後見人であるとしても,AがCを認知するにはAの成年後見人の同意を要しない。

イ.AがCを認知した場合,Cの監護について必要な事項は,家庭裁判所がこれを定める。

ウ.Cは,Aが死亡した場合,認知の訴えを提起することができない。

エ.AがCを認知した後,AとBが婚姻したとしても,Cは嫡出子の身分を取得することはない。

オ.AがCを認知しない間にCが死亡した場合において,Cに未成年の子Dがあったときは,Dの承諾を得なくとも,AはCを認知することができる。

1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ

2

第14問

相続人に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№14])

ア.Aが死亡した場合,Aの兄Bの子CがAの代襲相続人となることはない。

イ.Aが死亡した場合,Aの祖父BがAの相続人となることはない。

ウ.Aの子Bが相続人の欠格事由に該当し,その相続権を失った場合において,その後,Aの死亡前にBがCを養子とする養子縁組をしたときは,CはAの代襲相続人となる。

エ.Aが妻Bの懐胎中に死亡した場合において,その後,出生した子CはAの相続人とならない。

オ.Aが死亡した場合において,Aの子Bが相続の放棄をしたときは,Bの子CはAの代襲相続人となることはない。

1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ

5

第15問

遺言の方式に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№15])

ア.自筆証書遺言における押印を指印によってすることはできない。

イ.秘密証書遺言をするには,遺言者が証書の本文及び氏名を自書し,押印をしなければならない。

ウ.公正証書遺言において,遺言者が署名することができない場合には,公証人がその事由を付記して,署名に代えることができる。

エ.自筆証書遺言の加除その他の変更は,遺言者が,その場所を指示し,これを変更した旨を付記して特にこれに署名し,かつ,その変更の場所に押印をしなければ,その効力を生じない。

オ.成年被後見人が事理弁識能力を一時回復した時において遺言をするには,医師二人以上の立会いがなければならない。

1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ

1

第16問

株式会社の設立に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。(解答欄は,[№16])

1.発起人が2人以上ある場合において,そのうちの1人を発起人総代に選定したときは,定款には,当該発起人総代のみの署名又は記名押印があれば足りる。

2.株式会社の成立により発起人が受ける報酬は,定款に定めがない場合であっても,成立後の株式会社が負担する。

3.発起人は,株式会社の成立前は,定款を発起人が定めた場所に備え置かなければならない。

4.発起人が2人以上ある場合において,株式会社の設立に際して,定款に記載又は記録しないで,成立後の株式会社の資本金の額に関する事項を定めようとするときは,その過半数の同意を得れば足りる。

5.設立時募集株式の引受人は,創立総会においてその議決権を行使した後であっても,株式会社の成立前であれば,詐欺又は強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすること

ができる。

3

第17問

株主の権利に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№17])

ア.基準日前に株式の譲渡があった場合には,会社側においては,株主名簿の名義書換が何らかの都合でされていなくとも,当該譲渡を認め,基準日が定められた権利を譲受人に行使させることができる。

イ.株式会社の株主が,当該株式会社の業務及び財産の状況を調査させるため,裁判所に検査役選任の申立てをした時点で,当該申立てをするために必要な持株要件を満たしていたとしても,その後,当該株式会社が新株を発行したことにより,当該株主が当該持株要件を満たさないものとなった場合には,特段の事情のない限り,当該申立ては,申立人の適格を欠くものとして不適法となる。

ウ.株式会社の会計帳簿の閲覧の請求をする株主は,当該請求の理由を明らかにし,かつ,当該請求の理由を基礎付ける事実が客観的に存在することを立証しなければならない。

エ.株式会社の会計帳簿の閲覧の請求をした株主が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営む場合には,当該株式会社は,当該株主に会計帳簿の閲覧によって知り得る情報を自己の事業に利用するなどの主観的意図がないときであっても,当該請求を拒むことができる。

オ.株主の提起した株主総会の決議の取消しの訴えの係属中当該株主が死亡した場合には,相続により株式を取得した相続人はその訴訟の原告たる地位を承継せず,その訴訟は当然に終了する。

1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ

5

第18問

新株予約権に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№18])

ア.会社法上の公開会社が,その取締役に対し,職務執行の対価として,募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととして,その新株予約権を発行する場合には,金銭の払込みを要しないこととすることが当該取締役に特に有利な条件でないときであっても,株主総会の特別決議によって,当該募集新株予約権の募集事項を定めなければならない。

イ.株式会社が新株予約権を発行する場合には,当該新株予約権の内容として,合併により当該株式会社が消滅するときは,当該新株予約権の新株予約権者に合併後存続する株式会社の新株予約権を交付することとする旨及びその条件を定めることはできない。

ウ. 譲渡制限新株予約権の新株予約権者は,株式会社に対し譲渡等承認請求をする場合において,当該株式会社が譲渡を承認しない旨の決定をするときは,当該株式会社又は当該株式会社の指定する者が当該譲渡制限新株予約権を買い取ることを請求することはできない。

エ.募集新株予約権の発行が著しく不公正な方法により行われる場合において,株主が不利益を受けるおそれがあるときは,株主は,株式会社に対し,当該新株予約権の発行をやめることを請求することができる。

オ.株式会社は,会社法の規定に基づき,新株予約権の併合又は新株予約権の分割をすることができる。

1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ

4

第19問

株主総会に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[№19],[№20]順不同)

1.株主総会は,会社法上の公開会社でない株式会社に限り,株主の全員の同意があるときは,

№19

招集の手続を経ることなく開催することができる。

2.株主が,株主総会において,株主総会の目的である事項につき議案を提出するには,株式会社に対し,株主総会の日の3日前までに,当該議案を提出する旨及びその理由を通知しなければならない。

3.株主が,取締役に対し,法定の行使期限までに,適法に,株主総会の目的である事項につき当該株主が提出しようとする議案の要領を株主総会の招集の通知に記載し,又は記録することを請求したにもかかわらず,当該要領が株主総会の招集の通知に記載され,又は記録されなかったことは,当該事項と関連しない株主総会の目的である事項に関する決議の取消事由とならない。

4.判例の趣旨によれば,取締役選任の株主総会決議取消しの訴えの係属中,その決議に基づいて選任された取締役が全て任期満了により退任し,その後の株主総会の決議によって取締役が新たに選任されたときは,特別の事情のない限り,当該決議取消しの訴えは,訴えの利益を欠くこととなる。

5.株主総会の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことは,当該決議の無効事由となる。

№20

3

2

第20問

取締役会に関する次のアからオまでの各記述のうち,取締役会が有する監督機能に資する行為又は制度としてふさわしいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№21])

ア.会社法上の公開会社でない株式会社が,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めを設けること。

イ.取締役会が取締役の全員を代表取締役に選定すること。

ウ.取締役会が代表取締役を解職するとされていること。

エ.取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは,その取締役が取締役会を招集するとされていること。

オ.取締役会は,3か月に1回以上,開催しなければならないとされていること。

1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ

5

第21問

監査役及び監査役会に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。(解答欄は,[№22])

1.監査役は,正当な理由がなくとも,株主総会の決議によって解任することができる。

2.監査役会は,会計監査人が職務上の義務に違反し,又は職務を怠ったときは,監査役の全員の同意によって,その会計監査人を解任することができる。

3.監査役設置会社において,「取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において,当該提案につき取締役の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす」旨の定款の定めがある場合には,監査役が当該提案について異議を述べたときであっても,当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなされる。

4.会社法上の公開会社の監査役は,取締役が不正の行為をするおそれがあると認めるときは,遅滞なく,その旨を取締役会に報告しなければならない。

5.監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社の監査役は,その職務を行うため必要があるときは,当該株式会社の子会社に対して会計に関する報告を求め,又は当該子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。

3

第22問

株式会社の役員等の損害賠償責任に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№23])

ア.取締役会設置会の取締役が取締役会の承認を受けないで自己のために当該取締役会設置会社と取引をしたときは,当該取引によって当該取締役が得た利益の額は,当該取締役がその任務を怠ったことによって当該取締役会設置会社に生じた損害の額と推定される。

イ.監査役会設置会社においては,取締役は,定款を変更して当該監査役会設置会社が責任限定契約を社外取締役と締結することができる旨の定款の定めを設ける議案を株主総会に提出するには,各監査役の同意を得なければならない。

ウ.株式会社の取締役が第三者のために当該株式会社と取引をした場合において,当該取締役がその任務を怠ったことによって当該株式会社に損害が生じたときは,当該取締役の当該株式会社に対する損害賠償責任は,任務を怠ったことが当該取締役の責めに帰することができない事由によるものであることをもって免れることができない。

エ.監査役は,監査報告に記載すべき重要な事項についての虚偽の記載をしたときは,当該記載をすることについて注意を怠らなかったことを証明した場合を除き,これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

オ.執行役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったことにより第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において,監査委員である取締役もその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったことにより当該損害を賠償する責任を負うときは,これらの者は,連帯債務者とされる。

1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ

2

第23問

持分会社に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[№24],[№25]順不同)

1.合名会社の設立に際して作成した定款は,公証人の認証を受けることを要しない。

2.合名会社の債権者は,当該合名会社の営業時間内は,いつでも,その計算書類の閲覧の請求をすることができる。

3.合資会社の無限責任社員は,当該合資会社の財産の状況にかかわらず,連帯して,当該合資会社の債務を弁済する責任を負う。

4.新たに合資会社の有限責任社員になろうとする者は,当該有限責任社員の加入に係る定款の変更をした時にその出資に係る払込み又は給付の全部又は一部を履行していないときは,当該払込み又は給付を完了した時に,当該合資会社の有限責任社員となる。

5.合同会社が資本金の額を減少する場合には,当該合同会社は,債権者異議手続をとらなければならない。

№24

№25

1

5

第24問

種類株式発行会社でない会社法上の公開会社における剰余金の配当に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。なお,当該公開会社の純資産額は,300万円を下回らないものとし,また,配当財産の帳簿価額の総額は,剰余金の配当がその効力を生ずる日における分配可能額を超えないものとする。(解答欄は,[№26])

1. 配当財産が金銭であるときは,当該公開会社は,株主総会の決議によって,その株主に対し,株主の有する株式1000株までは1株につき100円,1000株を超える株式については1株につき50円を割り当てる旨を定めることができる。

2.配当財産が金銭以外の財産であるときは,当該公開会社は,株主総会の決議によって,一定の数未満の数の株式を有する株主に対して当該配当財産の割当てをしないこととすることができる。

3.当該公開会社は,当該公開会社の株式を配当財産として剰余金の配当をすることができる。

4.当該公開会社は,定款の定めがない場合であっても,一事業年度の途中において1回に限り取締役会の決議によって中間配当をすることができる。

5.当該公開会社が定時株主総会の決議に基づき剰余金の配当をした場合において,当該剰余金の配当をした日の属する事業年度に係る計算書類につき定時株主総会の承認を受けた時において欠損が生じたときは,当該剰余金の配当に関する職務を行った業務執行者は,当該公開会社に対し,連帯して,当該欠損の額を支払う義務を負う。

2

第25問

債権者異議手続に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤ったものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№27])

ア.組織変更をする株式会社の債権者は,当該株式会社に対し,組織変更について異議を述べることができない。

イ.新設合併をする株式会社の債権者は,当該株式会社に対し,新設合併について異議を述べることができる。

ウ.吸収分割をする株式会社が株主総会の決議によって吸収分割契約の承認を受けなければならない場合において,当該株式会社の債権者が当該株式会社に対し吸収分割について異議を述べることができるときは,当該債権者が異議を述べることができる期間の初日は,当該承認があった日後の日でなければならない。

エ.株式交換完全親株式会社が株式交換に際して株式交換完全子会社の株主に対して交付する対価が金銭のみである場合には,当該株式交換完全親株式会社の債権者は,当該株式交換完全親株式会社に対し,株式交換について異議を述べることができる。

オ.社債管理者の設置がされていない社債の社債権者が,当該社債を発行した株式会社に対し,資本金の額の減少について異議を述べるには,社債権者集会の決議によらなければならない。

1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ

1

第26問

株主代表訴訟に係る会社法上の制度に関する次のアからオまでの各記述のうち,当該制度の趣旨がなれ合いの訴訟による弊害の防止を目的とするものとしてふさわしいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№28])

ア. 会社法上の公開会社においては,6か月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては,その期間)前から引き続き株式を有する株主でなければ,株主代表訴訟を提起することができない。

イ.株主が株主代表訴訟を提起したときは,裁判所は,被告の申立てにより,当該株主に対し,相当の担保を立てるべきことを命ずることができる。

ウ.会社法上の公開会社は,株主代表訴訟を提起した株主から訴訟告知を受けたときは,遅滞なく,その旨を公告し,又は株主に通知しなければならない。

エ.株主代表訴訟を提起した株主が勝訴した場合において,当該株主代表訴訟に関し,必要な費用を支出したときは,当該株式会社に対し,その費用の額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。

オ.一定の場合には,株主は,株主代表訴訟に係る確定した終局判決に対し,再審の訴えをもって,不服を申し立てることができる。

1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ

4

第27問

商人からその営業又は事業を承継した者の責任に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。なお,「譲渡人」とは営業又は事業を譲渡した者を,「譲受人」とは営業又は事業を譲り受けた者を,それぞれ指すものとする。(解答欄は,[№29])

ア.譲受人が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には,その譲受人も,譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負うとの商法の規定の趣旨は,当該債務の債権者において,同一の営業主体による営業が継続しているものと信じたり,営業主体の変更があったけれども譲受人により譲渡人の債務の引受けがされたと信じたりすることが通常の事態と考えられるため,そのような信頼を保護することにある。

イ.「霞が関商事合同会社」から事業を譲り受けた会社が「新霞が関商事株式会社」の商号を使用するときは,譲受人が譲渡人の商号を引き続き使用する場合に当たらず,譲受人は,譲渡人の事業によって生じた債務を弁済する責任を負わない。

ウ.営業の現物出資を受けて設立された会社が現物出資をした商人の商号を引き続き使用する場合には,当該会社は,当該商人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。

エ.ゴルフクラブの名称がゴルフ場の事業主体を表示するものとして用いられている場合において,ゴルフ場の事業が譲渡され,譲渡人が用いていたゴルフクラブの名称を譲受人が引き続き使用しているときであっても,譲渡人の商号を譲受人が引き続き使用していないときは,譲受人は,譲渡人の事業によって生じた債務を弁済する責任を負わない。

オ.新設分割により新設分割会社の事業を承継した新設分割設立会社は,新設分割会社の商号を引き続き使用する場合であっても,新設分割会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負わない。

1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ

5

第28問

商人及び商行為に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。(解答欄は,[№30])

1.利益を得て譲渡する意思をもって動産を有償取得する行為は,商人が行う場合に限り,商行為となる。

2.支配人の代理権は,当該支配人を選任した商人の死亡によっては,消滅しない。

3.商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは,遅滞なく,契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならず,これを怠ったときは,その商人は,当該契約の申込みを承諾したものとみなされる。

4.委託を受けた商人がその営業の範囲内において委託者のために行為をした場合には,委託者との間で報酬についての合意がないときであっても,その委託者に対し,相当な報酬を請求することができる。

5.問屋は,取引所の相場がある物品の販売の委託を受けたときは,自ら買主となることができる。

1

第29問

小切手に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№31])

ア.小切手は,引受けをすることができない。

イ.小切手は,振出人の自己宛てで振り出すことができない。

ウ.特定の日に支払う旨の記載をした小切手であっても,一覧払のものとされる。

エ.一般線引小切手は,二条の平行線内に銀行の名称を記載することにより,特定線引小切手に変更することができる。

オ.小切手の所持人の裏書人,振出人その他の債務者に対する遡求権は,支払呈示期間経過後3年をもって時効によって消滅する。

1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ オ 5.ウ エ

4

第30問

約束手形の振出人が負う手形債務がどのようにして生ずるかについては,幾つかの立場がある。次のアからオまでの各記述のうち,「この立場」が,当該手形債務は,手形の作成及び署名という一方的行為によって発生すると解する立場を指すものとしてふさわしいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№32])

ア.「この立場」は,一般に,署名によって署名者自身を権利者とする手形上の権利が成立し,その権利が手形の交付によって相手方に譲渡されると解している。

イ.「この立場」は,手形という書面を通じて意思表示がされ,手形の授受により,意思表示が相手方に到達すると解している。

ウ.「この立場」は,手形を一旦作成し,署名した後であっても,占有を手放すまでは,署名者は自由に手形債務の内容を変更し,又は消滅させることができるから,手形を相手方に交付して初めて債務を負担すると解することが手形行為者の通常の意思に合致すると主張する。

エ.「この立場」に対しては,民法上も単独行為によって債権債務関係は生じ得るし,相手方の承諾を必要と考えるのは擬制的であるという批判がある。

オ.「この立場」は,振出人が署名したが,受取人に交付する前の手形が振出人の下で保管されていた間に盗取されたときは,当該手形を盗取した者から,善意でかつ重大な過失がなく当該手形を取得した者は,善意取得によって保護されると解している。

1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ

2

第31問

Xは,Yに対し,甲建物を賃貸した。この賃貸借契約においては,賃料,債務不履行に基づく損害賠償金その他の賃貸借契約に基づきYがXに支払う一切の金員は,Xが営む設計事務所に持参する方法により支払うものとされていた。その後,Yが賃料の支払を怠ったため,Xは,賃貸借契約を解除したが,Yは,甲建物の使用を続けている。そこで,Xは,Yに対し,①賃貸借契約終了に基づく目的物返還請求として甲建物の明渡し,②賃貸借契約に基づく賃料の支払,③賃貸借契約終

了による目的物返還義務の履行遅滞に基づく賃料相当損害金の支払を併せて求める訴え(以下「本件訴え」という。)を提起することにした。本件訴えの管轄に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。なお,X及びYは,いずれも自然人とし,各記述中の各所在地を管轄する裁判所は,いずれも異なるものとする。(解答欄は,[№33])

1.Xは,本件訴えを,Xの自宅の所在地を管轄する裁判所に提起することはできるが,設計事務所の所在地を管轄する裁判所に提起することはできない。

2.Xは,本件訴えを,設計事務所の所在地を管轄する裁判所に提起することはできるが,Yの自宅の所在地を管轄する裁判所に提起することはできない。

3.Xは,本件訴えを,Yの自宅の所在地を管轄する裁判所に提起することはできるが,甲建物の所在地を管轄する裁判所に提起することはできない。

4.Xは,本件訴えを,甲建物の所在地を管轄する裁判所に提起することはできるが,Xの自宅の所在地を管轄する裁判所に提起することはできない。

5.Xは,本件訴えを,設計事務所の所在地を管轄する裁判所に提起することはできるが,甲建物の所在地を管轄する裁判所に提起することはできない。

4

第32問

当事者に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[№34],[№35]順不同)

1.訴訟能力を欠く当事者がした訴訟行為は,これを有するに至った当該当事者の追認により,行為の時にさかのぼってその効力を生ずる。

2.遺言で遺言執行者が定められている場合に,既に完了している遺贈による登記について,相続人が原告となって抹消登記手続を求める訴えを提起するときは,受遺者ではなく,遺言執行者を被告としなければならない。

3.係属中の訴訟の原告と共同の利益を有する者がその原告を自己のためにも原告となるべき者として選定するためには,自ら訴えを提起して係属中の訴訟との併合を求め,共同訴訟関係を成立させなければならない。

4.権利能力のない社団は,構成員全員に総有的に帰属する不動産について,その所有権の登記名義人に対し,当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有する。

5.未成年者が両親を法定代理人として訴えを提起した後に婚姻した後であっても,その両親は,法定代理人として訴訟行為をしなければならない。

№34

№35

1

4

第33問

固有必要的共同訴訟の成否に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。(解答欄は,[№36])

1.不動産の共有者は,共有者以外の者がその不動産につき不実の所有権移転登記を経由した場合には,その者を被告として,各自単独で,持分権に基づき,所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴えを提起することができる。

2.被相続人から被相続人名義の不動産の贈与を受けた者は,被相続人の共同相続人のうちの一人を被告として,贈与契約に基づき,所有権移転登記手続を求める訴えを提起することができる。

3.不動産の共有者は,他の共有者のうちの一人を被告として,各自単独で,共有物分割を求める訴えを提起することができる。

4.土地の所有者は,土地上の建物の共有者のうちの一人を被告として,所有権に基づき,建物収去土地明渡しを求める訴えを提起することができる。

5.不動産の賃貸人は,共同賃借人のうちの一人を被告として,賃貸借契約の終了に基づき,不動産の明渡しを求める訴えを提起することができる。

3

第34問

多数当事者訴訟に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。(解答欄は,[№37])

1.通常共同訴訟に係る訴えが提起された場合には,裁判所は,職権で,通常共同訴訟の要件を満たすか否かについて調査をし,その要件を欠くと判断したときには,その訴えを却下しなければならない。

2.参加承継においては,被承継人は,相手方の承諾を得なければ訴訟から脱退することはできないが,引受承継においては,被承継人は,相手方の承諾がなくとも訴訟から脱退することができる。

3.訴訟の目的である権利を譲り受けた者が原告として参加承継する場合だけでなく,訴訟の目的である義務を承継した者が被告として参加承継する場合にも,承継人は,当事者の双方又は一方を相手方とする請求を定立しなければならない。

4.第三者が参加承継の申出をした場合には,裁判所は,当事者及び第三者を審尋した上,決定で,その許否について判断を示さなければならない。

5.当事者が第三者に対して訴訟告知をした場合には,被告知者は,自らが訴訟に参加することができる第三者に当たらないことを理由として,即時抗告をすることができる。

3

第35問

訴えの利益に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを2個選びなさい。(解答欄は,[№38],[№39]順不同)

1.債権的請求権に基づく給付の訴えについては,その債権に対して仮差押えの執行がされた場合には,訴えの利益が認められない。

2.給付の訴えについては,その給付に係る請求権について強制執行をしない旨の合意がある場合であっても,訴えの利益が認められる。

3.所有権確認の訴えについては,その所有権に基づく物権的請求権による給付の訴えを提起することができる場合であっても,即時確定の利益があると認められる限り,訴えの利益が認められる。

4.法律関係を証する書面の記載内容の真実性に争いがある場合には,その記載内容が真実であることの確認を求める訴えについては,訴えの利益が認められる。

5.共同相続人間において,ある財産が被相続人の遺産かどうかに争いがある場合には,当該財産が被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えについては,訴えの利益が認められる。

№38

№39

1

4

第36問

裁判所又は裁判長の行為に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものを2個選びなさい。(解答欄は,[№40],[№41]順不同)

1.裁判長は,地方裁判所で行う証人の尋問において,当事者に先立って尋問をしようとするときは,当事者の意見を聴かなければならない。

2.裁判所は,被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず,その他何らの防御の方法も提出しない場合に,判決書の原本に基づかないで原告の請求を認容する判決をするときは,当事者の意見を聴かなければならない。

3.裁判所は,争点及び証拠の整理を行うため必要があると認め,事件を弁論準備手続に付するときは,当事者の意見を聴かなければならない。

4.裁判所は,弁論準備手続において,専門的な知見に基づく説明を聴くために専門委員を手続に関与させる決定を行うときは,当事者の意見を聴かなければならない。

5.裁判所は,口頭弁論を分離するときは,当事者の意見を聴かなければならない。

№40

№41

2

5

第37問

先行する訴訟行為を前提とした新たな訴訟行為の可否に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№42])

ア.被告が主張する積極否認の内容となる重要な間接事実に立脚した新たな請求の追加的変更であっても,従前の請求と請求の基礎の同一性がない場合には,このような訴えの変更は,許されない。

イ.原告の土地明渡請求に対し,第一審裁判所が判決でその土地について賃借権を有するとの被告の抗弁に係る事実を認めた場合には,被告は,控訴審において,反訴として,原告の同意を要せずに,その土地についての賃借権存在確認の訴えを提起することができる。

ウ.附帯控訴は,一旦取り下げても,口頭弁論終結に至るまでは,再び申し立てることができる。エ.本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は,その訴えと訴訟物を同一とする再訴の提起を正当なものとする新たな利益又は必要性が存するときは,取り下げた訴えと訴訟物を同一とする再訴を提起することができる。

オ.第一審において全部勝訴の判決を得た原告は,被告が控訴した場合であっても,附帯控訴の形式で請求を拡張することができない。

1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ

2

第38問

抗弁に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか(解答欄は,[№43])。

ア.10年の時効取得を原因とする土地の所有権移転登記手続を求める訴えの請求原因に対する「原告は,占有開始の時に当該土地の所有権を有しないことを知っていた。」との主張は,抗弁である。

イ.売買契約に基づく動産の引渡しを求める訴えの請求原因に対する「原告が被告に対して代金の支払をするまで当該動産の引渡しを拒絶する。」との主張は,抗弁である。

ウ.消費貸借契約に基づく貸金返還を求める訴えの請求原因に対する「金銭の交付が贈与契約に基づくものであったから,金銭の返還請求権は発生しない。」との主張は,抗弁である。

エ.所有権に基づく土地の明渡しを求める訴えの請求原因に対する「原告は,他の第三者に対して当該土地を売り,所有権を失った。」との主張は,抗弁である。

オ.保証契約に基づく保証債務の履行を求める訴えの請求原因に対する「主債務者が保証契約書を偽造した。」との主張は,抗弁である。

1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ 4.ウ オ 5.エ オ

4

第39問

文書又は検証物に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものを2個選びなさい。(解答欄は,[№44],[№45]順不同)

1.裁判所は,当事者が文書提出命令に従わないときは,当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる。

2.裁判所は,第三者が文書提出命令に従わないからといって,文書提出命令を申し立てた当事者の当該文書の記載に関する主張を真実と認めることはできない。

3.裁判所は,文書の成立の真否に争いがあり,対照をするのに適当な相手方の筆跡がない場合に,対照の用に供すべき文字の筆記を相手方に命じたにもかかわらず,相手方が正当な理由なくこれに従わないときは,当該文書の成立の真否に関する挙証者の主張を真実と認めることができる。

4.裁判所は,当事者又はその代理人が故意又は重大な過失により真実に反して文書の成立の真正を争ったときは,当該文書の記載の内容が真実であると認めることができる。

5.裁判所は,当事者が検証物提示命令に従わないからといって,当該検証物の性状に関する相手方の主張を真実と認めることはできない。

№44

№45

4

5

第40問

私文書の成立に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。(解答欄は,[№46])

1.文書の成立についての自白は裁判所を拘束するものではないが,私文書の成立について当事者間に争いがない場合には,裁判所は,証拠に基づかなくても,当該私文書が真正に成立したものと認めることができる。

2.成立に争いのある私文書に本人による署名と押印のいずれも存在しない場合であっても,裁判所は,証拠及び弁論の全趣旨に基づき,自由な心証によって,当該私文書が真正に成立したものと認めることができる。

3.成立に争いのある私文書に本人名義の署名が存在する場合には,その署名をしたのが本人であるかどうかかが明らかでないときであっても,その署名は本人の意思に基づいてされたものと事実上推定され,ひいては当該私文書が真正に成立したものと推定される。

4.成立に争いのある私文書に本人の印章による印影が存在する場合には,その印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと事実上推定され,ひいては当該私文書が真正に成立したものと推定される。

5.成立に争いのある私文書に本人による署名が存在するが,その署名がされた後に当該私文書の記載が何者かによって改ざんされたことが認められる場合には,当該私文書が真正に成立したとの推定は覆される。

3

第41問

判決が確定した場合に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[№47],[№48]順不同)

1.XのYに対する貸金返還請求訴訟の第一審の口頭弁論が平成30年3月16日に終結し,請求を全部認容する判決が同年4月20日に言い渡されて同年5月9日に確定した場合に,YがXに対してこの確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて,同月1日にこの貸金に対して弁済したことを請求異議の事由として主張することができる。

2.XがYに対して1000万円の貸金債権の一部として100万円の支払を求める訴訟において,1000万円の貸付けはあったが940万円は弁済されたとして,60万円の限度で請求を認容する判決が確定した場合に,Xは,Yに対し,貸金1000万円のうち前訴で請求しなかった900万円の支払を求める訴えを提起することができる。

3.XがYに対して交通事故による損害賠償として1000万円の支払を求める訴訟において,400万円の限度で請求を認容する判決が確定した場合に,XがYに対してその後に同一の交通事故による損害賠償を求めて提起した訴えにおいて,前訴の事実審の口頭弁論終結時までに予見することができなかった後遺障害がその後に発生したと主張することは,前訴の確定判決の既判力に抵触し,許されない。

4.XY間の甲土地の売買契約が錯誤により無効であるとしてXがYに対して提起した所有権に基づく所有権移転登記抹消登記手続を求める訴えに対し,要素の錯誤がないとして,請求を棄却する判決が確定した場合に,YがXに対して当該売買契約に基づき甲土地の引渡しを求める後訴において,Xが要素の錯誤の存在を主張することは,前訴の確定判決の既判力に抵触し許されない。

5.XがYに有する貸金債権の連帯保証人Zに対して提起した保証債務履行請求の訴えに対し,請求を認容する判決が確定した後,XのYに対する貸金返還請求訴訟において,保証債務履行請求訴訟の事実審の口頭弁論終結時前にYが弁済したとして,請求を棄却する判決が確定した場合に,ZがXに対して保証債務履行請求訴訟の確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて,貸金返還請求訴訟の確定判決を請求異議の事由として援用することは,許されない。

№47

№48

1

5

第42問

訴えの取下げに関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。(解答欄は,[№49])

1.訴えは,判決が確定した後も,その全部又は一部を取り下げることができる。

2.控訴人と被控訴人の双方が控訴審の口頭弁論の期日に出頭しない場合において,1月以内に期日指定の申立てをしないときは,訴えの取下げがあったものとみなされる。

3.訴えの取下げは,期日外においてもすることができる。

4.本訴が取り下げられた場合において,反訴を取り下げるには,相手方の同意を得なければならない。

5.原告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭しなかった場合には,訴えの取下げがあったものとみなされる。

3

第43問

決定又は命令に対する不服申立てに関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№50])

ア.簡易裁判所の裁判官の訴状却下命令に対しては,地方裁判所に即時抗告をすることができる。

イ.地方裁判所が文書提出命令の申立てについてその文書の証拠調べをする必要性がないという

理由でこれを却下するとした決定に対しては,その必要性があることを理由として,即時抗告をすることができる。

ウ.高等裁判所が再抗告についてした決定に対しては,その決定が憲法に違反することを理由として,特別抗告をすることができる。

エ.高等裁判所がその決定に対する許可抗告の申立てについて抗告を許可しなかった場合であっても,最高裁判所は,法令の解釈に関する重要な事項を含むと認めるときは,抗告を受理することができる。

オ.決定に対して再審の申立てをすることはできない。

1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ

1

第44問

控訴に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。(解答欄は,[№51])

1.控訴の提起は,判決書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に,控訴状を第一審裁判所に提出することによって行う。

2.控訴状には,第一審判決の取消し又は変更を求める事由を記載する必要はない。

3.請求の客観的予備的併合がされている場合において,主位的請求を認容し,予備的請求に対する判断をしなかった第一審判決に対し,被告が控訴したときは,控訴裁判所は,主位的請求を棄却するとの判断をした上,予備的請求について判断をすることができる。

4.請求の客観的予備的併合がされている場合において,主位的請求を棄却し,予備的請求を認容した第一審判決に対し,被告が控訴し,原告が控訴及び附帯控訴のいずれもしないときは,控訴裁判所は,主位的請求に対する第一審裁判所の判断の当否の判断をすることはできない。

5.金銭の給付訴訟において,被告の相殺の抗弁が認められて原告の請求が棄却され,原告が控訴し,被告が控訴及び附帯控訴のいずれもしない場合に,控訴裁判所が請求原因事実が認められないとの判断をしたときは,第一審判決を取り消して,請求を棄却するとの判決をすることができる。

5

第45問

少額訴訟に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№52])

ア.被告は,反訴を提起することができる。

イ.証拠調べは,即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる。

ウ.被告は,口頭弁論の終結がされるまで,訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。

エ.裁判所は,請求を認容する判決をする場合に,被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは,判決の言渡しの日から3年を超えない範囲内において,認容する請求に係る金銭の支払について,その分割払の定めをすることができる。

オ.少額訴訟の終局判決に対して適法な異議がされ,通常の手続により審理及び裁判をすることとされた場合の終局判決に対しては,控訴をすることができる。

1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ

3

 

刑法・刑事訴訟法

問題No

問題

解答

第1問

次の1から5までの各事例における甲の罪責について判例の立場に従って検討した場合,甲に凶器準備集合罪が成立しないものはどれか。(解答欄は,[№1])

1.甲は,乙,丙及び丁が,対立するグループの者らによる襲撃に備えて同人らの身体に対し共同して害を加える目的で凶器を準備して公園に集合していることを知った。その上で,甲は,自らも乙らと共同して害を加える目的で凶器を所持して同公園に赴き,乙,丙及び丁に合流したが,客観的には同グループの者らによる襲撃が切迫しているという状況はなかった。

2.甲は,乙,丙及び丁と共に,Vの身体に対し共同して害を加える目的でそれぞれ凶器を準備し公園に集合することとしたが,乙,丙及び丁が凶器を準備して先に同公園に到着しVを待ち伏せていたところ,同公園にVが現れたことから,乙らにおいてVの身体に対する加害行為を開始した。その後間もなく,甲は,凶器を所持して同公園に到着し,乙らがVに対する加害行為に及んでいる間も,自らも乙らと共にVの身体に対し共同して害を加える目的で凶器を所持してその場に居続けた。

3.甲は,乙,丙及び丁と共に,Vが居住する家屋を共同して損壊する目的でそれぞれハンマーや斧を準備し,同家屋近くの公園に集合した。

4.甲は,乙,丙及び丁と共に公園で雑談をしていたところ,同公園の隅に長さ約1メートルの棒状の角材が多数保管されているのを発見した。甲ら4名は,その角材を手に取った後,これを凶器としてVの身体に対し共同して害を加える目的を有するに至った。

5.甲は,乙,丙及び丁が,対立するグループの者らによる車両での襲撃を察知して,相手車両に衝突させるという意図の下に,エンジンを切った状態で無人のダンプカー1台を乙方付近の路上に駐車させていることを知った。その上で,甲は,自らも乙らと共に同グループの者らの身体に対し共同して害を加える目的で乙方に赴き,乙,丙及び丁に合流した。

5

第2問

次の【事例】における甲の罪責について,判例の立場に従って検討した場合,正しいものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№2])

【事 例】

甲は,バーの経営者Aから現金を強取しようと考え,12歳の長男乙に,「Aのバーに行って

お金をとってきて。覆面を付けて,『金だ。』とか言ってモデルガンを見せなさい。」と言い聞かせた。乙は,当初警察に捕まることを恐れて嫌がっていたが,結局小遣い欲しさから承諾し,甲から覆面とモデルガンを受け取った。乙は,Aのバーまで行き,甲から指示された方法に従って,覆面を付けモデルガンを拳銃のように見せ掛け,Aを脅迫してその反抗を抑圧した。さらに,乙は,自己の判断により,外から人が来ないようにするためバーの出入口ドアの鍵を掛け,Aをバーのトイレに閉じ込めた。その後,乙は,レジ内の現金を強取し,外に出ようとしたところ,トイレから脱出して乙に向かってきたAから腕をつかまれたため,これを激しく振り払った。その結果,Aは転倒して負傷した。乙は,逃走して自宅に戻り,強取した現金を全て甲に渡した。甲はその現金の中から乙に小遣いを与え,その余を生活費等に費消した。

1.強盗致傷罪の教唆犯が成立する。

2.強盗罪の間接正犯が成立する。

3.強盗致傷罪の間接正犯が成立する。

4.強盗罪の共同正犯が成立する。

5.強盗致傷罪の共同正犯が成立する。

5

第3問

信用及び業務に対する罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。(解答欄は,[№3])

1.信用毀損罪における「流布」とは,虚偽の風説を不特定又は多数の人が認識可能な状態に置くことをいい,行為者自らが直接に不特定又は多数の人に告知する場合のみならず,特定かつ少数の者を通じて順次不特定又は多数の人に伝播させる場合も含まれる。

2.電子計算機損壊等業務妨害罪は,電子計算機に向けられた加害行為を手段とする業務妨害行為を処罰対象とするものであるところ,同罪の加害行為は,「人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊」することと「人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え」ることに限られる。

3.威力業務妨害罪における「威力を用いて」とは,人の意思を制圧するような勢力を行使することをいい,このような勢力が業務に従事している人に対して直接行使されることを要する。

4.信用毀損罪は,公訴が提起されることにより公判において事件の内容が明らかになり,かえって被害者の信用が損なわれる事態を招くおそれがあるため,被害者による告訴がなければ公訴を提起することができない。

5.強制力を行使しない公務は,業務妨害罪における「業務」には該当するが,公務執行妨害罪における「職務」には該当しない。

1

第4問

故意に関する次の各【見解】に従って後記1から5までの各【事例】における甲の罪責を検討した場合,いずれの【見解】に従うかによって,結論が異なるものはどれか。(解答欄は,[№4])

【見 解】

A説:行為者が認識していた事実と発生した事実とが,構成要件的評価として一致する限り,発生した事実についての故意が認められ,殺人罪においては,客体が「およそ人」という点で一致していれば故意が認められる。

B説:行為者が認識していた事実と発生した事実とが,具体的に一致しない限り,発生した事実についての故意は否定され,殺人罪においては,客体が「その人」という点で一致していなければ故意は認められない。

【事 例】

1.甲は,Vを殺そうと考えてVの首を絞め,Vが動かなくなったので死亡したものと思い,V

を海岸の砂上まで運び放置したところ,Vが砂を吸引したことにより死亡した。

2.甲は,Vが連れている犬を殺そうと考え,その犬を狙って猟銃を発射したが,犬をかばおうとしたVに弾丸が当たり,Vを死亡させた。

3.甲は,前方を歩いていた人をV1と思い,V1を殺そうと考え,その人を狙って拳銃を発射

し弾丸を命中させて死亡させたが,その人はV1ではなく,V2であった。

4.甲は,Vから殺してほしいと頼まれたので,Vを殺そうと考え,Vの首を絞めてVを死亡さ

せたが,嘱託殺人が犯罪にならないと考えていた。

5.甲は,V1を殺そうと考え,V1を狙って拳銃を発射したが,弾丸がそれて,V1ではなく,

そのそばにいたV2に当たり,V2を死亡させた。

5

第5問

次のアからオまでの各記述における甲の罪責について判例の立場に従って検討した場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№5])

ア.甲が,自然湖の一部に設けられた乙のいけすから逃げ出した乙所有の錦鯉30匹を,同湖内の同いけすから離れた場所で発見し,乙が所有する錦鯉であると認識しながら,これらを自己のものにしようと考えて捕獲した場合,窃盗罪が成立する。

イ.甲は,パチスロ機に針金を差し込んで誤作動させてメダルを窃取することを乙と共謀し,乙による窃盗の犯行を周囲から見えにくくするため,乙の隣のパチスロ機で通常の遊戯を行い,それによりメダルを取得した。この場合,甲自身が遊戯したパチスロ機で取得したメダルについても窃盗罪が成立する。

ウ.甲が,乙から封かんされた現金20万円入りの封筒を渡されてそれを丙に届けるように依頼されたが,丙方に向かう途中で封筒内の現金が欲しくなり,封を開いて封筒に入っていた現金のうち5万円を取り出してこれを自己のものとし,残りの現金が入った封筒を丙に交付した場合,取り出した5万円について窃盗罪が成立する。

エ.甲は,乙から,乙が海中に落とした腕時計の引き揚げを依頼され,その腕時計が落ちた場所の大体の位置を指示された。甲が,乙から指示された海中付近を探索した結果,同腕時計を発見したが,それを乙に知らせることなく,同腕時計を引き揚げて自己のものとした場合,窃盗罪が成立する。

オ.甲が,満員電車に乗っていた際,隣の席に座っていた見ず知らずの乙が財布を座席に置き忘れたままX駅で下車したのを目撃し,乙の財布とその中身を自己のものにしようと考え,次のY駅に到着した時点で乙の財布を取得した上,同駅で下車し自宅に持ち帰った場合,窃盗罪が成立する。

1.ア イ 2.ア オ 3.イ エ 4.ウ エ 5.ウ オ

4

第6問

共犯の従属性に関する次の【見解】に従って後記1から5までの各【記述】を検討した場合,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[№6],[№7]順不同)

【見 解】

共犯が成立するためには,正犯の行為が構成要件に該当し,違法性を具備することを要する。

【記 述】

1.甲が強盗犯人Aの妻乙を唆してAを蔵匿させた場合,甲には犯人蔵匿罪の教唆犯は成立し得ない。

2.甲が刑法第41条の刑事未成年者に当たる乙を唆して窃盗を行わせた場合,甲には窃盗罪の教唆犯は成立し得ない。

3.甲が乙にAが一人で居住する家屋に侵入するよう唆したところ,乙がAの承諾を得て平穏にその家屋に立ち入った場合,甲には住居侵入罪の教唆犯は成立し得ない。

4.甲が乙を唆して私文書を偽造させたが,乙に行使の目的がなかった場合,甲には私文書偽造罪の教唆犯は成立し得ない。

5.甲が乙に偽証するよう唆したところ,乙が証人として法律により宣誓した上,虚偽の陳述を

したが,証人尋問手続が終了した後,判決言渡し前に自白した場合,甲には偽証罪の教唆犯は成立し得ない。

№6

№7

3

4

第7問

次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№8])

ア.甲は,同僚Aを会社の備品倉庫内に閉じ込めて困らせようと考え,午後7時頃,Aが一人で作業をしていた同倉庫の全ての出入口扉に外側から鍵を掛けた。Aはそのことに気付かず,もともと同倉庫で深夜遅くまで仕事をするつもりであったので,そのまま作業を続けていたところ,午後10時頃,たまたま同倉庫にやって来た他の従業員が出入口扉の鍵を開けた。この場合,甲には監禁罪は成立し得ない。

イ.甲は,別居中の元妻Aが単独で親権を有する生後数日のBを連れ去ろうと考え,A方を訪問した上,Aがトイレに行っている隙に,ベビーベッドで寝ていたBを連れ去った。この場合,Bには移動の自由が全くないから,甲には未成年者略取罪は成立し得ない。

ウ.甲は,捜査車両をのぞき見て同車両のナンバーを把握するため,警察署の建物及び敷地への外部からの立入りを制限するとともに内部をのぞき見ることができない構造として作用し,建物の利用のために供されている高さ約2.5メートルのコンクリート塀を正当な理由なくよじ登り,その上部に立って同警察署の敷地内の捜査車両を見て立ち去った。この場合,甲には建造物侵入罪は成立し得ない。

エ.甲は,Aに恨みを抱き,「ふざけるな。おまえの妻Bを酷い目に遭わせてやる。」という電子メールをA宛てに送り付けた。BがAの内縁の妻であった場合,甲には脅迫罪は成立し得ない。

オ.甲は,深夜,A方に侵入し,泥酔して熟睡中のAにわいせつ行為をして,Aに全く気付かれないままA方を出た後,A方から約100メートル離れた路上で,警ら中の警察官Bから職務質問を受けたため,逮捕を免れる目的で,Bを拳骨で殴打してBに傷害を負わせた。この場合,甲には準強制わいせつ致傷罪は成立し得ない。

1.ア イ 2.ア オ 3.イ ウ 4.ウ エ 5.エ オ

5

第8問

不能犯と未遂犯を区別する基準についての次の【見解】に関する後記1から5までの各【記述】

を検討し,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[№9],[№10]順不同)

【見 解】

行為当時に一般人が認識し得た事情及び行為者が特に認識した事情を基礎とし,一般人を基準に結果発生の危険性があるか否かの判断による。

【記 述】

1.この【見解】によれば,人を殺そうとして,客観的には死の結果を引き起こさない量の空気

を人の血管内に注射した場合,殺人未遂罪の成立が認められる余地がある。

2.この【見解】によれば,結果発生の危険性の有無は,実際に存在した事実のほかにどのような事実が存在すれば結果が発生し得たかを事後的見地から検討し,そのような事実が行為時に存在し得る可能性の程度を考慮して判断することになる。

3.この【見解】によれば,人を殺そうとして,一般人ならば明らかに砂糖と分かる黒糖を毒薬

と思い込んで紅茶に入れて飲ませた場合,この行為者の認識した事情を基礎として,一般人を基準に,この行為による死の結果発生の危険性の有無を判断することになる。

4.この【見解】によれば,行為者が特に認識した事情も基礎とされるので,結果を引き起こす

特別な事情を認識している行為者による行為には結果発生の危険性が認められ,その事情を認識していない行為者による行為には結果発生の危険性が認められない場合がある。

5.この【見解】によれば,結果が発生しなかった原因が科学的に説明できる場合には,常に結果発生の危険性は否定されることになる。

№9

№10

1

4

第9問

学生A,B及びCは,次の【事例】における甲の罪責について,後記【会話】のとおり議論して

いる。【会話】中の①から④までの( )内から適切なものを選んだ場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№11])

【事 例】

甲は,過失による自動車追突事故を偽装して保険会社から保険金を詐取することを計画し,乙に同計画を打ち明け,乙の真意に基づく同意を得た上で,自己の運転する自動車を乙が運転する自動車に追突させた。その結果,乙は軽微な傷害を負った。

【会 話】

学生A.被害者が自己の身体に対する傷害を同意した場合に傷害罪が成立するか否かにつき,私は,判例と①(a.同様の・b.異なる)立場に立っており,単に同意が存在するという

事実だけではなく,その同意を得た動機,目的,身体傷害の手段,方法,損傷の部位,程

度など諸般の事情を照らし合わせて,傷害罪の成否を決すべきであると考えます。乙の同

意は,保険金詐取という違法な目的に利用するために得られた違法なものであり,これに

より,乙に対する傷害行為の違法性が阻却されることはないので,甲には傷害罪が成立す

ると考えます。

学生B.A君の見解に対しては,②(c.個人の自己決定権を重視し過ぎている・d.不可罰で

ある詐欺の予備行為を傷害罪で処罰することになる)という批判があります。

学生C.私は,乙の有効な同意がある限り,刑法によって保護すべき法益の侵害がないので,乙に対する傷害行為については,傷害罪の構成要件該当性を欠き,甲には傷害罪が成立しないと考えます。

学生A.C君の見解に対しては,③(e.傷害罪の処罰根拠と合理的な関連性のない事情を考慮し過ぎている・f.死亡の結果が発生した場合に傷害致死罪が不成立となるのは不当である)と批判することが可能です。

学生C.同意殺人罪に対応する同意傷害罪の規定がない以上,私の見解のように,同意傷害は不可罰であると解すべきです。

学生B.しかし,④(g.同意殺人罪の法定刑に比して傷害罪の法定刑は重い・h.同意殺人罪は,殺人罪の法定刑の下限の重さが考慮されて,その減軽類型として特に設けられたものである)ので,同意傷害罪の規定がないことは理由にならないと思います。

1.①a ②c ③e ④h

2.①a ②d ③f ④g

3.①a ②d ③f ④h

4.①b ②c ③e ④g

5.①b ②d ③f ④g

3

第10問

賄賂罪(あっせん収賄罪を除く。)に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№12])

ア.賄賂罪の「賄賂」は,公務員の職務に関する不正な利益であれば足り,個別の職務行為との間に具体的な対価関係があることを要しない。

イ.賄賂罪は,賄賂を収受し,又はその要求若しくは約束をした時点でそれらの行為をした者が公務員でなければ,いかなる場合でも成立しない。

ウ.賄賂罪の「職務」とは,公務員がその地位に伴い公務として取り扱うべき執務をいうが,独立の決裁権限がなく,単に上司の補助をする立場の公務員が取り扱う事務はこれに該当しない。

エ.賄賂罪の「職務」は,公務員の一般的職務権限に属するものであれば足り,公務員が現に具体的に担当している事務であることを要しない。

オ.賄賂罪の「職務」は,賄賂を収受し,又はその要求若しくは約束をした時点で公務員の一般的職務権限に属している必要があり,公務員が一般的職務権限を異にする他の職務に転じた後に前の職務に関して賄賂を収受した場合には,賄賂罪は成立しない。

1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ

2

第11問

責任能力に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。(解答欄は,[№13])

1.裁判所は,責任能力の有無・程度について,専門家たる精神医学者の意見を十分に尊重して判定すべきであるから,精神鑑定の意見の一部だけを採用することは許されない。

2.行為者が犯行時に心神耗弱状態にあった場合でも,その刑を減軽しないことができる。

3.犯行時に事物の是非善悪を弁識する能力が著しく減退していても,行動を制御する能力が十分に保たれていれば,完全責任能力が認められることがある。

4.精神の障害がなければ,心神喪失又は心神耗弱と認められる余地はない。

5.14歳の者は,事物の是非善悪を弁識し,その弁識に従って行動する能力が十分に認められる場合であっても,処罰されない。

4

第12問

次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。(解答欄は,[№14])

1.甲は,Aから現金を借り入れるに当たり,借入金をAに自ら返済する意思も能力もないのに,乙に対し,「自分がAに返済するので,保証人として名前を貸してほしい。」とうそを言い,その旨乙を誤信させ,乙に,Aを貸主,甲を借主とする消費貸借契約書の保証人欄に署名押印させた。乙は錯誤に基づいて署名押印しているから,甲には有印私文書偽造罪の間接正犯が成立する。

2.甲は,取引先乙に見せて自己に信用があることを誇示するだけの目的で,偽造された約束手形を真正なものとして乙に提示した。偽造有価証券行使罪の「行使」といえるためには,偽造有価証券を真正なものとして流通に置く必要があるから,甲には同罪は成立しない。

3.甲は,偽名を用いて会社に就職しようと考え,同会社に提出する目的で,履歴書用紙に,架空人Aの氏名を記載し,その氏名の横にAと刻した印鑑を押印するとともに,自己の顔写真を貼り付けて履歴書を作成した。同履歴書の作成名義人と作成者との人格の同一性にそごを生じさせるものとは認められないから,甲には有印私文書偽造罪は成立しない。

4.甲は,信販会社の財産上の事務処理を誤らせる目的で,権限がないのに,同会社の会員名義のクレジットカードの電磁的記録を白地のカード板の磁気部分に印磁して,クレジットカードを構成する電磁的記録を作成したが,その外観は一般人が真正な支払用カードと誤認する程度のものではなかった。支払用カード電磁的記録不正作出罪が成立するためには,一般人が真正な支払用カードと誤認する程度の外観を備える必要はないから,甲には同罪が成立する。

5.県立高校を中途退学した甲は,父親乙に見せて安心させるだけの目的で,偽造された同高校校長A名義の甲の卒業証書を真正なものとして乙に提示した。甲は,同卒業証書を乙に見せた

だけであり,公文書に対する公共の信用を害するおそれがないから,甲には偽造有印公文書行使罪は成立しない。

4

第13問

次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。 (解答欄は,アからオの順に[№15]から[№19])

【事 例】

甲は,別居している実弟Aとの間で,自己が所有するX市内の土地(以下「本件土地」とい

う。)を代金3000万円で売却する売買契約を締結し,Aから代金全額の支払を受けたものの,本件土地の所有権移転登記は未了のままであった。そこで,甲は,自己が経営する会社の資金繰りのため,自らが保管していた本件土地の登記済

証を利用し,事情を知らないBに対して,本件土地に抵当権を設定するので,それを担保に1000万円を融資してほしい旨申し入れたところ,Bは,これを了承した。数日後,甲は,Bから1000万円の融資を受けた上,Aに無断で本件土地の抵当権設定登記を完了した。

X市の土木部長である乙は,本件土地を乙個人として購入したいと考え,甲に対して,その旨を申し入れた。甲は,乙に対して,本件土地は既にAに売却済みであるが,登記名義は自分に残っているので,代金2000万円で売却してもよい旨を伝えたところ,乙は,これを了承した。そして,乙は,Y市内に時価700万円の農地(以下「本件農地」という。)を所有していたことから,本件土地の購入資金を調達するため,それまでにX市発注の公共工事の受注に際して,土木部長として便宜を図ってきた建築業を営むCに対して,本件農地を時価で買い取ってほしい旨を依頼した。Cは,本件農地にはそれまで買手が全く見付からず,乙が苦労していることを知りながら,かねてX市発注の公共工事の受注に際して乙が有利な取り計らいをしてくれたことに対する謝礼の趣旨に加え,時価であれば損をすることもないと考えて,乙の依頼を了承した。そして,Cは,乙と本件農地の売買契約を締結した上で,乙に現金700万円を手渡した。その後,甲は,Aに無断で乙と本件土地の売買契約を締結し,乙から代金全額の支払を受けた上,本件土地の所有権が売買により乙に移転した旨の登記を完了した。

【記 述】

ア.甲がAに無断で本件土地に抵当権を設定し,その旨の登記を完了したことについては,甲に横領罪が成立するが,Aは甲の実弟であるので,告訴がなければ公訴を提起することができない。[№15]

 

1

イ.甲が本件土地をAに無断で乙に売却し,所有権移転登記を完了したことについては,それ以前に甲がAに無断で本件土地に抵当権を設定し,その旨の登記を完了したことによって,犯罪の成立は妨げられないので,甲に横領罪が成立する。[№16]

 

1

ウ.乙は,本件農地を時価でCに売却したのであるから,乙がCから交付を受けた現金700万円は通常の経済取引に基づく不動産の購入代金であり,不正な利益としての賄賂には当たらないので,乙に収賄罪(収受)は成立しない。[№17]

 

2

エ.仮に,乙が,Cに対して,時価を超える1000万円で本件農地を購入するよう依頼したが,Cはこの依頼を拒否した場合,収賄罪と贈賄罪は対向犯として必要的共犯の関係にあるので,乙に収賄罪(要求)は成立しない。[№18]

 

2

オ.乙は,甲から本件土地が既にAに売却済みであることを知らされながら,Aに無断で本件土地を購入し,所有権移転登記を完了したのであるから,乙に横領罪の共同正犯が成立する。[№19]

2

第14問

捜査の端緒に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄は,[№20])

ア.検視を行うに当たっては,死因の確認のために,令状なくして,対象となる死体から注射器を用いて血液を採取したり,腹部を切開したりすることができる。

イ.被害者の法定代理人たる親権者が2人いるときは,その各自が被害者の法定代理人として,告訴をすることができる。

ウ.司法警察員は,告発を受けたときは,速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。

エ.検察官又は司法警察員は,口頭による自首を受けたときは調書を作らなければならない。

オ.警察官は,異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯したと疑うに足りる相当な理由のある者を停止させて質問することはできるが,質問するため,付近の警察署に同行することを求めることはできない。

1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個

4

第15問

緊急逮捕に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。(解答欄は,[№21])

ア.司法巡査が緊急逮捕することは許されない。

イ.司法警察員は,留置の必要がないと思料するときでも,緊急逮捕した被疑者を釈放すること

は許されず,検察官に送致する手続をしなければならない。

ウ.緊急逮捕における逮捕の理由の告知は,被疑者に逮捕状を示す際にすれば足りる。

エ.緊急逮捕状の請求は,警察官たる司法警察員については,国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限り,これを行うことができる。

オ.緊急逮捕した被疑者を検察官に送致する手続は,逮捕状の発付を受けた時から48時間以内にしなければならない。

1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個

1

第16問

被疑者の勾留理由開示に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№22])

ア.勾留の理由の開示は,被疑者及びその弁護人に限り請求することができる。

イ.勾留の理由の開示は,公開の法廷でしなければならない。

ウ.検察官が出頭しないときは,勾留理由開示の法廷を開くことはできない。

エ.勾留の理由を開示するには,勾留の基礎となっている犯罪事実と,勾留されている者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由を告げれば足りる。

オ.勾留理由開示の法廷に出頭した被疑者及び弁護人は,意見を述べることができる。

1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ

3

第17問

逮捕に伴う令状によらない捜索差押えに関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄は,[№23])

ア.被疑者を逮捕状により逮捕する場合には,逮捕に伴う令状によらない捜索差押えをすることはできない。

イ.証拠物について,逮捕に伴う令状によらない捜索差押えを行い得るのは,逮捕の着手後に限られる。

ウ.警察官は,現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは,人の住居に入り被疑者の捜索をすることができる。

エ.逮捕現場付近で逮捕に伴う令状によらない捜索差押えをすると被疑者の抵抗による混乱等が生じるとの事情があるときは,被疑者を捜索の実施に適する最寄りの場所に連行した上,逮捕に伴う令状によらない捜索差押えをすることができる。

オ.被疑者を緊急逮捕し,逮捕に伴う令状によらない捜索差押えをしたが,逮捕状が発付されなかった場合には,差押物は直ちにこれを還付しなければならない。

1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ オ 5.ウ エ

1

第18問

次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№24])

ア.被疑者については,保釈の請求をすることはできない。

イ.弁護人は,起訴後,裁判所が行う捜索差押えに立ち会うことができる。

ウ.弁護人は,被告人の明示の同意がなければ,証拠調べを請求することができない。

エ.弁護人は,あらかじめ証拠を保全しておかなければその証拠を使用することが困難な事情があるときは,第1回の公判期日前に限り,裁判官に証人の尋問を請求することができる。

オ.第一審で有罪判決を受けた被告人の弁護人は,改めて弁護人に選任されなければ控訴をすることができない。

1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ

4

第19問

次のアからオまでの各記述のうち,正しいものには1を,誤っているものには2を選びなさい。

ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄は,アからオの順に

[№25]から[№29])

ア.刑事訴訟法上,捜査機関による取調べにおいて,被疑者が供述を拒むことができる事項に限定はない。[№25]

1

イ.刑事訴訟法上,捜査機関は,被害者,目撃者など被疑者以外の者に対して取調べを行うに際しても,自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。[№26]

2

ウ.呼気検査は,酒気を帯びて車両等を運転することの防止を目的として運転者らから呼気を採取してアルコール保有の程度を調査するものであり,その供述を得ようとするものではないから,検査を拒んだ者を処罰する道路交通法の規定は,憲法第38条第1項に違反しない。[№27]

1

エ.身体の拘束を受けている被疑者に取調べのために出頭し,滞留する義務があると解することは,直ちに被疑者からその意思に反して供述することを拒否する自由を奪うことを意味するものではないから,憲法第38条第1項に違反しない。[№28]

1

オ.公判前整理手続において被告人又は弁護人に主張明示義務を課す刑事訴訟法第316条の17の規定は,被告人に対し,自己が刑事責任を問われるおそれのある事項について認めるように義務付けるものではなく,また,主張すること自体を強要するものでもないから,憲法第38条第1項に違反しない。[№29]

1

第20問

次のアからオまでの各記述のうち,正しいものには1を,誤っているものには2を選びなさい。

ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄は,アからオの順に

[№30]から[№34])

ア.恐喝の手段として被害者に郵送された脅迫文書の趣旨が,その内容を相当詳細に摘示しなければ判明し難いような場合には,公訴事実に脅迫文書の全文とほとんど同様の記載をしたとしても,刑事訴訟法第256条第6項に違反しない。[№30]

 

1

イ.詐欺罪の公訴事実中に被告人の詐欺の前科を記載することは原則として刑事訴訟法第256条第6項に違反して許されないが,被告人が同前科による刑の執行猶予中である場合には,その前科を公訴事実中に記載する必要がある。[№31]

2

ウ.起訴状には,裁判官に事件につき予断を生じさせるおそれのある書類その他の物を添付することが禁止されているので,検察官が勾留されている被疑者について公訴を提起する際に,起訴状の提出と同時に,被告人の逮捕状や勾留状をその裁判所の裁判官に差し出すことは許されない。[№32]

2

エ.公訴事実中に裁判官に予断を生じさせるおそれのある事項を記載したときは,これによって既に生じた違法性は,その性質上もはや治癒することができず,裁判所は,判決で公訴を棄却しなければならない。[№33]

1

オ.即決裁判手続においては,刑事訴訟法第256条第6項の適用はない。[№34]

2

第21問

次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。た

だし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄は,[№35])

ア.共謀共同正犯において,「共謀」は,罪となるべき事実にほかならないから,訴因においてその存在を明示することを要し,これを認定するためには厳格な証明によらなければならない。

イ.殺人罪の共同正犯において,実行行為者が誰であるかは,罪となるべき事実の特定に不可欠とはいえないものの,一般的に,被告人の防御にとって重要な事項であるから,検察官は,訴因に実行行為者を明示しなければならない。

ウ.検察官において,共謀共同正犯の存在に言及することなく,被告人が1人で原動機付自転車を窃取したという窃盗の訴因で公訴を提起した場合に,裁判所が,証拠上,他に実行行為を行っていない共謀共同正犯者が存在するとの心証を得たときは,被告人1人の行為により犯罪構成要件の全てが満たされたと認めるときであっても,検察官に対し,訴因の変更を積極的に促し,又はこれを命じなければならない。

エ.被告人が共謀共同正犯として起訴された事件において,検察官が主張せず,被告人側も防御活動を行っていない日時における謀議について,裁判所が,争点としてこれを顕在化させる措置を採ることなく,その日時における謀議への被告人の関与を認定したとしても,取り調べた証拠から認定したものである限り,被告人に不意打ちを与え,その防御権を不当に侵害するものとして違法となることはない。

オ.被告人及びAを共同正犯とする殺人被告事件において,実行行為者が誰であるかが争点となり,審理を尽くしても実行行為者を特定するに至らなかった場合には,裁判所は,実行行為者につき,「被告人若しくはA又はその両名」と認定し,その旨を罪となるべき事実として判示することが,許されることがある。

1.ア イ 2.イ ウ 3.ウ エ 4.エ オ 5.ア オ

5

第22問

被告人の勾留に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。(解答欄は,[№36])

ア.裁判所は,検察官の請求がなければ,被告人を勾留することができない。

イ.勾留されている被疑者につき公訴の提起があった場合,その被告人の勾留の期間は,公訴の提起があった日から1か月である。

ウ.裁判所は,逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは,検察官の請求により又は職権で,勾留されている被告人と弁護人との接見を禁じることができる。

エ.勾留されている被告人につき,罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは,保釈は一切許されない。

オ.刑の全部の執行猶予の裁判の告知があったときは,勾留状はその効力を失う。

1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個

2

第23問

裁判員裁判に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№37])

ア.裁判員の参加する合議体の構成は,原則として,裁判官3人,裁判員6人である。

イ.裁判員の選任手続は,公開の法廷で行われる。

ウ.検察官が,裁判員候補者につき不選任の請求をする場合,必ず理由を示さなければならない。

エ.補充裁判員は,裁判員の員数が不足した場合に,不足した裁判員に代わって裁判員に選任されるが,選任されるまでは,訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧することはできない。

オ.法令の解釈に係る判断については,裁判官のみの合議によってなされる。

1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ

2

第24問

次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№38])

ア.主尋問において,誘導尋問をすることができる場合がある。

イ.証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるときは,裁判長の許可を受けずに,書面を証人に示して尋問することができる。

ウ.証人は,自己の祖父が刑事訴追を受け,又は有罪判決を受けるおそれのある証言を拒むことができる。

エ.裁判官は,検察官の請求により第1回公判期日前に証人尋問を実施する場合は,被告人,被疑者又は弁護人をその尋問に立ち会わせなければならない。

オ.裁判所は,証人が被告人の面前においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは,弁護人が出頭している場合に限り,検察官及び弁護人の意見を聴き,その証人の供述中被告人を退廷させることができる。

1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.ウ オ

4

第25問

次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄は,[№39])

ア.刑事訴訟法第321条第3項所定の書面の作成主体は「検察官,検察事務官又は司法警察職員」とされているところ,火災原因の調査,判定に関して特別の学識経験を有する者は,私人であっても同項の作成主体に準ずるものと解されるから,同人の作成した燃焼実験報告書についても,同項の書面に準ずるものとして,同項により証拠能力を認めることができる。

イ.捜査官が,被疑者の供述内容を明確にすることを主たる目的にして,被疑者に犯行状況について再現させた結果を記録した実況見分調書の要証事実が,再現されたとおりの犯罪事実の存在と解されるときは,このような内容の実況見分調書の証拠能力については,刑事訴訟法第326条の同意が得られない場合には,同法第321条第3項所定の要件を満たす必要があることはもとより,被告人である再現者の供述の録取部分については同法第322条第1項所定の要件を,写真部分については署名押印を除く同項所定の要件を,それぞれ満たす必要がある。

ウ.刑事訴訟法第323条第2号の「業務の通常の過程において作成された書面」に該当するか否かは,その書面自体だけから判断されなければならず,その作成者の証言等関係証拠を考慮に入れて判断することは許されない。

エ.犯行の状況を撮影したいわゆる現場写真は,非供述証拠に属し,当該写真自体又はその他の証拠により事件との関連性を認め得る限り証拠能力を具備するものであって,これを証拠として採用するためには,必ずしも撮影者らに現場写真の作成過程ないし事件との関連性を証言させることを要しない。

オ.刑事訴訟法第328条により許容される証拠は,信用性を争う供述をした者のそれと矛盾する内容の供述が,同人の供述書,供述を録取した書面(同法が定める要件を満たすものに限る。),同人の供述を聞いたとする者の公判期日の供述又はこれらと同視し得る証拠の中に現れている部分に限られる。

1.ア ウ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ エ 5.エ オ

1

第26問

次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。た

だし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄は,[№40])

ア.控訴の提起期間は,刑事訴訟法上,10日と定められている。

イ.判決の主文と理由に食い違いがある場合,それが判決に影響を及ぼすことが明らかであるときに限り,控訴を申し立てることができる。

ウ.控訴審において,裁判所は,公判期日に被告人が出頭しなければ開廷することができない。

エ.控訴裁判所は,必要と認めるときは,原判決の言渡し後に生じた刑の量定に影響を及ぼすべき情状について取り調べることができる。

オ.控訴裁判所は,被告人のみが控訴をした事件について,原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。

1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ

5

 

一般教養科目

問題No

問題

解答

第1問

以下の【史料A】は, 1873 (明治 6 )年,日本と通商条約を結んでいた諸外国が,国内旅行の自由を要求して作成した規則案である。交渉の結果,日本政府は外国人の国内旅行を条件付きで許し,1875 (明治 8 )年に「外国人旅行免状」を発行するものとした。【史料B】はその「免状」裏面に記された規則書である。

上記A・Bの各史料に関する記述として誤っているものを,後記1から5までの中から選びなさい。なお,各史料の表記は分かりやすく改めている。(解答欄は,[№1])

【史料A】

 (省 略)

【史料B】

 (省 略)

1.外国側は,遊歩・商売のために国内旅行を自由に行えるよう求めたが,日本政府は売買取引や諸約定など居留地以外で商売を行うことを認めなかった。

2.日本政府は,国内を旅行する外国人に地方の規則を守るよう求め,外国側の案文でも規則遵守と違反者に対する日本官員の逮捕権を認めている。

3.外国側は,国内旅行中に逮捕された外国人を近くの開港場へ連行して領事へ引き渡し,領事裁判に委ねることを求めたが,日本政府はこれを一切認めなかった。

4.日本政府は,条約に定められた遊歩地域での遊猟免許を持った外国人に対しても,内地での発砲遊猟は認めなかった。

5.日本政府は,規則に違反した外国人にはその国の領事から相応の処罰が与えられるとともに,二度と国内旅行の免状を与えないものとした。

【出典】A 外務省編『日本外交文書 第6巻』

B 外務省編『日本外交文書 第8巻』

3

第2問

天正 18 ( 1590 )年,豊臣秀吉は,琉球国王に対して,「日本国関白秀吉,書を琉球国王閣下に奉る」と書き送った。その後の琉球・沖縄の歴史に関する以下の史料アからエを読み,これを年代順に並べた組合せとして正しいものを,後記1から5までの中から選びなさい。なお,各史料の表記は分かりやすく改めている。(解答欄は,[№2])

(省 略)

1.エ イ ウ ア

2.イ ウ エ ア

3.ウ イ ア エ

4.イ エ ウ ア

5.イ ウ ア エ

【出典】

ア 琉球政府編『沖縄県史 第13巻資料編3』

イ 歴史学研究会編『日本史史料[3]近世』

ウ 内閣官報局編『法令全書 明治5年』

エ 歴史学研究会編『世界史史料12 21世紀の世界へ 日本と世界』

2

第3問

以下の文章は,ドイツ語でシュレージエンと呼ばれる地域とその中心都市ブレスラウ(現在はポーランド領ヴロツワフ)についての記述である。以下の文章の空欄(ア)から(カ)に入る語句の組合せとして適切なものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№3])中央ヨーロッパのシュレージエン地方は,多民族,多文化が混在する地域であった。近世初頭に封建領主であったポーランドのピャスト家が断絶した後,同地方はオーストリアのハプスブルク家に支配されていたが,( ア )の結果,プロイセン領土となった。ハプスブルク家の女帝マリア・テレジアはこれを不服としてシュレージエン地方の奪還を画策したが,( イ )によってプロイセンの同地域領有は確実なものとなった。 19 世紀になると同地域の中心都市であり,( ウ )河畔に位置するブレスラウは,プロイセンの主要産業都市,そしてベルリンに次ぐ文化・学術の中心地に発展した。ブレスラウのユダヤ共同体も発展しており,指導者養成機関も含めて,複数のユダヤ教の教育・福祉施設が設立された。しかし 20 世紀になると,シュレージエン地方でも民族対立が激化した。( エ )年にナチス政権が成立すると,ブレスラウのユダヤ教徒やスラヴ系民族は迫害を受け,その多くが強制収容所

に連行された。第二次世界大戦後,( オ )に基づき,ブレスラウも含めたシュレージエンはポーランド領となり,ドイツ人はシュレージエンから追放された。その後には,ソヴィエト連邦とポーランドの国境変更に基づいて,故郷を去ることになったポーランド人が移住した。戦後のヴロツワフの住民は,( カ )からのポーランド移民が多かった。

1.(ア)七年戦争 (イ)オーストリア継承戦争 (ウ)エルベ

(エ)1935 (オ)テヘラン会談 (カ)現在のベラルーシのミンスク

2.(ア)オーストリア継承戦争 (イ)七年戦争 (ウ)オーデル

(エ)1933 (オ)ポツダム会談 (カ)現在のウクライナのリヴィウ

3.(ア)七年戦争 (イ)オーストリア継承戦争 (ウ)オーデル

(エ) 1935 (オ)ポツダム会談 (カ)現在のベラルーシのミンスク

4.(ア)オーストリア継承戦争 (イ)七年戦争 (ウ)エルベ

(エ)1933 (オ)テヘラン会談 (カ)現在のウクライナのリヴィウ

5.(ア)オーストリア継承戦争 (イ)七年戦争 (ウ)オーデル

(エ)1933 (オ)ポツダム会談 (カ)現在のベラルーシのミンスク

2

第4問

15 世紀末イベリア半島では,カスティーリャ王国のイサベルとアラゴン王国のフェルナンド(カトリック両王)の下で,レコンキスタを完了したキリスト教勢力が,アメリカ大陸進出を本格化させた。次のアからオまでの各記述は,この時代のイベリア半島ゆかりの人物に関するものであるが,それぞれが示す人物名AからEの組合せとして適切なものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№4])

ア.Aはパナマ地峡にダリエン植民地を建設したが,さらに黄金の国を求めて遠征を行い,太平洋に達した。しかし征服者内部の対立から,スペインに対する反逆者とされ,処刑された。

イ.現在のメキシコに遠征したBは,先住民間の対立を利用して現地の広大な王国を征服した。またBが建設したベラクルスとアカプルコは,大西洋と太平洋の間のヒトとモノの流れを結びつける結節点として,発展していくこととなった。

ウ.Bが高度な文明を征服した話は,他のスペイン人を刺激し,さらに南の国への征服に向かわせた。Cはアンデス山中の広大な帝国を征服し,莫大な富を入手したが,征服者の間で内乱が起き,殺害された。

エ.アメリカ大陸征服はキリスト教化を伴うことで正当化されたが,聖職者のなかには先住民社会の破壊を非難する者もいた。Dは『インディアスの破壊についての簡潔な報告』を著して,植民地事業の残虐さを批判した。

オ.アメリカ大陸の征服が進行する中で,太平洋経由での香料諸島遠征への関心も高まった。スペイン国王の命令を受けたEは西回りで太平洋に達したが,フィリピン諸島で戦死した。

1.A コルテス B バルボア C ピサロ D マゼラン E ラス・カサス

2.A ピサロ B バルボア C コルテス D マゼラン E ラス・カサス

3.A コルテス B ピサロ C バルボア D ラス・カサス E マゼラン

4.A バルボア B コルテス C ラス・カサス D ピサロ E マゼラン

5.A バルボア B コルテス C ピサロ D ラス・カサス E マゼラン

5

第5問

A.ウェーバーの工業立地論は,工業製品の生産から販売までの主要な生産費用を分析し,工業を特定の地点に立地指向させる因子を論じた,立地論における古典的業績である。そこでは,工業立地を決定する因子として,①輸送費,②労働費,③集積のメリット・デメリット,以上3つが挙げられている。その中でも,ウェーバーは,輸送費を最も重視し,輸送される原材料や製品の重量と距離が輸送費を決定するとした。その上で,安価な労働力を求めて立地点が変化するとしている。しかしながら,現実的には,重視される因子は工業の種類によって異なっており,また,同じ種類の工業においても時代や地域の性格によって異なっている。以上の文章を踏まえて,立地に関する記述として明らかな誤りを含んでいるものを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№5])

1.日本におけるビール醸造業は,どの場所でも入手しやすい水を主たる原料とするため,市場に近接して立地する傾向がある。

2.鉄鋼業の主原料は,石炭と鉄鉱石であるが,原料の重量が製品の重量を上回るため,原料供給地に立地する傾向が強かった。

3.近年のバングラデシュなどにおける縫製工場の立地は,一定量の安価な労働力が確保できるという条件による。

4.アルミニウム生産は原料のボーキサイトの他に電解電力を必要とする。そのため,ボーキサイトの産出がほとんどない,カナダやノルウェーにも立地している。

5.セメント産業の主原料は石灰岩であるが,石灰岩の単位重量当たりの輸送費が安価なため,主要な消費地に近接する大都市近郊に立地する傾向にある。

5

第6問

以下の文章の空欄(ア)から(オ)に入る語句の組合せとして適切なものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№6])

(省 略)

1.ア むしろ イ なごり ウ 立体的 エ 平面的 オ 武家風

2.ア むしろ イ ゆくえ ウ 理念的 エ 構造的 オ 王朝風

3.ア むしろ イ ゆくえ ウ 平面的 エ 立体的 オ 武家風

4.ア 反って イ なごり ウ 平面的 エ 立体的 オ 王朝風

5.ア 反って イ ゆくえ ウ 理念的 エ 構造的 オ 武家風

【出典】 唐木順三『雅号の消失』

4

第7問

以下のアからオまでの発句のうち,春の季語を詠み込んだ句の句数を,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№7])

(省 略)

1.1句

2.2句

3.3句

4.4句

5.5句

2

第8問

以下の文章中の空欄(ア)から(オ)に入る語句の組合せとして最も適切なものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№8])

(省 略)

1.ア 人後に落ちない イ 決して ウ 韋編三たび絶つ エ 独善的な オ 複雑な

2.ア 人に如し

かない イ 必ずしも ウ 韋編三たび絶つ エ 放恣な オ 規則的な

3.ア 自ら恃たのむ イ 決して ウ 意自おのずから通ず エ 独善的な オ 複雑な

4.ア 人後に落ちない イ 必ずしも ウ 意自おのずから通ず エ 放恣な オ 規則的な

5.ア 人に如しかない イ 必ずしも ウ 意自おのずから通ず エ 放恣な オ 複雑な

【出典】吉川幸次郎『漢文の話』

5

第9問

「労働」は近代以降,人間や社会を考察する上で重要な概念となった。近現代の思想家による労働に関する考えを述べた記述として最も適切なものを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№9])

1.労働による生産活動を,歴史や社会を形成する土台となるものと見たマルクスは,資本主義社会における資本家と労働者の階級対立を克服すべく,相互扶助的な協同組合運動に基礎を置く独自の社会主義社会を構想した。

2.労働の形態を,生活を維持するための基盤となる根本的な活動として捉えていたアーレントは,このような労働の中に,人々が自由に議論できる公共的な政治空間を形成する役割を見出した。

3.労働による生産を,国民の富の源泉と捉え,一人一人の自由な経済活動が,社会の発展をもたらすとしたアダム・スミスは,重商主義政策を推し進めることで,分業体制が整えられ,国民の富も増大すると説いた。

4.労働を,人間が生まれつき持っている自然権の一つと捉えたロックは,労働から得た所産も各人の所有物であり,国家といえども本人の同意なしにこれを奪うことはできないとした。

5.労働を,人間が互いの欲求を満たすシステムである市民社会の根幹に置いたヘーゲルは,この社会がもたらす欠乏と貧困を,労働による自由な経済活動を推進することで解決することができると説いた。

4

第10問

以下の文章を読んで,問いに答えなさい。

「最近の人工知能は,人間と同様に様々な経験や事例から学習することができる。このことをもって,人工知能も心を持ち得ると言う人々がいる。しかし,心を持ち得るには,自ら目的を設定できるような存在でなければならない。だから,人工知能が人間を凌駕することはできないのだ。」上記の文章の下線部に示された推論が論理的に妥当な推論(仮に前提が真であるならば必ず結論も真であると言える推論)であるためには,前提と結論の間を埋める「暗黙の前提」が必要である。次のアからエまでの文を組み合わせて,上記の「暗黙の前提」として必要かつ十分であるものを構成したい。そのような組合せとして最も適切なものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№10])

ア.心を持ち得る場合に限って,人間を凌駕することができる。

イ.人工知能が自ら目的を設定することはできない。

ウ.人工知能の学習は,設計者が設定した目的を達成するための学習でしかない。

エ.心を持ち得るのであれば,人間を凌駕することができる。

1.ア イ ウ

2.イ ウ エ

3.ア イ

4.ア ウ

5.イ エ

3

第11問

ある酒造会社が自社の社員に対して,酒(ワイン,ビール,ウィスキー,日本酒及び焼酎)の好みと海外旅行経験について調査したところ,次のアからウの各事実が明らかになった。

ア.フランス旅行かイタリア旅行の少なくともどちらか一方を経験している社員の中には,ワイン好きでない者はいない。

イ.ヨーロッパ旅行の経験がない社員は皆,日本酒だけが好きであり,またその逆も成り立つ。ウ.ウィスキーと焼酎の両方が好きな社員は皆,ヨーロッパ旅行の経験があったとしても,ワイン好きではない。

以上の事実から論理的に結論できるもの(上記アからウの各事実がいずれも真であるときに必ず真であると言えるもの)として最も適切なものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№11])

1.ワイン好きではない社員は皆,日本酒だけが好きである。

2.ビールもワインもウィスキーも焼酎も好きな酒として挙げなかった社員は皆,イギリス旅行の経験がない。

3.ウィスキー好きでフランス旅行を経験している社員は,焼酎好きではない。

4.フランス旅行とイタリア旅行の両方を経験している社員は皆,日本酒好きではない。

5.ドイツ旅行とイタリア旅行の両方を経験している社員は皆,ウィスキー好きではない。

3

第12問

民主主義理論に関する記述として正しいものを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№12])

1.G.ウォーラスによれば,大衆は国旗や国歌,政党の名前や制服,政治家の顔などのステレオタイプによって政治エリートに操縦されており,心理学教育を通じても疑似環境に基づく非合理的な行動からは解放され得ない。

2.Ⅴ.パレートは,人類史の様々な革命で生じたのは,単なる支配階級が別の支配階級に交代することに過ぎなかったが,こうした寡頭制支配の鉄則は平等を掲げる共産主義によって初めて終わると主張した。

3.C.シュミットによれば,民主政治と議会制は歴史的起源を同じくしており,議会制を通じて治者と被治者の同一性を実現し,議会における喝采によって友と敵の対立を乗り越えた瞬間こそが民主政治の神髄である。

4.J.シュンペーターは,政治に関する合理的な意思決定を大衆に望むことはできず,複数の政治家が権力を目指して競争する中で,人々が政治家を選び,権力を正統的に委ねる手続が民主政治であると説いた。

5.R.ダールは,理念でなく実際の政治体制としての民主政治をポリテイアと名付け,ポリテイアが成立するためには,公的異議申立てと参加(包括性)という条件の少なくともどちらかを満たしていることが必要とした。

4

第13問

次のアからオまでの各記述のうち,アメリカ合衆国大統領を務めた人物とその演説の組合せとして正しいものの個数を,後記1から5の中から選びなさい(なお,引用文中に誤りはないものとする。)。(解答欄は,[№13])

ア.A.リンカーン「人民の人民による人民のための政治を地上から決して絶滅させないために,われわれがここで固く決意することである。」

イ.H.トルーマン「バルト海のシュテティーンからアドリア海のトリエステまで,ヨーロッパ大陸を横切る鉄のカーテンが降ろされた。」

ウ.J.F.ケネディ「あなたの国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。あなたがあなたの国のために何をできるのかを問うてほしい。」

エ.L.ジョンソン「私には夢がある。それは,いつの日か,この国が立ち上がり,『全ての人間は平等に作られていることは,自明の事実であると考える』というこの国の信条を,真の意味で実現させるという夢である。」

オ.B.オバマ「黒人のアメリカ,白人のアメリカ,ヒスパニック系のアメリカ,アジア系のアメリ

カというものはない。存在しているのはアメリカ合衆国だ。」

1.1個

2.2個

3.3個

4.4個

5.0個

3

第14問

アウトサイダーに関する記述として明らかな誤りを含むものを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№14])

1.一般に社会や集団の「内部」にあるとみなされる人々をインサイダー,「外部」にあるとみなされる人々をアウトサイダーと呼ぶ。社会学の文脈では①両者は原理的に反転可能であり,②後者は固有の文化的創造力を持つと解されることが多い。

2.アウトサイダーをめぐる社会学的論議に道筋を開いたのは,ジンメルである。ジンメルは「よそ者」概念を提示し,よそ者は今日来て「明日去り行く者」ではなく「明日も留まる者」であり,定住者と放浪者の両面を備えた存在であると規定した。

3.マージナル・マン(「マージナル・パーソン」ともいう。)はアメリカの社会学者パークがジンメルの「よそ者」に示唆を受けて提起した概念で,複数の集団の境界線上にある存在を指す。その例としてパークは,ムラート(黒人と白人の混血者)を挙げている。

4.アメリカの社会学者ベッカーはラベリング理論を提唱し,インサイダーによって「逸脱者」のレッテルを貼られた者としてアウトサイダーを再定義した。逸脱行動の主因をアウトサイダー側の非同調的態度に求めることに,この理論の特徴はある。

5.アウトサイダーが必ずしも否定的な存在ではないことについて,国文学者の折口信夫は示唆的な見解を提示している。すなわち古来,異界からの来訪者としてのマレビト(客人)が村々において歓待される傾向のあったことを折口は指摘している。

4

第15問

「略奪的価格付け」とは,既存企業がライバル企業を市場から退出させるために赤字を出して低い価格を設定し,ライバル企業の退出後に高い価格を付けて赤字を埋め合わせる行動のことをいう。既存企業とライバル企業は互いに同質財を供給し,両者の限界費用は,財の供給量にかかわらず一定である。

なお,ここでは,既存企業の限界費用は,常にライバル企業の限界費用よりも高い水準にあるものとする。

以上の記述を前提として,「略奪的価格付け」に関する記述として正しいものを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№15])

1.既存企業の付ける価格がライバル企業の平均費用を上回ると,略奪的価格付けになる。

2.新規の企業が容易に参入できる市場では,ライバル企業を退出させることは,既存企業の利潤を損なう。

3.略奪的価格付けは,既存企業の利潤を長期的に最大化しない。

4.財を供給するのにかかる固定費用が埋没している場合,ライバル企業は市場から退出しない。

5.略奪的価格付けは,常に消費者の利益になる。

2

第16問

国内航空市場において,利潤最大化を目的とする独占企業が,2つの路線AとBに航空サービスを提供しているとする。航空サービス需要の価格に対する弾力性の絶対値は1よりも大きく,また,路線Aの需要価格弾力性の方が路線Bのそれよりも高い。なお,両路線の需要は独立で互いに影響を与えていないものとし,また,独占企業が航空サービスを提供するために要する限界費用は,航空サービスの供給量にかかわらず一定であり,かつ両路線で等しいものとする。以上の文章を前提として,価格差別に関する次のアからエまでの各記述について,正しいものの組合せを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№16])

ア.独占企業が路線ごとに異なる価格を設定するとき,路線Aの価格の方が路線Bの価格よりも高くなる。

イ.独占企業が両路線の価格を等しくするとき,路線ごとに異なる価格を設定するときと比べて,路線Aの価格は高くなる。

ウ.独占企業が両路線の価格を等しくするとき,路線ごとに異なる価格を設定するときと比べて,企業の利潤は高くなる。

エ.両路線の価格が等しくなると,独占企業はいずれかの路線に対して航空サービスを提供しなくなる可能性がある。

1.ア イ

2.ア ウ

3.ア エ

4.イ ウ

5.イ エ

5

第17問

以下の文章の空欄(ア)から(ウ)に入る語句の組合せとして適切なものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№17])

ある競争的企業の費用関数を C(x)=5×2+2000 としよう。限界費用関数は MC(x)=10x,平均費用関数はAC(x)=5x+(2000/x)であり,市場価格が p で与えられれば,供給関数は( ア )となる。したがって,市場価格が( イ )より高ければ,正の利潤を得ることになる。正の利潤があれば,同じ費用関数をもつ別の競争的企業の新規参入が見込まれるとしよう。また,利潤が負であれば,企業は退出すると考える。

さらに,市場の需要量 Q は関数 Q=4000-10p で表されるとしよう。市場均衡を考えれば,新規参入は均衡価格の下落につながることがわかる。

新規参入や退出のない状態での市場均衡を長期的均衡とすれば,その長期的均衡において,市場に存在する企業数は( ウ )である。

1.ア x=p/10 イ 200 ウ 200

2.ア x=10p イ 400 ウ 200

3.ア x=p/10 イ 400 ウ 100

4.ア x=10p イ 200 ウ 100

5.ア x=p/10 イ 200 ウ 100

5

第18問

以下の文章の空欄(ア)から(エ)に入る語句の組合せとして適切なものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№18])

政府の社会保障政策の在り方を考える上でも,一国経済の中での「格差」や貧困を測ることは重要である。所得格差の指標として一般的に使われるもののひとつにジニ係数がある。ジニ係数は,所得分布が完全に均等であれば( ア )となる指標であり,OECDの調査では近年の日本のジニ係数はおおむね( イ )となっている。

また,貧困を測る際には,等価可処分所得の( ウ )の半分を貧困線と決め,貧困線未満の等価可処分所得しか得ていない者の割合を計算した相対的貧困率が使われることも多い。厚生労働省「平成28 年国民生活基礎調査の概況」によると,平成 27 年における子どもの貧困率は( エ )であり,子どもがいる現役世帯のうち,大人が 1 人の世帯(注:大半がひとり親世帯であると考えられる。)に属する子どもの貧困率は 50 %を越えている。

1.ア 0 イ 0.3 ウ 平均値 エ 13.9 %

2.ア 1 イ 0.7 ウ 中央値 エ 21.2 %

3.ア 0 イ 0.3 ウ 中央値 エ 13.9 %

4.ア 1 イ 0.3 ウ 平均値 エ 21.2 %

5.ア 0 イ 0.7 ウ 平均値 エ 21.2 %

3

第19問

球面上の異なる 2 点間の球面に沿った最短距離は,大円(球の中心を通る平面と球面が交わって共有する円)のそれら 2 点を端点とする弧の(長くない方の)長さである。地球上で北緯 45 度・東経145 度,北緯 45 度・西経 125 度に位置する 2 地点間の地表面に沿った最短距離として最も近いものを,次の1から5までの中から選びなさい。ただし,地球は半径 6378 km の球とする。(解答欄は,[№19])

1.5009 km

2.6679 km

3.8348 km

4.9017 km

5.9876 km

2

第20問

真空の3元空間に対するデカルト座標系において, z 軸上の点(0,0,−?2) に電荷 −? , 点 (0,0,?2)に電荷 ? をもつ点電荷がある。点 P (?, ?, ?)における電位として最も近いものを,次の1から5までの中から選びなさい。ただし,無限遠の電位を 0 とし,原点から点 P までの距離 ? は|?|より十分大きいとする。また,?0 を真空の誘電率とする。(解答欄は,[№20])

1. ?4??0?

2. ??4??0?2- 13 –

3. ???4??0?3

4. ???4??0?3

5. ???4??0?3

5

第21問

光の性質に関する次のアからエまでの各記述について,正誤の組合せとして正しいものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№21])

ア.光が真空中を直進する場合,光の進行方向,電場の方向,磁場の方向は全て直交する。

イ.光の速さは,媒質によらず一定である。

ウ.光は粒子としての性質を示すことがあり,その運動量の大きさは波長に反比例する。

エ.光の干渉はレーザー光を用いなくても観測することができる。

1.ア 正 イ 正 ウ 誤 エ 正

2.ア 誤 イ 正 ウ 正 エ 正

3.ア 誤 イ 正 ウ 正 エ 誤

4.ア 正 イ 誤 ウ 正 エ 正

5.ア 正 イ 誤 ウ 正 エ 誤

4

第22問

空気抵抗がない場合に,物体が地球表面に沿った円軌道を描いて地球を回り続ける際の速さ(第一宇宙速度)を?1,地表から発射された物体が地球から無限に遠い場所まで到達することができるために必要な初速度の大きさ(第二宇宙速度)を?2とする。?2/?1の値として正しいものを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№22])

1.1/√3

2.1/√2

3.1

4.√2

5.√3

4

第23問

かつて,諏訪湖には生活排水が流れ込み,水質の汚染が問題になっていたが,栄養塩類が湖に流れ込まないようにしたところ,ある変化が生じた。その変化に関する記述として適切でないものを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№23])

1.植物プランクトンの密度が低下した。

2.水の透明度が高くなった。

3.水の腐敗臭が減少した。

4.ワカサギの生息数が増加した。

5.リンの溶存量が減少した。

4

第24問

光合成速度が大きく,強い光の下で速く成長するが,呼吸速度も大きい樹木Aと,光合成速度は小さいが,弱い光の下でゆっくり成長し,呼吸速度も小さい樹木Bがある。樹木Aと樹木Bは,単独で成長するとどちらも同じ高さになるとする。火山活動で地面が溶岩に覆われると,最初の地表には生物が存在しないが,徐々にコケ植物が侵入し,草原となり,樹木も侵入して,最終的にはほとんど変化しない極相林と呼ばれる森林となる。

樹木Aと樹木Bからなる森林に関する記述として最も適切なものを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№24])

1.樹木Aと樹木Bは共存関係にあり,極相林では樹木Aと樹木Bがほぼ同数交じり合った森林になる。

2.樹木Aと樹木Bは競争関係にあり,極相林では樹木Bは淘汰されて樹木Aのみからなる森林となる。

3.樹木Aと樹木Bは競争関係にあり,極相林では樹木Aは淘汰されて樹木Bのみからなる森林となる。

4.樹木Aと樹木Bは競争関係にあり,極相林では樹木Bが優占する森林になるが,所々に樹木Aも存在する。

5.樹木Aと樹木Bは競争関係にあり,極相林では樹木Aが優占する森林になるが,所々に樹木Bも存在する。

4

第25問

婚姻の形態は民族や集団によっていろいろある。例えば,結婚後,妻の生家に夫が同居する「母方居住婚」,逆に,夫の生家に妻が同居する「父方居住婚」がある。父方居住する集団では,母方居住する集団と比べどのような違いが生じるか。最も適切なものを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№25])

1.核 DNA の塩基多様性が大きくなる。

2.核 DNA の塩基多様性が小さくなる。

3.ミトコンドリア DNA の塩基多様性が大きくなる。

4.ミトコンドリア DNA の塩基多様性が小さくなる。

5.Y染色体 DNA の塩基多様性が大きくなる。

3

第26問

コアラの染色体数は 16 である。減数分裂時に交叉が無いものとすると,遺伝的に異なる幾つの配偶子をつくり得るか。最も適切なものを,次の1から5の中から選びなさい。(解答欄は,[№26])

1.8

2.16

3.32

4.256

5.65536

4

第27問

世界各地の気象災害に関する次のアからオまでの各記述について,正誤の組合せとして正しいものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№27])

ア.アメリカ合衆国の西部で干ばつが生じ,森林火災が発生することがしばしばある。特に,秋には東高西低の気圧配置となって,「サンタアナ」と呼ばれる内陸から西岸へ吹き降りる高温で乾燥した強風が吹き,それが火災延焼の要因となることがある。

イ.北米のメキシコ湾岸地域では,西大西洋やメキシコ湾の海面水温が平年より高いときに,ハリケーン災害の危険度が上がる。ハリケーン発生の一因として,アフリカ北部における偏東風波動「アフリカ波動」が挙げられ,それが活発な場合,ハリケーンのもととなる雲塊が生じやすくなる。

ウ.地中海地域は,冬季降水の多くなる地中海性気候に属しているが,その降水の原因は,地中海低気圧であり,北大西洋振動(NAO:North Atlantic Oscillation)が正のとき,つまり,アイスランド低気圧とアゾレス高気圧がともに強いときにそのような状況になりやすい。

エ.北極振動(AO:Arctic Oscillation)が負のとき,つまり,500 hPa 面高度が北極域で正偏差,北半球中緯度で負偏差となるとき,北半球で3つのトラフが日本・北米・ヨーロッパに入り,準定常的なパターンとなり,寒冬傾向が続く。

オ.梅雨季には,梅雨前線が中国南部から西日本方面で停滞しやすい。梅雨前線の北側の下層大気は非常に不安定な状態になっているので,梅雨前線の北縁部には西から東に線状に連なる積乱雲が現れ,地形効果も加わり豪雨となることがある。

1.ア 正 イ 正 ウ 誤 エ 正 オ 誤

2.ア 正 イ 誤 ウ 正 エ 誤 オ 正

3.ア 誤 イ 正 ウ 誤 エ 正 オ 正

4.ア 正 イ 誤 ウ 正 エ 正 オ 正

5.ア 誤 イ 正 ウ 正 エ 正 オ 正

1

第28問

太陽と地球に関する次のアからエまでの各記述について,正誤の組合せとして正しいものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№28])

ア.地球の磁場は,太陽活動の活発な時期には強まり,不活発期には弱まる。そのため,太陽から放出される太陽風は,活発期に地球圏へ進入しやすくなり,オーロラの発生頻度を高めたり,デリンジャー現象を起こすなど大気に作用している。

イ.太陽の黒点数は, 2017 年に極小期に入った。予想より早い極小期の到来で,今後の推移が注目されている。小氷期には,西暦 1645 ~ 1715 年にマウンダー・ミニマムが, 17 世紀末~ 18 世紀初頭にダルトン・ミニマムが,それぞれ認められているが,近年の黒点数の状況は後者にやや類似した推移を示しつつあるという見方もできる。

ウ.太陽活動の活発度は,熱圏では気温を数百 K も変動させ,また,成層圏では亜熱帯高圧帯の気圧と,海洋表面ではグローバル平均海面水温と,それぞれ有意な正相関を示す。太陽活動の地球気候への影響としては,大気圏上部からのものと海面からのものが考えられる。

エ.地球は太陽を1つの焦点とする楕円運動をしている。その楕円運動は離心率が約 4.1 万年の周期で変動しており,現在は比較的円形に近い状況で,今後も円形に近い方へ推移し,氷期・間氷期の気候変動の一因となっている。

1.ア 正 イ 誤 ウ 正 エ 誤

2.ア 誤 イ 正 ウ 正 エ 誤

3.ア 正 イ 正 ウ 誤 エ 誤

4.ア 正 イ 誤 ウ 誤 エ 正

5.ア 誤 イ 誤 ウ 正 エ 正

全問正解

第29問

火山ハザードマップに関する次のアからエまでの各記述について,正しいものの組合せとして適切なものを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№29])

ア.火砕流の到達予想範囲は,火口から半径 2 〜 4 km の円で示されることが多い。

イ.火山灰などの降灰予想範囲は,火口から西の方向に楕円状で示されることが多い。

ウ.泥流の到達予想範囲は,河川沿いに細長く示されることが多い。

エ.溶岩流の到達予想範囲は,地形を考慮して作成されている。

1.ア イ

2.ア ウ

3.イ ウ

4.イ エ

5.ウ エ

5

第30問

次の文章の空欄(ア)から(ウ)までに入る語句として正しいものの組合せを,後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№30])

川では水の流速の増減に応じて侵食,堆積の各作用がはたらく。川のある区間において時間とともに流速が減少するとき,礫,砂,シルトの中で最後に堆積するのは( ア )により運ばれる( イ )である。また流速が増加するとき,川底に堆積していた物質で初めに移動を開始するのは( ウ )である。

1.ア 掃流 イ 砂 ウ シルト

2.ア 浮流 イ 砂 ウ シルト

3.ア 浮流 イ シルト ウ シルト

4.ア 掃流 イ シルト ウ 砂

5.ア 浮流 イ シルト ウ 砂

5

第31問

元素Aは元素Bよりも原子番号が2つ大きい元素である。元素Aと元素Bに関する記述として常に正しいといえるものを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№31])

1.周期表上で,元素Aは元素Bの2つ右に位置する。

2.周期表上で,元素Aは元素Bの2つ下に位置する。

3.元素Aの原子量は,元素Bよりも2以上大きい。

4.元素Aの陽子数は,元素Bよりも2つだけ多い。

5.元素Aは,元素Bよりも電気陰性度が大きい。

4

第32問

オリンピック元素とも言われる,金,銀,銅はいずれも 11 族元素である。これら3つの元素の単体に共通する性質として正しいものを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№32])

1.電気をよく通す。

2.酸素と反応しない。

3.硫化水素と反応しない。

4.塩酸と反応して水素を発生する。

5.濃硝酸と反応して褐色の気体を生じる。

1

第33問

300 K,1 気圧下に5種類の気体a~eがある。これらはそれぞれ,アンモニア,塩化水素,水素,二酸化炭素,プロパンのいずれかである。これらの気体について,以下の(ア)から(エ)が分かっている。このことに基づいて,後記の1から5までの記述の中から誤っているものを選びなさい。(解答欄は,[№33])

(ア) 空気よりも重い気体は,b,c,dのみである。

(イ) eの水溶液は,塩基性を示す。

(ウ) aとdは,空気中で燃える。

(エ) bと e が接触すると,白煙を生じる。

1.aを燃やすとcが発生する。

2.bの水溶液は酸性を示す。

3.cを水酸化カルシウムの水溶液に吹き込むと白濁を生じる。

4.dは天然ガスに含まれる成分である。

5.eは臭気を持つ。

1

第34問

有機化合物に関する次の1から5までの記述の中から正しいものを選びなさい。ただし,H,C,O の原子量は,それぞれ 1.0,12.0,16.0 とする。(解答欄は,[№34])

1. 分子式が C2H6O で示される化合物 46 g を完全燃焼させたときに発生する二酸化炭素は 44 g である。

2.分子式が C3H6O で示される化合物は,フェーリング反応を示す可能性がある。

3.分子式が C4H10O2で示される化合物の分子量は 100 である。

4.分子式が C5H10で示されるアルケンには,全部で3つの構造異性体がある。

5.分子式が C6H8O2で示される化合物は,ベンゼン環を持つ可能性がある。

2

第35問

次の文章の空欄(ア)及び(イ)に入る数式の組合せとして適切なものを,後記1から5までの中か ら選びなさい。(解答欄は,[№35])

あるコインを投げたとき表が出る確率を 1 2 とする。? を自然数として,このコインを ? 回投げたと きの表が出る回数を ??とする。確率変数 ??の期待値を ?[??] で表す。このとき,?? の積率母関数 (モーメント母関数)は ?[? ? ??] = (? ? + 1) ? 2 ? であることが知られている。ただし ? は実数である。これを用いると,2 次のモーメントは ?[?? 2 ] = (ア) であり,3 次のモーメントは ?[?? 3 ] = (イ) である。

 1.(ア) 1 2 ?(? + 1) (イ) 1 6 ?(? + 1)(2? + 1)

2.(ア) 1 4 ?(? + 1) (イ) 1 6 ?(? + 1)(2? + 1)

3.(ア) 1 2 ?(? + 1) (イ) 1 6 ? 2 (? + 3)

4.(ア) 1 4 ?(? + 1) (イ) 1 8 ? 2 (? + 3)

5.(ア) 1 2 ?(? + 1) (イ) 1 8 ? 2 (? + 3)

4

第36問

次の文章の空欄(ア)及び(イ)に入る数式の組合せとして適切なものを,後記1から5までの中か ら選びなさい。(解答欄は,[№36]) 古代ギリシャの科学者アルキメデスは,放物線と直線で囲まれる図形の面積を,その内部の三角形の 面積と関連づけて研究した。アルキメデスが導いた関係式を,特別な場合に確認してみよう。? < ?を みたす定数?, ?に対して,座標平面上の放物線 C: ? = (? − ?)(? − ?) と?軸で囲まれる図形の面積を ? とすると,? = (ア) である。一方,放物線 C 上で,接線の傾きが 0 になる点を P として,点 A (?, 0),点 B (?, 0)及び点 P の 3 点を頂点とする三角形 ABP の面積を ? とする。このとき ? と ? の 間には (イ) という関係が成り立つ。この (イ) という関係式が,より一般の場合にも成 り立つことを,アルキメデスは「取り尽くし法」と呼ばれる手法で証明した。

1.(ア) 1 6 (? 3 + 3? 2? + 3?? 2 +? 3 ) (イ) ? = 2?

2.(ア) 1 6 (? 3 + 3? 2? + 3?? 2 +? 3 ) (イ) 2? = 3?

3.(ア) 1 6 (? 3 + 3? 2? + 3?? 2 +? 3 ) (イ) 3? = 4?

4.(ア) 1 6 (−? 3 + 3? 2? − 3?? 2 + ? 3 ) (イ) 2? = 3?

5.(ア) 1 6 (−? 3 + 3? 2? − 3?? 2 + ? 3 ) (イ) 3? = 4 ?

5

第37問

以下の英文を読んで,問いに答えなさい。(解答欄は,[№37])

(省 略)

前記英文中の空欄(ア)から(オ)に入るものとして最も適切な語句の組合せを,次の1から5までの中から選びなさい。

1.ア turn イ lays ウ forced エ fixed オ deposits

2.ア fact イ destroys ウ caused エ estimated オ saves

3.ア effect イ lays ウ urged エ present オ keeps

4.ア turn イ destroys ウ caused エ estimated オ deposits

5.ア effect イ undermines ウ forced エ present オ saves

【出典】David Montgomery,“ Dirt: The Erosion of Civilizations”, Berkeley: University of California Press, 2008.

4

第28問

前記英文中の空欄(ア)から(オ)に入るものとして最も適切な語句の組合せを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№38])

1.ア in イ by ウ Both エ by オ of

2.ア with イ through ウ Both エ by オ for

3.ア with イ by ウ Neither エ at オ of

4.ア in イ through ウ Neither エ by オ for

5.ア with イ through ウ Both エ at オ of

2

第39問

前記英文中の空欄(A)と(B)に入るものとして最も適切な語句の組合せを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№39])

1.(A) politics (B) plan

2.(A) population (B) policy

3.(A) population (B) plan

4.(A) politics (B) principle

5.(A) portion (B) policy

【出典】Rebecca Zwick, “Why Applying to College Is So Confusing,” The New York Times, December 5, 2017.

2

第40問

前記英文中の空欄(A),(C),(D)に入るものとして最も適切な語句の組合せを,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№40])

1.(A) judge (C) either clean or straight (D) possibly tangled

2.(A) envy (C) both clean and straight (D) possibly tangled

3.(A) envy (C) neither clean nor straight (D) impossibly tangled

4.(A) blame (C) mostly clean and straight (D) possibly tangled

5.(A) blame (C) at times clean and straight (D) impossibly tangled

3

第41問

前記英文中の下線(B)の内容に最も近い文を,次の1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[№41])

1.The British are famous for being impolite to foreigners.

2.The British like to think of themselves as being rude to foreigners.

3.The British are famous for not accepting immigrants with good grace.

4.The stereotype that the British are impolite to foreigners is not based on fact.

5.The stereotype that the British are rude to foreigners exists only in written documents.

【出典】Robert Winder, Bloody Foreigners: The Story of Immigration to Britain, London: Abacus, 2004.

1

第42問

以下の英文を読んで,問いに答えなさい。(解答欄は,[№42])

(省 略)

前記英文中の空欄(A)から(C)に入るものとして最も適切な語句の組合せを,次の1から5までの中から選びなさい。

1.(A) impulsive (B) dangerous (C) cautious

2.(A) inexperienced (B) safe (C) adventurous

3.(A) alert (B) easy (C) diminished

4.(A) speedy (B) hard (C) developed

5.(A) cautious (B) natural (C) destructive

【出典】Bill Bryson, The Road to Little Dribbling: Adventures of an American in Britain, New York: Anchor

Books, 2015.

3

 

1-2. 論文式試験の問題と解説

最も悩む試験に論文式試験があります。これと行った答えがないのですが、今年度の問題の傾向も見えています。ここでは、問題と解説について紹介します。

憲法

ジャンル

問題

解説

憲法

次の文章を読んで,後記の〔設問〕に答えなさい。

A市教育委員会(以下「市教委」という。)は,同市立中学校で使用する社会科教科書の採択について,B社が発行する教科書を採択することを決定した。A市議会議員のXは,A市議会の文教委員会の委員を務めていたところ,市教委がB社の教科書を採択する過程で,ある市議会議員が関与していた疑いがあるとの情報を,旧知の新聞記者Cから入手した。そこで,Xは,市教委に対して資料の提出や説明を求め,関係者と面談するなどして,独自の調査を行った。

Xの調査とCの取材活動により,教科書採択の過程で,A市議会議員のDが,B社の発行する教科書が採択されるよう,市教委の委員に対して強く圧力を掛けていた疑いが強まった。Cの所属する新聞社は,このDに関する疑いを報道し,他方で,Xは,A市議会で本格的にこの疑いを追及すべきであると考え,A市議会の文教委員会において,「Dは,市教委の教科書採択に関し,特定の教科書を採択させるため,市教委の委員に不当に圧力を掛けた。」との発言(以下「本件発言」という。)をした。

これに対し,Dは,自身が教科書採択の過程で市教委の委員に圧力を掛けた事実はなく,Xの本件発言は,Dを侮辱するものであるとして,A市議会に対し,Xの処分を求めた(地方自治法第133条参照)。

その後,Dが教科書採択の過程で市教委の委員に圧力を掛けたという疑いが誤りであったことが判明し,Cの所属する新聞社は訂正報道を行った。A市議会においても,所定の手続を経た上で,本会議において,Xに対し,「私は,Dについて,事実に反する発言を行い,もってDを侮辱しました。ここに深く陳謝いたします。」との内容の陳謝文を公開の議場において朗読させる陳謝の懲罰(地方自治法第135条第1項第2号参照)を科すことを決定し,議長がその懲罰の宣告をした(この陳謝の懲罰を以下「処分1」という。)。

しかし,Xが陳謝文の朗読を拒否したため,D及びDが所属する会派のA市議会議員らは,Xが処分1に従わないことは議会に対する重大な侮辱であるとの理由で,A市議会に対し,懲罰の動議を提出した。A市議会は,所定の手続を経た上で,本会議において,Xに対し,除名の懲罰(地方自治法第135条第1項第4号参照)を科すことを決定し,議長がその懲罰の宣告をした(この除名の懲罰を以下「処分2」という。)。

Xは,Dに関する疑いは誤りであったものの,本件発言は,文教委員会の委員の活動として,当時一定の調査による相応の根拠に基づいて行った正当なものであるから,①自己の意に反して陳謝文を公開の議場で朗読させる処分1は,憲法第19条で保障されるべき思想・良心の自由を侵害するものであること,②議会における本件発言を理由に処分1を科し,それに従わないことを理由に処分2の懲罰を科すことは,憲法第21条で保障されるべき議員としての活動の自由を侵害するものであることを理由として,処分2の取消しを求める訴えを提起しようとしている。

〔設問〕

Xの提起しようとしている訴えの法律上の争訟性について言及した上で,Xの憲法上の主張とこれに対して想定される反論との対立点を明確にしつつ,あなた自身の見解を述べなさい。

【資料】地方自治法(昭和22年法律第67号)(抄録)

第133条 普通地方公共団体の議会の会議又は委員会において,侮辱を受けた議員は,これを議会に訴えて処分を求めることができる。第134条 普通地方公共団体の議会は,この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し,議決により懲罰を科することができる。

② (略)

第135条 懲罰は,左の通りとする。

一 公開の議場における戒告

二 公開の議場における陳謝

三 一定期間の出席停止

四 除名

②・③(略)

第1 法律上の争訟性について

 

1 「法律上の争訟」(裁判所法3条)とは、①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、②それが法令を適用することにより終局的に解決することができるものをいう。

 

 本件において、処分2の取消しを求める訴えは当事者たるXの議員の地位という法律関係に関する紛争であって(①)、それは法令を適用することによって終局的に解決できる(②)。

 

2 よって、Xの提起しようとしている訴えたる処分2の取消しを求める訴えは「法律上の争訟」といえる。

 

第2 憲法19条の問題

 

1 Xの憲法上の主張

 

処分2の前提となった処分1は自己の意思に反して陳謝文を公開の議場で朗読させるものであり、「思想及び良心の自由」(憲法19条)を侵害し違憲である。

 

(1)        憲法19条は、内心の自由一般を保障するものであり、自己の意思に反して陳謝文を朗読させられない自由もこれに含まれる。

 

(2)        そして、処分1はXの意思に反して事物の是非・善悪の判断を外部に表現せしめ、Xの意思に反した陳謝の念の表明を強制するものであり、上記自由を侵害するものとして違憲である。

 

2 想定される反論との対立点

 

 19条で保障される「思想及び良心」とは、個人の人格形成に必要な内面的な精神作用であり、内心の自由一般を保障するものではない。したがって、陳謝文を朗読させられない自由は憲法19条によって保障されない。

 

3 私見

 

(1) この点、反論の通り、「思想及び良心」とは内心の自由一般ではなく、世界観・人生観など個人の人格形成に必要である内面的な精神作用であると考える。なぜなら、個人の人格形成に無関係な内心一般まで保障すると思想良心の自由の保障の意味が希薄化され、かえって保障の程度が軽減されることになって不当といえるからである。

 

(2) 本件において、謝罪文の朗読は事物の是非や善悪の判断を表明するものであるところ、このような表明は個人の人格形成に必要な精神的な内面作用とはいえない。

 

(3) よって、Xの主張する上記自由は19条では保障されない。

 

(4) 以上より、反論が妥当し、Xの上記主張は失当である。

 

第3 憲法21条の問題

 

1 Xの憲法上の主張

 

 処分1への不服従を理由として処分2の懲罰を課すことは、本件発言のようなXの議員活動の自由を侵害し、憲法21条1項に反し違憲である。

 

(1)         まず、本件発言のような議員活動は、Xが公の場で公的な情報を発信するものであり、「表現の自由」として憲法21条1項で保障される。

 

(2)         また、本件処分2によってXはA市議員としての資格を除名されており(地方自治法135条4号)、今後一切議員としての活動ができなくなることから、事実上及び法律上、Xの上記自由は制約されている。

 

(3)         さらに、以下の通りかかる制約は正当化されない。

 

ア まず、Xの上記権利は、民主主義社会において議員が自己の活動を通して主権者たる国民の利益を反映させていくための重要な権利である。また、例外なく強制的に今後一切のXの議員活動をできなくさせる点において、上記の制約の態様は重いといえる。

 

 したがって、厳格な審査基準により、①規制の目的がやむにやまれず、②規制手段が目的達成のために必要不可欠といえる場合にのみ正当化される。

 

イ 本件において、処分2による規制の目的は議員の公正な職務執行を確保することによって地方公共団体の健全な発達を保障する点にある(地方自治法1条)。そして、一定の調査により相応の根拠に基づくXの本件発言は正当なものであるから、本件発言によって議員の公正な職務執行が害されるおそれはなく、手段は目的との関係で適合性がない。また、議員資格を一切奪う除名処分は過度に重いといえ、必要性にも欠ける。したがって、手段は必要最低限とはいえない(②不充足)。

 

(4)         よって、21条1項に反し、違憲である。

 

2 想定される反論との対立点

 

(1)         まず、地方議会議員たるXへの処分については、上述のように法律上の争訟に含まれるとしても、部分社会の法理が適用され、司法審査は及ばない。

 

(2)         仮に司法審査が及ぶとしても、Xが処分1に従わないことは議会に対する重大な侮辱であり、公正な議会実現のためにはXへの除名処分もやむを得ないといえるから、X主張の制約は正当化される。

 

(3)         したがって、上記制約は合憲であると反論できる。

 

 

3 私見

 

(1)        まず、自主的な団体の自治を尊重すべく、一般市民秩序と直接関連しない純然たる内部紛争は、司法審査の対象にはならないと考える(部分社会の法理)。

 

本件において、除名処分は議員たる資格を喪失させるものであり、一般市民秩序につながる。したがって、一般市民秩序と直接関連しない純然たる内部紛争とはいえない。よって、部分社会の法理の適用はなく、この点についての反論は失当である。

 

(2)ア Xの主張する自由が21条1項で保障され、制約されることはX主張の通りである。

 

 イ そして、かかる制約は以下の通り、正当化されない。

 

 (ア)まず、上記自由の重要性、規制態様はX主張の通りであるから、審査基準もX主張の通りに考える。

 

 (イ) 本件において、規制の目的は前述の通りであるところ、かかる目的は地方自治の本旨(憲法92条)を全うするためにやむにやまれないといえる(①充足)。もっとも、議員の発言が調査による相応の調査に基づくものであるならば、かかる発言の悪質性はほぼなく、これを原因として処罰しても議会の公正にはつながらないため、手段の適合性はない。また、懲罰としては少なくとも出席停止(地方自治135条3号)で十分といえ、手段の必要性も欠く。

 

(3) よって手段は必要最低限といえず、正当化されないといえ、上記制約は憲法21条1項に反し違憲となる。             

行政法

XはY県において浄水器の販売業を営む株式会社であるところ,Y県に対して「Xが消費者に対して浄水器の購入の勧誘を執拗に繰り返している。」との苦情が多数寄せられた。Y県による実態調査の結果,Xの従業員の一部が,購入を断っている消費者に対して,(ア)「水道水に含まれる化学物質は健康に有害ですよ。」,(イ)「今月のノルマが達成できないと会社を首になるんです。人助けだと思って買ってください。」と繰り返し述べて浄水器の購入を勧誘していたことが判明した。

そこでY県の知事(以下「知事」という。)は,Xに対してY県消費生活条例(以下「条例」という。)第48条に基づき勧告を行うこととし,条例第49条に基づきXに意見陳述の機会を与えた。Xは,この意見陳述において,①Xの従業員がした勧誘は不適正なものではなかったこと,②仮にそれが不適正なものに当たるとしても,そのような勧誘をしたのは従業員の一部にすぎないこと,③今後は適正な勧誘をするよう従業員に対する指導教育をしたことの3点を主張した。

しかし知事は,Xのこれらの主張を受け入れず,Xに対し,条例第25条第4号に違反して不適正な取引行為を行ったことを理由として,条例第48条に基づく勧告(以下「本件勧告」という。)

をした。本件勧告の内容は,「Xは浄水器の販売に際し,条例第25条第4号の定める不適正な取引行為をしないこと」であった。

本件勧告は対外的に周知されることはなかったものの,Xに対して多額の融資をしていた金融機関Aは,Xの勧誘についてY県に多数の苦情が寄せられていることを知り,Xに対し,Xが法令違反を理由に何らかの行政上の措置を受けて信用を失墜すれば,融資を停止せざるを得ない旨を通告した。

Xは,融資が停止されると経営に深刻な影響が及ぶことになるため,Y県に対し,本件勧告の取消しを求めて取消訴訟を提起したが,さらに,条例第50条に基づく公表(以下「本件公表」という。)がされることも予想されたことから,本件公表の差止めを求めて差止訴訟を提起した。

以上を前提として,以下の設問に答えなさい。

なお,条例の抜粋を【資料】として掲げるので,適宜参照しなさい。

〔設問1〕

Xは,本件勧告及び本件公表が抗告訴訟の対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たることについて,どのような主張をすべきか。本件勧告及び本件公表のそれぞれについて,想定されるY県の反論を踏まえて検討しなさい。

〔設問2〕

Xは,本件勧告の取消訴訟において,本件勧告が違法であることについてどのような主張をすべきか。想定されるY県の反論を踏まえて検討しなさい(本件勧告の取消訴訟が適法に係属していること,また,条例が適法なものであることを前提とすること)。

【資料】

○ Y県消費生活条例

(不適正な取引行為の禁止)

第25条 事業者は,事業者が消費者との間で行う取引(中略)に関して,次のいずれかに該当する不適正な取引行為をしてはならない。

一~三 (略)

四 消費者を威迫して困惑させる方法で,消費者に迷惑を覚えさせるような方法で,又は消費者を心理的に不安な状態若しくは正常な判断ができない状態に陥らせる方法で,契約の締結を勧誘し,又は契約を締結させること。

五~九 (略)

(指導及び勧告)

第48条 知事は,事業者が第25条の規定に違反した場合において,消費者の利益が害されるおそれがあると認めるときは,当該事業者に対し,当該違反の是正をするよう指導し,又は勧告することができる。

(意見陳述の機会の付与)

第49条 知事は,前条の規定による勧告をしようとするときは,当該勧告に係る事業者に対し,当該事案について意見を述べ,証拠を提示する機会を与えなければならない。

(公表)

第50条 知事は,事業者が第48条の規定による勧告に従わないときは,その旨を公表するものと

する。

(注)Y県消費生活条例においては,資料として掲げた条文のほかに,事業者が第48条の規定による勧告に従わなかった場合や第50条の規定による公表がされた後も不適正な取引行為を継続した場合に,当該事業者に罰則等の制裁を科する規定は存在しない。

第1 設問1

 

 本件勧告および本件公表は、「処分」(行訴法3条2項)にあたるか。

 

1 「処分」とは、公権力の主体たる国または公共団体の行為のうち、これにより直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められるものをいう。

 

2 では、本件勧告および公表が「処分」にあたるか、以下検討する。

 

(1)ア まず本件勧告はY県知事によりなされるものである(条例48条)から、「公共団体」の行為にあたる。

 

 イ 次に勧告に不服であるXに対しては公表(条例50条)がされるおそれがある。公表によりXは多大な不利益を被ることにみると、本件勧告はXに勧告に従うべき義務を負わせるものであり、権利義務を形成するといえる。

 

 これに対しY県は、勧告はあくまで相手の任意の履行が期待される非権力的事実行為であり、処分に従うことを説得するものにとどまると反論することが想定される。

 

 しかしXは前述の通り、勧告の対象者は後続する制裁的公表により多大な悪影響を受けるおそれが大きい。現にXに多額の融資をしている金融機関Aは、Xが行政上の措置を受けて信用を失墜すれば融資を停止する旨を通告しており、Xは経営破綻に陥る可能性が高い。そのため本件勧告はもはや相手の任意の履行を期待するものではなく、これに従うことを強制させるものである。また公表がされてからでは上記の不利益を回復することはできず、紛争としても成熟している。したがって処分性が認められると主張すべきである。

 

(2)ア 本件公表も同様に「公共団体」の行為にあたる(条例50条)。

 

イ 次にY県は、公表は情報を提供する非権力的事実行為にとどまるうえ、条例には公表後に罰則等の制裁を課する規定はなく権利義務を負わせる具体的な法効果を伴わないことから、処分性は認められないとする。

 

 しかし前述のとおり、本件公表はXの信用や経営状態を侵害する程度が大きく、本件公表によりXはこれらの不利益を受忍するべき義務を負う。また信用や経営状態は、一度これを害されると回復が困難であるという性質を有するため、被処分者の保護を重視すべきである。

 

このような公表の侵害的効果にかんがみると、本件公表は不利益の受忍義務を負わせるものであるから、処分性を有する、とXは主張すべきである。

 

 

第2 設問2

 

1 Xは、本件勧告は条文上の要件(49条・25条4号)を満たさず違法であるとの主張をするべきである。

 

(1)まずXは、①Xの従業員がした勧誘は不適正なものではなく、「事業者が第25条の規定に違反した場合」にあたらないと主張する。

 

ア Xの従業員は、「水道水に含まれる化学物質は健康に有害ですよ」との勧誘をしているが、これは25条4号が規定するいずれの場合にも当たらない。

 

 これに対しY県は、条例の趣旨である消費者保護を全うする観点から、「消費者を心理的に不安な状態…に陥らせる方法」とは消費者の不安を煽る方法で行われるものをいい、Xの勧誘は日常生活に利用する水道水の品質に対する信頼を失わせるものでありこれに該当すると反論する。

 

しかしXは、条例は業者の職業遂行の自由(憲法22条1項)という重要な権利を規制するものであるから要件の解釈は厳格に行うべきであり、上記の要件は消費者が強度の不安を感じさせるような態様で行われるものと解するべきである。そしてXの上記勧誘方法は単なる事実の摘示にすぎず、これに該当しないと主張すべきである。

 

イ 「人助けだと思って買ってください」との勧誘についても、25条4号のいずれにも当たらないと主張する。

 

これに対しY県は、前述の条例の趣旨から、「迷惑を覚えさせるような方法」とは消費者が心理的に契約を断りづらい状況を作出するものをいい、上記勧誘は人情に訴えかけるような勧誘を執拗に繰り返し消費者が心理的に断りづらい状況を作出しているから、これにあたると反論する。

 

 しかしX社としては、前述同様上記の要件は厳格に解し、消費者が明示的に断っているにも関わらず契約勧誘や締結を強行するものをいうべきであるとし、上記勧誘は未だ契約の勧誘を強行しているとはいえずこれにあたらないと主張するべきである。

 

 

2 次にXは、本件勧告は行政庁の裁量(行訴法30条参照)に違反するものであり違法であるとの主張をすべきである。

 

(1)まず、勧告に裁量が認められるかについては、条文の文言と処分の性質を総合的に考慮して決する。

 

 本件勧告の根拠条文である条例49条は、指導・勧告という複数の手段を挙げているうえ勧告をすることが「できる」との文言を用いている。またいかなる措置を行うべきかは様々な事業活動に応じた専門技術的判断が求められる。

 

そのため勧告に際し、行政庁には効果裁量が認められる。

 

(2)では、裁量の逸脱濫用が認められるか。

 

根拠条文の趣旨・目的に照らして考慮すべき事項を考慮せず、また考慮すべきでない事項を考慮した結果、社会通念に照らし著しく妥当性を欠く場合、裁量の逸脱濫用が認められる。

 

49条の趣旨は消費者保護にあるため、裁量逸脱濫用の有無については、消費者保護という目的を達成するうえで実効性があるか否かという観点から判断すべきである。

 

 ②仮に不適正勧誘に当たるとしても、これを行っていたのは従業員の一部に過ぎず違反の程度は軽微である。また③X社は適正な勧誘をするよう従業員に対する指導教育をしており、消費者に対し不当な勧誘をするおそれは減少したといえる。そのため消費者保護という目的を達成するには、勧告より軽い処分である指導で十分実効性を確保しうる。したがって考慮すべき事項を考慮せずに勧告をしたのは比例原則に違反し裁量の逸脱濫用が認められる、とX社は主張すべきである。

 

 これに対しY県は、X社に対する苦情が多数寄せられた状況を鑑みると違反の程度は軽微とはいえず、また指導教育の効果は明らかではないから、なお勧告をすべきであり裁量の逸脱濫用はないと反論する。

 

 しかし、不当勧誘をしていた一部の社員の行為を是正すれば違法勧誘はなくなるため違法状態の除去は容易であることをみると、なお違法の程度は軽微である。また指導教育は違法勧誘の態様が従業員に周知されると同時に、従業員の勧誘モラルが向上するため、有効な再発防止策といえる。そのためYの反論は妥当せず裁量逸脱が認められる、とXは主張すべきである。

民法

次の文章を読んで,後記の〔設問1〕及び〔設問2〕に答えなさい。

【事実】

1.Aは,個人で建築業を営むBに雇用された従業員である。同じく個人で建築業を営むCは,3階建の家屋(以下「本件家屋」という。)の解体を請け負ったが,Bは,その作業の一部をCから請け負い,Cが雇用する従業員及びAと共に,解体作業に従事していた。Cは,A及びBに対し,建物解体用の重機,器具等を提供し,Cの従業員に対するのと同様に,作業の場所,内容及び具体的方法について指示を与えていた。

2.Cは,平成26年2月1日,Aに対し,本件家屋の3階ベランダ(地上7メートル)に設置された柵を撤去するよう指示し,Bに対し,Aの撤去作業が終了したことを確認した上で上記ベランダの直下に位置する1階壁面を重機で破壊するよう指示した。

Aは,同日,Cの指示に従って,本件家屋の3階ベランダに設置された柵の撤去作業を開始した。ところが,Bは,Aの撤去作業が終了しないうちに,本件家屋の1階壁面を重機で破壊し始めた。これにより強い振動が生じたため,Aは,バランスを崩して地上に転落し,重傷を負った(以下「本件事故」という。)。なお,Cは,このような事故を防ぐための命綱や安全ネットを用意していなかった。

3.Aは,転落の際に頭を強く打ったため,本件家屋の解体作業に従事していたことに関する記憶を全て失った。しかし,Aは,平成26年10月1日,仕事仲間のDから聞いて,本件事故は【事実】2の経緯によるものであることを知った。

4.その後,Bは,Aに対して本件事故についての損害を賠償することなく,行方不明となった。そこで,Aは,平成29年5月1日,Cに対し,損害賠償を求めたが,Cは,AもBもCの従業員ではないのだから責任はないし,そもそも今頃になって責任を追及されてもCには応じる義務がないとして拒絶した。

5.Aは,平成29年6月1日,弁護士Eに対し,弁護士費用(事案の難易等に照らし,妥当な額であった。)の支払を約して訴訟提起を委任した。Eは,Aを代理して,同月30日,Cに対し,①債務不履行又は②不法行為に基づき,損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を請求する訴訟を提起した。

〔設問1〕

AのCに対する請求の根拠はどのようなものか,【事実】5に記した①と②のそれぞれについて,具体的に説明せよ。また,【事実】5に記した①と②とで,Aにとっての有利・不利があるかどうかについて検討せよ。なお,労災保険給付による損害填補について考慮する必要はない。

【事実(続き)】

6.Cは,本件事故の前から,妻Fと共に,自己所有の土地(以下「本件土地」という。)の上に建てられた自己所有の家屋(以下「本件建物」という。)において,円満に暮らしていた。本件土地はCがFとの婚姻前から所有していたものであり,本件建物は,CがFと婚姻して約10年後にFの協力の下に建築したものである。

7.Cは,Aからの損害賠償請求を受け,平成29年7月10日,Fに対し,【事実】1及び2を

説明するとともに,「このままでは本件土地及び本件建物を差し押さえられてしまうので,離婚しよう。本件建物は本来夫婦で平等に分けるべきものだが,Fに本件土地及び本件建物の全部を財産分与し,確定的にFのものとした上で,引き続き本件建物で家族として生活したい。」と申し出たところ,Fは,これを承諾した。

8.Cは,平成29年7月31日,Fと共に適式な離婚届を提出した上で,Fに対し,財産分与を原因として本件土地及び本件建物の所有権移転登記手続をした。Cは,上記離婚届提出時には,本件土地及び本件建物の他にめぼしい財産を持っていなかった。

CとFとは,その後も,本件建物において,以前と同様の共同生活を続けている。

〔設問2〕

Eは,平成30年5月1日,Aから,㋐CとFとは実質的な婚姻生活を続けていて離婚が認められないから,CからFへの財産分与は無効ではないか,㋑仮に財産分与が有効であるとしても,本件土地及び本件建物の財産分与のいずれについても,Aが全部取り消すことができるのではないか,と質問された。

本件事故についてAがCに対して損害賠償請求権を有し,その額が本件土地及び本件建物の価格の総額を上回っているとした場合,Eは,弁護士として,㋐と㋑のそれぞれにつき,どのように回答するのが適切かを説明せよ。

第1 設問1

 

1 AのCに対する請求の根拠

 

(1)Aは①債務不履行(415条)責任を追求することができるか。

 

ア まずCはAに対し債務を負うか。

 

 AとCは契約関係になくCはAに対し何らの債務を負わないとも思える。

 

 もっともAはBの従業員であり、BはCが請け負った作業の一部をCより請け負っていることから、AはCの下請けであるBの雇用する従業員である。またCはA及びBに対し、建物解体用の重機・器具を提供するほかCの従業員と同様に作業場所・内容・具体的方法について指示を与えていた。

 

 このような事情の下では、AはCの従業員と実質的に同一の立場にあり、元請企業Cと下請企業の従業員Aは特別な社会的接触関係にあったといえる。かかる関係のもとでは、CはAに対し信義則上の安全配慮義務を負う。

 

 したがってCはAに対し債務を負う。

 

イ 次に、CはAのような事故を防ぐための命綱や安全ネットを設置しておらず、かかる義務に違反している。また本件事故によりAには損害が生じており、これは義務違反により生じたのであるから因果関係が認められる。

 

ウ ではCに帰責性は認められるか。

 

 本問の事故は、BがAの作業終了を確認しないまま作業を開始したことによるものであり、Bに過失が認められC自身に帰責性は認められないとも思える。

 

 もっともBはCが請け負った本件家屋の解体の一部をCから請け負ったものであり、Cとの関係で履行補助者にあたる。報償責任の観点から履行補助者の故意過失については信義則上使用者の故意過失と同視される。そのためCには帰責性が認められる。

 

エ 以上より、AはCに対して債務不履行責任を追求できる。

 

 

(2)Aは②不法行為責任(715条)を追求することができるか。

 

ア まず建設業者たるCは自身が請け負った解体作業のためにBを使用しており、「事業のために他人を」使用している。

 

イ 次に、BとCは解体作業の請負契約を締結しているほか、CはBに対し器具等を提供し作業について指示していたのだから指揮監督関係も認められ、CはBを「使用」したといえる。

 

ウ さらに、「被用者が…第三者に加えた損害」があるか。

 

Aは身体という「権利」を「侵害」され、これにより「損害」を被っている。またBはCからAの作業が終了したことを確認したうえで自分の作業をするように指示されたにもかかわらずこれを怠っており、少なくとも「過失」が認められる。したがってB自身に不法行為(709条)が成立し、かかる要件を満たす。

 

エ 以上より、AはCに対して不法行為責任を追求できる。

 

 

2 ①②の比較検討

 

(1)消滅時効

 

 ①の消滅時効は履行の請求をできる時、すなわち平成26年6月1日が起算点であり、時効期間は10年間である(167条1項)。

 

 一方②の消滅時効は損害および加害者を知った時、すなわち平成26年10月1日が起算点であり、時効期間は3年間である(724条)。また弁護士費用の支払いを約して訴訟提起を委任した時点で、Aは損害と加害者を知ったものと見ることができるから、平成29年6月1日を起算点とすることも可能である。

 

 もっとも①②のいずれにおいても消滅時効は完成していないため、Aにとっての有利不利には差が生じない。

 

 

(2)履行遅滞

 

 ①は期限の定めのない債務であり、履行の請求を受けた時である平成29年6月1日から遅滞に陥る(412条3項)。一方②は不法行為時たる平成26年2月1日から遅滞に陥る。

 

 そのため遅延損害金の額に差が生じ、Aにとって①が不利、②が有利となる。

 

 

(3)相手方の反論に対する再反論の手段

 

 C側が、帰責性が認められないとの反論を提出してきた場合、①によると、前述のとおり履行補助者たるBとC自身の帰責性のいずれもがCの帰責性に関する事情として考慮される。そのためかかる反論に対する再反論としてはBの帰責性・Cの帰責性いずれかを立証すれば足りる。

 

 一方②によると、C自身の選任・監督に関する帰責性のみが考慮されるため、再反論の手段はCの帰責性を立証することのみに限られる。

 

 したがって、Aにとって①が有利、②が不利となる。

 

 

(4)弁護士費用

 

 ア 不法行為は発生自体が想定外であり、権利保護の観点から訴訟提起が不可避的なものであることにかんがみ、②において弁護士費用は不法行為により生じた損害の範囲に含まれる。

 

 イ 一方①においては発生自体を一定程度回避することができ、訴訟提起が不可避的なものとはいえないため、原則として弁護士費用は損害の範囲(416条)に含まれない。

 

 もっとも安全配慮義務違反を原因とする債務不履行は、義務内容とその違反に該当する事実について債権者が主張立証責任を負い、債権者が主張立証する事実は不法行為と変わりなく、債権者の保護には弁護士による十分な訴訟活動が不可欠となる。加えて本来責任を追求するべきBは行方不明であり、AはCに対する請求を余儀なくされている。

 

 そこでかかる場合には、社会通念上妥当な額にとどまるものである限り弁護士費用も損害の範囲に含まれるところ、本問では妥当な額にとどまる。そのためAは弁護士費用も損害として請求することができる。

 

 したがって、①②によりAにとって有利不利はない。

 

 

第2 設問2

 

1 CとFの協議離婚は無効である結果、財産分与自体も無効といえないか(ア)。

 

(1)協議離婚の要件は①離婚意思の合致があり②離婚届を提出していることである。本問のCFは実質的な婚姻生活を継続しており①が認められるかが問題となる。

 

(2)身分関係に関する当事者の意思を尊重するため、離婚意思は法律上の婚姻関係を解消する意思で足りるところ、CFは法律上の婚姻関係を解消する点では意思が合致しており①を満たす。

 

(3)したがってCとFの離婚は有効であり、財産分与(768条1項)も有効である。

 

 

2 次に、Aは詐害行為取消(424条1項)により本件土地・建物の財産分与のいずれについても全部取り消すことはできないか(イ)。

 

(1)まずAは詐害行為取消権を有するか。

 

ア 財産分与以前にAはCに対して損害賠償請求権を有しておりAは「債権者」にあたる。

 

イ 本件財産分与は「債権者を害することを知ってした法律行為」にあたるか。

 

(ア)詐害行為にあたるかは、行為の詐害性と詐害意思を総合考慮して決する。

 

(イ)財産分与は身分行為であり、原則として取消の対象とはならない(424条2項)。もっとも財産分与が不相当に過大であり債権者を害する場合、過大な部分については財産分与に仮託した財産の隠匿行為に他ならず、身分行為性が失われているとみることができ、かかる場合は過大な部分について取消の対象となる。そのため本問では詐害行為の対象となる。

 

 またCは財産分与により自身が無資力になることを当然認識しており詐害意思も強く認められる。したがって詐害行為にあたる。

 

ウ またCはほかにめぼしい財産がなく無資力である。加えて受益者FもCの無資力について認識しており悪意である。

 

エ したがって、Aは詐害行為取消権を行使することができる。

 

 

(2)では、Aは本件土地・建物の全部を取り消すことができるか。

 

ア 前述のとおり、財産分与については過大な部分につき取消の対象となる。

 

イ もっとも土地・建物という不動産は性質上不可分であることから、全部取消の対象となるとも思える。しかし、本件土地・建物は夫婦の居住用不動産であるところ、かかる不動産の財産分与の全部を取り消すと夫婦の居住の安定性を欠く。そこで、財産分与の一部取消を認め価格賠償によって解決するべきである。

 

ウ したがって、全部取り消すことはできない。

商法

次の文章を読んで,後記の〔設問1〕及び〔設問2〕に答えなさい。

1.甲株式会社(以下「甲社」という。)は,トラックによる自動車運送事業を主たる目的とする会社法上の公開会社であり,かつ,監査等委員会設置会社である。甲社は種類株式発行会社ではなく,平成24年から平成29年5月31日までの間,その発行済株式の総数は100万株であった。甲社は,近い将来その発行する株式を金融商品取引所に上場する準備を進めており,その発行する株式について,100株をもって1単元の株式とする旨を定款で定めている。なお,甲社には,単元未満株主は存在せず,また,会社法第308条第1項括弧書き及び第2項の規定により議決権を有しない株主は存在しない。

2.甲社の定款には,監査等委員である取締役の員数は3名以上5名以内とすること,事業年度は毎年4月1日から翌年3月31日までの1年とすること及び毎年3月31日の最終の株主名簿に記載された議決権を有する株主をもってその事業年度に関する定時株主総会において議決権を行使することができる株主とすることが定められている。

3.甲社の監査等委員である取締役は,社内出身者A,甲社の主要取引先の一つである乙株式会社の前会長B及び弁護士Cであり,いずれも平成28年6月29日に開催された定時株主総会において選任された。なお,B及びCは,社外取締役である。

4.Dは,平成24年から継続して甲社の株式1万株を有する株主として株主名簿に記載されている。Dは,甲社の株式の上場には財務及び会計に関する知見を有する社外取締役を選任することなどによるコーポレート・ガバナンスの強化が必要であると考え,AからCまでに加えて,新たに監査等委員である取締役を選任するための株主提案をすることとした。Dは,平成29年4月10日に,甲社の代表取締役Eに対し,監査等委員である取締役の選任を同年6月末に開催される定時株主総会の目的(以下「議題」という。)とすること及び公認会計士Fを監査等委員である取締役に選任する旨の議案の要領を定時株主総会の招集通知に記載することを請求した。

5.他方で,甲社は,トラックによる運送需要の増加によって,その業績が好調な状況にあったことから,迅速かつ積極的に事業の拡大を図ることとし,これに必要となるトラックの購入や駐車場用地の確保のための資金に充てる目的で,平成29年5月8日に取締役会の決議を経た上,募集株式の数を20万株,募集株式の払込金額を5000円,募集株式の払込みの期日を同年6月1日,甲社の主要取引先の一つである丙株式会社(以下「丙社」という。)を募集株式の総数の引受人として,募集株式を発行した。この募集株式の払込金額は丙社に特に有利な金額ではなく,また,その発行手続に法令違反はなかった。そして,甲社は,丙社からの要請もあり,この募集株式20万株について,丙社を同月29日に開催する定時株主総会における議決権を行使することができる者と定めた。

6.甲社は,平成29年6月29日に開催した定時株主総会(以下「本件株主総会」という。)の招集通知に上記4の議題及び議案の要領を記載しなかった。

〔設問1〕

株主Dから上記4の請求を受けた甲社が本件株主総会の招集通知に上記4の議題及び議案の要領を記載しなかったことの当否について,論じなさい。なお,甲社の定款には,株主提案権の行使要件に関する別段の定めはないものとする。

7.甲社の監査等委員である取締役としてのBの報酬等は,1年間当たり金銭報酬として600万円のみである。また,Bは,甲社の監査等委員である取締役に就任するに当たり,定款の定めに基づき,会社法第423条第1項の責任について,Bが職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは,同法第425条第1項の最低責任限度額を限度とする旨の契約を甲社と締結した。

8.その後,甲社には本店所在地近辺においてトラックの駐車場用地を確保する必要が生じたが,甲社は適当な土地を見付けることができない状況にあったところ,Bが全部の持分を有する丁合同会社(以下「丁社」という。)の保有する土地が,場所及び広さ共に甲社が必要とする駐車場用地として適当であったことから,甲社は丁社からこの土地をトラックの駐車場として賃借することとした。甲社の代表取締役Eは,甲社の事業の都合上,本店所在地近辺における駐車場用地の確保が急務であったことから,賃料の決定に際して丁社の全部の持分を有するBの意向を尊重する姿勢をとっていた。平成29年7月1日,Eが甲社を代表して,Bが代表する丁社との間で,この土地について,賃貸期間を同日から平成30年6月30日まで,賃料を1か月300万円とする賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結した。なお,本件賃貸借契約の締結に当たり,甲社は,会社法上必要な手続を経ていた。本件賃貸借契約の賃料は周辺の相場の2倍というかなり高額なものであったが,甲社は平成30年6月30日までの間に丁社に対して同月分までの賃料を支払った。

〔設問2〕

上記8の事実に関するBの甲社に対する会社法上の損害賠償責任の有無及びその額について,論

じなさい。

第1 設問1

 

1 甲社がDの議題・議案の要領を、株主総会の招集通知に記載しなかったことは、議題につき303条1項、議案につき305条1項に反し不当ではないか。

 

2 甲社は公開会社である。また監査等委員会設置会社であるから取締役会設置会社である(327条1項3号)。かかる甲社において、303条1項・305条に基づき議題・議案の記載請求をなしうる者は、「総株主の議決権の百分の一…以上の議決権」を「六箇月前から引き続き有する株主」である(303条2項・305条1項)ところ、Dはかかる株主にあたるか。

 

(1)甲社は発行株式につき100株をもって1単元とする旨の定款の定めを置いている(単元株、188条1項)。そのため発行済株式総数が100万株である甲社の総議決権数は1万個(308条1項)、1万株を有するDの議決権数は100個であり、Dは「総株主の議決権の百分の一…以上の議決権」を有する。またDは平成24年から継続して甲社の株主となっており、「六箇月前から引き続き有する株主」にあたる。そのためDは記載請求を適法になしうる地位にあり、甲社の対応は不当であるとも思える。

 

(2)もっとも、平成29年5月8日、甲社は丙社に対し20万株を新たに発行している。これにより甲社の総議決権数は1万2千個となる結果、Dは「総株主の議決権の百分の一…以上の議決権」を有する株主に当たらないことにならないか。

 

ア 甲社の事業年度は毎年4月1日から翌年3月31日、基準日(124条1項)は毎年3月31日である。丙社は5月8日の株式発行により新たに株主になった者であるから基準日株主にあたらず、原則として本件株主総会において議決権を行使できない。そのため丙社が有する2千個の議決権数は甲社の総議決権数に算入されない(303条4項・305条3項)とも思える。

 

もっとも甲社は、丙社を本件株主総会において議決権を行使することができる者と定めている(124条4項本文)。そのため、303条4項・305条3項の適用はなく、甲社の総議決権数は1万2千個となりうる。

 

イ もっともこのような定めは、「当該株式の基準日株主の権利を害」さない限りにおいて許容される(124条4項ただし書き)。

 

 本問おいて害される基準日株主Dの権利は議題・議案通知請求権であるところ、かかる権利は会社の所有者である株主の意思を反映し会社活動を活性化させる重要な権利であるから、最大限保障されるべきである。そして前記定めによって、Dは議題・議案通知請求をなす要件を満たさない者となり、上記権利が害されている。

 

 したがって、124条4項ただし書きにより、丙社が有する議決権数2千個を303条2項・305条1項に算入することは許されない。

 

ウ よって、甲社の総議決権数はなお1万個であり、Dは未だ「総株主の議決権の百分の一…以上の議決権」を有する株主に当たる。

 

 

2 以上より、Dは議題・議案の記載請求をなしうる株主にあたるため、株主総会の招集通知に議題・議案の要領を記載しなかったことは、303条1項・305条1項に反し不当である。

 

 

第2 設問2

 

1 Bは甲社に対し、損害賠償責任(423条1項)を負うか。

 

(1)Bは甲社の取締役であり「役員」にあたる。

 

(2)ではBは「任務を怠った」といえるか。Bが丁社を代表して本件賃貸借契約を締結したことが、利益相反取引のうち直接取引(356条1項2号)にあたるか否かにつき関連して問題となる。

 

ア まず前述のとおり、Bは甲社の「取締役」である。

 

イ (ア)次に、「自己又は第三者のために」について、356条1項2号・3号の趣旨は、2号で形式的な利益相反行為を、3号で実質的な利益相反行為につき規律する点にあることから、「自己又は第三者のために取引をしようとするとき」とは自己又は第三者の名義においてする取引をする場合をいう。

 

 本問のBは、丁社を代表して甲社と本件賃貸者契約をしており、第三者たる丁の名義において取引をしていることから、かかる要件を満たす。

 

したがって、直接取引にあたる。

 

(イ)また、本件賃貸借契約の賃料は相場の2倍であり、本来の適正賃料は1ヶ月150万円であった。そのため平成29年7月1日から平成30年6月30日までの12ヶ月間で、甲社には1800万円の損害が生じている。

 

ウ したがって、423条3項柱書・同項1号よりBには任務懈怠が推定され、Bは「任務を怠った」といえる。なお、本件賃貸借契約の締結にあたり甲社は会社法上必要な手続きを経ていたが、Bは監査等委員である取締役にあたるため423条4項の適用はない(同条項括弧書き)。

 

(3) さらに、Bは自ら丁社を代表して本件賃貸借契約を締結しており故意が認められる。

 

よって、Bは甲社に対し損害賠償責任を負う。

 

2 では、Bはいかなる額での責任を負うか。

 

(1)前述のとおり甲社には1800万円の損害が生じており、Bはかかる額の賠償責任を負うとも思える。

 

(2)ア もっともBは甲社と責任限定契約(427条1項)を締結しているため、最低責任限度額たる1200万円(425条1項1号ハ・会社法施行規則113条1号イに基づき、Bの年間報酬600万に2を乗じた数とされる)の限度でのみ賠償責任を負いうる。

 

イ しかし責任限定契約は「職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないとき」に適用されるものであるところ、甲社は賃料の決定に際してBの意向を尊重する姿勢をとっていたのであるから、Bは賃料が相場より2倍も高額であることを認識しており職務を行うにつき悪意であるといえる。そのため、責任限定契約は適用されない。

 

(3)よって、Bは甲社に対し1800万円の賠償責任を負う。

 

民事訴訟法]

次の文章を読んで,後記の〔設問1〕から〔設問3〕までに答えなさい。

【事例】

Xは,弁護士L1に対し,下記〔Xの言い分〕のとおりの相談を行った。

〔Xの言い分〕

私は,Yに対し,所有する絵画(以下「本件絵画」という。)を代金300万円で売り渡しました。売買代金については,その一部として100万円が支払われましたが,残代金200万円が支払われませんでした。

そこで,私は,Yに対し,残代金200万円の支払を請求したのですが,Yは,弁護士L2を代理人として選任した上,同代理人名義で,売買契約の成立を否認する旨の通知書を送付してきました。

その通知書には,売買契約の成立を否認する理由として,本件絵画はYが代表取締役をしている株式会社Zの応接間に掛けるために購入したものであり,そのことについてはXに説明していたこと,Xに支払済みの代金は株式会社Zの資金によるものであり,かつ,株式会社Z宛ての領収書が発行されていること及びYがXに交付した名刺は株式会社Zの代表取締役としての名刺であることから,Yは買主ではない旨が記載されていました(以下,これらの記載を「売買契約成立の否認の理由」という。)。

私としては,残代金の支払を求めたいと思います。

〔設問1〕

Xから訴訟委任を受けた弁護士L1は,Xの訴訟代理人として,【事例】における本件絵画に係る売買契約に基づく代金の支払を求める訴えを提起することとしたが,その訴えの提起に当たっては,同一の訴状によってY及び株式会社Zを被告とすることを考えている。このような訴えを提起するに当たり,Y及び株式会社Zに対する請求相互の関係を踏まえつつ,弁護士L1として考え得る手段を検討し,それぞれの手段につき,その可否を論じなさい。なお,設問の解答に当たっては,遅延損害金については,考慮しなくてよい(〔設問2〕及び〔設問3〕についても同じ。)。

【事例(続き)】(〔設問1〕の問題文中に記載した事実は考慮しない。)

以下は,【事例】において弁護士L1がXから相談を受けた際の,弁護士L1と司法修習生Pとの会話である。

弁護士L1:本件で,仮に,訴え提起前に売買契約成立の否認の理由の通知を受けていなかったとすると,Yのみを被告として訴えることが考えられます。これを前提として,もし,その訴訟の途中で,売買契約成立の否認の理由が主張されたとすると,どのような方法を採ることが考えられますか。

修習生P :第1の方法として,Yを被告とする訴訟において,敗訴に備え,株式会社Zに訴訟告知をする方法が考えられます。

弁護士L1:ほかにどのような方法が考えられますか。

修習生P :第2の方法として,Yを被告とする訴訟が係属する裁判所に対し,Xは,株式会社Zを被告として,XZ間の売買契約に基づく代金の支払を求める別訴を提起し,Yを被告とする訴訟との弁論の併合を裁判所に求める方法が考えられます。

弁護士L1:それでは,それぞれの方法の適否を検討しましょう。まず,第1の方法を採った

として,仮に,Yを被告とする訴訟で,株式会社Zが補助参加せず,かつ,買主は株式会社ZであってXY間の売買契約は成立していないという理由で請求を棄却する判決が確定したとします。この場合には,Xは,株式会社Zを被告として,XZ間の売買契約に基づく代金の支払を求める訴え(以下「後訴」という。)を提起することになると思います。では,①Xは,後訴で,Yを被告とする訴訟の判決の効力を用いることは可能ですか。

修習生P :はい。検討します。

弁護士L1:また,第2の方法を採ったところ,弁論の併合がされたとします。その後,裁判

所が弁論を分離しようとした場合には,私としては,「その弁論の分離は,裁判所

の裁量の範囲を逸脱して違法である」と主張したいと思います。では,②その主張

の根拠となり得る事情としては,どのようなものが考えられるでしょうか。

修習生P :はい。検討します。

〔設問2〕

下線部①の課題について,事案に即して結論と理由を論じなさい。

〔設問3〕

下線部②の課題について,事案に即して答えなさい

第1 設問1

 

1 訴えの主観的予備的併合

 

Xの訴訟代理人L1は売買契約に基づく代金の支払いを求める訴えにつきYおよびZを共同被告として訴訟を提起することを考えており、通常共同訴訟(38条)を提起すると考えられる。そして、YとZのいずれかが売買契約における買主であり、XのY・Zに対する請求のどちらかには理由があると考えられることから、L1は訴えの主観的予備的併合という手段を採ることが考えられる。

 

(1)訴えの主観的予備的併合とは、主位的請求が認容されることを解除条件として,予備的請求について審理判断を求めるものである。かかる併合形態は、主意的請求が認容されるまで予備的被告に訴訟活動を強いるものであり、予備的被告の地位をいたずらに不安定にするものであるから、一般には認められない。

 

(2)もっとも本問の被告であるYは、共同被告であるZ株式会社の代表取締役である。法人であるZに対する訴訟につき現実に訴訟活動をするのは法定代理人たる代表取締役Yである(37条参照)ことにみると、本問では被告の地位をいたずらに不安定にするとはいえない。

 

(3)したがって、本問においては主観的予備的併合が認められるため、L1はかかる手段を採ることができる。

 

2 同時審判申出訴訟

 

前述のとおりYとZに対する請求のいずれかに理由がある本問において、L1は同時審判申出訴訟(41条1項)を提起することが考えられる。

 

ここで、同条項の「法律上並存しえない関係にある」とは、両被告に対する請求が法的に択一関係にあることをいう。

 

XのYに対する請求とZに対する請求はいずれも本件絵画に係る売買契約に基づく代金支払請求であるところ、Yに対する請求が認められればZの請求が認められないという関係にはなく、法的択一関係にはない。

 

したがって、同時審判申出訴訟を提起することはできず、かかる手段を採ることはできない。

 

 

第2 設問2

 

1 下線部①の課題につき、結論としてXは後訴でYを被告とする前訴判決の効力を用いることはできない。

 

2 かかる結論を導く理由につき以下検討する。

 

(1)まずXはZに対し訴訟告知(53条1項)をしZは訴訟に参加しなかったことから、参加的効力(53条4項・46条柱書)が生じる。

 

ア 参加的効力は、被告知者が補助参加の利益を有する場合に生じる。

 

そして補助参加の利益は「訴訟の結果」に「利害関係」を有する第三者に認められる(42条)。補助参加は他人間の訴訟につき第三者を関与させ利益保護をはかる制度であるところ、第三者は判決主文より理由中の判断に関する影響を受けることが多く、「訴訟の結果」とは判決の主文および理由中の判断をいう。

 

また補助参加は他人間の訴訟への関与を認めるものであるから要件は厳格に解すべきであり、「利害関係」とは判決が参加人の私法上・公法上の法的地位・利益に影響を及ぼす場合をいう。

 

イ 本問では、前訴判決のうち本件売買契約の買主は株式会社Zであるという理由中の判断により、Zは本件売買契約における代金支払債務の債務者としてXから訴訟を提起されうるため、「訴訟の結果」に法的な「利害関係」を有する。

 

ウ したがってZは補助参加の利益を有するため、参加的効力が生じる。

 

(2)もっとも、Xは本件売買契約の買主はZであるという前訴判決の理由中の判断を後訴において用いることができるかにつき、本問の訴訟における参加的効力はかかる部分に生じないため、Xはこれを用いることができない。

 

ア 参加的効力の趣旨は、補助参加当事者間における敗訴責任の公平な分担にある。そして補助参加当事者は訴訟の理由中の判断に攻撃防御を集中させることが多いことにかんがみ、参加的効力は判決主文および主文を導くうえで必要な主要事実に係る認定および法律判断につき生じる。

 

イ XのYに対する請求の主要事実は「Yが買主である」という事実であり、Zが買主であるという事実はかかる主要事実に対する否認であって、これが存しないことを推認させる間接事実にすぎない。

 

ウ したがって、上記判断に参加的効力は生じないため、Xはこれを後訴において用いることはできない。

 

 

第3 設問3

 

XのYに対する請求およびZに対する請求の弁論が併合された後、これらを分離するとの判断に対して、裁判所の裁量を逸脱しており違法であるとの主張の根拠となりうる事情としては、以下のようなものが考えられる。

 

1 弁論の分離は152条1項に基づきなしうる。これは裁判所の裁量により行われるところ、その趣旨は訴訟活動の円滑かつ柔軟な進行を実現し実効的な判断を可能にさせる点にある。そこで、弁論の分離を行った結果、上記趣旨を没却する結果になる場合は、裁量の逸脱濫用が認められる。

 

2 本問では、一つの売買契約にあたりYかZのいずれが買主であるかについて争っているのであり、Yに対する訴訟とZに対する訴訟とでは証拠が共通している。そのため証拠調べを同一の期日で行うべきである。また、Yに対する請求とZに対する請求は事実上択一関係にある。そのため審理判断の矛盾抵触を避ける必要があり同一の訴訟手続きにより審理すべきである。

 

一方で、前述のとおり本問において現実に訴訟活動をするのはY一人である。そのため弁論の分離をするとYはそれぞれの訴訟ごとに期日対応する必要が生じ応訴の負担が大きくなりうる。そのため弁論の分離をすることにより生じる弊害は大きい。

 

3 以上の事情より、本問では弁論の分離をするべきではない。

 

以上

 

刑 法

以下の事例に基づき,甲及び乙の罪責について論じなさい(住居等侵入罪及び特別法違反の点を除

く。)。

1 甲は,新たに投資会社を立ち上げることを計画し,その設立に向けた具体的な準備を進めていたところ,同会社設立後の事業資金をあらかじめ募って確保しておこうと考え,某年7月1日,知人のVに対し,同年10月頃の同会社設立後に予定している投資話を持ち掛け,その投資のための前渡金として,Vから現金500万円を預かった。その際,甲とVの間では,前記500万円について,同会社による投資のみに充てることを確認するとともに,実際にその投資に充てるまでの間,甲は前記500万円を甲名義の定期預金口座に預け入れた上,同定期預金証書(原本)をVに渡し,同定期預金証書はVにおいて保管しておくとの約定を取り交わした。同日,甲は,この約定に従い,Vから預かった前記500万円をA銀行B支店に開設した甲名義の定期預金口座に預け入れた上,同定期預金証書をVに渡した。なお,同定期預金預入れの際に使用した届出印は,甲において保管していた。

2 甲は,約1年前に無登録貸金業者の乙から1000万円の借入れをしたまま,全く返済をしていなかったところ,同年7月31日,乙から返済を迫られたため,Vに無断で前記定期預金を払い戻して乙への返済に流用しようと考えた。そこで,同年8月1日,甲は,A銀行B支店に行き,同支店窓口係員のCに対し,「定期預金を解約したい。届出印は持っているものの,肝心の証書を紛失してしまった。」などとうその話をして,同定期預金の払戻しを申し入れた。Cは,甲の

話を信用し,甲の申入れに応じて,A銀行の定期預金規定に従って甲の本人確認手続をした後,定期預金証書の再発行手続を経て,同定期預金の解約手続を行い,甲に対し,払戻金である現金500万円を交付した。甲は,その足で乙のところへ行き,受け取った現金500万円を乙に直接手渡して,自らの借入金の返済に充てた。なお,この時点で,乙は,甲が返済に充てた500万円は甲の自己資金であると思っており,甲がVから預かった現金500万円をVに無断で自らへの返済金に流用したという事情は全く知らないまま,その後数日のうちに甲から返済された500万円を自己の事業資金や生活費等に全額費消した。

3 同年9月1日,Vは,事情が変わったため甲の投資話から手を引こうと考え,甲に対し,投資のための前渡金として甲に預けた500万円を返してほしいと申し入れたところ,甲は,Vに無断で自らの借入金の返済に流用したことを打ち明けた。これを聞いたVは,激怒し,甲に対し,「直ちに500万円全額を返してくれ。さもないと,裁判を起こして出るところに出るぞ。」と

言って500万円を返すよう強く迫った。甲は,その場ではなんとかVをなだめたものの,Vから1週間以内に500万円を全額返すよう念押しされてVと別れた。その後すぐに,甲は,乙と連絡を取り,甲がVから預かった現金500万円をVに無断で乙への返済金に流用したことを打ち明けた。その際,乙が,甲に対し,甲と乙の2人でV方に押し掛け,Vを刃物で脅して,「甲

とVの間には一切の債権債務関係はない」という内容の念書をVに無理矢理作成させて債権放棄させることを提案したところ,甲は,「わかった。ただし,あくまで脅すだけだ。絶対に手は出さないでくれ。」と言って了承した。

4 同月5日,甲と乙は,V方を訪れ,あらかじめ甲が用意したサバイバルナイフを各々手に持ってVの目の前に示しながら,甲が,Vに対し,「投資話を反故にした違約金として500万円を出してもらう。流用した500万円はそれでちゃらだ。今すぐここで念書を書け。」と言ったが,Vは,念書の作成を拒絶した。乙は,Vの態度に立腹し,念書に加え現金も取ろうと考え,Vに対し,「さっさと書け。面倒かけやがって。迷惑料として俺たちに10万円払え。」と言って,Vの胸倉をつかんでVの喉元にサバイバルナイフの刃先を突き付けた。Vは,このまま甲らの要求

– 3 –

に応じなければ本当に刺し殺されてしまうのではないかとの恐怖を感じ,甲らの要求どおり,「甲

とVの間には一切の債権債務関係はない」という内容の念書を作成して,これを甲に手渡した。

そこで,甲がV方から立ち去ろうとしたところ,乙は,甲に対し,「ちょっと待て。迷惑料の

10万円も払わせよう。」と持ち掛けた。甲は,乙に対し,「念書が取れたんだからいいだろ。

もうやめよう。手は出さないでくれと言ったはずだ。」と言って,乙の手を引いてV方から外へ

連れ出した上,乙から同ナイフを取り上げて立ち去った。

5 その直後,乙は,再びV方内に入り,恐怖のあまり身動きできないでいるVの目の前で,その

場にあったV所有の財布から現金10万円を抜き取って立ち去った。

 

刑事訴訟法

次の【事例】を読んで,後記〔設問1〕及び〔設問2〕に答えなさい。

【事例】

警察官PとQが,平成30年5月10日午前3時頃,凶器を使用した強盗等犯罪が多発しているH県I市J町を警らしていたところ,路地にたたずんでいた甲が,Pと目が合うや,急に慌てた様子で走り出した。そこで,Pが,甲に,「ちょっと待ってください。」と声をかけて停止を求めたところ,甲が同町1丁目2番3号先路上で停止したため,同所において,職務質問を開始した。Pは,甲のシャツのへそ付近が不自然に膨らんでいることに気付き,甲に対し,「服の下に何か持っていませんか。」と質問した。これに対し,甲は,何も答えずにPらを押しのけて歩き出したため,甲の腹部がPの右手に一瞬当たった。このとき,Pは,右手に何か固い物が触れた感覚があったことから,甲が服の下に凶器等の危険物を隠している可能性があると考え,甲に対し,「お腹の辺りに何か持ってますね。服の上から触らせてもらうよ。」と言って,①そのまま立ち去ろうとした甲のシャツの上からへそ付近を右手で触ったところ,ペンケースくらいの大きさの物が入って

いる感触があった。Pは,その感触から,凶器の可能性は低いと考えたが,他方,規制薬物等犯罪に関わる物を隠し持っている可能性があると考え,甲の前に立ち塞がり,「服の下に隠している物を出しなさい。」と言った。すると,甲は,「嫌だ。」と言って,腹部を両手で押さえたことから,②Qが,背後から甲を羽交い締めにして甲の両腕を腹部から引き離すとともに,Pが,甲のシャツの中に手を差し入れて,ズボンのウエスト部分に挟まれていた物を取り出した。Pが取り出した物は,結晶様のものが入ったチャック付きポリ袋1袋と注射器1本在中のプラスチックケースであり,検査の結果,結晶様のものは覚せい剤であることが判明した(以下「本件覚せい剤」という。)。そこで,Pは,甲を覚せい剤取締法違反(所持)の現行犯人として逮捕するとともに,本件覚せい剤等を差し押さえた。

その後,検察官は,所要の捜査を遂げた上,本件覚せい剤を所持したとの事実で,甲を起訴した。

第1回公判期日において,甲及び弁護人は無罪を主張し,検察官の本件覚せい剤の取調べ請求に対し,取調べに異議があるとの証拠意見を述べた。

〔設問1〕

下線部①及び②の各行為の適法性について論じなさい。

〔設問2〕

本件覚せい剤の証拠能力について論じなさい。

(参照条文) 覚せい剤取締法第41条の2第1項 覚せい剤を,みだりに,所持し,譲り渡し,又は譲り受けた者(略)は,10年以下の懲役に処する。

第1 設問1

 

1 下線部①の行為の適法性

 

 職務質問に際してPが甲のシャツの上からへそ付近を右手で触った行為は、所持品検査として適法か。

 

(1)まず、甲は警察官であるPと目が合うや、急に慌てた様子で走り去っていることから、「異常な挙動…から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者」(警職法2条1項)に該当するため、職務質問の要件を満たす。

 

では、所持品検査として適法か。

 

(2)ア 所持品検査自体は、犯罪一般の鎮圧・予防を目的とする行政警察活動たる職務質問の実効性をあげるうえで必要かつ有用であるから、任意手段たる職務質問の付随的行為として許容される。そのため、相手方の承諾を得て行われることが原則である。

 

 イ (ア)一方、相手方の承諾なき場合においても、行政警察活動の実施において前述の必要性・有用性を有する所持品検査は一定の限度で許容されるべきである。そこで、①捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限度において許容される。

 

もっとも捜索に至らない程度の行為であっても、警察比例の原則(警職法1条2項参照)のもと、捜査の必要性・緊急性などを考慮し②具体的事情のもとで相当と認められる限度において許容される。

 

 (イ)本問についてみると、Pの行った検査の態様は着衣の外部から隠匿物の形状を確認している。これは甲のシャツのへそ付近が不自然に膨らんでいることに端を発するものであり、その内容物を確認するためになされたものであるから、特定の証拠物を発見することを目的とする捜索にあたらない。またPはあくまで着衣の外部から手を触れるにとどまり強制力が行使された事情もない。そのため、捜索に至らない程度の行為であり強制にわたらない限度である。

 

 次に、Pは服の中に凶器等の危険物を隠している可能性があり、犯罪の鎮圧予防および自己の身体の安全を確保する必要性が認められる。また甲は何回もPらを押しのけて歩きだそうとしており、今確認しなければ甲が立ち去るおそれがあり緊急性も認められる。一方でシャツの中の隠匿物を確認される行為は甲のプライバシーを害するといえるが、その態様はあくまで外部から形を確認するものにすぎない穏当な行為であり、上記の必要性・緊急性に比してプライバシー侵害の程度は低い。そのため具体的事情のもとで相当といえる。

 

(ウ)したがって、下線部①の行為は所持品検査として適法である。

 

 

2 下線部②の行為の適法性

 

(1)下線部②の段階において、Pらは甲が何らかの規制薬物等犯罪に関わる物を隠し持っていると考えている。かかる段階は未だ特定犯罪の訴追を目的とした司法警察活動が行われている段階になく、なお行政警察活動としての規制をおよぼすべきである。

 

そこで、下線部②の行為が所持品検査として適法か、前述の基準により判断する。

 

(2)本問では、Pらは甲を羽交い締めにし、甲のシャツの中に手を差し入れウエストに挟まれていた物を取り出すというものである。かかる行為は前述のとおり、内容物を確認する目的でなされたものであるから捜索にはあたらないといえる。

 

 次に、確かに甲は捜査に非協力的であるから物を確認する緊急性は高い。しかしPらは甲が規制薬物等犯罪に関わるものを隠し持っているとの嫌疑を抱いているが、甲には覚せい剤使用者特有の症状が見られるわけでもなく、嫌疑の程度が低い以上、所持品検査の必要性の程度も低いといえる。

 

一方で、Pらが甲の衣服から物を取り出した行為は外界から隔絶されていた場所にある物を取り出したのであり、Xの私的領域への侵入行為としてプライバシー侵害の程度は高い行為であり、その態様において捜索には至らないとはいえ、これに類するものである。そのため、具体的状況のもと相当な程度とはいえない。

 

(3) したがって所持品検査が許容される限度を超え、下線部②の行為は違法である。

 

 

第2 設問2

 

 本件覚せい剤は、前述のとおり違法な所持品検査により収集されているところ、違法収集証拠として証拠能力が否定されないか。

 

1 違法に収集された証拠とはいえ、それ自体の価値・品質・性状についてはなんら変わりがない。そのため収集手続に違法があることのみをもって証拠能力を直ちに否定するべきではない。

 

もっとも、証拠を使用した裁判による真相解明も適正手続(憲法31条参照)のもと実現されるべきであるし、違法に収集された証拠をすべて採用すると司法の廉潔性に反するうえ、将来の違法捜査抑止の観点からも問題がある。

 

 そこで、①令状主義の精神を没却するような重大な違法が存在する場合において、②将来の違法捜査抑止の観点から排除が相当である場合にかぎり、違法収集証拠として証拠能力が否定される。

 

2 本問をみると、甲のウエスト部分から本件覚せい剤を取り出した時点では、前述のとおり職務質問の要件が存在しかつ必要性と緊急性が認められていた。また違反の程度も、必ずしも捜査に協力的ではなかった甲に対し腕を腹部から引きはがすにとどまるのであつて、もとより令状主義に関する諸規定を潜脱しようとの意図があったものではない。そのため令状主義の精神を没却するような違法があったとはいえない。

 

 また、このように本件覚せい剤の押収手続の違法は必ずしも重大とはいえないため、排除が相当であるとはいえない。

 

3 したがって、本件覚せい剤は違法収集証拠にあたらず、証拠能力が認められる。

一般教養

次の文章は,ナンシー・フレイザーとアクセル・ホネットとの論争の書である『再配分か承認か?』のうち,ナンシー・フレイザーによって書かれた文章の一部である。これを読んで,後記の設問に答えよ。

(省 略)

〔設問1〕

筆者は,本文中で,社会正義の実現のための手段として,「再配分」と「承認」の2つを挙げている。それぞれの特徴について,具体例を挙げつつ,15行程度で述べなさい。

〔設問2〕

筆者は,社会正義の実現のためには「再配分」と「承認」の両方が必要であり,そのいずれか一

方だけでは十分ではないと主張している。

この見解の論拠について考察した上で,筆者の主張に対するあなた自身の考えを20行程度で論

じなさい。なお,解答に当たっては,筆者の主張に対する賛否を明らかにするとともに,あなたの

考えを裏付ける適切な具体例を踏まえること。

【出典】ナンシー・フレイザー/アクセル・ホネット

加藤泰史監訳『再配分か承認か? 政治・哲学論争』

省略

 

2.平成30年度予備試験の難易度はどのくらいだった??

平成30年の試験傾向を見ると、短答式問題の場合は平成29年度の合格率が約21.3%であったのに対し、約23.8%と少しだけ上昇しています。

また、論文式試験の場合は平成29年度は約21.4%であったのに対し、平成30年度は約17.9%と低下しています。

短答式試験をクリアできたものの、論文式試験では落ちてしまった人が増加していると言えますね。

ここ数年の上昇傾向があったわけですが、さほど試験の難易度的にはアップしているわけではありません。

 

3.平成31年司法試験予備試験を受験する方へ

では、予備試験をクリアする上でどのような勉強を続けていけばよいのでしょうか?

 

3-1.短答式試験の勉強法

短答式試験は、主に以下のジャンルから出題されます。

  • ・憲法
  • ・民法
  • ・刑法
  • ・商法
  • ・民事訴訟法
  • ・刑事訴訟法
  • ・行政法
  • ・民事実務
  • ・刑事実務
  • ・一般教養

主に、「論文式試験で出題されるようなメジャーな知識」と「短答式試験でしか出題されないマイナーな知識」が必要となります。

基礎的な知識はしっかりと習得して、マイナーな知識としては過去問題を多く問いて知識をブラッシュアップしていくことが重要です。

短答プロパーとも呼ばれていますが、確実に点数を稼げるジャンルでもあるので、怠りなく勉強を進めてください。

 

3-2.論文式試験の勉強法

論文式試験で必要な「法的思考力」の本質は「法的三段論法」に集約されます。

適切な事実の認定を行い、法文の解釈を適切に行い、妥当な結論の導出を行えるかが重要です。

六法の参照ができませんので、頭の中に法令などを叩き込むことが重要です。

特に、過去の判例を分析する必要もあります。

如何に確実に回答できる問題を取りこぼさずに得点を獲得できるかに注力しましょう。

 

4.サマリー

いかがだったでしょうか?

平成30年度の司法試験予備試験も、例年と大きく変動ない傾向が見えています。

しっかりと内容を分析した上で、来る次回の司法試験予備試験に向けて勉強を重ねていきましょう。

 

5.まとめ

  • ・平成30年度の司法試験予備試験は、短答式試験の合格率がアップしているのに対し、論文式試験の合格率は低下した
  • ・短答式試験は基礎的な知識と短答プロパーに対して過去問題でケアする
  • ・論文式試験は法的三段論法を適切に理解し、過去の判例をしっかりとチェックしておく

 

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