合格率が低いと言われる予備試験。社会人が勉強しても合格できるの?

合格率が低いと言われる予備試験。社会人が勉強しても合格できるの?

はじめに

今の30代くらい人は、ちょうど旧師法試験と現行の司法試験の入れ替わりの時代に就職しています。

法科大学院修了後司法試験に合格しても、現行司法試験制度によって新米弁護士が急増したため、昔のようにイソ弁として就職が保障る時代ではなくなり、「弁護士ニート」の誕生が騒がれた時代でもあります。

そんな激動の時代に、さまざまな事情で夢を見ずに堅実な就職に踏み切った人も多いでしょう。

経済的な理由で、法科大学院に進むことを諦めた人もいるでしょう。

しかし現行司法試験制度が始まって8年、2011年からその制度は存在していたのですが、最近「高校生の予備試験合格者」の誕生が一気に話題となり、「大学在学中に司法試験に合格するのも夢じゃない!」なんてメディアが騒ぐ時代となりました。

カッコイイ弁護士ドラマも増えました。

そんな中、大学時代に法学部に在籍しつつ、法科大学院への道を選ばなかった人も、政府の働き方改革が進む社会で、自分は進むべき道を間違えたのではないか、とふと考える人も少なくないでしょう。

とくに、大学時代の友人が法曹界で活躍していたりなんかしたら、「僕だって」と思うかもしれません。

そんな社会人のあなたのために、この記事では、予備試験の合格率や予備試験のさまざまなデータを紹介していきます。

 

目 次
1.そもそも予備試験とは?
2.予備試験の合格率って高いの?低いの?
3.データから見る予備試験の合格率
4.予備試験合格者は司法試験に合格しやすい!
5.予備試験に合格すると・・・
6.合格率が低い予備試験に最短で合格するために必要なこと
7.サマリー
8.まとめ

1、そもそも予備試験とは?

(1)司法予備試験制度とは?

①予備試験制度ができた理由

旧師法試験制度が廃止されて現行司法試験制度に移行した理由をご存じですか?

実は、先進国の中で、日本は非常に弁護士の人数が少なく発展途上国なみです。

そこで、日本も他の先進国に習って、海外のロースクールを見習って、法科大学院を創設して司法試験の合格率を上げよう政府が立ち上がったのがきっかけです。

そのため、どんな学歴の人でも共通に受験できる旧師法試験制度から、法科大学院修了者のみが受験できる現行の司法試験制度が2010年(平成18年)から始まりました。

政府の目論見通り、法科大学院修了者の司法試験の合格率は、合格率5%未満の旧師法試験から、法科大学院の平均合格率が20%を超えるものとなり、司法試験を目指す学生が急増、その合格者も急増しました。

 

しかし、法科大学院に進むには、お金も時間もかかります。

そのため、現行の司法試験の合格者は圧倒的に20代の若い世代が多いので、現行の司法試験の制度が始まった時点で、既に社会人になっていて、会社を休職や退職して法科大学院に進学することができない人が多いという不公平も生じてきました。

広く優秀な人材を集めるために、そういう法科大学院修了の道を進める環境にない人々の救済処置として、法科大学院修了者と同等の知識・見解を持つという法務省お墨付きの受験資格を与えるために、司法試験予備試験制度が2011年(平成23年)から始まりました。

いわば、さまざまな事情で高校を卒業できなかった人が大学を受験するための救済処置としての高卒認定試験(高認:旧大検)の法科大学院卒業認定試験版とでもいいましょうか。

②予備試験制度の創設理由がなし崩しになり始めた?

しかし実際には、予備試験制度開始3年後の2014年(平成26年)には、司法試験の出願者数が、法科大学院修了者よりも予備試験合格者の方が増加してしまうという政府が予測もしなかった事態になってしまいました。

もはや予備試験は、法科大学院の救済制度ではなくなり、「司法試験への早道」となってしまいました。

つまり、法科大学院に進むというお金も時間も余分に費やさなくても、司法試験が受けられる抜け道のような制度になってしまったのです。

実際に、2017年に高校3年生の史上最年少合格者が誕生し、彼は大学1年生で司法試験に合格しました。

③予備試験が「救済処置」から「司法試験への早道」になってしまった理由は?

どうしてこのような結果となってしまったかを解説します。

法科大学院の司法試験合格率の実情は、2018年(平成30年)最新データによると、最高でも59.3%であり、平均23.08%で10%未満の法科大学院も多く、0%の法科大学院もあります。

それに対し、司法試験予備試験合格者の司法試験合格率は、77.6%にも及ぶのです。

法科大学院学履修途中でも自信があれば模擬試験的に司法試験予備試験を受験し、合格できれば、もはや司法試験の受験資格を得たことになり、法科大学院からの受験資格は必要なくなるので、法科大学院の卒業を待たずに退学し、翌年の司法試験を受験してしまう人も増加しました。

そもそも、予備試験は法科大学院卒業認定試験のような者なのですから、予備試験の試験内容は、法科大学院の授業内容とほぼ同じです。

そして、予備試験も法科大学院修了者も、司法試験受験チャンスは最高5回(5年)までです。

どちらでも司法試験の受験資格としては等しいチャンスが与えられるのです。

それなら、模擬試験的に予備試験を受験してみて、合格できれば、もはや1年でも早く司法試験に合格して、司法修習に望みたいというのが実情でしょう。

しかも、予備試験に合格できる実力があるということは、司法試験の合格率70%以上を得たも同然です。

もはや司法試験合格圏内ともいえます。

そのため、今や、司法予備試験の意味合いはもはや法科大学院に通えない人の救済処置ではなく、司法試験の模擬試験的な意味合いもあるようです。

 (2)司法予備試験の試験内容

短答式・論文式・口述試験の3段階に分れていて、5月に実施される短答式筆記試験に合格した者が、7月に行われる論文式筆記試験に進むことができます。

論文式筆記試験に合格できたら、10月中に行われる口述試験に進むことができます。

そして最終的にその口述試験を突破できれば、司法予備試験合格となり、ようやく翌年の司法試験の受験資格を得たことになります。

短答式試験は、憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法

の7科目と、一般教養科目(人文科学、社会科学、自然科学、英語)の合計8科目です。

論文試験は、この8科目に加えて法律実務基礎科目(民事実務・刑事実務・法曹倫理)です。

口述試験は、法律実務基礎試験となっており、試験範囲は論文式と同様です。

 

2、予備試験の合格率って高いの?低いの?

ところで、試験予備試験の合格率は、どのくらいなのでしょう。

18歳の高校生が2017年予備試験に合格し、2018年司法試験に最年少一発合格者です。

高校生が合格できてしまうような簡単な試験なのでしょうか?

いえいえ、予備試験とは、その合格率が5%を切る難関試験です。

司法予備試験・司法書士・行政書士・社労士の司法予備試験開始(平成23年)以降の合格率を比較し、グラフにしてみました。

 

 

予備試験は、司法書士試験と並んでいるように見えます。

しかし、最近司法書士試験は、基本的な勉強をした人は、20%合格率という別説もありますが、受験者数に対して最終的に合格した人の合格率で比較しています。

どうしてかというと、法科大学院修了者ではなく、司法試験予備試験は司法書士と同様に、基本的な勉強をした人とは限らず、記念受験のような人もいますので、受験者に対して合格者の合格率の比較が平等だと思うからです。

しかし、司法書士試験は1日で一気にやるので、時間が足りなかったり、体力がついていかないような理由もあり合格率が低いので、3日に分けられ、1~2ヶ月あけて順次行われる司法予備試験とは数字だけでは比べられないところもあります。

同程度の合格率なら、試験の難易度としては司法予備試験の方が難しいともいえます。

 

3、データから見る予備試験の合格率

(1)司法予備試験と法科大学院の合格率の差

司法試験の合格率だけを、法科大学院修了者と予備試験合格者で比較すると、予備試験は平成30年は77.6%なのに対し、法科大学院修了者は平均23.08%です。

合格率だけ見ても、法科大学院に進むよりも、予備試験を目指した方が、司法試験合格に近いような気がしますよね。

しかし、予備試験合格者は司法試験の合格率が高いだけに、予備試験合格者の実力は非常に高く、予備試験は難易度が高い試験と思われます。

では、予備試験とは、いったいどんな試験なのでしょうか?

(2)司法予備試験の試験内容

司法試験予備試験は、5月に短答式、7月に論文式、10月に口述式試験があります。

①短答式筆記試験

短答式は受験者11,136人で合格者は2661人。その合格率は、23.89%です。

そして、短答式の科目は、憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法・一般教養の8科目です。

一般教養60点満点以外の7科目は30点満点、合計270点満点で、160点以上が合格点です。

6割得点できれば合格ということです。

 

法務省のデータ(平成30年司法試験予備試験短答式試験得点別人員調 )によると、平成30年予備試験短答式の平均得点数は177.7点。この点数は1168番目です。

160点の合格点を満たしても平均点以下の人が1493人。

受験者全員が160点を確実に取得することを目指して勉強しているのでしょう。

合格者の平均点以下の人の方が56%で平均点以下の人の方がやや多いようです。

しかし、全受験者の平均点は、48.5%ですから、不合格者のうち、多くの人がもう少しの得点であったことが伺えます。

②論文式筆記試験

論文式は、受験者数2534人、240点以上が合格者で、459人が合格しています。

合格率は、18.1%です。

論文式までの合格率は、4.3%の合格率です。

③最終的な合格者

最終的な合格者433人の最高年齢は、64歳。最低年齢は19歳(2017年予備試験最年少合格者)。平均年齢が27.43歳です。

20歳から24歳の年齢が260人、20代後半は67人。合計327人です。

大学生170人や法科大学院生148人が合計318人。

以上の結果から、20代の大学生や法科大学院生が非常に多く、このデータだけでも、予備試験合格者の方が多いいということがわかります。

そこで、年代別と職業別の合格者についてのデータをグラフ化してみました。

合格者数の職業別グラフを見ても、大学生・法科大学院以外の大学院生・法科大学院生の比率が、73.7%に及びます。

また、男性は352人、女性81人で、男性81.29%、女性18.71%で圧倒的に男性が多いようです。

 

4、予備試験合格者は司法試験に合格しやすい!

(1)予備試験は司法試験と似ている

予備試験と司法試験の科目は非常によく似ているのです。

その違いは以下の表の通りです。

 

予備試験

司法試験

憲法

行政法

民法

商法

民事訴訟法

刑法

刑事訴訟法

選択科目

×

法律実務基礎科目

×

一般教養

×

司法試験よりも予備試験の方が科目数が多い事がわかると思います。

そもそも、予備試験は、法科大学院修了済みの学力・見識と同等の知識を持つ者であると、法務省が認定する試験です。

そして、法務省は、法科大学院の履修科目を履修すれば、司法試験に合格しやすいように、カリキュラムが組まれていることを理想としているのですから、予備試験の試験範囲も、司法試験に合格するためのカリキュラムを網羅した試験範囲となっているのも当然といえます。

 

(2)法科大学院の司法試験合格率と予備試験の合格率

しかし実際には、法科大学院の司法試験の平均合格率は毎年約20%前後です。

トップは、平成最後の昨年の司法試験合格者は、京都大学法科大学院でその合格率は59.3%にも及びます。

しかし、予備試験合格者の司法試験合格率は、それを遙かに超える77.6%にも及ぶ驚異の合格率です。

予備試験に並び法科大学院の平成30年の司法試験合格ベスト10をご紹介します。

法科大学院にはレベルの差があり、合格者数トップテン入りしている法科大学院でも、トップの京都大学方学院と10位の名古屋大学法が大学院の合格者数は、6分の1です。

さらに、合格者数は少なくても、合格率だけを見ると7位の一橋大学法か大学院は、1位の京都大学法か大学院を抜きます。

 (3)どうして予備試験の合格率が高いのでしょうか?

これらの司法試験合格者数を多数出している優秀な法科大学院よりも、予備試験の合格者・合格率に比べると比ではないことをご理解いただけましたでしょうか。

どうしてなのでしょう?

それは、法科大学院が政府の政策の学力に満たないからです。

政府としては、法科大学院修了者は、全員予備試験合格の学力・見識を持っているはずだったのです。

法科大学院の授業が政府に追いついていないので、このような結果が出る結果となっています。

全国の全ての法科大学のデータによると、合格率が一桁の法科大学院が65%で、0%の法科大学院が12%にも及ぶのです。

このような実情の法科大学院を鑑みると、予備試験を目指した方が堅実であるようにも思います。

でも、予備試験の難易度は、5%にも満たない非常に難しいものです。

それを突破するのは大変です。

でも、予備試験に合格するということは、「政府が考案した司法試験に合格できる履修科目を全て優秀な成績で修めた者」とみなされる実力・見識を持つと証明さたことになります。

つまり、司法試験合格圏内の実力を持つ者と法務省のお墨付きをもらうのですから、難しいのは当然です。

 

一方、もっともし追う試験合格者数の多い京都大学法科大学院でも、その合格率は59.3%であることがわかるように、法科大学院のカリキュラムを履修しただけでは、法曹界に入ってからの知識・見解は広いかもしれませんが、実際の司法試験合格率は、予備試験合格者に満たないのです。

これは、資格の合格率だけでいうと、例えば偏差値の高い難関大学よりも、専門学校の方が就職率・資格取得率が高いという状況が現実にあるのと同じです。

一定の資格に関しては、100%の合格率を保障している専門学校もあります。

これは、資格取得のための、専門塾なみの詰め込み学習をしているからです。

しかし、資格取得率は高くても、その後の社会人としての経験に役立つ勉強は難関大学卒業の人の方が、仕事に役立つ豊富な知識を多く持っていることでしょう。

つまり、法科大学院は、法曹界で活躍する人の養成校であり、司法試験合格のための塾ではないのです。

もしかしたら、法科大学院で時間をかけた学んださまざまな履修科目の体験が役立ち、法曹界に入ってからは、法科大学院修了者の方が良い成績を残せるかもしれません。

政府はそのために法科大学院を創設したのですから、そうでなければならないのです。

一方、予備試験受験者は、予備試験に合格できるようなカリキュラムを徹底して研究されたカリキュラムを実践しているプロ集団である資格の塾・予備校や通信教育で、勉強する人が多いので、その結果が歴然と現れているのでしょう。

 

5、予備試験に合格すると・・・

例えば、平成30年の予備試験に合格した場合で解説します。

平成30年11月初旬に合格発表があってすぐに、翌年の司法試験の募集が始まります。

平成30年11月20日~12月4日までですから、急いで手続きをする必要があります。

4月17日に受験票の発送予定とされています。

そして、新しい元号にかわってすぐ5月15日(水)、16日(木)、金曜をお休みして18日(土)、19日(日)の4日間で行われます。

法務省のHPからスケジュールを抜粋しましたので、以下を参照して下さい。

 

このスケジュールで、司法試験を受験して合格したら、司法修習生として最高裁判所に任命されて、司法修習書で1年間お給料をもらいながら、2ヶ月の集合修習(講義)と10ヶ月の実務修習(実習)を経験します。

司法修習生として任命されると、公務員ではありませんが、国家公務員に準じた公務員としての扱いを受け、修習専念義務を負い、アルバイトや副業は許されません。

昔は、準国家公務員扱いで、給与が支給されていたのですが、2011年11月(第65期)以降から給与生が廃止され、希望すれば、貸与制に変更になりました。

基本額23万円の貸与制(要保証人2名)は、5年間利子据え置きで10年以内に返済すれば良いことになっています。

全国の地方裁判所に配属されて、刑事裁判・民事裁判、弁護、検察、そして自分がなりたい(興味を持っている)選択修習、あわせて10ヶ月の実習で、自分の専門性を深めていきます。

この10ヶ月の間に、自分の進路を決定します。

 

最後に「司法修習生考試(国家試験)」が行われます。

実質的な卒業試験ですが、これを突破しないと本当の意味で資格試験にごう隠したことにならないので、「二回試験」ともいわれています。

実際の事件記録から作成された、民事裁判、刑事裁判、検察、民事弁護、刑事弁護の5教科を、1教科を1日書けて行います。

この二回試験に合格して、初めて司法修習が終了(卒業)となり、判事補・2級検事任用資格、弁護士登録資格を得ることができます。

これらをまとめて法曹資格といいますが、二回試験に不合格だと法曹資格取得ができないことになります。

不合格した人は、修習生として再任用されて、検収をやり直して再受験できます。

三回連続して不合格者となった場合は、再度司法試験受験が必要となります。

一般的に、あまりこのような最悪事例はないとされています。

 

6、合格率が低い予備試験に最短で合格するために必要なこと

(1)法律には全て理由がある!

合格率が5%を切る予備試験」と聞いただけでも無理ではないか、と思う人もいるかもしれません。

また、予備試験の受験科目は一般常識を含めて9科目もあります。

どこから手をつけたらわからなくなりそうです。

でも、出題されやすい場所とそうでない場所というものがあります。

だから、過去問を徹底的に分析し、何度も繰り返す必要があります。

さらに、ただ解くだけでなく理解しなければなりません。

難解に見える法律は、言葉が難しいだけで、理屈はそんなに難しいわけではないのです。

とくに手続き法は、その手続きが行われる必要性と必要な手順が理解できていれば、いいかえれば、手続きのマニュアル書のようなものです。

その手順には、そうしないと困る理屈があります。

また、法律についても同様です。

いくつかの実例で解説します。

①例1:時効と除籍期間の違い

例えば手続きの「時効」の他に「除斥期間」が設けられているのは、多くの民法の時効の場合、「そのことを知ってから○年」というケースが多いですよね。

でも、何年も知らないまま過ごすこともあります。

そんな場合に、権利のある人が権利がある事を知らないで不利益を被らないために、権利の時効の中には、その「権利があることを知ってから」時効の換算が始まるケースがあります。

相続もそのひとつです。

しかし、いつまでも権利が確定しなかったり、何十年もしていきなり請求権を行使されて権利が覆っては、それまでの所有者にとっては悲劇です。

そのため、ある程度の期間を経過したら、権利を確定させた方が良いと思われる権利に対し、除斥期間が設けられているのです。

権利の存在を知ってからではなく、事態が発生してから権利が消滅するまでの期間を除斥期間といいます。

② 例2:「善意の第三者」が存在する理由

善意の第三者の権利も、盗品を盗品と知らずに、善意者が介在して商品を売買して最後に所有していた人に、盗品だからといきなり大元の所有者がやってきて所有者を主張されても困りますよね。

だから、本当の意味で「善意の第三者」という概念があります。

例えば、石原裕次郎記念館のチェスの現在の所有者は記念館を運営する石原軍団です。

しかし、このチェスは、裕次郎さんが生前、お兄さんの石原慎太郎さん(元東京都知事)の家から勝手に持ってきたものだそうです。

お陰で、当時チェスでよく遊んでいた息子である俳優の石原良純さんが、慎太郎さんから無くしたことを非常に叱られたそうです。

それが数十年経って、石原裕次郎さんの生前の思い出の品を展示した石原記念館で見つかりました。

実は、裕次郎さん亡き後、奥さんの真紀子さんは、夫の形見(チェス)と信じて大切に保管していたのです。

そして、石原裕次郎記念館に寄贈しました。

裕次郎さんは、慎太郎さんにチェスを返却する義務がありますが、それを相続した善意の第三者の真紀子夫人、真紀子夫人からチェスを寄贈された石原軍団の石原記念館は「善意の第三者」を2人も介入しています。

もはや、どんなに主張しても、それがたとえ真実であっても、善意の第三者の石原記念館のチェスは、慎太郎さんの元には戻りません。

親族として、弟の思い出の品が展示された記念館を慎太郎さんが訪れたとき、自分のチェスを見つけて持ち帰ろうとして、警備員さんと揉めたという話を石原良純さんが、面白おかしくテレビで話していたのを聞いたことがあります。

また、所有権は善意の場合はそれを信じて10年経過するとその持ち主に移転してしまいます。

裕次郎さんは悪意の所有者ですが、亡くなっていますので、善意の第三者の真紀子夫人が相続したとき、もはや石原慎太郎さんは、賠償請求をする相手が亡くなっていなくなってしまったのです。

可哀想な気もしますが、こういう理屈で法律はできています。

このような理屈は、さまざまな判例によって出てきます。

債権は相続以外では他人に返済義務はない

この法律は、ヤミ金の取り立てで一家心中のような悲劇が起らないようにするための法律です。

だから、離婚したら夫の債務は元妻には関係ないのです。

最近、元誠意大将軍の俳優でもある波賀健二さんの獄中での再逮捕がメディアを騒がせました。

詐欺で賠償請求をされていた波賀健二さん、離婚した奥さんに4億近い不動産を財産分与していました。

債権は相続以外では、例え家族でも本人以外の返済の義務を追わない法律を悪用した、偽装結婚だと騒がれ、波賀健二さんは強制執行妨害罪で元奥さんと一緒に容疑がかかってるのです。

法律は人間が作ったものですから、視点を変えれば複数の法律に該当するような場合はたくさんあります。

弱者を助けるものであるはずですが、悪用することも可能です。

そういう意味で、本当の権利を守るために、裁判があるのです。

③例3:判例が重要

そのような際に、各々の権利や故意、原因や結果、さまざまな事情を総合的に考慮して判例は下されています。

だから、判例をたくさん読むことも法律を理解する上で重要となります。

六法全書を暗記することも重要ですが、条文を丸覚えするのではなく、自分の言葉でどのようなときにその法律を利用し、どういう事例が当てはまるかを考えながら条文を覚えると、自然と頭に入るし、応用力もつきます。

英熟語を英文と一緒に覚えるのと同じです。

だから、法律は物語で理解すると結構おもしろいものだと思います。

そうやって私は条文を覚えています。

 

若い合格者がどんどん出るのは、若い方が記憶力もあるのですが、頭が柔軟で想像力豊かだからともいえます。

論文から入るのも、どうしてその法律が該当するのかを理解できるからです。

理解できるまで、膨大な勉強時間が必要になりますが、粘り強く「論文を読んで、条文を理解していく」、そういう理解の方法で想像力を駆使して法律を楽しみながら勉強できる人が合格も早いのです。

過去問でアウトプットを固め、想像力を駆使して理屈で「なぜそうなるのかを」理解することで、楽しみながら勉強できる人が法曹界に向いている人だと思います。

 

7、サマリー

いかがでしたか。

予備試験は法科大学院修了者と同等の知識・見解を持った人である人を選定する試験です。

予備試験制度は、法科大学院に入学する経済的あるいは時間的余裕のない人のために救済処置として生まれた制度なのに、今や1年でも早く司法試験にチャレンジするために、あるいは法科大学院の学生の司法試験の模擬試験のような感じになっています。

あるいは、予備試験を第一志望にして滑り止めを法科大学院入学にしてしまう事を進める予備校や塾もあるくらいです。

そもそも、現行の司法試験は、旧師法試験が難しすぎるので司法試験の門戸を広げるためにできた制度です。

政府の方針によると、法科大学院を修了したら司法試験に受かる学力がつくはずなのです。

法科大学院は、司法試験に合格できる学力が身につき、法曹界で働く人を養成する学校なのです。

実際はそうなってはいませんが、政府はそう思っているのです。

政府が理想とする法科大学院(司法試験に合格できる学力を持てる履修科目)を修了した者と同じ知識や見解を持った人」を選別する試験が予備試験です。

だから、予備試験を合格した人の司法試験合格率が高い(76.6%)のは当然なのです。

同じ理屈で、法科大学院修了者が5回司法試験にチャレンジできるので、予備試験合格者も5回チャレンジできるのです。

そして、法律を楽しんで理解するために、法律の理解は条文丸覚えではなく、自分の言葉で状況を当てはまる状況を想像して解説できるような理解の仕方がお勧めです。

予備試験には受験資格がないので、膨大な勉強時間と仕事を両立させることはそう簡単なことではありませんが、社会人が司法試験を突破する入り口にするにはピッタリの資格だともいえるでしょう。

 

8、まとめ

  • ・経済的理由や時間的理由で、法科大学院に進むことができない人のための救済策として実施された制度である。
  • ・政府が考える法科大学院は、司法試験に合格できる知識や見解を持つ人を育てる学校なので、予備試験は、司法試験合格できるだけの知識や見識を持った人を選抜する試験である。
  • ・予備試験合格者の司法試験合格率は76.6%と非常に高い。
  • ・司法試験に合格するための知識・見識を持つ法人を育てる法科大学院の修了者と同等の実力を持っているので、法科大学院の授業は司法試験の出題科目を十分にカバーできる履修科目がある。
  • ・予備試験は非常に科目数が多く一般教養を含め9科目もある。
  • ・司法試験よりもその科目数は多く、司法試験の科目を網羅している。
  • ・予備試験と司法試験の科目は非常に似ている。
  • ・予備試験は法科大学院の滑り止めにもなる。
  • ・予備試験を独学で勉強するのは難しいが、過去問を繰り返し、法律を自分の言葉で理解していくと、法律を楽しめ、社会人の司法試験勉強の入り口としては、最適である。

 

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