法科大学院卒業後の未来は?「司法試験受験or就職」どちらを選ぶ?!

法科大学院卒業後の未来は?「司法試験受験or就職」どちらを選ぶ?!


“法科大学院修了生歓迎”
“法科大学院修了必須”

企業の法務部門や総務部門、法律事務所などの求人広告を見るとこのような募集要項をよく見かけます。高度な専門知識を兼ね備えた法科大学院修了生は就職に有利であることは間違いありません。

一方で、就職ではなく法曹三者を目指す場合はどうでしょうか。
法科大学院を卒業した後に司法試験を受ける人も多くいますが、どのような未来を築ける可能性を秘めているのでしょうか。

法曹三者とは、裁判官・検察官・弁護士のことです。

当然のことといってしまえばそれまでなのですが、法科大学院卒業後の未来は人それぞれです。この記事では、就職に有利であり、且つ法曹三者になれる可能性を秘めた法科大学院修了者の未来について解説していきますので、ご参考になさってくださいね。

法科大学院への進学を迷われている方、また、司法試験受験を検討されている方のご参考になれば幸いです。

1 法科大学院を卒業すると司法試験の受験資格が得られる!

司法試験を受けるためには受験資格が必要です。
具体的には下記のうちいずれかに当てはまる方が受験資格を得ることができます。

■司法試験受験資格
◆法科大学院修了者
◆予備試験合格者

「法科大学院修了者」というのは法科大学院を卒業することを指します。

法科大学院修了者は、司法試験の受験資格を得られるだけではなく、その高度な専門知識を有することから企業の法務部などの就職に有利です。また、司法試験に限らず、公務員試験や法律系資格(予備試験、司法書士試験、行政書士試験、社労士試験など)との親和性も高いため合格への期待可能性が高まります。

2 司法試験とは

“司法試験は、裁判官・検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験です。”

法曹三者になるためには、司法試験に合格しなければなりません。ここでは、司法試験の概要について見ていきましょう。

受験手数料 28,000円
出願期間 例年2月初旬頃
試験科目 【短答式試験】憲法・民法・刑法
 

 

【論文式試験】

■公法系科目(憲法・行政法)

■民事系科目(民法・商法・民事訴訟法)

■刑事系科目(刑法・刑事訴訟法)

■選択科目(倒産法・租税法・経済法・知的財産法・労働法・環境法・国

際関係法〈公法系〉

■国際関係法〈私法系〉のうち1科目選択)

受験資格

及び期間

・法科大学院の課程を修了した者

(修了日後最初の4月1日から5年を経過するまでの期間)

・司法試験予備試験に合格した者

(合格後最初の4月1日から5年を経過するまでの期間)

試験日程 例年5月中旬頃 4日間  
     参考:令和3年度【時間割及び試験科目】
試験期日 試験時間 試験科目
5/12(水) 9:30〜12:30(3時間) 論文試験(選択科目)
13:45〜15:45(2時間) 論文式試験(公法系科目第1問)
16:30〜18:30(2時間) 論文式試験(公法系科目第2問)
5/13(木) 10:00〜12:00(2時間) 論文式試験(民事系科目第1問)
13:15〜15:15(2時間) 論文式試験(民事系科目第2問)
16:00〜18:00(2時間) 論文式試験(民事系科目第3問)
5/14(金) ———— ————
5/15(土) 9:30〜11:30(2時間) 論文式試験(刑事系科目第1問)
12:45〜14:45(2時間) 論文式試験(刑事系科目第2問)
5/16(日) 10:00〜11:15(1時間15分) 短答式試験(民法)
12:00〜12:50(50分)           短答式試験(憲法)
14:15〜15:05(50分)              短答式試験(刑法)
【短答式試験成績発表】令和3年6月3日(木)16:00予定
【合格発表】令和3年9月7日(火)16:00予定

 令和3年9月29日(水)官報広告

【試験地】札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市
合否判定

 

 

合格者の判定は、短答式試験の合格に必要な成績を得た者につき、短答式試験及び論文式試験の成績を総合して行われる(司法試験法第2条第2項)。合格者は司法試験考査委員の合議による判定に基づき司法試験委員会により決定される(同法第8条) 

※【受験に関する問合せ先】土曜日、日曜日及び祝日等の休日を除く
法務大臣官房人事課 司法試験係
Tel 03-3580-4111(代)
Fax 03-3592-7603
参照:法務省「令和3年司法試験の実施日程について

司法試験は、短答式試験で合格に必要な一定の点数を取った者だけが論文式試験の採点対象となります。
また、試験4日間にわたり実施されます。体調管理を含めて、十分な準備をして本番に臨みたいですね。

3 法科大学院に進学するには?

法科大学院修了者には、司法試験受験資格が得られることがお分かりいただけたかと思います。法曹三者を目指すこともでき、就職にも有利である魅力たっぷりな法科大学院に進学するためにはどのような方法があるのでしょうか?

◆法科大学院の入試情報を集める
◆コースを選ぶ(未修者コースor既習者コース)
※法科大学院合格対策としても、合格後〜入学後の準備としても「予備試験対策」での勉強が有効!

ご存知の方も多いかと思いますが、法科大学院は2つのコースに分けられます。そのため、どちらのコースを選ぶかによってやるべきこと(対策)が異なります。

・既修者コース(2年)➡︎法律科目試験で選抜
・未修者コース(3年)➡︎小論文や面接で選抜

既修者コースは、法律科目試験が課されることが一般的です。憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法の基本7科目のうちから数科目もしくは全てが対象となる学校もありますので随時最新の情報収集を行ってくださいね。入試の時期にもよりますが、なるべく早い段階から『法科大学院合格対策』を行うことをおすすめします。1年〜1年半くらい前から準備を始める方が多いようですので、余裕を持ってしっかり準備しておきましょう!

また、法律学習経験のない未修者コースでは、法律科目試験は課されませんが、なるべく早い段階から予備校などで受講できる「予備試験対策」の講座を受講されることをおすすめします。なぜなら、法科大学院受験前はもちろんのこと合格後から入学までの間に前倒しで法律学習を進めていくことにより、入学後の授業についていけなくなるということが回避できます。また、在学中の法科大学院の授業の予習・復習機能としても役立ちます。

つまり、未修者コース・既修者コースに共通していえるのは、『予備試験対策』の講座を受講しておくことで受験前後にメリットがあるだけではなく予備試験に合格することも不可能ではないということです。現に、法科大学院在学中に予備試験に合格して一足先に司法試験の受験資格を取得している方もいらっしゃいます。卒業前に司法試験に合格することができますので、その分早く社会に出ることができ投下資本を回収できるといっても過言ではないかもしれませんね。

4 司法試験合格後の未来予想図

◆法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)として活躍
◆インハウスローヤーとして企業で頼れる存在に
◆自分の得意分野を活かし起業する  など

晴れて司法試験の合格を果たすと全国各地のいずれかの司法研修所に配属され『司法修習』と呼ばれる実務家としての修行(分野別実務修習、選択型実務修習、集合修習)を1年ほど積むこととなります。

“選択型実務修習と集合修習を終えると、修習期間の最後に、司法修習生考試が実施され、これに合格すると司法修習を終え、判事補、検事又は弁護士となる資格を取得します” 一部抜粋引用:法務省「新司法修習について」

しかしながら、上記のとおり法曹資格を取得するためには「司法修習生考試」(いわゆる「二回試験」)に合格しなければ弁護士資格を取得することができません。例年、ほとんどの修習生が合格していますが、僅かながら不合格者となる修習生がいるのも事実です。仮に法律事務所に内定が決まっていた場合、不合格となり内定が取り消されてしまう可能性も否定できませんので最後まで気が抜けませんね。

少し長くなりましたが、司法試験に合格後の「司法修習生考試」についてお分かりいただけたかと思います。続いて、司法試験合格後の未来について具体的に見ていきましょう!

(1) 法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)として活躍

『HERO』や『99.9%』『リーガル・ハイ』など、近年は、弁護士や検察官を主人公とするドラマや映画作品も増えましたね。一昔前のようなお堅い法曹三者のイメージからより一般市民に近い存在として認識されはじめているのではないでしょうか。これらのドラマや映画がきっかけとなり“憧れの存在”として、法曹への道を目指されたという方も少なくありませんよね。

①弁護士

弁護士の場合は、司法試験合格後に就職活動を行うことが一般的です。大手の法律事務所などは、社会人経験のある即戦力となるような予備試験ルート組を好んで採用する傾向があるようです。予備試験合格者というだけで、司法試験の合格を待たずに内定が決まるパターンも珍しくありません。弁護士の業務は多岐に渡り、民事や刑事、企業法務など依頼人の代理人としてさまざまな事件を法律に則り解決していきます。

▼こちらの記事も合わせてご覧ください。
弁護士になるには?4つのステップについて詳しく解説!

②裁判官

裁判官は、国家公務員です。原則として、司法試験に合格し司法修習を終えた人の中から任命されます。また、最高裁判所の指示のもと日本全国にある裁判所にて勤務を行うこととなります。

“裁判官は,憲法や法律に拘束されるほかは,良心に従って,独立して各事件について判断を行います(憲法第76条第3項) 一部引用抜粋:裁判所

民事、刑事、家事、少年事件などを扱います。当然のことながら、その職責はとても重いと言わざるを得ません。

③検察官

検察官は、検事総長・次長検事・検事長・検事及び副検事に区分されています。業務は多岐に渡りますが、広く知られるところとして挙げると、公益の代表者として刑事事件について裁判所に裁判を求めるための公訴を提起(起訴)することができます(刑事訴訟法第247条)。検察官の判断で、罪を犯したとして起訴し初めて裁判所はその事件について裁判を行うことになります。また、検察官は、起訴した事件についてその被告人がその犯罪を行ったということを証拠に基づき立証する役割を担い、その事件の捜査や裁判の執行を監督することも検察官の仕事です。昨今では、ワークライフバランスを推進しており、多様なキャリアパスも検察官の魅力の一つです。 参照:裁判所

(2) インハウスローヤーとして活躍

いわゆる企業内弁護士のことです。ずばり、『ワークライフバランスが実現しやすそう!』というイメージが先行するのではないでしょうか?
近年は、コンプライアンスへの意識が高まり自社でのガバナンス強化が急務となっていることから法務のプロフェッショナル人材の需要が高まっています。
法曹三者とならずに、弁護士資格保有者として、一般企業や行政庁で活躍されてる方もいらっしゃいます。いうまでもなく、法務分野のスペシャリストとして活躍できることは間違いありません。
日本では、インハウスローヤーの歴史は浅いので、多くの方が法律事務所などで弁護士経験を積んだ後、インハウスローヤーとして転職するパターンが多いようです。今後、日本においてもこのようなキャリアが確立されることとなれば、法律事務所とインハウスの両立や当初からインハウスローヤーとして勤務する方など多彩なキャリアプランが増えていき活躍できる場が広がるのではないでしょうか。
また、メリットの一つとして、福利厚生が手厚い一般企業に就職することができれば、家庭を持っている方にとっては安心であるという点が挙げられます。

(3) 起業して活躍

資格スクエアの代表を務める鬼頭弁護士をはじめ、予備校や人材派遣業などを起業する弁護士も多くいます。弁護士経験を経てから起業することは今の時代においては珍しくなくなってきました。他には、国会議員として活躍されている元弁護士の方もいらっしゃいますよね。

法曹三者に限らず、自分が深く関わってきた業界で起業するという選択肢は夢があって素敵ですよね。

5 司法試験不合格後は「予備試験受験or就職活動」の2択

◆諦めきれないなら予備試験にチャレンジ
◆積極的に就職活動!自信を持とう!

これまで、司法試験合格後について見てきました。ここでは、残念ながら司法試験の合格に至らなかったケースについて見ていくことにしましょう。
上記のとおり、2つの選択肢が考えられます。どうしても諦めきれないのであれば迷わずリベンジです!!とはいえ、司法試験に挑む「気力・体力」は相当過酷であることに間違いはありませんので、少しリフレッシュして心身ともに整えましょう!その後、あまり時間をおかずに再チャレンジされてみてはいかがでしょうか。司法試験の合格率がおよそ90%である予備試験ルートで司法試験合格を目指すのが最短ルートであり、コストパフォーマンス的にもおすすめです。

一方で、法曹三者としてではなく就職を検討されているケースであまり心配せずに自信を持って就職活動を行ってくださいね。法科大学院で得た高度な専門知識は高く評価されますので、企業での法務ポジションや人事、総務など、又は英語が得意であればワンランク上の法律事務所でのパラリーガルなどとしても活躍できることが期待できます!自分の得意分野を活かして自信を持って就職活動してくださいね。

今までの勉強経験、司法試験受験経験は決して無駄ではありません。その勇気と努力は必ずどこかで役に立つはずです。一般の新卒者と比べて働き始める年齢に数年ブランクがあることで不安に思われることもあるかもしれませんが、あまり心配しすぎなくても大丈夫です。自分自身の努力次第で後からいくらでも取り返すことができます!

6 サマリー

法科大学院の卒業後の未来について見てきましたがどのような感想をお持ちになりましたか?法科大学院にはここでは伝えきれない魅力的な事柄がたくさんあります。経済的・時間的に余裕があるのであれば、法科大学院に通いながら予備試験対策を行うという方法が法曹三者への近道となります。法曹三者の道以外を選択したとしても高度な専門知識を得ていることに変わりはありませんので自信を持って就職活動ができる点にも要注目です!

7 まとめ

  • 司法試験の受験資格が得られるのは2パターン!|①法科大学院修了者②予備試験合格者
  • 司法試験とは、裁判官・検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験のことをいう
  • 法科大学院に進学するためにすべきこと|①法科大学院の入試情報を集める②コースを選ぶ(未修者コースor既習者コース)③予備試験対策講座を受講するのがおすすめ!
  • 司法試験合格後の未来予想図|①法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)として活躍②自分の得意分野を活かし起業する③インハウスローヤーとして企業で頼れる存在に 
  • 司法試験不合格後は「予備試験受験or就職活動」の2択|①諦めきれないなら予備試験にチャレンジ②積極的に就職活動!自信を持とう!

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