【民法】の論文式試験のコツを教えて?

【民法】の論文式試験のコツを教えて?

西:鬼頭さん。論文式の試験って科目ごとにコツが違うって聞いたんですけど。

鬼頭:そうですね。

西:憲法の話はこないだ聞いたから、次は民法かな。

鬼頭:民法はね、ほんと憲法と全然違うんですよ。民法、1000条以上条文があるでしょ。

西:そうだ。メッチャ多いんだった。

鬼頭:条文から考えちゃう人がすごい多いんだけど、民法っていうのは私人と私人、つまり個人と個人の間の関係を規定してる法律なんですね。ってことは個人がその個人に対して何を言いたいのかっていうことから発想するのが基本なんです。これすっごい当たり前のことなんですけど、ここができてない人がめちゃくちゃ多いんですね。

西:なんか人の立場になってみようみたいな、そういうこと?

鬼頭:人の立場になってみたら、だいたいねその民法の事例だと誰かが不利益を受けてるわけですよ。それはね、物を失っちゃったとかね、自分の土地に誰かがいるとかね、自分の部屋に誰かがいるみたいな話になってるわけですよ。そのときにじゃあ、あなたが虐げられた人物だとしたら、生の要求としてね、なにが言いたいのって話になるわけですね。何が言いたいかっていうと超シンプルなんですよ、だいたい。「金払え」とか、「出ていけ」とか、「どかせ」とか、その程度なわけですよ。

西:要求がメッチャわかりやすいかも。

鬼頭:要求が超シンプルでしょ?ただそれを債権とか請求権ていう形に構成しなきゃいけないんで、それを民法ていう法律を使ってやるわけなんですよ。

西:そこが難しいんですね?

鬼頭:そう。でもそこの発想があるかどうかで全然違ってくるわけですね。たとえば金払えというときって、だいたい手段としては債権とか4つしかないわけですね。「契約」と「事務管理」ってやつと「不法行為」ってやつと「不当利得」4つしかないわけです。もちろん契約関係があれば、その契約はなに契約なのか。売買契約なのか、賃貸借契約なのか、それとも寄託なのかといろいろあるわけですけど。13個典型契約があるわけですけど、その契約類型のどこに当てはまるか。そのどこかの類型に当てはまったとして、その契約に基づく効果が発生する要件っていうのがこの問題文からすると満たしているのか満たしてないのか、っていうのを考えるわけですね。

西:そのジャッジが難しいんですか?

鬼頭:そのジャッジがいわゆる論点とか、そのポイントとかになってくるんですけど。基本的には条文ていうものに要件が書いてあるのでその要件を考えて、「この問題文だとこの要件はこの事実が要件だな」と。逆に「この事実はこの要件だな」「この事実じゃ、この要件あるって言えないんじゃないのかな」って考えるわけですよ。なのでそういうふうに考えていくと実は民法って凄いシンプルで、その売買契約に基づく代金返還請求権なのか、それとも不法行為に基づく損害賠償請求権なのか、ってのをだいたい導かれてきて、そうするとじゃあ売買契約があったのかとか、不法行為だったら故意過失があったのかとか、損害があるのかとか、そういう細かい話になってくるんですけど、その大上段、生の要求から考えていくと実は論理必然的に、その書いていくべきことがでてくるわけですね。できない人はいきなり故意過失があるのかとか損害があるのかとか。この論点でなんとか説に立つべきなのかとかそういうことから考えちゃうわけですね。

西:難しいことから入ったら失敗しちゃうんだ。

鬼頭:教科書にそういうことが厚めに書いてあるから、そういうことから考えないといけないんじゃないかっていう勘違いをもって、いわゆる論点って言われるところから書いちゃうんですけど、そう書くともう、民法の答案がしっちゃかめっちゃかになっちゃうんで。そういうのができないと本当にダメなんです。できる人の答案っていうのは民法は本当に「本件でAはBに対してなんとかに基づくなんとか請求ができるか」みたいな。「この点なんとか条によれば、なんとかっていう要件が必要なので、本件のこの事実からすると何とかの要件を満たす」「なんとかという要件を満たすかは微妙である」「なんとかって要件はそもそも条文上不明確なので、この要件の解釈をするとこの要件はこうである」みたいな感じの答案になるわけですね。読んでて意味がわかるわけですよ。ところができない人は、いきなり「本件のなんとかっていうものが、なんとかに当てはまるかが問題となる」と書くわけですよ。請求権から始まんないわけ、答案が。そうすると「え、なに書いてるのこの人?」みたいな。

西:たしかに。「なにが起こってんの?」みたいな。

鬼頭:「この人は不法行為なの? 契約なの? 何言ってんの?」みたいになっちゃうんですよ、読み手としてはね。結構私は答案の採点もしてるんですけど、読むとなんとなく論点をかけばいいんだなって思ってる答案と、その請求権から書けてる答案と見た目上の8割くらい書いてること一緒なんですよ。見た目上は一緒なんだけど、点数で言ったら雲泥の差がでちゃうわけですよ。

西:そこに気づけるかどうかが大きいんですね。

鬼頭:そう。やっぱりね、民法が、その、"天王山"とか、"民法を制する者は司法試験を制す"と言われてる由縁はそこにあって、民法を生の要求から考えられて、そこを論理構成、法律構成できる人か、あるいは民法を単に論点の塊ととらえちゃうか。そこの違いは出てくるわけですね。

西:「その人の立場になってストレートな要求から始めよう」それでいいでしょうか?今日の締め!

鬼頭:そうです!ありがとうございます。

西:「金返せ」から始めてね。

鬼頭:「金返せ」なのか、「どかせ」なのか。そこらへんを意識してください!

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