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      2017年本試験問題(民法)

      [民事系科目]

      〔第1問〕(配点:100〔〔設問1〕、〔設問2〕及び〔設問3〕の配点は、30:40:30〕)
      次の文章を読んで、後記の〔設問1〕、〔設問2〕及び〔設問3〕に答えなさい。


      【事実】
      1.甲土地と乙土地は、平成14年3月31日以前は長い間いずれも更地であり、全く利用されていなかった。Aが所有する乙土地は、南側が公道に面するほかはBが所有する甲土地に囲まれた長方形の土地であるが、乙土地の実際の面積は登記簿に記載されている地積よりも小さかった。また、甲土地と乙土地の境界にはもともと排水溝があった。
      2.平成14年4月1日、Aは、排水溝が埋没したのを奇貨として、登記簿記載の地積にほぼ合致するように、乙土地の東側と西側をそれぞれ5メートルほど広げる形で、柵を立てた(公道に面する南側部分を除く。以下では、この柵と南側の公道に囲まれた土地全体を「本件土地」といい、乙土地の東側に隣接する甲土地の一部を「甲1部分」と、西側に隣接する甲土地の一部を「甲2部分」という。なお、本件土地の位置関係は別紙図面のとおりであり、〔本件土地=乙土地+甲1部分+甲2部分〕という関係にある。本件土地の東側・北側・西側の外周に、それぞれ柵が立てられている状態である。)。Aは、柵を立てた後も、本件土地を更地のままにしていた。
      3.医師であるCは、診療所を営むことを考えており、それに適する場所を探していたところ、知人からAを紹介され、本件土地に診療所用の建物を建築することを計画した。そこで、Cは、乙土地の登記簿を閲覧した上で、Aと共に本件土地を実地に調査し、本件土地の東側・北側・西側の外周に柵があることを確認した。また、Cは、本件土地の測量を行い、その面積が乙土地の登記簿に記載されている地積とほぼ合致することを確認した。
      4.AとCは、平成16年9月15日、本件土地につき、Aを賃貸人、Cを賃借人、契約期間を同年10月1日から30年間、賃料を月額20万円、使用目的を診療所用の建物の所有とする賃貸借契約(以下「本件土地賃貸借契約」という。)を締結した。
      5.平成16年9月25日、Cは、建築業者との間で、本件土地に診療所用の建物を建築することを目的とする請負契約を締結した(以下では、この請負契約に基づき行われる工事を「本件工事」という。)。
      6.平成16年10月1日、Aは、本件土地賃貸借契約に基づき、本件土地をCに引き渡した。Cは、約定どおり、Aが指定する銀行口座に同月分以降の賃料を振り込んでいた。
      7.本件工事の開始は請負人である建築業者の都合で大幅に遅れた。その間、【事実】2の柵は立てられたままであったが、本件土地は全く利用されておらず、更地のままであった。
      8.平成17年6月1日になってようやく本件工事が始まった。本件工事は、乙土地と甲1部分の上で行われ、Cは、同日以降、甲2部分を工事関係者に駐車場や資材置場として利用させていた。
      9.本件工事は平成18年2月15日に終了し、同日、乙土地と甲1部分の上に建築された建物(以下「丙建物」という。)につきC名義で所有権保存登記がされた。丙建物は、乙土地と甲1部分のほぼ全面を利用する形で建築された。Cは同年4月1日に診療所を開設した。甲2部分は、それ以降、患者用駐車場(普通自動車3台分)として利用されている。
      10.Bは、長い間甲土地を利用しないまま放置していたが、平成26年8月になって甲土地に建物を建築することを計画した。Bは、その際、丙建物が甲1部分に越境して建築されていることを及びCが駐車場として利用している甲2部分も甲土地の一部であることに気付いた。
      11.そこで、平成27年4月20日、Bは、Cに対し、所有権に基づき、甲1部分を明け渡すことを求める訴えを提起した。
      〔設問1〕 【事実】1から11までを前提として、次の問いに答えなさい。
      Cは、Bが甲1部分を所有することを認めた上でBの請求の棄却を求める場合、どのような反論をすることが考えられるか、その根拠及びその反論が認められるために必要な要件を説明した上で、その反論が認められるかどうかを検討しなさい。なお、丙建物の収去の可否及び要否について考慮する必要はない。

      Ⅱ 【事実】1から11までに加えて、以下の【事実】12から16までの経緯があった。
      【事実】
      12.平成27年11月10日、Aは、Bから、甲1部分及び甲2部分を買い受けた。同日、甲土地を甲1部分、甲2部分及びその余の部分に分筆する旨の登記がされ(以下では、甲1部分を「甲1土地」、甲2部分「甲2土地」といい、乙土地、甲1土地及び甲2土地を「本件土地」という。)、甲1土地と甲2土地のそれぞれにつきBからAへの所有権移転登記がされた。Bは、これを受けて、【事実】11の訴えを取り下げた。Aは、Cに対し、これらの事実を伝えるとともに、本件土地賃貸借契約については従来と何も変わらない旨を述べた。また、同月20日に、丙建物につき、その所在する土地の地番を、「乙土地の地番」から「乙土地の地番及び甲1土地の地番」に更生する旨の登記がされた。
      13.平成28年1月に、Cは、友人Dから、勤務医を辞めて開業したいと考えているが、良い物件を知らないかと相談を受けた。Cは、健康上の理由で廃業を考えていたところであったため、Dに対し、丙建物を貸すので、そこで診療所を営むことにしてはどうか、と提案した。Dは、この提案を受け入れることにした。
      14.CとDは、平成28年5月1日、丙建物について、賃貸人をC、賃借人をD、契約期間を同日から5年間、賃料を月額60万円、使用目的を診療所の経営とする賃貸借契約(「以下「丙賃貸借契約」という。)を締結した。その際、CとDは、専らCの診療所の患者用駐車場として利用されてきた甲2土地について、以後は専らDの診療所の患者用駐車場として利用することを確認した。
      15.平成28年5月1日以降、Dは、丙建物で診療所を営んでいる。丙建物の出入りは専ら甲1土地上にある出入口で行われ、甲2土地は、従前と同様、診療所の患者用駐車場として利用されており、3台の駐車スペースのうち1台は救急患者専用のものとして利用されている。
      16.平成28年9月3日、Aは、CD間で丙賃貸借契約が締結されたこと、Dが丙建物で診療所を営み、甲2土地を診療所の患者用駐車場として使っていることを知った。同月5日に、Aは、Cに対し、事前に了解を得ることなく、①Cが丙建物をDに賃貸し、そこでDに診療所を営ませていること、②Cが甲2土地を診療所の患者用駐車場としてDに使用させていることに抗議した。

      〔設問2〕【事実】1から16までを前提として、次の問いに答えなさい。
      Aは、本件土地賃貸借契約を解除することができるか、【事実】16の下線を付した①及び②の事実がそれぞれ法律上の意義を有するかどうかを検討した上で、理由を付して解答しなさい。

      Ⅲ 【事実】1から16までに加え、以下の【事実】17から20までの経緯があった。
      【事実】
      17.その後、AはCだけでなく、Dにも連日苦情を述べるようになった。Dから対処を求められたCは、平成28年9月20日、Aに対し、50万円を支払うので今回の件をこれ以上問題にしないでほしいと申し入れた。Aは不満ではあったものの、金策に追われていたことから、Cの申し入れを受け入れることにし、AとCとの間で和解が成立した。同月25日に、Cは、Aに対し、前記和解に基づき、50万円を支払った。Dは、Cから、Aとの和解が成立した旨の報告を受け、引き続き診療所を営んでいる。
      18.平成28年12月10日、Aは、資金繰りの必要から、Eとの間で、本件土地(甲1土地、甲2土地及び乙土地)を6000万円でEに売却する旨の契約(以下「本件売買契約」という。)を締結した。その際、Aは、Eに対し、Cの契約違反を理由に本件土地賃貸借契約は解除されており、Cは速やかに丙建物を収去して本件土地を明け渡すことになっている旨の虚偽の説明をした。Eがこの説明を信じたため、前記代金額は、それを前提として決定され、建物の収去及び土地の明渡しが未了であることを考慮し、本件土地の更地価格(7000万円)より1000万円低く設定された。
      19.平成28年12月16日、Eは、Aに対し、本件売買契約に基づき、その代金として6000万円を支払った。また、同日、本件土地の3筆それぞれにつき、本件売買契約を原因として、AからEへの所有権移転登記がされた。
      20.平成29年2月20日、Eは、Cに対し、本件土地の所有権に基づき、丙建物を収去して本件土地を明け渡すことを求める訴えを提起した。

      〔設問3〕 【事実】1から20までを前提として、次の問いに答えなさい。
      Cは、Eの請求に対しどのような反論をすることが考えられるか、その根拠を説明した上で、その反論が認められるかどうかを検討しなさい。

      【別紙 図面】

       

       

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