行政書士の試験科目より 行政作用~行政裁量・自由裁量・行政行為の附款~

行政書士の試験科目より 行政作用~行政裁量・自由裁量・行政行為の附款~


行政書士試験で出題される行政法では、行政行為について定めています。

1 行政裁量

原則、行政行為は法律や条令に従って行われる必要があります。
その原則だけで考えるのであれば、行政庁が行政行為を行う前にあらかじめ法律で細部まで決めておき、行政庁の恣意的判断が介入しないようにした上で、行政庁は単に法律を機械的に執行すればよいという状態するのが理想に思えます。
このような流れを『羈束行為』といいます。

ただ、世の中の変化が激しい以上、立法機関がその変化を全て予測しあらかじめ決めておく、などということはとても不可能な話です。
もし無理にやったとしてもやがては行政需要の変化に対応出来なくなり、行政の硬直化を招いて国民の利益を害することになるでしょう。

そのため行政行為の内容や要件に関しては、法律である程度抽象的な規定をし、行政行為を行うのかどうか、また行うとしたらどのようなことをするのかということについては、行政庁の専門的・政策的な独自の判断(裁量判断)に委ねることがあります。
これを『行政裁量』といい、認められています。

2 行政裁量の種類

行政裁量には、『法規裁量(羈束裁量)』と『自由裁量(便宜裁量)』があります。

法規裁量は当然に司法審査が可能なものとされ、通常人の日常的な経験に基づき判断し得る裁量、何が法規かといった裁量です。
行政庁が裁量を誤った場合には、裁判所で違法の判断を下すことが可能です。

自由裁量は司法審査が出来ないもので、行政庁の高度の専門技術的判断や政策的判断を伴った裁量事項です。
仮に行政庁が裁量を誤ったときでも原則、当不当の問題にとどまるため、違法とはならず、司法審査の対象とされないのです。

判例では当初、自由裁量行為か法規裁量行為なのかを最初に決め、自由裁量行為ならば行政庁の判断を尊重し、その行為の当否に関して裁判所は突っ込まないということにしていました。
自由裁量とされた判例としては、外国人の在留許可の更新(マクリーン事件)、生活保護基準の認定(朝日訴訟)、原子炉の安全性の審査(伊方原発訴訟)、汚物処理業不許可処分、公立大学生に対する処分(京都府立医大事件)、公務員の懲戒処分が、法規裁量とされた判例には農地貸借権の設定移転の承認、運転免許取消の事由に該当するか否かの判断、国有財産(皇居外苑)の使用許可があります。

3 自由裁量の限界

しかし、現在ではその考え方も変化しています。

自由裁量だからといって行政庁が何でも自由に決められるというわけではなく、裁量の枠には限界があると考えられるようになってきたのです。
裁量の枠は無限なのではなく法規裁量に比べて相当広いだけにすぎず、その枠を超えてしまってはその裁量は違法であるのだ、とされています。

判例でも両者の区別がなくなってきており、行政事件訴訟法30条によって行政庁の判断の広狭は別問題とされ、裁量権を逸脱・濫用したかどうかという基準によって実質的な判断が下されています。

☆行政行為の附款
行政行為の効力に制限を加えたり、新たな義務を課したりするため、主たる意思表示に負荷される行政庁の従たる意思表示のことを『行政行為の附款』といいます。

附款を付すことにより、行政活動をより柔軟なものにすることが出来ます。
私人の権利利益を最大限保障しながらも行政の実現を適切、かつ円滑にする効果があるため、行政庁の意思法事に酔って成立する法律行為的行政行為にしかつけられないのです。
つまり前のページなどに出てきた確認、公証、通知、受理などといった準法律行為的行政行為には附款を付けることが出来ず、下命(禁止)、許可、免除、特許、許可、代理にのみ附款を付けられるということです。

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