行政作用~即時強制・行政調査・行政罰~

行政作用~即時強制・行政調査・行政罰~

行政書士試験で出題される行政法は、行政作用について定めています。

義務を課されているのにそれを履行しない人に対し、行政庁が自らの力で強制的にその義務を履行するという『自力執行力』を法律は認めています。
この強制手段が行政強制と行政罰で、義務を命じたことが前提の行政強制を『行政上の強制執行』といいました。

即時強制

それに対し、相手方となる国民に義務を命じることなく行政権がいきなり国民の身体・財産に直接強制力を加え、行政目的を実現する手段を『即時強制』といいます。
行政権によってもともと命じられていた義務の不履行が前提である強制執行とは異なり、こちらは義務の前提がありません。

即時強制が認められるのは、身体に対する措置が「警察官職務執行法による保護・避難」「感染症予防法による強制入院・強制隔離」で、財産に対する措置が「消防法による破壊消防」「狂犬病予防法による狂犬の処分」「違法駐車のレッカー移動」です。

つまり、すぐに対処しなければならないような事態の解決のため、相手方に義務を課している時間がないときや、義務を課しても意味がないようなときにするのが即時強制なのです。
たとえば、エボラ出血熱のような急速に広まる感染症の場合、それに罹った人に対して「あと1日以内に入院して」などと義務を課している暇はありません。
一刻も早くする必要がありますし、もしもその人がそれを無視したら事態はさらに悪化してしまいます。
そのため、法律で定められた病気に感染した人に対しては、強制的に入院・隔離させることが認められているのです。
また、警察官職務執行法による保護とは、泥酔している人や迷子の幼児に対するものです。
泥酔した人は正常な判断能力を失っていますし、幼児もまだ一般的な思考力があるとはいえませんから、「家に帰りなさい」などと義務を課しても難しい話でしょう。
そのため、義務を課すことなく、いきなり交番に連れていって保護するというわけです。

即時強制は国民の身体・財産に直接強制力をかけることになるため、個別の法律・条令の根拠が必要です。
また、判例では「即時強制は行政力が実力を用いて行政目的の実現を図るものでもあり、人権侵害の危険が強い」と、令状主義が適用されるとしています。
令状が必要だと規定している法律もあります。

行政調査

行政目的実現のため、行政機関が調査・情報収集活動することを『行政調査』といいます。
家屋や船舶への立入(臨検)検査や警察官による職務質問、自動車検問などがその例です。

強制を伴わない任意調査は法律的根拠不要ですが、罰則によって強制する場合には法律・条令の根拠が必要になります。

調査の目的はあくまで目的の実現であるため、犯罪捜査を目的としません。
また、比例原則にのっとり、目的達成のための調査は必要最小限のものであることが求められます。

判例上、行政調査にも憲法35条の令状主義が適用され得るとされています。
行政手続にも令状主義が適用されることがありますが、常に適用されるわけではありません。

行政調査の相手方が調査を拒否したときでも、実力や暴力などの有形力を伴った調査は許されません。
相手方が正当な理由なしに行政調査を拒んでも、相手方の意に反し、実力行使による調査を強行することは出来ないのです。
こういったときには、行政上の強制執行手続をとるべきとされています。

行政罰

行政上の義務違反に対して課される制裁を『行政罰』といいます。
これは不履行に対する反撃のようなもので、『行政刑罰』と『秩序罰』があります。

行政強制の執行罰とは違い、行政罰は過去の義務違反に対する制裁です。
いずれも行政上の義務履行の確保を目的としていますが、執行罰は将来に向かって義務の実現を図っているのです。

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