法科大学院募集停止の背景には予備試験があった・・・?!

法科大学院募集停止の背景には予備試験があった・・・?!

法科大学院とは

法科大学院

法科大学院(ロースクール)は、弁護士や検察官といった法曹になることを目指している人が通う大学院になります。

法曹に必要な学識や能力を養成することを目的としていて、修了すると司法試験の受験資格と法務博士の専門職学位が与えられます。
基本的に、法科大学院生はみな司法試験合格を目指しています
法科大学院へ行くメリット・デメリットについてはこちらをご覧ください。

法科大学院募集停止の背景

法科大学院の数の推移

文部科学省によると、2018年度に学生を募集する法科大学院は39校です。
法科大学院の制度は2004年に始まり、ピーク時には74校が存在しましたが、現在はそれの約半分になってしまっています。(文部科学省)

法科大学院数

法科大学院と法曹需要

なぜこういったことが起こっているのでしょうか。
背景には、政府の「読み間違い」があるのです。

日本政府は2002年、今後弁護士が足りなくなるとして、年間1200人程度だった司法試験合格者を、3000人程度にまで増加させることを目標に掲げました。
経済のグローバル化や知的財産への関心の高まりなどから、その分野で法曹需要が高まる、と考えたのです。

それを受けて大学は、次々に法科大学院を設立。
政府も2016年までに1兆円近くの財政支援を行いました。
しかし、この読みが大きく外れて、法曹への需要は高まりませんでした
むしろ、裁判所が受理した事件数はこの10年間で約3分の2程度になっています。(裁判所)

新受事件数

募集停止になった法科大学院一覧

この結果、法科大学院は飽和状態となってしまいました。
さらに、志願者の減少、予備試験の導入などにより多くの法科大学院が廃止・募集停止に追い込まれています。
以下が募集停止となった、また募集停止となる法科大学院一覧です。

               

2011年度 姫路獨協大
2012年度 大宮法科大学院大、駿河台大、明治学院大、神戸学院大
2014年度 東北学院大、大阪学院大
2015年度 白鴎大、獨協大、東海大、関東学院大、大東文化大、新潟大、信州大、龍谷大、島根大、広島修道大、香川大、鹿児島大、久留米大
2016年度 国学院大、東洋大、神奈川大、山梨学院大、静岡大、愛知学院大、中京大、京都産業大、熊本大
2017年度 成蹊大、名城大
2018年度 北海学園大、青山学院大、立教大、桐蔭横浜大

 

法曹の数の推移と原因

では、政府が読み間違えた法曹の数は実際にはどうなっているのでしょうか。
司法試験合格者の推移は以下のとおりです。(日弁連)

司法試験合格者数

新司法試験が始まった2006年は合格者数が1500人程度(旧司法試験の合格者含む)でしたが、その翌年には2000人を超えました。
2002年に政府が打ち立てた、司法試験合格者数を「2010年ごろまでに年間3000人程度」という目標に向かって、順調に進んでいるように見えました。

しかし、法曹を増やすことは実態と乖離があるとして、その後合格者数は減少し、2014年には再び合格者が2000人を切り、2016年・2017年は1500人を超えるのが精一杯、という結果になっています。

法科大学院志願者と入学者の推移

先ほど、法科大学院の志願者が減少していると述べましたが、以下のようになっています。
2016年度の入試で初めて志願者が1万人を下回りました。(文部科学省)

法科大学院志願者数と入学者数

グラフが示すとおり、年々、志願者数・入学者数ともに減少しています。

法科大学院が開始された2004年は志願者数が72,800人、入学者数が5,767人、倍率が13倍でした。
わずか10年あまりで志願者数は約10分の1になり、法科大学院を取り巻く環境は大きく変わってしまったと言えます。

2013年以降も志願者数が減少していますが、その分学生を募集している大学院の減少も起こり、倍率が3倍程度で推移しています。

法科大学院の衰退と予備試験の高まり

法科大学院の人気が低迷する一方で、予備試験ルートによる司法試験受験資格取得を目指す人が増加しています。
司法試験のルート別合格率についてはこちらをご覧ください。

予備試験は法科大学院に比べて経済的・時間的負担が少なく、自分にあった学習方法を選択することができます。
また、予備試験経由の司法試験合格率は2017年に70%超え、と非常に高くなっています。

一方、法科大学院修了者の合格率は20%程度(全学校平均)しかありません。
法科大学院で募集停止に追い込まれている学校は、軒並み司法試験合格率が低い、という現状があります。

司法試験合格者のルート別内訳割合

経済的・時間的負担が少なく、司法試験合格にも近い、ということを考えると、予備試験ルートによる司法試験受験者が増加し、法科大学院が募集停止になるのも必然、と言えるかもしれません。
予備試験の詳細についてはこちらをご覧ください。

法科大学院の今後

今後についても、法科大学院は明るい展望は見いだしづらいと考えられます。
ランク別による補助金の格差によってますます政府からの支援はもらえなくなります。
また、司法試験合格者の削減方針、予備試験経由の合格者の増加など、法科大学院の存在を脅かすものがたくさんあるのです。
今後も募集停止を発表する法科大学院が出てきてしまうでしょう。

 

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