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      2017年本試験問題(刑法)

      [刑事系科目]
      【第1問】(配点:100)
      以下の事例に基づき、甲及び乙の罪責について、具体的な事実を摘示しつつ論じなさい(建造物侵入罪及び証拠隠滅罪並びに特別法違反の点は除く。)。
      1 会社員甲(28歳、男性、身長165センチメートル、体重70キログラム)は、毎月25日、勤務先から給料23万円を支給されていたが、預貯金はなかった。甲は、某年8月25日に支給された給料の大半を遊興に費消したため、9月10日には、手持ちの金がほとんどなくなってしまった。
      2 甲は、9月12日午後1時、自宅近くのショッピングモール内にある時計店で、以前から欲しかった限定品の腕時計X(販売価格10万円)が、1個だけ販売されているのを見付けた。甲は、手持ちの金がなかったため、勤務先会社の同僚A(28歳、男性、身長170センチメートル、体重65キログラム)から金を借りて腕時計Xを購入しようと考えた。甲は、同日午後1時5分、同時計店内でAに電話をかけ、「腕時計Xを買いたいので10万円貸して欲しい。」と頼んだところ、Aからは金がないと言われて断られた。しかし、甲は、どうしても腕時計Xが欲しかったため、引き続きAに対して、「クレジットカードを貸してくれないか。そのクレジットカードで腕時計を買いたい。使った分の金は9月25日の給料で支払うし、腕時計Xを買うほかには絶対使わない。」と頼んだ。Aは、甲の言うことを信じ、甲に対して、B信販会社が発行したA名義のクレジットカード(以下「本件クレジットカード」という。)を腕時計Xを購入するためだけに利用することを条件として貸すことにした。なお、本件クレジットカードは、B信販会社が所有するものであり、B信販会社の規約には、会員である名義人のみが利用でき、他人への譲渡、貸与等が禁じられていることや、加盟店は、利用者が会員本人であることを善良な管理者の注意義務をもって確認することが定められている。
      3 同日午後2時、甲は、Aと会って本件クレジットカードを受け取り、同日午後3時、前記時計店に戻った。甲は、同時計店に戻った後に新たに見つけた腕時計Y(販売価格50万円)を、交際相手へプレゼントするために購入したいと考えた。甲は、本件クレジットカードを腕時計Xを購入するためだけに利用するというAとの約束に反すること、今後、Aに合計60万円を支払うことができる確実な見込みがないことをそれぞれ認識しつつ、同日午後3時15分、応対した同時計店店主Cに対し、腕時計Xと腕時計Yの購入を申し込んだ。その際、甲は、Cに対し、A本人であると装って本件クレジットカードを手渡した上、Cの求めに応じ、B信販会社の規約に従い利用代金を支払う旨の記載がある売上表用紙の「ご署名(自著)」欄にAの名前をボールペンで記入して手渡した。Cは、その署名を確認し、甲がA本人であって、本件クレジットカードの正当な利用権限を有すると信じ、甲に対して、腕時計Xと腕時計Yを合計60万円で売却した。甲は、購入した腕時計Xと腕時計Yを持って同時計店を出た後、同日午後5時、交際相手と会って、同人に腕時計Yをプレゼントした。
      4 甲は、同日午後6時、Aと会って本件クレジットカードを返却した。その際、甲は、Aに対して、本件クレジットカードを利用し、腕時計X以外にも、交際相手へプレゼントするために腕時計Yを購入したこと、それらの購入金額の合計が60万円であったことを話した上で、「60万円は絶対支払う。」と言った。Aは、甲が約束を破り、本件クレジットカードを利用して腕時計Yを購入したことから甲に対する怒りを覚えたものの、「使ってしまったものは仕方がない。金の支払いを受けられれば良い。」と思い、甲から60万円が支払われるのを待つことにした。
      5 その後、甲は、Aに支払う60万円を用意するため、複数の知人に借金を申し込んだが、誰からも金を借りられず、60万円を用意できないまま9月25日の給料日を迎えた。甲は、同日、Aに対して、「来月まで支払いを待ってほしい。」と頼んだ。Aは。甲の頼みを聞いて、10月25日の給料日まで甲の支払を待つことにした。その後も、甲はAに支払う60万円を用意するため、複数の知人に借金を申し込んだが、誰からも金を借りられず、60万を用意できないまま10月25日の給料日を迎えた。Aは、同日以降、何度も、甲に対して60万円を支払うように求めたが、甲は、適当な理由をつけてAに金を支払わなかった。そのためAは甲に対する怒りを募らせた。
      11月10日、A名義の銀行口座から、腕時計Xと腕時計Yの代金60万円を含む本件クレジットカードの9月分の利用代金が引き落とされた。高額の支出のため生活費に困ったAは、甲に対する怒りを更に募らせ、甲に対して60万円を支払うように強く求めた。甲は、Aの甲に対する怒りがかなり強くなっていることを知り、同月15日、複数の金融業者から借りて現金60万円を用意し、これをAに支払った。しかし、Aの甲に対する怒りは収まらず、Aは顔を合わせるたびに甲に対して、「さんざん迷惑掛けやがって。これで済んだと思うなよ。」などと嫌みを言っていた。
      6 甲は、11月20日午後8時、知人乙(25歳、男性、身長175センチメートル、体重75キログラム)と飲食店で飲食していたところ、偶然Aが同店にやって来た。Aは甲を見付けると、甲に対して、「のんきに飯なんか食いやがって。金もないくせに。」などと嫌みを言い始めた。甲は、Aの言動に嫌気がさし、同店から徒歩で15分の所にある、甲が一人で暮らす甲宅で乙と飲食し直すことにし、同日午後8時5分、Aに気付かれないようにして、乙と同店を出た。
      7 Aは、同日午後8時10分、甲が同店から出たことに気付いて怒り、同店から出て甲を追い掛け、同日8時15分、人気のない暗い路上で、乙と歩いている甲に追い付いた。Aは、甲に対して、「こそこそ逃げやがって、この野郎。」と言いながら、甲の顔面を殴ろうとして、右手の拳骨を甲の顔面に向けて突き出した。これに気付いた甲は、Aの右手の拳骨をかわしながら、このままではAから殴られると考え、これを防ぐため、乙に対して、「一緒にAを止めよう。」と言った。乙は、甲がAから殴られるのを防ごうと考え、「分かった。」と答えた。そこで、甲と乙が正面からAに体当たりしたところ、Aは路上に尻餅を付いた。しかし、Aは、すぐに立ち上がり、「この野郎。」と言いながら、再び右手の拳骨で甲の顔面に殴りかかろうとした。甲と乙は、甲がAから殴られるのを防ごうと考え、再び正面からAに体当たりしたところ、Aが路上に仰向けに倒れた。倒れたAは、「なにするんだ。この野郎。」と大声で言いながら、立ち上がろうとした。その様子を見た甲は、しばらくAを押さえ付けておけばAが落ち着き、Aから殴られることもなくなるだろうと考え、乙に対して「一緒にAを押さえよう。」と言った。乙は、甲がAに殴られるのを防ごうと考え、甲に対して、「分かった。俺は上半身を押さえるから、下半身を押さえてくれ。」と答えた。
      甲は、仰向けに倒れているAの両膝辺りにAの足先の方向を向いてまたがり、Aの両足首を、真上から両手で力を込めて押さえ付けた。乙は、仰向けに倒れているAの腰辺りにAの頭の方向を向いてまたがり、Aの両上腕部を、真上から両手で力を込めて押さえ付けた。しかし、Aは、身体をよじらせながら、「離せ。甲、お前をぶん殴ってやる。絶対に許さない。覚悟しろ。」と甲を大声で罵り、更に力を込めて体をよじらせた。乙は、Aのその様子を見て、甲がAから殴られるの防ぐためには、Aを痛めつけて大人しくさせるしかないと考えた。そこで、乙は、Aの腰辺りにまたがってAの右上腕部を真上から左手で力を込めて押さえ付けたまま、Aの左上腕部に右膝を力を込めて押し当てた上、傍らに落ちていた石(直径10センチメートルの丸形、重さ800グラム)を右手で拾い、右手に持ったその石で、Aの顔面を力を込めて1発殴った。するとAは失神し、全く動かなくなった。なお、甲は、乙が石を拾ったことや乙が右手に持った石で殴り付けた際、Aを殺そうともAが死ぬかもしれないとも考えていなかった。
      8 甲と乙は、Aが全く動かなくなったためAから離れた。甲は、乙から、右手に持った石でA顔面を殴ったことを聞いた。甲と乙は、鼻から血を流して全く動かないAの様子を見てAが死んでしまったと思った。甲は、乙に対して、「Aは結婚して妻も子供もいるのにどうしよう。」と言った。乙は、近くに人がいないことを確認した上、甲に対して、「Aが強盗に襲われて死んだように見せ掛けよう。Aの財布を探して捨ててしまおう。」と言った。甲は、乙に対して、「そうしよう。」と答えたものの、「財布は捨ててもいいが、もったいないから中の現金はもらい、借金の返済に使おう。」と考えていた。しかし、甲は、乙にその考えを話さなかった。甲と乙は財布を探した。甲は、Aのズボンのポケット内に財布1個があるのを見付けたので、乙に財布を見付けたことを話した上、同ポケットから同財布を取って中を確認したところ、同財布には1万円札4枚の合計4万円が入っていた。甲は、同財布に現金4万円が入っていたことを乙に話した上、現金入りの同財布を、甲の上着ポケットにしまった。乙は、甲が現金入りのまま同財布を捨ててくれると思っていた。
      甲と乙は、そのまま甲宅へ向かい、同日午後8時30分、甲宅に到着した。乙は同日午後9時、帰宅するために甲宅を出た。甲は、同日午後9時5分、甲宅において、上着ポケットにしまったままの現金入りの同財布を取り出して現金4万円を抜き取り自分のものとし、同財布は甲宅の押し入れ内に隠した。
      9 Aは、同日午後10時頃、失神したまま路上に倒れていたところを通行人に発見され、通報により到着した救急隊員により病院に搬送された。Aは、乙に石で顔面を殴られたことから、全治約1ヶ月を要する鼻骨骨折の傷害を負った。

       

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