フランスで弁護士になるためには?司法試験制度も含めて解説

フランスで弁護士になるためには?司法試験制度も含めて解説

現在法律関係の仕事をされている方であれば、一度は転職やキャリアアップのために海外留学をしたり、海外の弁護士資格を目指したりすることを考えた方も多いのではないでしょうか。

 

日本では司法試験を受けて合格したら弁護士になれますが、少し海外に目を向けてみると日本とは異なるその国独自の司法試験制度が実施されています。

 

今回は、そんな海外の国のなかでもフランスの司法試験制度と弁護士になる方法を解説します。

言語の壁もあるため、留学や弁護士資格を取得するのであれば英米系の国を選ぶ方が多いですが、フランス法は日本と同じ大陸法ということもあり、日本である程度法律を勉強されている方であればとっつきやすいかもしれません。

 

フランスに興味があって、もし海外に留学するならフランスに行ってみたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

1 フランスの司法試験制度と弁護士事情

フランスの司法試験制度は、日本とかなり異なっています。他方、弁護士業務の内容については制度の変更により日本の弁護士と変わらない内容となっているようです。

(1) 裁判官&検察官と弁護士は別ルート

日本では、裁判官、検察官、弁護士の法曹三者がすべて同じ司法試験を受験し、司法修習を行いますが、フランスでは、裁判官、検察官になるルートと、弁護士になるルートはそれぞれ別になっています。

(2) フランスの弁護士事情

以前は、フランスの弁護士は弁護士と代訴士に分かれており、当事者を代理して訴訟書類を作成し提出するといった法廷業務は代訴士、口頭弁論を中心とする主張立証活動の補佐業務は弁護士が行うこととされていました。

しかし、現在は代訴士の業務も弁護士が行うことになってすべて弁護士に統一されています。

また、従来は弁護士の活動は法廷での活動が中心で、法律相談業務については法律顧問が行なっていました。しかし、これも現在は弁護士の業務となって弁護士に統一されています。

このように、フランスの弁護士の業務も日本における弁護士の業務内容と変わらない内容となっています。

2 フランスで弁護士になるには?

では、フランスで弁護士になるには、どのような課程をたどる必要があるのでしょうか。以下で具体的な弁護士になる流れについて解説します。

(1) 法学修士課程を修了する

まずフランスで弁護士になるためには、フランスで法学修士課程を修了する必要があります。

フランスの大学は、第1課程(2年間)、第2課程(学士1年、修士1年の合計2年間)、第3課程(3年間)に分かれています。そして、第1課程で法学入門・ 民法・憲法・刑法・行政法など基礎的な内容を勉強し、第2 課程で専門教育を受け、第3課程で日本でいう博士課程の教育を受けることになります。

 

第2課程の1年目を修了すると学士号、第2課程の2年目を修了すると修士号がもらえます。

 

フランスの司法試験の受験には、この第2課程の2年目までを修了しなければなりません。つまり、大学では学部3年、修士1年の合計4年間の教育を受ける必要があります。 

 

大学の授業は、教授による講義形式が中心で、その内容も実務的な内容ではなく、法理論であるというのが特徴的です。

(2) 司法試験に合格する

法学修士課程を修了すると、弁護士養成学校への入所試験の受験資格を得ることができるようになります。この入所試験が日本でいう司法試験に相当します。

 

受験資格

司法試験の受験資格は、法学修士課程を修了すると得ることができます。つまり、司法試験の受験には学士課程と修士課程の合計4年間大学で勉強する必要があるということになります。

 

試験内容

この司法試験は、大学の付属機関である司法教育研究所が実施しているため、それぞれの司法教育研究所によって試験内容は異なります。

 

試験の特徴としては、筆記試験の科目数は少ないものの、試験時間が長いということが挙げられます。筆記試験では3時間から5時間もの試験時間が設定されています。

 

また、筆記試験よりも口述試験が重視されているというところも特徴的です。弁護士というと法廷で弁論をしている姿がよくイメージされますが、フランスでも伝統的に弁護士は口頭弁論が専門だったことから、口頭で説得的に表現する能力が重視されているようです。

 

さらに、フランスの司法試験では外国語科目も試験科目となっているというのも特徴的です。

 

合格率

司法教育研究所ごと、また年度によっても合格率は異なっていますが、その合格率は40%〜50%程度となっています。

(3) 弁護士養成学校に入所

これは日本でいう司法修習に相当し、弁護士養成学校では研修生として18ヶ月間の実務修習を受けることになります。

 

18ヶ月のうち、基礎研修が6ヶ月間、個別研修が6ヶ月間、弁護士事務所研修が6ヶ月間となっています。個別研修と弁護士事務所研修先は自分でアレンジしなければならないようです。

 

① 基礎研修

講義形式で行われ、その講義内容は法律相談や訴訟戦略、手続実務など、実務的かつ実践的な内容となっています。

基礎研修での出欠や発言状況、課題の成績は弁護士適格証明試験で平常点として評価の対象となるので気が抜けません。

 

② 個別研修

個別研修では、研修生が自分で研修先を見つけてくる必要があります。研修先は、自分が所属する養成学校が認可した機関もしくは組織でなければならないものの、地方公共団体や司法機関、民間企業、各省庁、外国の法律事務所など、あらゆる機関または組織での研修が認められています。

 

③ 弁護士事務所研修

弁護士事務所研修についても、受入先は研修生が自分で探してこなければなりません。研修先がそのまま就職先になることも多いため、研修の受入先の事務所を探すことが就職活動も兼ねているということになるようです。

 

日本では司法修習の弁護修習先は弁護士会が手配してくれるので弁護修習先が見つからないといった事態はありえませんが、フランスでは弁護士事務所研修先が見つからずに研修を終えることができないという事態も生じているようです。

(4) 弁護士職適格証明試験を受験

これは、日本でいう二回試験に相当します。

 

試験内容は、弁護士養成学校の入所試験と同様、筆記試験と口述試験があり、口述試験の比重が大きいというところが特徴的です。

 

ただ、合格率はどの弁護士養成学校も100%近くとなっており、この点は日本の二回試験と似ているといえます。

3 日本とフランスとの違い

(1) 合格率

フランスの司法試験に相当する弁護士養成学校の入所試験は40〜50%の合格率、二回試験に相当する弁護士職適格証明試験は100%近い合格率となっています。

もっとも、以前は一定のレベルに達していれば合格とされ、合格者数の制限はされていなかったようですが、近年は弁護士数の増加に鑑み合格者数が制限されるようになってきているようです。

 

他方、日本の司法試験の合格率は20%〜40%程度、司法修習後の二回試験の合格率は98%程度です。

(2) 司法試験の形式

日本の予備試験では口述試験も取り入れられていますが、司法試験は筆記のみです。

 

他方、フランスでは筆記だけではなく口述試験があり、口述試験の比重が高いというのが特徴的です。

 

また、筆記試験の試験時間も日本では1科目2時間ですが、フランスでは3時間から5時間とかなり長時間に及ぶものとなっています。

(3) 司法修習

日本の司法修習は1年ですが、フランスの司法修習に相当する弁護士養成学校での研修は1年半となっており、実務修習が充実しています。

 

しかし、日本では弁護修習先は弁護士会がアレンジしてくれますが、フランスでは自分で弁護士事務所研修先をみつけなければななりません。

 

また、日本では修習期間中給付金をもらうことができますが、フランスでの基礎研修期間中は、原則として無給となっています。

4 日本の弁護士資格保有者は、同等性試験によりフランスの弁護士資格を取得可能

日本の弁護士資格を保有している方であれば、日本でいう日弁連に相当するフランスの弁護士全国評議会が実施する同等性試験を受験することで、フランスで弁護士資格を得ることができます

ただ、その試験内容としては、筆記試験2科目、口述試験2科目となっており、日本語を母語とする方にとってはハードルが高くなっています。

5 サマリー

フランスの司法試験制度は日本とは異なり、弁護士になるための試験と裁判官・検察官になるための試験に分かれています。

 

他方、フランスで弁護士になるルートは日本の制度と似ています。

 

フランスで弁護士になるためには、まず法学修士課程を修了し、その後司法試験に合格したら弁護士養成学校に入所します。弁護士養成学校で研修を終えると弁護士職適格証明試験を受け、この試験に合格すると弁護士になることができます。

6 まとめ

  • フランスの司法試験制度は弁護士と裁判官・検察官で別ルート
  • フランスで弁護士になるには司法試験に相当する弁護士養成学校入所試験に合格して研修をした上で、二回試験に相当する試験に合格する必要

※当記事は日本弁護士連合会の法曹養成対策室報No.5(2011)を参考にしております。

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