司法試験の選択科目の選び方は?試験科目や選択基準について徹底解説!

司法試験の選択科目の選び方は?試験科目や選択基準について徹底解説!

司法試験では、論文式の科目の一つとして、選択科目があります。選択科目には、8科目あり、そこから一つ選ぶことになりますが、何を選んだら良いのか、迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。

科目ごとの教材の充実さや試験対策も異なるので、一度入門書を読んでみるのも一つの手かもしれません。

この記事では、司法試験の選択科目について、選ぶ際の基準などを徹底解説します。

1 司法試験の選択科目について

(1) 選択科目には何がある?

選択科目には、以下の8科目があります。

倒産法、租税法、労働法、経済法、知的財産法、環境法、国際関係法(私法系)、国際関係法(公法系)

(2) 選択科目ごとの受験者数

実際にどれくらいの受験生が各選択科目を選んでいるのか、令和3年度司法試験では、以下のとおりでした。

選択科目 受験者数(割合)
労働法 1,009人 (29.7%)
経済法 639人 (18.8%)
知的財産法 486人 (14.3%)
倒産法 437人(12.9%)
国際関係法(私法系) 355人 (10.5%)
租税法 277人 (8.2%)
環境法 143人 (4.2%)
国際関係法(公法系) 46人 (1.4%)
3,392人

出典:法務省

上記をみると、最も選択科目が選ばれていたのは、労働法で1,009人(29.7%)、次に多かったのが経済法で639人(18.8%)でした。

他方、最も受験者数が少なかった選択科目は国際関係法(公法系)で46人(1.4%)でした。

(3) 選択科目ごとの司法試験合格率

令和3年度司法試験の選択科目ごとの司法試験合格率は以下のとおりでした。

選択科目 合格者数(割合) 合格率
倒産法 202人(14.22%) 46.2%
労働法 455人 (32.02%) 45.1%
経済法 277人 (19.49%) 43.3%
国際関係法(公法系) 19人 (1.34%) 41.3%
知的財産法 193人 (13.58%) 39.7%
租税法 109人 (7.67%) 39.4%
国際関係法(私法系) 122人 (8.59%) 34.4%
環境法 44人 (3.10%) 30.8%

出典:法務省

上から順に合格率の高さを示しています。

最も合格率が高かったのは、倒産法で46.2%でした。他方、合格率が最も低かったのは環境法で30.8%でした。

倒産法と環境法の合格率を見比べると、15%ほどの差があるため、合格率に差が出ているようにみえます。

2 司法試験の選択科目はどのように選んだらいい?

以上を踏まえて、では、選択科目をどのような基準で選んだらよいのか、参考ではありますが、以下の基準で選ぶのをおすすめします。

(1) 興味が持てるか

そもそも興味が持てない科目については、勉強を続けることが苦難なので、興味が持てる科目を選ぶのは一つの重要な指針になります。

ただ、そもそも初めて学ぶ選択科目については、どのような法律なのか、内容を知ってみないとわからないということもあると思います。

そういった場合は、1日程度で読める薄い入門書などを一度読んでみるのをおすすめします。

最初は興味がなかったものの、入門書を読んで「面白そう!」と興味が沸くこともあるでしょう。

また、選択科目を先に学習している先輩や知り合いなどから聞いてみるのもよいでしょう。 

(2) 勉強量の多さ

勉強量の多さは、勉強時間にも影響するため、これは、非常に重要な観点になります。

特に、予備試験ルートで司法試験受験を目指す方は、社会人受験生の方も多く、選択科目の勉強に割く時間を法科大学院ルートの司法試験受験生よりも取ることができません。

したがって、勉強量をなるべく少なくすむ選択科目を選ぶのも一つの方法になります。コスパを重視するということですね。

経済法や国際関係法(私法)は、他の選択科目に比べると勉強量が少ないといわれています。

他方、労働法や倒産法は判例も多く、他の選択科目と比較すると勉強量が多いといわれています。

もっとも、後に紹介するように、労働法や倒産法は受験者数も多く、教材が比較的充実していることもあるので、何を重視して選択科目を選ぶかご自身で決めるのが大事になります。

(3) 基本書・参考書等の教材の充実度

選択科目は、多くの受験生にとって初めて学ぶ科目になると思います。一から学ぶ法律について、どのようなテキストや教材を選ぶかはとても重要ですよね。

ここでは、後にご紹介するシェア率の高さとも関連してきます。例えば、受験者数の多い労働法や経済法などは、需要も高いため、教材も充実しているのです。

一方で、受験者数の少ない国際関係法(公法系)や環境法は教材が少ないのが現状です。そういった場合は、身近にその科目を選択している知人や先輩に聞いてみるのが良いかもしれません。

(4) シェア率の高さ

                  シェア率                   
令和3年 令和2年 令和元年 平成30年 平成29年
倒産法 437人

(12.9%)

452人(12.3%) 608人(13.7%) 758人(14.6%) 906人(15.3%)
租税法 277人 

(8.2%)

288人(7.9%) 329人(7.4%) 358人(6.9%) 412人(6.9%)
経済法 639人 

(18.8%)

683人(18.6%) 789人(17.8%) 848人(16.3%) 867人(14.6%)
知的財産法 486人 

(14.3%)

525人(14.3%) 597人(13.5%) 714人(13.7%) 803人(13.5%)
労働法 1,009人 

(29.7%)

1,104人(30.1%) 1,299人(29.3%) 1,481人(28.5%) 1,738人(29.3%)
環境法 143人 

(4.2%)

161人(4.4%) 256人(5.8%) 305人(5.9%) 353人(6.0%)
国際関係法(公法系) 46人 

(1.4%)

48人(1.3%) 59人(1.3%) 64人(1.2%) 81人(1.4%)
国際関係法(私法系) 355人 

(10.5%)

403人(11.0%) 492人(11.1%) 672人(12.9%) 769人(13.0%)
合計 3,392人 3,664人 4,492人 5,200人 5929人

参照:法務省「司法試験の結果について」

過去5年間のデータを見てみましょう。例年、労働法が圧倒的に多いことが分かりますね。

これは、あくまで司法試験の選択科目のデータでしかありませんが、受験生の多数がどの科目を選択しているかも重要です。

なぜなら、シェア率が高い科目ほど、情報交換が容易であり、かつ点数が安定しやすい傾向にあるからです。また、受験生が多ければ多いほど、ゼミを組んで一緒に勉強したり、わからないことを質問し合うこともできます。

なお、前述したように、シェア率が高い科目は、それだけ需要があるということもあり、教材も充実していることが多いです。

データ上は、労働法、経済法、知的財産法、倒産法、国際関係法(私法)はシェア率が高いといえます。

(5) 将来におけるニーズがあるか否か

将来におけるニーズについては、みなさんそれぞれが将来どのような法曹を目指されているかによって、変わってきます。

例えば、最近では企業内弁護士が増えてきていることもあって、知財法や租税法のニーズも高まっています。

それぞれ専門分野が異なるため、ご自身が将来何を専門に弁護士として活躍したいのか、将来像を想像しながら選択科目を検討することをおススメします。

(6) その他

その他の基準としては、例えば法科大学院ルートで司法試験を受験する方は、法科大学院で司法試験の考査委員として関わっている教授や、選択科目について著名な教授がいることがあるので、その場合はその選択科目を選ぶ方が勉強しやすいと思います。

また、選択科目以外でかなりの余裕をもって合格が狙えるレベルにいる受験生であれば、選択科目は将来のニーズ、まさに自分が将来どのような業務を主として行う弁護士になりたいかを重点的に関連付けて選択するという方法もあります。

さらには、基本科目との親和性を考慮して選択するのもよいでしょう。例えば、刑法が得意な方は、親和性のある経済法を選ぶなどです。

3 サマリー

司法試験の選択科目を選ぶ基準について、いくつかご紹介してきましたが、やはり司法試験に合格するということが最終目的になるので、これらの基準の中で最も重視したいことは何かを考えて選択するのがよいでしょう。是非これらを参考に選択科目を選んでくださいね。

4 まとめ

  • 司法試験の選択科目には、倒産法、租税法、労働法、経済法、知的財産法、環境法、国際関係法(私法系)、国際関係法(公法系)がある。
  • 令和3年度司法試験で最も選択科目が選ばれていたのは、労働法で1,009人(29.7%)、次に多かったのが経済法で639人(18.8%)だった。
  • 令和3年度司法試験で最も合格率が高かったのは、倒産法で46.2%、合格率が最も低かったのは環境法で30.8%だった。
  • 司法試験の選択科目を選ぶ基準として、①興味が持てるか、②勉強量の多さ、③基本書・参考書等の教材の充実度、④シェア率の高さ、⑤将来におけるニーズがあるか、などがある。

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