司法試験の過去問の攻略法〜過去問の傾向と勉強法を解説〜

司法試験の過去問の攻略法〜過去問の傾向と勉強法を解説〜

司法試験に合格するには過去問対策が重要です。

しかし、この過去問の勉強方法を間違えてしまう人が多いのもまた事実です。

『過去に出題された問題はもう出ないんじゃない?』

『腕試しとして、直前期にまとめて解こう!』

と考えている方もいるかもしれません。

しかし、こうした勉強法では過去問学習のメリットを十分に享受することが出来ません。本記事では適切な過去問学習の方法について解説しています。

1 司法試における過去問の重要性

どのような試験でも過去問の重要性は謳われており、司法試験においても何ら変わりはありません。

そして、司法試験において合格対策教材として過去問を推奨する理由には以下の3つが挙げられます。

・出題範囲の傾向と対策が図れる

・過去問はプロ(司法試験考査委員)が作成している

・教材選びに悩む必要がない

司法試験で問われる法律は、ただでさえ難解な学問である上に、出題科目や範囲も広範に及びますので、司法試験の合格を掴み取るにはそれ相応のテクニックはやはり必要です。

その中の1つとして出題範囲の傾向と対策を分析することは不可欠ですが、自己流で闇雲に「分析作業」の時間を必要以上に費やすべきではありません。

 

また、勘違いされやすいのですが、全ての科目について条文や論点などを細かく暗記しなければ解くことができない性質のものではありません

繰り返し出題されるような重要論点や、暗記していれば解けるような問題を把握できるという意味でも、過去問を中心に勉強することで効率良く勉強を進めることが可能です。

司法試験は、勉強時間の捻出が難しいといわれる試験ですので、貴重な時間は過去問演習に充てた方が司法試験合格への近道といえるのではないでしょうか。

 

過去問は言わば法曹界のプロ集団ともいえる「司法試験委員」(根拠法令:司法試験法第15条第1項)が作成していることから、これ以上の高品質な教材はないといえます。

司法試験委員は、裁判官や検事、弁護士、大学教授などの法律のプロフェッショナルで構成されており、多くの時間をかけて問題を作成しています。つまり、過去問は高品質な問題集ともいえるのです。

 

予備校各社がオリジナルの過去問題集を販売しており解説やレイアウトが異なるため、アレコレと買いたくなるものですが、あまり手を広げないように心に留めておいてください。自分にとって理解しやすく使い勝手が良い問題集を揃え、それを反復し自分のもの(知識の定着・論文力の土台づくり+向上)にしていきましょう。

2 司法試験の過去問の例

司法試験の過去問演習を繰り返し行うと、当初は理解できなかった論点が理解できるようになり、ある程度客観的かつ冷静に分析することができますので、新たな気づきが色々と見えてくるものです。

そこで、短答式試験と論文式試験ではどのような問題が出されるのかという点や過去問の傾向について見ていきましょう。

(1) 短答式試験の過去問の例

〔第6問〕(配点:2) 不動産物権変動に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.6])

 ア.Aがその所有する甲建物をBに売却した場合において、甲建物の保存登記が未了であったときは、Bは、自己名義の登記がなくても、所有権の取得を第三者に対抗することができる。

 イ.甲土地を所有するAが死亡して子B及びCが相続し、BとCの遺産分割協議により甲土地は Bの単独所有とされた。その後、Cが、甲土地につきCの単独所有とする登記をした上で、こ れをDに売却したときは、Bは、Dに対し、甲土地の単独所有権の取得を対抗することができない。 

ウ.Aがその所有する甲土地にBのために地上権を設定し、その旨の登記がされない間に甲土地にCのために抵当権を設定してその旨の登記がされた後、Bの地上権の設定の登記がされた。 この場合において、Cの抵当権が実行され、Dが甲土地を買い受けてその旨の登記がされたと きは、Bは、Dに対し、地上権の取得を対抗することができる。

エ.Aがその所有する甲土地にBのために抵当権を設定し、その旨の登記がされた場合において、 その登記をCがBの知らない間に不法に抹消したときは、Bは、再度登記がされない限り、抵 当権の設定を第三者に対抗することができない。

オ.Aがその所有する甲土地を相続人Bに承継させる旨の遺言をして死亡した場合には、Bは、 Bと共にAを相続したCに対し、登記がなくても、甲土地の単独所有権の取得を対抗すること ができる。

1.ア ウ  2.ア オ  3.イ エ 4.イ オ  5.ウ エ

出典:令和4年 司法試験 短答式試験 民法

 

ちなみにこの問題の答えは『4』です。

出典:令和4年 司法試験 短答式試験 民法(解答)

 

(2) 論文式試験の過去問の例

また、論文式試験では以下のような問題が出題されます。

刑事系科目] 〔第1問〕(配点:100) 以下の【事例1】及び【事例2】を読んで,後記〔設問1〕及び〔設問2〕について,答えなさい。 

【事例1】

 1 甲及びその後輩の乙は,それぞれ金に困り,2人で腕時計販売店に押し入って腕時計を強奪し ようと計画していた。甲は,腕時計販売を業とするA株式会社(以下「A社」という。)が直営 するB腕時計店(以下「B店」という。)で働いている親友の丙に対し,警備体制に関する情報 の提供など上記計画への協力を求めた。

 

2 丙は,B店の副店長として自ら接客に従事するほか,アルバイトの採用や従業員の勤怠状況の 管理を行い,B店の帳簿作成や売上金管理等の業務も担当していた。売上金管理業務として,丙 には,各営業日の閉店後,当日の売上金額をA社本社に報告することのほか,各営業日の開店前 に,前日の売上金をA社名義の預金口座に入金することが義務付けられていた。また,商品の仕 入れ,店外への持ち出し及び価格設定について,丙に権限はなく,全て店長Cの承認を得る必要 があるとされていた。 B店の売場に陳列されている商品は,ショーケース内に保管されていたが,その陳列方法は全て丙が決定していた。このショーケースは,接客に必要なときを除いて常時施錠され,その鍵は, C及び丙のみが所持していた。また,B店の売場及び従業員控室には,複数の防犯カメラが設置 され,その様子が常時くまなく音声付きで撮影録画されていたほか,警備会社を通じ,警察に非 常事態の発生を知らせるための押しボタン式通報システムも設置されていた。 

3 金に困っていた丙は,甲からの話を聞いて,いっそのことB店の腕時計が強奪されたように装 い,これを自分たちのものにしようと思い付き,某月1日,甲に対し,前記2の事実関係を説明 した上,「午前11時の開店時は,普段だとめったに客も来ないし,明後日は俺しかいないから, その時,店に来て刃物を出して,ショーケースを開けろと言ってくれ。俺は後で怪しまれないように拒むふりをするけど,最後はショーケースを開けるから,すぐに時計を持って行ってくれ。 ただ,俺も通報しないわけにはいかないので,急いで逃げろよ。時計は後で分けよう。それと, 会ったことのない乙は信用できないから,今の話は内緒にしてくれ。」と持ち掛けたところ,これを甲は承諾した。 

4 甲は,同月2日,丙と内通している事実を秘したまま,乙に対し,「明日,俺がB店の開店と 同時に中に入って店員に刃物を突き付けて時計を奪い取ってくる。その間,お前は近くに停めた 車で周囲を見張り,俺が戻って来たらすぐに車を出してくれ。帰ってから時計を分けよう。」と 持ち掛けたところ,これを乙は承諾した。

 5 甲は,同月3日午前10時59分,乙の運転する自動車でB店前路上に到着し,同日午前11 時,その開店と同時に,覆面をかぶり,サバイバルナイフ(刃体の長さ約20センチメートル。 以下「本件ナイフ」という。)及びボストンバッグ(以下「本件バッグ」という。)を持って同 車から降り,B店に向かった。 甲は,B店内に入ると,丙に対し,本件ナイフを示し,「殺されたくなかったら,これに時計 を入れろ。」と言い,ショーケース内に陳列されている腕時計を本件バッグに入れるように要求 した。これに対し,丙は,前記通報システムを作動させ,甲に対し,「通報したから警察が来る ぞ。」と言い,上記要求を拒否するふりをしたので,甲は,丙に対し,「いいからやれ。刺す ぞ。」と語気を強めて言った。その直後,丙は,ショーケースを解錠し,その中にあった腕時計 100点(時価合計3000万円相当)を甲から受け取った本件バッグに入れ,これを甲に差し 出した。甲は,同日午前11時3分,本件バッグを丙から受け取ると,B店内から出て前記車両  に乗り込み,乙の運転する同車で逃走した。 乙は,甲が前記車両を降りてから戻って来るまでの間,通行人が甲を警戒したり,警察官らが 駆けつけたりする様子があれば,これを甲に知らせるつもりで,同車運転席から周囲を見張って いた。

 6 甲は,同日,乙に対し,その取り分として前記腕時計100点のうち20点(時価合計400 万円相当)を手渡し,さらに,同月4日,丙に対し,その取り分として残りの腕時計のうち40 点(時価合計1300万円相当。以下「本件腕時計40点」という。)が入った本件バッグを手 渡した。

 7 丙は,同月5日,本件バッグを交際中の丁の自宅に隠すこととし,これをその押し入れ内にしまうと,丁に対し,「バッグの中は見るな。しばらく預かっておいてくれ。」と言った。これに 従い,丁は,本件バッグを押し入れ内に放置していたが,同月10日,片付けのため本件バッグ を手に持った際,想像以上の重量であったので,不審に思い,その中を見たところ,本件腕時計 40点を発見した。その時,丁は,本件腕時計40点全てに値札が付いていたことから,丙が自 分のものにするためにB店から無断で持ち出した商品であろうと認識したが,丙のために,本件 バッグを預かり続けることとし,これを元の位置に戻した。丁は,同月25日に本件バッグを丙 に返すまでの間,これを押し入れ内に置き続けた。 

〔設問1〕 【事例1】における甲,乙,丙及び丁の罪責について,論じなさい(住居等侵入罪 (刑法第130条)及び特別法違反の点は除く。)。

出典:令和3年司法試験 論文式試験 刑事系科目

3 司法試験の過去問の傾向と対策

(1) 短答式試験

① 民法

民法の制限時間は75分で、出題数は36〜37問です。

1問あたりにかけられる時間は約2分で解答時間がシビアなのが特徴です。出題形式は一定でほとんどが選択肢の正誤の組み合わせを問われます。

民法の出題について、判例がベースとなった問題では論文対策の知識を生かすことができます。

しかし、条文の要件をダイレクトに問う出題もあるので条文を読み込むなど別途対策が必要になります。

② 刑法

刑法の制限時間は50分で、出題数は20問です。

1問あたりにかけれられる時間は約2分半です。出題形式のレパートリーが豊富なのが特徴です。

単純な正誤問題や、長い事例を読んだ上で解答する問題などがあります。

事例問題は通常最後の方で出題されるため、解答のペースを間違えると全て解答できなくなる恐れがあります。

刑法の出題について、論文ではあまり出題されない犯罪についての出題もあるので、短答式試験前に一通りの復習をすることが重要です。

また、知識問題だけでなく、問題文を読み取って論理的な思考ができるかを試す問題も出されるので、試験前に十分な演習をすることが大切です。

③ 憲法

憲法の制限時間は50分で、出題数は20問です。

1問あたりにかけられる時間は約2分半です。憲法判例に関する選択肢の正誤問題や、憲法総論や統治分野の条文からの出題もあります。

憲法の出題について、論文式試験でメインとして問われる憲法総論分野や統治分野について改めて復習する必要があります。

とは言っても、憲法総論分野や統治分野に関する出題は類似の問題が繰り返し出されることが多いため、まずは過去問をやり込むことが効率的です。

また、判例問題に関しては各判例の結論だけでなく、その理由づけまできちんと理解しておくことが重要です。

『選択肢の結論は判例と同じだが、理由づけが異なるので、この選択肢は誤り』となる問題で点数を落とす受験生が大勢いるので注意しましょう。

(2) 論文式試験

① 民法

民法の問題では、当事者間で紛争が発生する経緯が描写された問題文を読み、登場人物の請求が認められるかを答えさせる問題が出題されます。

民法の論文式問題は試験範囲が広く、問題文が複雑という特徴があります。

また、受験生が会場で初めて考えるような応用問題(『現場思考問題』ということもあります。)が出題されます。

 

こうした民法の問題に対処するには、過去問を使って複雑な問題文の事情を素早く整理する練習が必要になります。過去問演習の際は、マーキングや記号を上手く使って視覚的に問題状況を整理することがおすすめです。

 

加えて、過去問を使って現場思考問題に出会った時の対処法を学ぶことも重要です。 

通説や教科書に載っている原則をそのまま適用すると妥当な結論が導けない場合の対処法について、模範解答を参考にして自分なりにストックしておくことも有意義です。

② 商法

商法では会社法からの出題が中心になります。

商法の問題では、株式会社をめぐる紛争の経緯が描写された問題文を読み、当事者の請求が認められるかや、会社法上の手続きの適法性を答えさせる問題が出されます。

会社法の条文数は1,000条を超えますが、論文式試験で出題される条文は限られているので、民法ほど難易度は高くないと言えます。

 

商法の対策としては、まず会社法の典型論点を重点的に学習する必要があります。

取締役会決議や株主総会の効力、役員等の責任追及、株式発行の効力、組織再編の効力の分野は頻出なので特に力を入れましょう。

過去問を使ってこうした分野について適切に論じる力を養うことが重要です。

 

商法も民法同様、現場思考問題が出されます。民法と同様、模範解答を参考にしながら、現場思考問題が出題された場合の対処法をストックしておくことが重要です。

③ 民事訴訟法

民事訴訟法の問題では、当事者間の紛争が民事訴訟に発展していく経緯が描写された問題文を読み、各手続の適法性を答えさせる問題が出題されます。

民事訴訟法の特徴として、『処分権主義』『弁論主義』『既判力』といった抽象的な概念の理解を答えさせる問題が多く出題されます。

また、司法試験では、『判例射程問題』といわれる形式の問題が出されます。

『判例射程問題』とは、問題文の事案とよく似た事案を取り扱った重要判例が挙げられて、問題文の事案において重要判例と同じ結論をとるべきか否かを答えさせる問題です。

すなわち、判例の射程は今回の問題文の事案に及ぶのかどうかが問題になるので『判例射程問題』と言われます。

設問で取り上げられた判例についての知識が曖昧だと説得的な答案を書くことは不可能ですので、受験生は各判例について正確な理解が求められます。

 

民事訴訟法の対策としては、まず、各論点において民事訴訟が始まって、終結するまでのどの段階の問題なのかを押さえましょう。

そして、抽象的な概念については、『どんな場合に問題になるのか』『どんな帰結になるのか』など具体例と合わせて覚えるようにすると司法試験本番でも迷わず解答することができます。

④ 刑法

刑法の問題では犯罪が発生した経緯を描写した問題文を読んで登場人物にいかなる犯罪が成立するのかを答えさせる問題が出されます。

また、「登場人物である甲に〇〇罪が成立する立場からはどのような理論構成が考えられるか?」といったように結論を指定された上で、その結論を導く過程を求められる問題も出題されています。刑法には様々な学説の対立があります。

 

刑法の対策として、過去問を使って犯罪成立の有無を説得的に論じる方法を学ぶことが大切です。

『構成要件該当性→違法性阻却事由の有無→責任阻却事由の有無』といった基本的な流れを覚えると共に、問題文の事情を論述の中で生かしていく方法を学ぶことも重要になります。

⑤ 刑事訴訟法

刑事訴訟法の分野では、犯罪発生から、刑事裁判までの流れが描写された問題文を読んで各手続きが適法かを答えさせる問題が出されます。

近年の問題の特徴として、設問1において逮捕や差押え、取調べなどの捜査方法の違法性について出題され、設問2以降で伝聞証拠の証拠能力や、訴因変更請求についての問題など裁判手続についての問題が出されています。

 

刑事訴訟法 の対策として、まずは頻出論点をしっかりと押さえましょう。

捜査法の分野では、逮捕、任意処分・強制処分の区別、捜索・差押えについての知識がよく問われます。

裁判手続の分野では、伝聞証拠の証拠能力、違法収集証拠排除法則、訴因変更についての知識がよく問われます。

こうした頻出分野はほとんどの受験生が念入りに対策をしてくるので、これらの分野が出題された過去問を繰り返し解くことによって解答のプロセスをマスターすることが重要です。

 

また、刑事訴訟法の問題文を分析する際には、問題文の事情と判例の事情の共通点と相違点を意識することが重要です。

『判例の事案と似ているから判例と同じ結論!』と単純に判断していると点数は伸び悩んでしまいます。

問題文の事情と判例の事情を比較してから結論を導くというプロセスを過去問演習を通して習得することが重要です。

⑥ 憲法

近年の司法試験の憲法の問題は架空の法律案や条例案の憲法適合性を論じることをもとめらるものが多く、人権分野からの出題が多いことが特徴です。

司法試験の憲法の問題の対策として重要なのが憲法適合性を論じるための型をマスターすることです。

憲法適合性を論じる際は、三段階審査を意識して論じることが求められます。

三段階審査は以下のフローで行います。

1 問題になる権利は憲法上の自由として保護されるか?

2 問題となる権利は制約されているか?

3 問題となる権利の制約は正当化されるか?

3段階目の「制約が正当化されるか」を判断するには問題文に書かれている背景事情や立案担当者と弁護士のやりとりを読んで、問題となる権利の重要性や、制約の強さを自分で評価して結論を導きだす必要があります。

憲法も判例が非常に重要な科目ですが、判例の事案と問題の事案を照らし合わせながら妥当な結論を導くプロセスを過去問演習で学ぶことが重要です。

⑦ 行政法

行政法の問題では行政庁とトラブルが発生した市民から依頼された弁護士として、行政庁に対して抗告訴訟を提起できるかといった訴訟法上の問題や、行政処分などの違法性を論じる実体法上の問題が出されます。

行政法の問題の特徴として出てくる分野が偏っていることが挙げられます。

頻繁に出題される論点としては、

・取消訴訟の訴訟要件(『処分生』『狭義の訴えの利益』『原告適格』

・その他の抗告訴訟の訴訟要件

・行政庁の行為の違法性(行政裁量など)

などが挙げられます。

こうした論点については過去問演習を通じて解答する方法をマスターしておくことが重要です。

また、行政法の問題の特徴として現場思考を要求される問題が頻出であることも挙げられます。

試験本番で初めて見る法律や条例を読んで、それらの法令に照らして行政庁の行為に違法性があったのかどうかを判断される問題が頻出です。

 

過去問の解説や模範解答を分析することで初見の法律や条例のどのような点に着目したら良いかや、問題文に付された背景事情をどのように答案に反映させたら良いのかに注目して勉強することで、現場思考問題に対応する力を養うことが重要です。

4 過去問対策、いつから始めたらいいの?

(1) インプットが一通り終わったらすぐに過去問をチェックしよう!

『過去問は試験直前の腕試しとしてとっておこう!』考える方もいらっしゃいますが、過去問を使った学習は出来るだけ早めに始めるのがおすすめです。

 

基本的な法律知識のインプットが終わった段階で、論文式と短答式の過去問について1~2年分ほど、目を通しておきましょう。

この段階では、過去問に全然歯が立たないかもしれませんが、それで全く問題ありません。

この時期に過去問に目を通す目的は、『自分が習った知識が試験本番でどのように問われるのか?』を確認するためです。

こうして過去問を確認することで、今後インプット教材を復習する際も、試験本番を意識することができるので効率よく復習を行うことが出来ます。

(2) 短答式試験の過去問の対策時期

最初の短答式試験の過去問のチェックが終わって以降、継続的に過去問を解いていきましょう。

時間のかかる論文式試験の対策をメインにしつつ、隙間時間にコツコツ解いていくイメージです。司法試験合格者の方は試験本番まで5年分〜10年分ほどの過去問を3周ほど解いています。

試験の2〜3ヵ月前になったら、本番を想定して解きましょう。

時間を測りながら全問解答できるように練習していくことが重要です。

5 論文過去問の勉強法

次に、司法試験の天王山となる論文式試験の過去問対策の流れについてご説明します。

(1) 過去問は複数回解く

まず、前提として論文過去問について予め複数回解くことを想定して取り組みましょう。

なぜなら、インプットが終わった後の最初の過去問演習で本番を想定して問題を解くのは非常に効率が悪いからです。

そこで、同じ問題に何度も取り組むことを想定して、各段階で異なる目標を持って過去問に取り組むことをおすすめします。

そのため、試験本番までのスケジュールも過去問を複数回解くことを想定して組むことが重要です。

(2) 1回目の勉強法:自分の理解が足りない点を知るために解く

初めて過去問に取り組む際は、『自分の理解が足りない点を知る』ことを目標に過去問に取り組みましょう。

具体的には問題文を読んで簡単な答案構成を作成したら、すぐに模範解答を確認しましょう。

自分の答案構成と模範解答を見比べて、大きく差がある箇所は自分のインプットが足りていない部分である可能性があります。

このインプットが足りていない部分について復習することで、自分のインプットを補強していきます。

(3) 2回目の勉強法:論文を書く力を伸ばすために解く

2回目に過去問に取り組む際には『論文を書く力を伸ばす』ことを目標に過去問に取り組みましょう。

具体的には、答案構成をして実際に答案に解答を書いていきます。この時、まだ制限時間を気にする必要はありません。

多少時間がかかってもいいので自分が納得できる答案を書きましょう。

 

答案が完成したら、時間をおいてから自分の答案を分析します。

問題の解答として適切か、論点は落としていないか、論理のねじれはないか、といった点に注目して分析しましょう。

 

この段階で第三者に添削を依頼することもおすすめです。

『自分では伝わると思っていた説明も、他人からすると理解できない』ということも多々あるので第三者の意見に耳を傾けてください。

(4) 直前期の勉強法:本番を想定して解く

直前期に過去問を取り組む際には、『本番を想定して解く』ことを目標にしましょう。

具体的には、試験本番と同じスケジュールで、制限時間を測りながら答案を作成していきます。

 

制限時間の中で、『問題文を読むのに何分使うか』『答案構成に何分使うか』と言った時間配分を意識しながら解くことが重要です。

 

試験本番でアクシデントが発生することを想定して、試験時間より10分短い制限時間の中で答案をまとめる練習もおすすめです。

6 司法試験過去問の入手方法

これまで見てきたとおり、司法試験の過去問演習が合格するために重要であるということは、おわかりいただけたのではないでしょうか。ここでは、司法試験の過去問の入手方法についてご紹介します。

(1) 法務省のホームページからダウンロード

以下は、法務省「司法試験」のページより無料でダウンロード可能な過去問を年度別・科目別にまとめた表ですので、ご参考になさってください。

短答式試験過去問題

公法系科目 民事系科目 刑事系科目
平成18年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成19年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成20年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成21年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成22年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成23年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成24年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成25年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成26年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
憲法 民法 刑法
平成27年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成28年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成29年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成30年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成31年

(令和元年)

問題 解答 問題 解答 問題 解答
令和2年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
令和3年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
令和4年 問題 解答 問題 解答 問題 解答

論文式試験過去問題

公法系科目 民事系科目 刑事系科目 選択科目
平成18年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成19年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成20年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成21年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成22年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成23年 問題 出題趣旨

採点実感

採点実感
補足

問題 出題趣旨

採点実感

採点実感
補足

問題 出題趣旨

採点実感

採点実感
補足

問題 出題趣旨

採点実感

採点実感
補足

平成24年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成25年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成26年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

憲法・行政法 民法・商法・民事訴訟法 刑法・刑事訴訟法 選択科目
平成27年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成28年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成29年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成30年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成31年

(令和元年)

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

令和2年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

令和3年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

7 司法試験の対策は過去問だけでいいの?

今まで司法試験の過去問の重要性について解説してきましたが、過去問対策のみでは司法試験に合格することは難しいです。

過去問対策で抜けているとわかった知識について改めてインプット教材に戻ってみることも必要になってきます。

また、過去問だけですと、対策できる論点の数にも限界があります。そこで、適宜問題集などを過去問と併用して知識に穴がないようにすることも重要になります。

詳しくはこちらの記事で解説しています。

8 サマリー

いかがだったでしょう。今回の記事で説明したように、司法試験の過去問は試験合格を目指す上で非常に重要な教材であり、試験対策においてこれをうまく活用できたかどうかが合否に直結します。みなさんはこの記事で解説した方法をもとに正しい方法で過去問を用いていきましょう!

9 まとめ

  • 司法試験における過去問の役割は①出題範囲の傾向と対策が図れる②過去問はプロ(司法試験考査委員)が作成している③教材選びに悩む必要がないことにある。
  • 短答式試験では、民法が制限時間がシビア、刑法が出題形式が多様、憲法が判例の理由づけまで押さえる必要がある、という特徴がある。
  • 論文式試験では各科目の特徴に合わせた解答方法を押さえる必要があるので、過去問と模範解答を徹底分析しよう。
  • 過去問はなるべく早い段階で取り組むと、インプット教材の復習を効率良く行うことができる。
  • 論文過去問は複数回取り組むことを想定してスケジュールを立てよう。

司法試験カテゴリの最新記事