司法試験の過去問を効果的に使い合格しよう!

司法試験の過去問を効果的に使い合格しよう!

司法試験に合格し、司法修習を経て二回試験に合格すると法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)としての資格が与えられます。司法試験法によれば以下のように定められています。

 

【司法試験法】

(司法試験の目的等)

第一条 司法試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験とする。

 

何らかの試験に合格するために過去問を繰り返し解くという勉強法は、受験の世界ではセオリーといえます。司法試験においても違いありません。

 

しかしながら、法律でも定められているとおり、法曹三者に必要な学識及びその応用能力を判定する試験は極めて難関試験です。いったいどのように過去問を活用すれば良いのでしょうか?

 

本記事では、司法試験における過去問の効果的な使い方やその重要性などについて解説しますので、是非ご参考になさってください。

1 司法試験における過去問の役割(重要性)とは

司法試験は、例年5月中旬に中1日を挟み5日にわたりに試験(短答式試験及び論文式試験)が行われます。短答式試験は、マークシート方式で行われ、憲法、民法、刑法の3つから出題されます。論文式試験は、公法系(憲法・行政法)、民事系(民法・商法・民事訴訟法)、刑事系(刑法・刑事訴訟法)、選択科目(労働法・倒産法・知財法・経済法・租税法・環境法・国際公法・国際私法より選択)という幅広いジャンルから出題されます。

 

先にも触れましたが、どのような試験でも過去問の重要性は謳われており、司法試験においても何ら変わりはありません。そして、司法試験において合格対策教材として過去問を推奨する理由には以下の3つが挙げられます。

 

◆出題範囲の傾向と対策が図れる

◆過去問はプロ(司法試験考査委員)が作成している

◆教材選びに悩む必要がない

 

ただでさえ難解な学問である上に、出題科目や範囲も広範に及びますので、司法試験の合格を掴み取るにはそれ相応のテクニックはやはり必要です。その中の1つとして出題範囲の傾向と対策を分析することは不可欠ですが、自己流で闇雲に「分析作業」の時間を必要以上に費やすべきではありません。

 

また、勘違いされやすいのですが、全ての科目について条文や論点などを事細かく暗記しなければ解くことができない性質のものではありません。繰り返し出題されるような重要論点や、暗記していれば解けるような問題を把握できるという意味でも、過去問を中心に勉強することで効率良く勉強を進めることが可能です。ただでさえ勉強時間の捻出が難しいといわれる試験ですので、貴重な時間は過去問演習に充てた方が司法試験合格への近道といえるのではないでしょうか。

 

また、過去問は言わば法曹界のプロ集団ともいえる「司法試験委員」(根拠法令:司法試験法第15条第1項)が作成していることから、これ以上の高品質な教材はないといえます。司法試験委員は、裁判官や検事、弁護士、大学教授などの法律のプロフェッショナルで構成されており、多くの時間をかけて問題を作成しています。

 

ですから、この高品質な問題、つまり司法試験の過去問を活用しない手はないでしょう。予備校のオリジナル問題を批判するわけではありませんが、自分の苦手な論点に関する問題に限り使用するなど、必要性に応じて上手く使い分けた方が良いかもしれませんね。

 

予備校各社がオリジナルの過去問題集を販売しており解説やレイアウトが異なりアレコレと買いたくなるものですが、前述のとおり、あまり手を広げないように心に留めておいてください。自分にとって理解しやすく使い勝手が良い問題集を揃え、それを反復し自分のもの(知識の定着・論文力の土台づくり+向上)にしていきましょう。

 

尚、司法試験対策の教材は徒らに増やすべきではなく、なるべく情報の一元化を図りながら勉強を進めていくことをおすすめします。

 

2 司法試験の過去問分析をするとわかること

司法試験の過去問演習を繰り返し行うと、当初は理解できなかった論点が理解できるようになったり、ある程度客観的かつ冷静に分析することができますので、新たな気づきが色々と見えてくるものです。ここでは、短答式試験と論文式試験の過去問分析について見ていきましょう。

(1) 短答式試験の傾向

司法試験の短答式試験では、問題文に対して正誤を問い、正確な法律知識を備えているのかを試す問題が出題されます。特に、短答プロパー知識と呼ばれる短答式試験でしか問われない細かい知識を問う問題が出題される傾向があります。

しかしながら、論文式試験ほどの高度な思考力は必要とされず、解答の形式もマークシート式ですので、ある程度の知識が備わっていれば一定程度の得点を取ることが可能です。

 

(2) 論文式試験の傾向

司法試験の論文式試験では、求められる法的知識が短答式試験とは異なり、簡単にいえば、法的思考力を駆使して自分の言葉で論述する力が求められます。問題文の事例から複数の法的論点を抽出し、法律上の原則・例外論、要件・効果論をベースとする論理構造の中に適切に位置づけ(あてはめ)結論を導く(いわゆる論証)を制限時間内に答案に落とし込まなくてはなりません。

 

〈論証の流れ〉

①問題提起→②規範定立→③あてはめ→④結論

 

本番の試験で、しかも初見の問題で極度の緊張感の中で論文を書かなくてはなりませんので、それ相応の問題演習が必要であるということは、容易におわかりいただけるのではないでしょうか。

 

つまり、出来るだけ早い段階から司法試験論文式試験の過去問に取り組み、より多くの過去問演習を行うことが合格への近道となるのです。

3 司法試験過去問の入手方法

これまで見てきたとおり、司法試験の過去問演習が合格するために重要であるということは、おわかりいただけたのではないでしょうか。ここでは、司法試験の過去問の入手方法についてご紹介します。

(1) 法務省のホームページからダウンロード

以下は、法務省「司法試験」のページより無料でダウンロード可能な過去問を年度別・科目別にまとめた表ですので、ご参考になさってください。

短答式試験過去問題

公法系科目 民事系科目 刑事系科目
平成18年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成19年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成20年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成21年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成22年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成23年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成24年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成25年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成26年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
憲法 民法 刑法
平成27年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成28年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成29年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成30年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
平成31年

(令和元年)

問題 解答 問題 解答 問題 解答
令和2年 問題 解答 問題 解答 問題 解答
令和3年 問題 解答 問題 解答 問題 解答

論文式試験過去問題

公法系科目 民事系科目 刑事系科目 選択科目
平成18年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成19年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成20年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成21年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成22年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成23年 問題 出題趣旨

採点実感

採点実感
補足

問題 出題趣旨

採点実感

採点実感
補足

問題 出題趣旨

採点実感

採点実感
補足

問題 出題趣旨

採点実感

採点実感
補足

平成24年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成25年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成26年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

憲法・行政法 民法・商法・民事訴訟法 刑法・刑事訴訟法 選択科目
平成27年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成28年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成29年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成30年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

平成31年

(令和元年)

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

令和2年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

令和3年 問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

問題 出題趣旨

採点実感

4 司法試験の過去問を使った効果的な勉強法とは

司法試験の合格者の多くは、問題を見たときに、数ある条文や判例、論証の中から「本件は、こういう場合だからこうである」として、最適な条文・判例の知識を引き出して時間制限の感覚も備えた上で問題を解いていきます。つまり、このレベル感に到達できるように努力しなければなりません。

 

司法試験短答用の過去問集は、上記でご紹介した無料で入手できる法務省の過去問から市販のものまで多岐に渡ります。ここでは、市販の教材を使った一般的な活用法について見ていきましょう。

 

司法試験の過去問を活用した効果的な勉強法のポイントについて、「短答式試験」「論文式試験」に分けてご紹介していきます。

 

(1) 短答式試験

《使用教材》

◆短答式過去問集(体系別肢別形式、年度別大問形式がおすすめ)

◆判例六法や判例集

◆基本書

◇インプット講義(予備校利用の方)

「体系別肢別形式」とは、年度に関係なく、法律の学問体系「体系別」に構成された問題のこと(ex.「民法・代理」という体系の中で令和3年第1問(ア)、平成27年第3問(ウ)・・・)

「年度別大問形式」とは、1問が多肢で構成されている(大問)問題のこと(ex.5肢択一 いわゆるマークシート式)で、年度別にまとまった形式の問題集。

 

まず、使用する過去問については上記のとおり学習進度に応じた2種類をおすすめします。「体系別肢別形式」は、日々のインプット講義と並行してインプットを行ったらセットでその範囲分だけサッとその日のうちに解いてしまいましょう(細かな知識の定着確認のため)。1度目は解けなくて当然ですので、日を空けて反復し知識の定着化に役立てることができます。

 

次に、「年度別大問形式」は、体系毎(ex.民法・代理、商法・株式 など)の学習をマイルストーンとし、大問で解くトレーニング(本番の試験と同じ形式で解き慣れる)として活用していきましょう。

 

どちらも過去問ですが、学習進度に沿った使い方を適切に行えるか否かで大きな差が生じてしまいます。また、どちらの問題集に共通していえることですが、間違えた箇所・自信のない箇所(解答の理由付けがいえない、条文や判例が思い浮かばない など)には「付箋」を貼りましょう。「どこの論点が苦手なのか」を知るための自己分析ツールとして活用してみてくださいね。復習の際には、面倒臭がらずに「基本書」「判例六法」などに戻り一つ一つの条文や判例を確認することを大切にしてください(尚、その際に該当箇所を超える部分の判例を網羅する必要はありません。)。

 

また、なぜ判例六法が必要なのかというと、短答対策だけではなく論文対策としても判例知識は大変重要だからです。“論文学習が短答学習の大部分をカバーする”ともいわれています。つまり、条文・判例学習は、司法試験の短答式試験・論文式試験の両方に必要な知識であり、条文と判例を1度に確認することができる判例六法は利便性の高いツールといえます。

 

(2) 論文式試験

《使用教材》

◆論文式過去問集

◆判例六法

◆論証集

◆基本書

◇インプット講義(予備校利用の方)

 

司法試験の論文式試験の過去問を使った効果的な勉強法は、一概にはいえませんが基本編として「3つのステップ」で学習を進める方法をおすすめします。

 

基本編|《論文演習3ステップと目安時間》

① 問題を検討し、「検討メモ」(答案構成)を作成する【30分】

② 検討メモ(答案構成)と「参考答案」を比較してズレを把握する【30分】

③ ズレの原因を分析しインプット(講義、基本書、判例六法、論証集)に戻る【2時間】

 

1問を解くにあたって目安となる時間ですので、学習進度により適宜調整しましょう。司法試験の論文式試験の過去問は、問題文の分量も多く複数論点が含まれていますので当然のことながら難易度が高いです。

 

「なぜ、ズレが生じたのか?」

「どのような事実からどのような条文・判例・論点を想起するべきだったのか?」

「どのような原則・例外論、要件・効果論の理解が必要だったのか?」 など

 

これらを意識して自己分析してみてください。よく「理由づけが重厚」「三段論法の徹底」「論理の飛躍がない」答案を目指すべきといわれていますが、それは実力完成期に委ねて、1日も早く論文式過去問を1周することを心がけて勉強を進めてください。

 

つまり、まずは本試験の難易度に慣れながら基礎となる土台を作り、徐々に合格水準へと磨きをかけていくイメージです。

 

初学者の方は、本試験の過去問に向き合ったときに面食らってしまうことも少なくありません。故に、論文学習で挫折してしまう方が多いのが現実です。本来であれば、過去問の傾向と対策が研究し尽くされた、予備校のカリキュラムに含まれている基礎的な問題(短文事例)から始めてステップアップ形式で完成度を高める対策が効率的であるといっても過言ではありません。

 

しかしながら、予備校の学費はなかなか捻出するのが厳しいのが現実であり「大きな壁」となっていることも事実です。また、「重厚すぎる講義内容を消化しきれずに試験本番を迎えてしまった。」という受験生も少なからずいらっしゃいます。

 

司法試験に合格するまでには、さまざまな「壁」が立ちはだかり、なかなか思うようにいかないことが多いかと思いますが、上記の3ステップを基本として司法試験論文式過去問を活用し合格を掴み取ってください!

 

5 サマリー

司法試験は、人の人生を左右しかねない重責を担う法曹三者として相応しい人材を判定する試験となり、当然のことながら大変難易度が高く厳しい試験であることはいうまでもありません。合格を目指すには、過去問をいかに上手く活用し反復学習を徹底するかに尽きます。

6 まとめ

  • 司法試験における過去問の役割(重要性)|◆出題範囲の傾向と対策が図れる◆過去問はプロ(司法試験考査委員)が作成している◆教材選びに悩む必要がない
  • 司法試験の過去問分析をするとわかること|《短答式試験》短答プロパー知識と呼ばれる短答式試験でしか問われない細かい知識を問う問題が出題される傾向がある
  • 司法試験の過去問分析をするとわかること|《論文式試験》問題文の事例から複数の法的論点などを抽出し、法律上の原則・例外論、要件・効果論をベースとする論理構造の中に適切に位置づけ(あてはめ)結論を導く
  • 司法試験過去問を使った効果的な勉強法|《短答式試験》学習進度により使用する過去問集を使い分ける「体系別肢別形式」「年度別大問形式」
  • 司法試験過去問を使った効果的な勉強法|論文式試験》① 問題を検討し、「検討メモ」(答案構成)を作成する② 検討メモ(答案構成)と「参考答案」を比較してズレを把握する③ ズレの原因を分析しインプット(講義、基本書、判例六法、論証集)に戻る

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