宅建の試験内容とは?科目の特徴や実際に出る問題を紹介

宅建の試験内容とは?科目の特徴や実際に出る問題を紹介

数ある国家資格の中でも人気の高い宅地建物取引士(宅建)は、不動産取引に必須の資格です。民法や建築基準法などのややこしい法律が絡むことで、一見難しそうと思われがちな試験ですが、細分化してみると中身は意外とシンプルです。

今回は「宅建」の試験内容とは?というテーマで、宅建試験の概要、宅建試験の科目の特徴、宅建取得のメリットについてご紹介していきます。

1 宅建の試験内容概要

宅建試験合格には、250~300時間の勉強が必要だと言われています。例えば1日に2時間学習したとして、約4ヶ月で合格ラインというレベルです。しっかりとスジュール管理をして内容を理解できれば、決して取得できない資格ではありません。

ここでは出題範囲や問題数と制限時間、合格率と合格点、受験資格についてご紹介します。

(1)宅建とはどんな資格?

そもそも「宅建とは何?」というところからですが、不動産業界で働いていらっしゃる方なら、必ずと言っていいほど取得を考えた経験があるのではないでしょうか?会社によっては、宅建の資格を所持しているだけで、資格手当として給与に反映されたり、資格保持者にしかできない仕事を任せられたりと優位性を感じられる資格です。

(2)宅建の取得に必要とされる知識(出題範囲)

出題範囲は、大きくまとめると以下の4科目から出題されます。

・宅建業法……宅建業法、住宅瑕疵担保履行法
・民法等……民法、借地借家法など
・法令上の制限……土地計画法、建築基準法、農地法など
・税その他……不動産取得税、固定資産税、地価公示法など

出題範囲が広く言葉も非常に難解で、一見難しく見えるかもしれません。しかし、深堀した専門知識までは必要なく、基本的なことを満遍なく出題されます。

(3)宅建試験の問題数と制限時間

宅建試験は、50問の問題を2時間かけて解く試験です。解答方式は四肢択一のマークシート方式で、記述式がないため比較的取り組みやすい試験内容になっています。「2時間もある」と考えがちですが、時間配分をして取り組まないと意外と時間に追われてしまうケースがあります。過去問を解く際、解き終わった時間を測ってみるのがおすすめです。

なお、不動産業界にお勤めの方の場合は優遇措置があり、これを適用した場合は出題数と試験時間が変わります。

・宅地建物取引業に従事していること
・「従業者証明書」を持っていること

この2つを満たしていれば、「登録講習」を受講することが可能です。受講して無事修了できると、問題の一部(5問)免除されます。この免除を受ける代わりに試験時間が10分間短縮されるため、1時間50分で残り45問を解く形です。

この講習も2日間、講習を受けて予備試験に合格した人でないと、修了したと見なされません。修了すれば5点は保証されるため、しっかりと勉強して講習に合格できるようにしましょう。

(4)宅建試験の合格率と合格点

宅建試験は合格点は毎年変わるため、決まった合格ラインが存在しません。合格基準が明確に決められていて、基準を満たした人全員合格とする仕組みを「絶対評価」といいますが、宅建は「相対評価」です。合格率が例年15%〜17%ということを考えると、50点満点中45点をスコアしたとしても、仮に平均点が45点であれば落ちる可能性が高いということになります。

こうした「相対評価」の仕組みを導入する理由が、試験の難易度の調整です。「7割以上の得点者は全員合格」としてしまうと、その年の問題が例年より簡単であれば全員が合格してしまうような事態にもなり得ます。そこで、受験時期によって難易度が変わらず公平性を守るために相対評価が選ばれているのです。

(5)宅建試験の受験資格

以前は宅建も受験資格が存在しましたが、現在は年齢、学籍、国籍すべての制限がありません。その影響もあってか、毎年およそ20万人の受験者が殺到する人気の資格となっており、受験者層もサラリーマンをはじめ学生や主婦、OLなど様々です。

また、受験者数が多い背景には、不動産業界や金融業界で毎年の宅建受験を必須にしている会社があることも挙げられます。

(6)宅建資格取得の難易度

国家資格の中では比較的簡単と言われる「宅建試験」ですが、試験は年1回で合格率15%程度と、しっかり勉強しないと合格はできません。資格のレベルとしては、一般的に日商簿記2級と行政書士の中間くらいと言われることが多いです。

2 宅建の試験内容の科目の特徴

ここでは、実際に過去出題された問題を、科目ごとにご紹介します。宅建試験はよく読まないと正解が絞り込めない出題が多いので、似たような用語の羅列に惑わされず、問題文を読み込むように練習しましょう。

(1)宅建業法

重要事項の説明(買主・借主が知るべき事項)や37条書面(契約書のこと)など、宅建士資格を所持してからも必要となる基礎知識です。

例)宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引士資格登録(以下この問において「登録」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 業務停止の処分に違反したとして宅地建物取引業の免許の取消しを受けた法人の政令で定める使用人であった者は、当該免許取消しの日から5年を経過しなければ、登録を受けることができない。
  2. 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に勤務する宅地建物取引士(甲県知事登録)が、宅地建物取引業者B(乙県知事免許)に勤務先を変更した場合は、乙県知事に対して、遅滞なく勤務先の変更の登録を申請しなければならない。
  3. 甲県知事登録を受けている者が、甲県から乙県に住所を変更した場合は、宅地建物取引士証の交付を受けていなくても、甲県知事に対して、遅滞なく住所の変更の登録を申請しなければならない。
  4. 宅地建物取引士資格試験に合格した者は、宅地建物取引に関する実務の経験を有しない場合でも、合格した日から1年以内に登録を受けようとするときは、登録実務講習を受講する必要はない。

正解は「3」です。ここは暗記することが多い科目で比較的得点しやすいため、しっかりと勉強しましょう。

(2)民法等

民法、借地借家法、不動産登記法などが出題されます。

例)AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消した後、CがBから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えた場合、AC間の関係は対抗問題となり、Aは、いわゆる背信的悪意者ではないCに対して、登記なくして甲土地の返還を請求することができない。
  2. AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消す前に、Bの詐欺について悪意のCが、Bから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えていた場合、AはCに対して、甲土地の返還を請求することができる。
  3. Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aの錯誤について悪意のCが、Bから甲土地を買い受けたときは、Aに重大な過失がなければ、AはBに対する意思表示を錯誤を理由に取消し、Cに対して、その取消しを主張して、甲土地の返還を請求することができる。
  4. Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失があったとしても、AはBに対して、錯誤による当該意思表示の取消しを主張して、甲土地の返還を請求することができる。

正解は「4」です。この科目は苦手意識を持つ受験者が多いため、差がつくポイントです。日常生活にも関わる法律なので、ぜひ理解を深めておきましょう。

(3)法令上の制限

国土利用計画表、都市計画表、建築基準法、農地法などが出題されます。

例)建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 第一種低層住居専用地域内においては、延べ面積の合計が60㎡であって、居住の用に供する延べ面積が40㎡、クリーニング取次店の用に供する延べ面積が20㎡である兼用住宅は、建築してはならない。
  2. 工業地域内においては、幼保連携型認定こども園を建築することができる。
  3. 都市計画において定められた建蔽率の限度が10分の8とされている地域外で、かつ、防火地域内にある準耐火建築物の建蔽率については、都市計画において定められた建蔽率の数値に10分の1を加えた数値が限度となる。
  4. 地方公共団体は、その敷地が袋路状道路にのみ接する一戸建ての住宅について、条例で、その敷地が接しなければならない道路の幅員に関して必要な制限を付加することができる。

正解は「2」です。こちらも宅建業法と同様に暗記ものが多く取り組みやすいのですが、数字が多く出てきます。問題を繰り返し解くことで問題に慣れるようにしましょう。

(4)税その他

税金や土地・建物について出題されます。

例)個人が令和元年(平成31年)中に平成31年1月1日において所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合のその譲渡に係る譲渡所得の課税に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. その譲渡について収用交換等の場合の譲渡所得等の5,000万円特別控除の適用を受ける場合であっても、その特別控除後の譲渡益について、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることができる。
  2. 居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例は、その個人が平成29年において既にその特例の適用を受けている場合であっても、令和元年(平成31年)中の譲渡による譲渡益について適用を受けることができる。
  3. 居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除は、その個人がその個人と生計を一にしていない孫に譲渡した場合には、適用を受けることができない。
  4. その譲渡について収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例の適用を受ける場合には、その譲渡があったものとされる部分の譲渡益について、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることができない。

正解は「2」です。範囲がかなり広く、すべてを理解しようとすると膨大な学習時間が必要です。そのため、過去問をひたすら解いて要点を押さえるとよいでしょう。また、不動産業界に関する統計問題は必ず1問出題されていますので、最新の統計問題を入手しておくことをおすすめします。

▼こちらの記事も合わせてご覧ください。
宅建ちゃんねる2 〜 受験生必見!民法改正の影響を解説します!

3 宅建を取得するメリット

宅建は国家資格の中でも人気がある資格のひとつです。ここでは、宅建を取得することでどういった恩恵が受けられるのか紹介します。

(1)就職・転職に役立つ

宅地建物取引業を行う企業では、宅建の資格保持者を5人に1人以上の割合で設置しなければならない決まりがあります。そのため、企業は宅建保持者を1人でも多く採用しておきたいのが実情です。また、宅建士にしかできない仕事として、以下のようなものが挙げられます。

・契約締結前の重要事項説明
・重要事項説明書面への記名押印
・契約内容書面への記名押印

就職や転職などでのキャリアアップを考えた際、特に不動産業では資格を持っていることが有利に働きやすいでしょう。

(2)対応できる業務の幅が広がる

宅建士になると、重要事項説明を自分一人でできるようになります。重要事項説明と、重要事項説明書・契約書の記名・押印は宅建士の独占業務です。業務の幅が広がり、重要な仕事を任されるポジションになるため、責任感から仕事へのモチベーションアップにもつながるでしょう。

(3)収入が上がる可能性大

宅建業法に従い、契約締結の前には、宅建士から重要事項の説明を行わなければなりません。そのため企業によって、宅建士手当を支給したり、宅建の資格が昇進や昇格の要件になったりしているケースがあります。

宅建手当の平均は、一般的に5,000円~30,000円です。ハウスメーカーやリフォーム会社などの不動産業界、ほか金融業界など宅建の試験内容にかかわりのある業務を取り扱っている会社であれば、手当等の待遇が設けられていることが多いでしょう。もし20,000円を毎月の手当として支給されれば、年間24万円もの収入アップが見込めます。

(4)独立にも役立つ

宅建士の資格を保持することで、独立開業も可能です。独立して成功すれば、会社員として働くよりも年収アップが期待できます。名刺に「宅地建物取引士」と入るだけでも箔が付くため、お客様からの信頼度も高まるでしょう。

ただし、宅建はお客様への認知度も高く、信頼を得やすいのと同時に「独立しているなら持っていて当然」として評価が上がりにくくなっている現状もあります。そこで、ダブルライセンスの取得がおすすめです。

例えば、

・ファイナンシャルプランナー(FP)
・賃貸不動産経営管理士
・不動産コンサルティング技能士
・管理業務主任者
・マンション管理士

など、不動産業に携わっていると役立つ資格を持っていることで、より専門性をアピールしやすくなります。独立開業まで視野に入れている方は、業務やお客様との信頼構築のためにも、ダブルライセンスを取得することがおすすめです。

(5)自分で不動産を買うときにも知識が役立つ

一生のうち1回はマイホームを建てたり、土地を購入する機会がくる方も多いと思います。宅建は、そうしたプライベートの場面でも役立つ資格です。知識を活かし、売買価格が適正か、法令を遵守している建設会社かなどを判断しやすくなるでしょう。

宅建の勉強を通して不動産全般の知識を得られるため、賃貸を探す時にも自分に不利な条件や適正家賃の見極めができるようになります。入居後にも、隣人とのトラブルで宅建の知識が役立つこともあります。

4 サマリー

宅建試験の試験内容や、取得のメリットについてご紹介しました。国家試験としての難易度は低いとされていますが、試験内容は広範囲で、合格にはきちんとした対策が欠かせません。しかし、宅建士は一度取得してしまえば生涯有効な資格です。自身のキャリアアップやモチベーションアップ、会社によっては収入アップも見込めるほか、プライベートな場面でも役立ちます。仕事やプライベートをより豊かにするための第一歩として、挑戦してみることをおすすめします。

5 まとめ

・宅建試験に受かるには200~300時間の勉強が必要

・宅建試験のレベルとしては、一般的に日商簿記2級と行政書士の中間くらいと言われることが多い

・宅建試験の科目は宅建業法、権利関係(民法)、法令上の制限、税その他の4分野に分かれる

・宅建を取得することで、業務の幅や給与などにプラスの効果を生み出してくれる

宅建カテゴリの最新記事