司法試験とは
司法試験とは
司法試験とは法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)資格を得るための試験です。
司法試験法第1条(司法試験の目的等)によると、『裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験とする。』と定められています。 尚、司法試験に合格すればすぐに法曹になれるというわけではありません。 1年間の司法修習と司法修習考試(二回試験)を経てはじめて法曹としての第一歩を歩みだすことができます。
司法試験の受験資格
司法試験を受験するためには、前提となる受験資格が必要です。
以下の2つのルートのうちどちらかのルートを経て受験資格を得なければなりません。
(1) 法科大学院修了者(法科大学院ルート)
(2) 予備試験合格者(予備試験ルート)
(1) 法科大学院を修了する
法科大学院を修了すると司法試験の受験資格を得ることができます。一般的には、「法科大学院ルート」と呼ばれています。
法科大学院は、法律家の養成を目的とした教育機関であり、法律学習未経験者を対象とした未修者コース(3年)と法律学習経験者を対象とした既修者コース(2年)にわかれています。
法科大学院は、一般的には大学卒業が要件となっており、大学卒業後に法科大学院へ進学する学生が多いのが実情です。
中には、働きながら通うことのできる夜間コースが併設されている法科大学院で学ぶ社会人もいます。
また、法科大学院入学者選抜においては、非法学部出身者や実経験を有する者や社会人経験を積んだ人材など、多様なバックグラウンドを有する人材に広く門戸が開かれています。
なお、令和5年度から、一定の条件を満たすことにより法科大学院在学中においても司法試験を受験することが可能となります(法曹コース)。
詳細については、法務省等のホームページを随時ご確認ください。
(2) 予備試験に合格する
予備試験(正式名称は司法試験予備試験)合格者となると、司法試験の受験資格を得ることができます。
一般的には、「予備試験ルート」と呼ばれています。予備試験ルートは、年齢制限がなく誰でも受験することができ、時間的・経済的メリットが大きいことから、社会人や現役学生の中でもトレンドとなりつつあります。
しかしながら予備試験の合格率は例年4%ほどと低く、難関国家試験の一つとなっていますので、正しい勉強法と対策が不可欠です。
近年は予備試験ルートでの司法試験合格率が高く、令和3年度には93.5%にまで達したことから人気が高いルートとして注目されています。
受験資格の期限
司法試験の受験資格は永久的なものではなく、法科大学院修了後、または予備試験合格後、5年経過すると失効してしまいます。
受験資格取得後は5年以内・5回以内に司法試験に合格する必要があります。
受験資格が失効してしまった場合は、また司法試験の受験資格を取得するところからのスタートとなります。
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司法試験の日程
司法試験は、例年5月中旬に中1日を挟み5日間にわたり実施されます。
1〜3日目は論文式試験、4日目を空けて、5日目は短答式試験が実施されます。ただし、令和5年からは実施時期が7月中旬へと変更となりますので、詳細は、法務省のホームページをご確認ください。
【令和4年司法試験論文式試験の時間割】
5月11日(水) |
選択科目(3時間) ※倒産法, 租税法, 経済法, 知的財産法, 労働法, 環境法, 国際関係法(公法系), 国際関係法(私法系)より1科目を選択 公法系科目第1問(2時間) 公法系科目第2問(2時間) |
5月12日(木) |
民事系科目第1問(2時間) 民事系科目第2問(2時間) 民事系科目第3問(2時間) |
5月14日(土) |
刑事系科目第1問(2時間) 刑事系科目第2問(2時間) |
【令和4年司法試験短答式試験の時間割】
令和4年5月15日(日) |
憲法(50分) 民法(75分) 刑法(50分) |
司法試験の科目
司法試験の方法は、司法試験法第2条に定められており、短答式と論文式による筆記試験が行われます。
短答式試験
科目 | 問題数 | 得点 |
憲法 | 20~25問 | 50点 |
民法 | 30~38問 | 75点 |
刑法 | 20~25問 | 50点 |
短答式試験は憲法、民法、刑法の3科目で実施され、マークシート方式で行われます。
短答式試験の各科目の問題数と配点は表の通りで、短答式試験の合計点は175点となっています。
司法試験の短答式試験には足切りがあります。
足切りには2つの基準があります。
①すべての科目で40%を下回る場合
憲法・刑法では20点未満、民法では30点を下回ると不合格となります
②3科目の合計点が一定の得点を上回っていない場合
仮に各科目の最低ラインを上回ったとしても、3科目の合計点が一定の得点を上回っていなければその時点でも不合格となってしまいます。
この一定の得点は相対的に決まるために毎年上下しますが、おおよそ7割ほどの点数を獲得していれば一定の得点を下回ることはないでしょう。
論文式試験科目
科目 | 得点 |
公法系 |
200点 |
民事系 |
300点 |
刑事系 |
200点 |
選択科目 | 100点 |
論文式試験は必須科目7科目、選択科目1科目の計8科目で構成されています。
各科目100点満点で配分されており、合計800点満点となっています。
選択科目は、以下の8科目より1科目を選択し解答します。
倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)
なお、この選択1科目は出願時に行うため事前にどの科目を受験するか決定しなければなりません。
司法試験の難易度
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
平成29年 | 5,967 | 1,543 | 25.86% |
平成30年 | 5,238 | 1,525 | 29.11% |
令和元年 | 4,466 | 1,502 | 33.63% |
令和2年 | 3,703 | 1,450 | 39.16% |
令和3年 | 3,424 | 1,421 | 41.50% |
司法試験の合格率は、上昇傾向にあり令和3年度に40%台となりました。
一見難易度が高いよう見えないかもしれませんがが簡単に合格できる試験ではありません。
法科大学院修了、または予備試験合格という高い受験ハードルがあることを踏まえると難易度が高いことに変わりはないでしょう。
また、司法試験の試験範囲は幅広く様々な論点が問われます。法律科目は、どの科目をとってみても暗記すれば正解できるような問題ではありません。基本的な知識はもちろんのこと、論文式試験においては自身の見解も含めた論述をすることも求められ、且つ論文式試験特有のテクニックも不可欠となります。
司法試験合格に必要な勉強時間
司法試験に合格するために必要な勉強時間は、一般的には、法科大学院未修者で9,000時間ほどといわれています。勉強の効率性や個人差がありますので、一概にはいえませんが、多くの時間をかけて法律家としての知識を身に付けなければなりません。長期戦となりますので、強い忍耐力が必要となる試験ともいえます。
資格スクエアの講義は自主学習に重点を置いています

自主学習をいかに効率化できるか
勉強時間の約9割は自学自習の時間。受けるだけで合格できる、という授業はありません。
自学自習の時間を確保し、効率を高めることが重要です。
資格スクエアでは、講義時間を短くすることで、自学自習の時間を多く確保することを可能に。さらに、条文にワンクリックでアクセスできる「条文リンク機能」、わからないところをすぐに質問できる「質問機能」などで、効率の良い自主学習を行うことができます。
司法試験に合格したら
司法試験に合格すると、およそ1年間にわたり司法修習と呼ばれる法律実務に関する知識や技法などを修得する研修を受けます。
裁判所によれば、司法修習の目的は、以下のとおりです(裁判所「司法修習」より一部引用)。
そして、最終関門ともいえる司法修習考試(いわゆる二回試験)を受け、合格すると法曹三者としての資格が付与されます。
法曹三者とは
法曹とは、一般に法律業務に従事する専門家のことであり、特に弁護士、検察官、裁判官のことを指します。 これらを総称して「法曹三者」ともいわれます。
弁護士
弁護士は、依頼者の代理人として法廷活動を行うほか、紛争予防活動や人権擁護活動、立法及び制度の運用改善に関与する活動、企業や地方公共団体などの組織内での活動など、社会生活において幅広く活動する人のことです。
また、「社会生活上の医師」などと喩えられることもあり、社会で生活する市民のために、法律の専門家として、事件や紛争などあらゆる法的な問題に適切な対処方法、予防方法などのアドバイスをおこない「争い」を未然に防ぐ活動も弁護士の重要な役割の一つです。
検察官
検察官は、法律に違反し警察から送致された被疑者を起訴するか否かを決定する唯一の国家機関です。
被疑者に嫌疑がかけられた場合、警察と協力をして捜査を行い、真実を追求していきます。 また、検察官は、「国家を代表して刑罰権の実現を求める当事者としての地位」「被疑者や被告人などの利益のために行動すべきという公益の代表者としての地位」と2つの異なる側面を有しており、その任務は重責を伴います。
裁判官
裁判官とは、全国にある裁判所(最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所)において、法律上の争訟を審理及び事実認定を経たのちに法律に基づいて公正な判決を下す人のことです。 裁判官は、他人の意見に影響されず常に冷静かつ慎重な判断が求められる、非常に重い職責を担っています。
また、憲法76条第3項により「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と定められています。