資格スクエア 予備試験講座 合格体験記

資格スクエア 令和5年予備試験合格率
※1法務省発表の令和5年司法試験予備試験の最終合格率
※2資格スクエア調べによる予備試験講座受講生のうち令和5年司法試験予備試験の最終合格率
※受講生アンケート結果による

令和元年度 予備試験論文式試験1位 合格 中西 勇磨様

わずか11カ月の学習で
歴代1位の点差をつけて論文1位をとれた理由

令和元年度 予備試験 合格・令和2年司法試験 合格
社会人中西 勇磨様

資格スクエア・予備試験講座を利用し、勉強開始からわずか11カ月で見事合格を果たされました。
論文式試験の結果は第1位。
社会人・海外からの受講と決して有利な環境でない中、自己成長に向かい励み続ける中西勇磨様。
アウトプットを重視した計画性を備えた勉強で見事、合格を掴まれました。

社会人の合格者の声
※令和5年度合格者も順次UP予定

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学生の合格者の声
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35639 | 第01回 行政法とは

https://shikaku-square.ruffnote.com/shikaku-square/resumes/108821

基礎講義

行政法・第1回

行政法とは

第1編 行政法の基礎

第1章 行政法とは

1 行政法の意義

〔導入事例〕
 不動産開発業者Xは、Y市において大型マンションの建設を計画し建築確認の申請をした。しかし、周辺住民によるマンション建設反対運動が激しかったことから、Y市はXへ地元住民への説明会を実施して建設への理解を求めるよう指導し、その間の建築確認を留保することとした。Xは数ケ月に渡って何度か説明会を実施してきたが、周辺住民の反対の姿勢は強固で、とても理解を得られるような状況ではなかった。
 そこで、Xとしてはこれ以上、着工を延ばせないと判断し、Y市へその旨を伝え、建築確認済証の交付を求めた。
 しかし、Y市は住民の声に押され建築確認済証を交付しないでいた。その間、Xには着工の遅れから数千万円の損害が発生している。
 Xとしてはいかなる手段をとることができるだろうか?

⑴ 行政法のイメージ
行政法:行政に関する法律関係を全般的に扱う法分野*1
    →国家市民関係の問題を取り扱う
例:誰もが自由に水道事業をすることができるわけではない→水道法
  自動車を運転するには免許が必要→道路交通法
  建物の建築には一定の建築基準に適合することの確認が必要→建築基準法
  ゲームセンターを開業するには公安委員会の許可が必要
  →風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

⑵ 「行政法」という名の法典の不存在*2
・行政に関する法律群は、現在2,000にも及ぶ

⑶ 「行政法」という学問
・行政に関する法(憲法、法律など)をかき集めて整理した学問

⑷ 行政活動の法的統制
・行政活動は広範で多種多様で、それらを規律する法律も膨大
・行政活動は生活に直結し、国民の権利・義務に重大な影響を及ぼす
 →広範な行政をめぐる法領域について、行政機関が活動する際の法的統制を行うための規範を分析し、これを具体的な事実にあてはめていく法分野が「行政法」
・具体的には
 ①行政作用いかなるものかを分析・検討し
 ②それらを統制する規範を明らかにする
 ③行政機関のある行為違法なものか否かを判断する基準を定立し、
 ④その具体的な争い方や損害が発生した場合の救済方法などを検討していく
 

2 行政法の議論・問題へのアプローチ

〔事例〕
X市立Y図書館規則によれば「少年法61条に反する記事が記載されていると認められる場合には、図書館長は、当該図書や雑誌の閲覧を禁止することができる」と定められており、X市の市民AがB週刊誌の閲覧を請求したところ、この規定により閲覧を拒否された。この措置に何か問題はないか?


少年法61条
家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。


①拒否処分の根拠:Y図書館規則
・要件:少年法61条に反する記事が記載されていると認められること
・効果:図書館長は、当該図書や雑誌の閲覧を禁止することができる

②要件充足性
・少年法61条に反する記事が記載されていない場合、禁止(拒否処分)の要件該当性なし
→当該規則による拒否処分をなすことはできない


③効果裁量の有無
・仮に少年法61条に反する記事が記載されている場合でも、図書館長は禁止することが「できる」に過ぎず、禁止しなければならないわけではない(規制の文言)
+図書館において何を閲覧に供するかにつき図書館長の専門的・技術的な判断を要する(規制の性質)
 →閲覧請求に対する拒否処分をなすかにつき効果裁量あり

④裁量の逸脱濫用
・図書館長の閲覧請求に対する拒否処分が効果裁量の範囲内か?
 →裁量権行使裁量権逸脱濫用の判断基準)の規範定立(行訴法30条参照)
 →あてはめ・結論(違法or適法)

行訴法30条
 行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。


※具体的な救済方法(争い方):取消訴訟、義務付け訴訟など

 

3 行政法の体系

行政作用法:行政主体と私人との間の公法上の法律関係に関する規律
行政救済法:行政統制に関する規律、国家補償に関する規律
行政組織法:行政主体の機関の組織・権限、機関相互の関係、行政主体相互の関係に関する規律


【図解】行政法の体系


 

4 行政上の法律関係

⑴ 「行政」の範囲
・「行政」とは、国家作用のうちから立法と司法を控除したもの(控除説
 ∵①現代の行政は複雑で多岐にわたり、これを積極的に定義することは困難
  ②歴史的にも国家権力から国民が立法権を奪い、司法権を独立させ、最後まで残ったのが行政権

【図解】控除説


⑵ 公法私法二元論の採用の有無*3
ア 公法私法二元論
・行政上の法律関係を、公法関係と私法関係とに区別し、それぞれの分野で適用される法原理が異なる
⇒公法関係に私法の適用なし

イ 公法私法一元論(通説)
・公法関係と私法関係を区別せずに、当該処分の性質・実体法規の趣旨・問題状況に鑑み、いかなる法律が適用されるかを個別具体的に決定すべき


【図解】公法関係と私法関係


ウ 判例*4
・必ずしも公法私法二元論を前提とはせず、それぞれの法的仕組みの趣旨を解釈している
・自作農創設特別措置法に基づく農地買収処分をした事案について
 ⇒民法177条の適用を否定(最大判昭和28年2月18日/民集7巻2号157頁)
・租税滞納処分により国が土地を差し押さえた事案
 ⇒民法177条の適用を肯定(最判昭和31年4月24日/民集10巻4号417頁)

【判例】最判昭和31年4月24日/民集10巻4号417頁

〔事案の概要〕
 Xは、Aから土地(以下「本件土地」という。)を買い受け、管轄する税務署長Bに対し、本件土地を自己の所有地として財産申告をし、財産税を納付した。しかし、XはAから本件土地の移転登記を受けていなかったところ、Aが国税を滞納したため、税務署長Cは、税務署長Bの滞納処分を引き継ぎ、A名義の本件土地を差押登記をした上で公売処分を行い、競落人Yに対して所有権移転登記がなされた。
 そこで、Xは国に対して公売処分の無効確認訴訟を、Yに対して所有権移転登記の抹消登記手続請求訴訟を提起し、公売処分には民法177条の適用がないことを主張した。

〔判例原文〕
国税滞納処分においては、国は、その有する租税債権につき、自ら執行機関として、強制執行の方法により、その満足を得ようとするものであつて、滞納者の財産を差し押えた国の地位は、あたかも、民事訴訟法上の強制執行における差押債権者の地位に類するものであり、租税債権がたまたま公法上のものであることは、この関係において、国が一般私法上の債権者より不利益の取扱を受ける理由となるものではない。それ故、滞納処分による差押の関係においても、民法177条の適用がある…。」

 

 

 

5 行政法の法源

⑴ 成文法源
・法律による行政の原理などから、行政法は、原則として成文法(制定法)よりなる(成文法中心主義)
  例:憲法、条約、法律、命令、条例
  ※命令:政令、内閣府令、省令、規則がある
 ⇒委任命令と執行命令のみ許される(憲法73条6号)


⑵ 不文法源
・慣習法、判例法、条理法
  ※条理法:物事の本質的法則であるが、裁判官の解釈のよりどころになる
 →憲法や条理から導かれる行政上の法の一般原則として、平等原則、比例原則、信義誠実の原則、権利濫用の禁止など

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*1 櫻井敬子・橋本博之『行政法[第6版]』(2019年、弘文堂)1頁

*2 櫻井敬子・橋本博之『行政法[第6版]』(2019年、弘文堂)2頁

*3 櫻井敬子・橋本博之『行政法[第6版]』(2019年、弘文堂)8~9頁

*4 櫻井敬子・橋本博之『行政法[第6版]』(2019年、弘文堂)28頁