コロナ時代における司法試験予備試験の勉強法

コロナ時代における予備試験の勉強法

コロナ時代に弁護士を目指す

今回は、2020年6月27日に開催されたLIVE予備試験講座説明会の内容をお届けします。テーマは、「コロナ時代における予備試験の勉強法」。

新型コロナウイルスの影響により、世の中は大きく変化しています。それに伴い、法曹界も変わりつつあるというのを、皆様は御存知でしょうか。

本説明会では、コロナ期を経て、弁護士業はどのように変化してきているのか?コロナウイルスによる司法試験・予備試験への影響は?コロナ時代における勉強法とは?
といった内容について、資格スクエア代表/弁護士の鬼頭政人が詳しく説明しました。

本記事ではそのLIVE説明会の内容をご紹介します。
状況の変化が激しい今、法曹を目指している方は、積極的な情報収集が不可欠です。
司法試験・予備試験の受験を考えている方必見の内容となっておりますので、ぜひご覧ください。

 

講演概要

1 コロナ時代における「弁護士業の変化とその対応」

1-1 弁護士の働き方の変化

以前までの弁護士の働き方といえば、東京に弁護士事務所を構えた場合、対面で東京の人から依頼を受けるというスタイルが当たり前でした。
しかし、コロナ期間を経て、この当たり前にこだわる必要はないという認識が広まり始めています。
すなわち、実はほとんどの業務がオンラインでも行うことができ、さらに東京の弁護士事務所であっても、北海道の方でも沖縄の方でもオンラインで依頼を受けることができるのだ、ということです。
このことから、弁護士は、顧客を持つ基盤が広がったと言えます。どこにいても、どの顧客の依頼でも受けることができるようになったのです。
その結果、どこに事務所を構えるのか、どこの依頼者なのかは問題ではなく、自分がどのような業務を提供するのかという事が重要になってきたと言えるでしょう。

そして、今後は、自分がどこにいてもあらゆる場所からの依頼者を得られるようになるので、様々な形態の弁護士が登場するはずです。
そのような状況下で仕事を獲得するには、自分の専門性をどう磨くかという事が重要になってきます。
 

1-2 弁護士の仕事内容の変化

これまでの弁護士業では、多くの仕事が紙をベースとしていましたが、今後は紙を使用する機会が減り、すべての仕事がオンラインで完結するようになるでしょう。

コロナ期間を経て、各企業が変化を余儀なくされています。
その中でも特に、業務をすべて電子化しようという動きが大きくなってきています。
これまで書面にて行ってきたもの、例えば契約書や請求書、営業の申込書なども含めてすべてを電子で行おうというものです。

同じ動きが、法曹界にも見られます。
先程も述べたように、オンライン上で仕事を受けることができるようになることや、それに伴い全ての業務を電子のファイルをもとに行う必要が出てくることから、電子化が急速に進められています。
さらに、裁判所も電子ファイルでの訴状提出を可能にするという事や、ODR(Online Dispute Resolution)といった、調停をオンラインで行おうという取り組みも進められています。

 

1-3 将来弁護士としてどう働くか

変化の激しいこの時代において、旧来型の分野にこだわるべきではないでしょう。そこで、大事なのは、新しい分野にどんどん参入していくという事です。

日々新しい技術が生まれ、社会も変化していきます。それに伴い、新しい技術に対して新たな制度も生まれますが、変化の最先端の事象をとらえ、そこに必要な法律業務を弁護士として提供することで、それまでより仕事の幅が広がり量も増えます。
さらに新興分野の仕事をたくさんこなすことでその分野での第一人者になることができ、すると、より仕事が集まるという正のスパイラルを作ることができます。

このようなことを考えると、新しい分野を積極的に開拓していくという気持ちが弁護士業では重要になってきています。


 

2 学習をいつから始めるべきか「コロナの情勢と制度変更を鑑みて」

2-1 コロナによる来年度の試験の影響

2020年度の予備試験は、コロナウイルスの感染拡大により延期されることとなりました(短答式試験は5月17日から8月16日に延期)。このことを、目標受験年度別に考えてみます。

2020年に予備試験受験を目指している方にとっては、千載一遇のチャンスです。5月の試験が8月に延期されるので、勉強期間が3ヶ月伸びるということは非常に好機です。
試験日程が先送りされたことでテンションが下がってしまいがちですが、この3ヶ月で点数を10点以上上げることは十分可能です。モチベーションを保ちながら残り3ヶ月を進めていきましょう。

2021年の予備試験に関してですが、2020年を目指し、落ちてしまった方にとっては、準備期間が短くなってしまうので不利であると言えるでしょう。その一方で、最初から2021年を目指している方にはチャンスが大きい年になります。
さらに、2022年の予備試験の制度変更を目前に控えているため、2021年は予備試験の負担が少ない最後の年となるので非常に重要です(この負担については後述)。
また、予備試験の合格者数を気にされる方もいますが、現状司法試験の受験者数が減少傾向にあることを考えると、ここ1、2年で予備試験合格者を減らすという事は考えにくいでしょう。
 

2-2 予備/司法試験の制度変更の説明

司法試験、予備試験の両方が、今後の制度変更を控えています。以下で詳しく見ていきましょう。

1つ目は、2022年以降の予備試験の論文式試験から、一般教養科目が廃止され選択科目が追加されることです。
選択科目というのは、法律基本7科目以外で、実務上よく使われる法律科目、労働法や知的財産法というものから1つを選ぶ法律の試験です。
これまでの一般教養は、あまり対策をしなくてもよいというものでしたが、変更後は法律の試験なのである程度の学習が必要となります。
そのため、2022年以降は学習量が多くなり、予備試験論文式試験の負担が増えるという事が言えます。

また、制度が変わることを見越して今から2022年を目指そうとする方がいますが、それはオススメできません。なぜなら、2年間も同じテンションで学習を継続することは難しいからです。
今から2年先を目指そうとすれば、最初の1年間だらけてしまいかねません。
更に、選択科目はあくまでも応用科目です。法律基本7科目が終わってから勉強すれば十分です。

2つ目は、法曹コースの設置についてです。
これは、大学1年生、2年生に関係する話ですが、法曹コースとは、法学部4年間を3年間で卒業して法科大学院に進むことができる制度です。
この制度を利用すると、これまで6年かかっていた司法試験受験までの道のりを、短縮することができます。
この制度は、2020年度の2年次への進学者から始まっています。

3つ目は、2023年に行われる、司法試験受験資格の変更です。
これまでは、司法試験を受験するには法科大学院修了または予備試験合格が必須でした。
しかし、2023年からは法科大学院3年生の時に司法試験が受けられるようになります
この変更の背景には、司法試験受験者の減少という問題があります。

表を見ると、2016年から司法試験の受験者数は毎年減ってきていることが分かると思います。
理由は、法科大学院の相次ぐ閉鎖と、一学年の定員数削減による法科大学院卒業生の減少にあります。一方で、司法試験の合格者は1500人程度と変わらないため、合格率としてみると上昇傾向にあると言えます。

そして、この状況は、2021、2022年も変わらず続いていきます。
2023年からは法科大学院3年も受けられるようになるため、2022年までは受験者数減少&合格率上昇という現状のままと言えます。
そのため、皆さんは2022年の司法試験までに受かる、つまり2021年の予備試験までに受かるということが、合格率の高い司法試験を受けるための条件になります。

2-3 準備をいつ始めるべきか

今すぐ始めましょう。先ほども述べたように、制度変更前の今はチャンスです!
そのためには、2021年までに予備試験を突破することが必須なのです。

 

3 コロナ時代における勉強法

3-1 効率的な在宅学習法

自宅での勉強は苦手、という方は多いのではないでしょうか。どうやったら家で集中的かつ効率的に勉強を進めることができるのでしょうか。

ポイントは3つあります。
1つ目は、家の中での勉強する場所を決めるということです。例えば、自室の机や、ダイニングテーブルのこの席、という風に決めてみましょう。
そして、決めた後は環境の準備が大切です。
勉強場所の周りに余計なものは置かないようにしましょう。人間は、目に入る場所に興味があるものが置かれると注意がそれてしまいます。

2つ目は、何時から何時までは勉強して、何時から何時まではやらないと決めるということです。
自宅だと、パブリックとプライベートの境目がなくなり、切り替えが上手くできなくなります。そうすると、ダラダラ勉強してしまい、それにもかかわらず何となく勉強した気になってしまうことはないでしょうか。
自宅にいるとメリハリのつけ方が難しいので、時間を決めて取り組むということが有効です。時間を決めたほうが集中できる時間が増えるので、結果的に達成量が多くなります。

一番やっていけないのは、この時間はできるだけやろう、とすること。これは時間を決めているようで決めていないという状況になります。ある程度やったところで、まあいいか、頑張ったしな、と思ってしまい、勉強量が減ってしまう傾向にあります。

3つ目は、家から出ることを息抜きにすることです。
最近は、家で過ごす時間が増えたのではないでしょうか。以前はカフェなどで勉強をしていたけれど、家での勉強に切り替えた方も多くいるでしょう。
そこで、家では勉強スイッチをONにし、外に出ることで息抜きをするようにすると、うまくメリハリをつけることができるようになります。
また、歩くというのは、頭をすっきりさせ、気分をリフレッシュするのにも有効です。
 

3-2 鬼頭からの応援メッセージ

今年、来年の試験を受ける方には、自粛期間というのはかなりハードな数カ月だったと思います。ストレスも多くかかったことでしょう。
しかし、このような期間は、本当に受かりたいのかという気持ちが試されている期間と捉えてください。
このように考えると、現在のような複雑な状況下こそ、自分は勉強し続け、法律家になりたいんだという気持ちを改めて強く持つというチャンスでもあると思います。
社会の変化に負けずに、モチベーションを保ちつつ最後まで受かり切るという気持ちを持って頑張りましょう。

講師紹介

弁護士・資格スクエア代表、iU 情報経営イノベーション専門職大学客員教員。

著書は「ヤマを張る技術」「資格試験に受かる人と落ちる人の勉強法」など、12冊。

自身が受験生の時から予備試験・司法試験等の難関資格の勉強法を研究し、今に至る。

最近は東大弁護士YouTuberとしても活動している。

最後までご覧いただきありがとうございました。 この話に少しでもご興味がございましたら、是非、無料のオンライン説明会にご参加ください。より発展的な内容を取り扱っております。

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