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- 司法試験予備試験とは
司法試験を受けるための受験資格の一つとして、予備試験は位置づけられています。最難関ともいわれる試験ですが、まずは予備試験について詳しく知ることが大切です。
予備試験とは「法科大学院修了程度の知識・能力があるかを判定する試験」です。
予備試験に合格すると、法科大学院を修了していなくとも、司法試験の受験資格を得ることができます。法科大学院に通っていない人にとっては、弁護士になるための第一関門だと言えます。
現在の司法試験は誰でも受けられる試験ではありません。
司法試験の受験資格を得るには、①予備試験に合格するか(予備試験ルート)、②法科大学院を卒業するか(法科大学院ルート)、いずれかのルートを辿る必要があります。このどちらかを満たさなければ、弁護士になるどころか、司法試験を受けることすら出来ないのです。
予備試験ルートと
法科大学院ルートの違い
予備試験には受験資格がないので、誰でも受験することができます。また、法科大学院に通う必要がないため、時間的・経済的な負担なしに司法試験を目指すことができます。
これに対し、法科大学院には飛び級もありますが、原則として大学を卒業していることが入学条件となり、法科大学院卒業までには2年か3年の期間が必要になります。したがって、司法試験の受験資格取得にかかる期間は予備試験よりも長くなり、さらに学費も払う必要があります。
現在、予備試験の実受験者数は11,000人程度で推移しています。受験者の年齢別の統計でみると、20〜24歳と40歳以上が最も多い、という結果となっています。これは、大学生、法科大学院生が多く予備試験を受験していること、社会人になって働きながら受験する人が多いということ、を意味します。
学生の受験者数は4,600人程度(大学在学中+法科大学院在学中の合計)ですが、社会人の受験者数は5,700人程度(大学卒業+法科大学院卒業+その他の合計)であり、学生よりも社会人が多く受験している試験といえます(その他に分類される人は弁護士以外の士業(行政書士や弁理士)の仕事をしている人が多いです)。
大学在学中 | 約2,900人 |
---|---|
法科大学院在学中 | 約1,700人 |
大学卒業 | 約3,700人 |
法科大学院卒業 | 約800人 |
その他 | 約1,200人 |
予備試験は年に1回実施され、受験回数に制限はありません。試験は、短答式試験、論文式試験、口述式試験の3つが実施されます。
短答式試験は5月中旬、論文式試験は7月中旬、口述式試験は10月下旬に実施されます。
短答式試験の合格者だけが論文式試験を受験することができ、論文式試験の合格者だけが口述式試験を受験することができる仕組みとなっています。
令和1年度の予備試験を受験した11,780名のうち、最終の合格者は476名で、最終合格率は4.0%でした。例年、予備試験の最終合格率は概ね4%前後と、非常に難易度の高い試験であるということができます。
予備試験の合格者数は全体として増加傾向にあり、平成29年度、平成30年度、令和1年度は400名超の合格者を出しています。予備試験合格を目指すには今がチャンスであるといえます。
年度 | 合格率 |
---|---|
令和1年 | 4.0% |
平成30年 | 3.9% |
平成29年 | 4.1% |
平成28年 | 3.8% |
平成27年 | 3.8% |
2022年度から
試験制度が変わります
2022年度の予備試験より、論文式試験において、現行の一般教養科目が廃止となり、選択科目が追加されます。
これまでの一般教養科目は、法律との関連性に関係なく非常に広範囲から出題されるために対策が立てづらく、対策を立てていなくても周りの受験生と大きな差はつきませんでした。
しかし、選択科目は一般教養科目と違い法律科目であるため、選択科目も合否に少なからず影響することが予想されます。
2022年度以降の予備試験受験を考えている方は、選択科目の学習もする必要があることを念頭に置いておきましょう。
短答式試験は、マークシート方式(選択式)の試験です。法律7科目と言われる、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法のほか、一般教養についても問われることになります(合計8科目)。六法の持込は認められていません。
合格率は毎年20%程度であり、予備試験の最初の関門といえます。短答式試験の点数は一般教養が60点、法律7科目は各30点ですので、合計270点満点です。合格点は、160点から170点程度であり、だいたい6割程度の点数を取ることができれば突破できる試験となっています。
科目 | 得点 |
---|---|
憲法 / 民法 / 刑法 商法 / 民事訴訟法 刑事訴訟法 / 行政法 |
各30点 |
一般教養 | 60点 |
合計 | 270点 |
平成25年憲法第2問
司法権に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
ア.裁判官の罷免に関し弾劾裁判所の裁判の結果に不服がある場合に,最高裁判所に訴えることができるとする法律を制定することは憲法に違反しない。
イ.行政機関の認定した事実はこれを立証する実質的証拠があるときには裁判所を拘束すると定めた法律は,その実質的証拠の有無は裁判所が判断するとの規定があっても憲法に違反する。
ウ.特定の種類の事件だけを扱う裁判所を設置しても,その裁判所の裁判の結果に不服がある場合に,最高裁判所に上訴できるのであれば憲法に違反しない。
予備試験の出題形式は、上の例のような正誤問題がほとんどです。しかし、中には解答欄の括弧内に入る語句を選択させる問題や、各学説からどのような結論が導かれるかを答える論理問題も出題されます。また、正誤問題にも種類があり、全ての選択肢の正誤がわからなければ正解できない問題と、一部の選択肢のみ分かれば正解を導ける問題とがあります。
試験範囲は各科目の全ての範囲からまんべんなく出題されるため極めて広範です。短答式試験を突破するためには、試験範囲を抜け漏れなく学習することが必要となります。
コツコツと問題を解くのが短答式試験突破の近道です
短答式試験はマークシート式だから...と油断してはいけません。
予備試験はとにかく範囲が広いので、直前期に詰め込もうとしても間に合いません。短答式試験対策は、コツコツと問題を解いていくことが大切です。短答式試験の少なくとも半年以上前から、しっかりと問題演習を重ねていく必要があります。
過去問を何度も解こう
予備試験は試験範囲が広いとはいえ、同じような問題も何度も出題されています。また、初めて出題された知識であったとしても、過去問の知識の応用で答えることのできる問題も多く存在します。
したがって、短答式試験対策には、過去問を何度も繰り返し演習することが大切なのです。平成23年以降の全ての予備試験、さらには、平成18年以降の司法試験の過去問の演習を繰り返し行うのが良いでしょう。
自信を持って正解した問題を除外しよう
短答式試験対策のためには、過去問演習が必須です。しかし、毎回全ての問題を解いていると時間が多くかかってしまうため、試験本番までに十分な回数の演習を行うことができません。
ポイントは、自信を持って正解した問題は、次回以降の演習から除外していくことです。こうすることで、2周目以降の問題演習のスピードが上がり、自分が理解ができていない箇所に集中した学習が可能となるのです。
資格スクエアの
短答式試験対策
苦手な問題を優先的に出題する短答式問題演習機能
各講義を聞き終えたら、オンライン上、またはアプリ上で短答式問題の演習を行って頂きます。
人工知能を用いたこの機能は、自分の間違えた問題を優先的に出題してくれるため、効率的に短答式試験の成績を上げることができます。また、短答対策講座では、短答だけで問われる部分を解説していきます。
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論文式試験は、その名の通り、論述式によって解答する試験です。A4の白紙4枚分に解答を書いていく形式のため、大学受験までに経験してきた論述式試験よりも圧倒的に分量が多いです。
論文式試験こそが予備試験最大の山場であり、この試験の突破に全力を割く必要があります。科目数は法律7科目に加えて、実務基礎科目(民事・刑事)が加わり、一般教養もありますので合計10科目となります。
合格率は短答式試験と同じ20%程度ですが、短答式試験を突破した人の中で20%に入る必要がありますので、短答式試験よりも難しいといえます。予備試験合格の最大のポイントは、この論文式試験突破にあるのです。
科目 | 得点 |
---|---|
憲法 / 民法 / 刑法 商法 / 民事訴訟法 刑事訴訟法 / 行政法 実務基礎(民事 / 刑事) 一般教養 |
各50点 |
合計 | 500点 |
平成24年刑法
以下の事例に基づき、甲,乙及び丙の罪責について論じなさい(特別法違反の点を除く)。
(前略)甲及び乙は,事故を偽装することにしていた交差点付近に差し掛かった。乙は,進路前方の信号機の赤色表示に従い,同交差点の停止線の手前にY車を停止させた。甲は,X車を運転してY車の後方から接近し,減速した上,Y車後部にX車前部を衝突させ,当初の計画どおり,乙に加療約2週間を要する頸部捻挫の怪我を負わせた。
甲及び乙は,乙以外の者に怪我を負わせることを認識していなかったが,当時,路面が凍結していたため,衝突の衝撃により,甲及び乙が予想していたよりも前方にY車が押し出された結果,前記交差点入口に設置された横断歩道上を歩いていたAにY車前部バンパーを接触させ,Aを転倒させた。Aは,転倒の際,右手を路面に強打したために,加療約1か月間を要する右手首骨折の怪我を負った。(後略)
予備試験の論文式試験は、A4用紙1枚から長いと数ページにわたる事例(具体的にどのような事件が起きたかが書いてあります)を読み、その上で、設問に答えていく問題が出題されます。出題される範囲は、短答式試験に比べると限定されているということができ、同じ論点が繰り返し出題されることもあります。
過去問が大切です
予備試験の論文式試験対策としても、やはり過去問の演習が最も大切です。過去問を解くことで試験の傾向を掴むことができますし、アウトプットを重ねることで、知識の定着率が圧倒的に上がります。
最初は答案の書き方がわからず、手も足も出ないかもしれませんが、答案例を参照しながらでもアウトプットを行っていくとよいでしょう。また、過去問に挑戦する前段として、基礎的な問題も解くのが有用です。
少ない知識でもレベルの高い答案は書ける
論文式試験に必要な知識は実は多くありません。むしろ、「少ない知識をいかに使うか」がポイントです。
予備試験に上位で合格した方の答案を見ると、決して多くの知識を見せびらかすような答案ではありません。少ない知識を正確に用い、答案に表現する力が圧倒的に優れているのです。
知識を覚えるのと同時に答案を書こう
予備試験に短期での合格を目指す場合、知識のインプットと同時に論文式試験対策を行う必要があります。
具体的には、各分野(例えば、憲法の「人権」)の講義を一通り終えた段階で、基本的な問題(基礎問)について答案を書き始めてください。最初は模範答案を写すことからで構いません。知識のインプットと同時に演習を進めることで、論文式試験対策に十分な時間を確保することができます。知識を完全にインプットしてから論文式対策を進めていては、到底予備試験本番には間に合わないのです。
資格スクエアの
論文式試験対策
逆算思考で論文が書けるようになる
資格スクエアでは、逆算思考の司法予備合格術という業界初の学習メソッドを用いることで、誰でも論文が書けるようになる講座を提供しています。
基礎講座を一通り終えたら、基礎問演習、論文過去問演習という形で短い講義と答案を書くことをセットで進めていきます。
問題分析能力、条文適用能力、答案作成能力という、論文を書くのに必要な力を確実に身につけることができます。
口述式試験は、試験官2名の前で口頭で問題を出され、これに答えていく試験で、口述式試験に合格すると予備試験の最終合格となります。試験科目は、民事実務と刑事実務の2つとなっていますが、論文式試験同様、民事実務は民法と民事訴訟法が、刑事実務は刑法と刑事訴訟法が土台となっています。
合格率は9割を超えていますが、論文式試験の合格者のみに課される試験であり、レベルは非常に高いので、油断は禁物です。論文式試験合格発表から試験実施まで 2週間しかありませんので、しっかりと対策をしておく必要があります。
平成28年予備試験口述式試験再現
主査:それでは事案を読み上げるのでよく聞いていてくださいね。わからないことがあったら、聞き返してもらって構わないのでね。Aは銀行で他人に譲渡する目的を有しながら、自己名義で通帳とキャッシュカードを申請して交付を受けました。事案は大丈夫ですか?
自分:はい、大丈夫です。
主査:では、この事案でAの罪責はどうなりますか?
自分:1項詐欺罪が成立します。
主査:ということだね。今、1項詐欺罪、つまり財物が対象になっていると言ってくれたんだけども、通帳やキャッシュカード、これら財物って言えるのかな?
自分:はい。通帳やキャッシュカードは、すぐにお金を下ろすことができるという地位を伴わせるもので、財産的価値が認められため、財物と言えます。
予備試験の口述式試験は、主査・副査の2名と問答を行う形で進められていきます。主に主査からの質問が多く、副査は補助的な質問を行う場合が多いようです。
口述式試験では、刑事実務基礎科目・民事実務基礎科目の2科目が2日に分けて出題されます。刑事実務基礎科目では、犯人性や刑事訴訟の手続に関する問題が、民事実務基礎科目では、要件事実や民事保全・執行に関する問題が出題されます。
口述式試験に必須の分野をマスターしよう
口述式試験では、民事保全法や民事執行法、要件事実など、短答式試験・論文式試験ではほとんど問われることのない箇所についての質問が一部なされます。
口述式試験の合格率は極めて高いですが、知識に抜け漏れがあると、一気に低い評価がつく可能性がありますので注意が必要です。
論文式試験の対策後に学習を始めよう
口述式試験の対策は注意が必要ですが、かといって、あまり早くから始める必要はありません。口述式試験の試験科目である民事実務基礎科目は民法・民事訴訟法の、刑事実務基礎科目は刑法・刑事訴訟法の知識が必要となってきます。まずは論文式試験対策に集中して、論文式試験が終わった後に口述式試験の対策を行うことで十分間に合います。
正確な知識が必要
口述式試験対策のためには、知識を瞬時にアウトプットできるようになる必要があります。口述式試験は極度の緊張状態で行うわけですから、不確実な知識のままだと、「頭が真っ白になって答えられなかった」といった事態になりかねません。
定義・論証など、論文式試験までの学習で積み重ねてきたノートや単語帳・論証集や定義集などを用いて最後の確認を行ってください。
資格スクエアの
口述式試験対策
論証集と口述対策講座・模試で対応
資格スクエアでは、オンラインと紙の両方で答案にそのまま応用できる論証集が使えます。
論証集は、論文式だけでなく口述式試験にも有用です。スキマ時間に必要不可欠な知識を覚えてしまいましょう。また、口述式対策講座や口述模試もありますので、論文試験受験後の口述式試験対策も万全です。
予備試験を見事に突破することができたら、次の年の司法試験を受けることができます。11月に予備試験の合格発表があった後、次の年の5月の司法試験を受験することになるので、わずか半年の間に司法試験の準備をしなければなりません。
しかし、司法試験は、短答式試験の科目数は3科目のみであり、さらに論文式試験の科目も大幅に重なっているため、新たに勉強する分野はほとんどありません。適切な対策をすれば、問題なく翌年の司法試験に合格することができます。
予備試験ルートで
司法試験を目指そう
出身 | 合格率 |
---|---|
予備試験合格者 |
81.8% |
京都大学法科大学院 | 62.7% |
一橋大学法科大学院 | 59.8% |
東京大学法科大学院 | 56.3% |
慶應大学法科大学院 | 50.7% |
法科大学院の上位校といわれる東京大学法科大学院や京都大学法科大学院よりも、予備試験合格者の方が圧倒的に合格率が高い、というデータが出ています。
実は、予備試験ルートでの司法試験の合格率は年々上昇しています。
これは、予備試験で試されることが司法試験で試されることと多く重なっていること、予備試験の倍率が高いことから予備試験合格時点で司法試験合格に近い実力がついていることが原因です。この傾向は予備試験実施当初から変わりません。
予備試験ルートと法科大学院ルートでお悩みの方は、ぜひ一度資格スクエアまでご相談くださいませ。
司法修習というのは、簡単にいえば法曹になる前の研修期間です。裁判官、検察官、弁護士の仕事を生で見るだけではなく、実際の判決や起訴状、準備書面といった実務で用いる書類を起案する機会にも恵まれますので、十分なオン・ザ・ジョブ・トレーニングをすることができます。 この司法修習を無事に終え、二回試験(卒業試験)に見事合格すれば、輝かしい法曹としての道を歩き出すことができます。
予備試験、司法試験、さらには司法修習を突破した後には、「法曹三者」といわれる職業に就くことができます。
法曹三者とは、弁護士・検察官・裁判官の3つの職業を指し、司法試験を突破した人の多くは司法修習を経て、これら3種類の職業に就くこととなります。
さらには、会社に就職し、社内で弁護士として活躍する企業内弁護士(インハウスロイヤー)や、官公庁で勤める方、コンサルタントや、NGO・NPOなどで活躍する方も多く出てきています。昨今では、予備試験・司法試験合格後の働き方は多様化しているのです。
予備試験合格者は
就職でも有利です
予備試験合格者は、専用の法律事務所説明会が設けられるなど、明らかに優遇されています。
予備試験合格者は、難易度の高い試験を突破してきた証明がありますから、法律事務所としても、将来の事務所を担う有為な人材として、取り合いを行っています。 予備試験経由での司法試験合格というだけで、就職活動に大いに有利になることは疑いようのない事実です。